ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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敗北?怪獣王!?

「今日はお前等とか、よろしくな」

「はい!」

「ああ……」

 

 モスラは元気良く、バトラは面倒くさそうに応える。

 今回はモスラとバトラの、姉妹との任務だ。

 

 

 

 

「しかし災難だなお前も、まさかあんな妹が居るとか」

「まったくだ…………そういや妹と言えば、お前等どっちが妹なんだっけ?」

 

 クレープを三つ購入し街中を歩く三人。

 

「気にした事はありませんね。双子ですし……」

「そうなのか………しかし、不味いなこの魚クレープ」

「チャレンジメニュー何て頼むからだ」

 

 顔をしかめるゴジラにバトラは馬鹿にしたように笑う。と、モスラがイチゴクレープを差し出してくる。

 

「一口食べます?」

「お、悪いな」

 

 ゴジラは一口で魚クレープを食い尽くすと口直しにモスラから差し出されたイチゴクレープをパクリと食べる。甘酸っぱいイチゴの味とクリームの濃厚な味が口の中に広がる。

 

「ん、美味いな……」

「でしょう?」

 

 と、モスラは残りを食べようとして固まる。チラリとゴジラが唇に付いたクリームを舐め取っている唇を見る。そして食い掛けのクレープを見て顔を赤くする。

 

「………………」

「ん?くれんの?」

 

 そのクレープを無言でゴジラに差し出す。

 

「………………おい」

「ん?」

 

 そんなモスラを見てバトラはゴジラの腕を引っ掴み引っ張る。 

 

「モスラ、ちょっとコイツ借りるな……」

「え?」

「お、おい何だよ………」

 

 

 

 

「彼奴に何しやがった……」

 

 ゴジラを壁に押し付け腕で喉を押さえたバトラはゴジラを睨み付けながら尋ねる。

 

「明らかに彼奴の様子が可笑しい。お前、何した!」

「…………実はこの前の暴走の時、どうやらキスしたらしい」

「…………は?キス?」

 

 ゴジラの発言にバトラはポカンと目を見開き、詳しく訪ねてきたので詳しく説明してやると頭を抱えた。

 

「いやいやキスって……彼奴いろんな記憶統合してるから精神年齢万超えてるだろ……いや、そもそもキスに関する知識手に入れたのは最近だけど……」

「けどあん時は気にした様子も無かったんだがな……」

「そんなに意識する事か?アタシにゃさっぱだ…………よし、ちょっと実践してみよう」

「は?おい待て、最近前世との記憶が一体化してきたとはいえ俺は人間よりの思考だぞ。んな事出来るか……────ッ!?」

 

 と、ゴジラは突然バトラを抱き寄せるとその場から跳んで離れる。

 

「お、おい!?いきなり何しやがる!」

 

 バトラが抗議してゴジラを跳ね除けるが先程まで自分達が居た場所が溶け崩れたのを見て目を見開く。

 そこには短いツインテールの幼女が居た。髪質が硬いのか単純に垂れず膨らみ、シルエットを見れば蝙蝠の羽のようにも見える。

 胸元には黄色い装甲、着ている物は赤いドレス。腰当たりには二本の先端が棘となっている副腕が生えている。

 

「ッチ!よりによって彼奴か!」

「知り合いか?前世の……」

「ああ!だが小さい、転生したてか或いは……」

「分裂体、か?」

「!?」

 

 ガブリとゴジラの背後から何者かが噛みついてくる。その傷口からエネルギーと細胞を取られる。

 

「この!」

 

 直ぐ様バトラがそいつに向かって攻撃するが躱される。

 ゴジラに噛み付いたのは先程の幼女を中学生ぐらいに成長させたかのような少女。幼女が少女に飛び付き溶けるように消えると高校生ぐらいに成長し、翼と角と先端がハサミのようになっている尾が生える。

 

「久しいな、我を覚えているか?」

「誰かと思えばいっつも群れてるデストロイアか……何だ、群れるのが好きすぎて到頭一つになったか?あの時と同じだな」

 

 ゴジラは傷口を押さえながら挑発する。が、不味い。重要神経の一部を溶かされた。今は何とか再生能力で補っているが残ったデストロイアの扱うオキシジェン・デストロイヤーに溶かされ続けている。

 

「つー訳でバトラ、悪いが救援よろしく頼む!」

「きゃあ!?」

 

