ゴジラは休暇を使い品川に来ていた。
ゴジラの背にはシン・ゴジラが引っ付き頭に顎を乗せる様に負ぶさっていた。
「さて、シン」
「う?」
「お前は俺の細胞その物から分かれたもう一人の俺。そして彼奴も恐らく……つー訳で、探すのを手伝ってくれ」
「ん!」
ゴジラが目を閉じ、シン・ゴジラもゴジラに首を回していた腕に力を込めより密着する。
同様に目を閉じ、ゴジラの心音、体温、呼吸を感じ意識を合わせていく。
感覚が広がっていき、遠くで似た感覚を掴む。
「……ん」
「見付けたか?細胞その物のお前の方が、やっぱりこう言うのには鋭敏だな。どっちだ?」
「あ……っち……」
銀髪の女性が海沿いのベンチに座り海を眺める。時折吹く潮風に靡く髪を押さえる様は中々絵になる。
しかし女性が持つ独特な雰囲気、どこか浮き世離れした雰囲気が人を寄せ付けずナンパ目的で話し掛ける者は居ない。そんな女性に、しかし近付く者が居た。
「久し振り、で良いのか?」
「……この前会ったろ?まあ、話してはいないか……久し振りだな、ゴジラ」
女性は振り返り笑みを浮かべる。シン・ゴジラはゴジラと女性を交互に見詰め首を傾げ、女性に近付きペタペタ触れる。
「ふふ。くすぐったいな…………」
「おあえ……なに?イんと、パパ……おええたんと、にてる」
「可愛いなぁこの子」
「!?う~~!」
と、唐突に女性はシン・ゴジラを抱き締め頭を撫で回す。先程まで凛とした表情は破顔しにやけきっている。ゴジラが呆れた様に視線を向けると何を勘違いしたのか片手を広げる。
「…………さぁ!」
「何がさぁ、だ何が」
「撫でてやろう抱き締めてやろう甘えさせてやろう。さあ、だから私に寄って来い」
「え、いや……良いよ別に」
「…………え」
ゴジラの言葉に絶望した様な表情を浮かべる女性。ゴジラはその表情にぐっと言葉を詰まらせ溜め息を吐きながら女性に近付くと女性は満面の笑みでゴジラも抱き締め二人の頭に頬擦りする。
「うー!」
そしてしつこさに嫌気が差したのかシン・ゴジラが女性の拘束を振り解き距離を取る。
「がるるるるる!」
「俺もそろそろ離せ」
「あ……」
ゴジラも同様に女性の拘束から逃れると海に面した手摺の上に腰を掛ける。
「で、一つ聞きたいが、お前は俺としての…………人間に溶かされたゴジラとしての記憶は有るのか?」
「…………その言い方だとお前も有るようだな。ああ、確かに私にはゴジラとしての記憶、そして人間の生み出した3式機龍としての記憶が有る。まあ、そもそもどちらも私だがな。そうでなければおまえを人間から救おうなどとしない」
確かにあの時はモスラに簀巻きにされ動けなかったが、別にその後人間が何をしようと殺されるとは思っていない。確かに3式機龍の攻撃はゴジラにダメージを与