 ゴジラはバトラをぶん投げる。バトラらしからぬ可愛らしい悲鳴が聞こえた気がしたが今は無視してデストロイアを睨む。あくまで標的はゴジラだけなのか飛んでいったバトラには目も向けない。

 

「止めねーのか?」

「救援が来る前に片を付ければ良いだけであろう?」

「は!嘗めてくれるな!」

 

 ゴジラは体内に残るオキシジェン・デストロイヤーを超える速度で再生を始める。が──

 

「────!?」

 

 唐突に再生能力に割いていたエネルギーが激減する。すぐさまオキシジェン・デストロイヤーが肉ごと神経を溶かし始める。

 

「な、此奴等は…………!」

 

 ゴジラは背中や身体に張り付いているトンボと、青と黒の小さな海星の様なモノを見て目を見開く。

 

「そう。お前のエネルギーや放射能を餌にする奴等だ。懐かしいだろ?」

「おっひさー♪」

「…………食料」

 

 そう言って空から現れたのは大きな翼と針が付いた蜻蛉を思わせる尾を持った少女と、虫を思わせる兜を被りマフラーが翼になった鎧を着て鉄製のブーツを履いた少女。長い青髪の先端が鎌のように湾曲した針になっている。

 

「メガギラスにシノムラか…………仲良く揃って復讐にでも来たか?ぐ!」

 

 到頭立てないほどに神経が溶かされ倒れたゴジラの頭を踏み付ける。

 

「勘違いするな殺すつもりはない。この世界で、この社会で生きるのに力を振るい続けては何かと面倒だからな。しかし、だ。丁度良い進化素材が目の前にある。ならそれを確保しようと言う話しになってな……」

「最悪の想像が現実になったわけか…………フラグなんて建てるもんじゃねーな……」

「ははは。我等のような美少女達の餌になれるのだぞ?世間一般ではあれだ…………えっと……」

「『我々の業界ではご褒美です』?」

 

 デストロイアが言葉に詰まっているとメガギラスが応える。

 

「そうそれだ。そう言うんだろ?良かったではないか、褒美だ。まあどうしても嫌というなら、お前の子で────」

「おい」

「───!?」

 

 ガシリとゴジラの腕がデストロイアの足を掴む。

 

「!?」

「あちち…………」

 

 背中に張り付いていた蜻蛉が焼け、海星の様なシノムラの細胞達は慌てて離れるが幾つかは焼け死んだ。

 

「彼奴にまた手ぇ出して見ろ。骨一つ、細胞一つ残さず焼き尽くすぞ」

「ぐ!?」

 

 ジュウ!と音を立てデストロイアの足の装甲が溶ける。

 

「は、離せ!」

 

 直ぐ様分裂体を作りゴジラの全身に噛み付かせ体内にオキシジェン・デストロイヤーを流し込む。熱に強いはずのデストロイアの分裂体は全て火傷を負っていた。

 

「終わった?所で飛んでったの逃がしちゃって良かったの?」

「取り返しに来るかもよ?ボクらはこの中じゃ特殊な能力も持たないし、戦闘になったら君達に任せきりになると思うけど……」

 

 と、両端を伸ばしその先端が鍵爪のようになったマフラーをして、頭の両端に赤い線のようなメッシュを入れた大きさと髪の長さ以外瓜二つな少女達が現れる。

 

「終わった。さっさと連れて帰るぞ…………」

「…………ご馳走」

 

 と、シノムラは涎を垂らしながらゴジラを抱え上げる。その際自分だけキッチリエネルギーを搾取していた。

 

 

 

 

 

 

「カハハ!情けねーなアニキは……」

「そう言うもんじゃないよ。相性が悪いもん……」

 

 少し離れたビルの屋上で、ゴジラの変身姿とよく似た格好の少女が鋭い歯を剥き出しに笑う。違いが有るとするなら肩に付いた結晶だろう。ゴジラのやられる様を見てゲラゲラ笑いまくっていた。

 大きな帽子を被った少女が諫めるが笑うのを止める気は無さそうだ。

 

「で、どうするよ?オレは別にアニキと争いに来た訳じゃねーがお前は?」

「嘗ての姿とは違うとは言え理性を取り戻せた時点で恨み言は無いよ。むしろ、現在これだけの力を手に出来るのは兄様のお陰だし……」

「助けるか?」

「…………様子見。最後のあれ、気になるし」




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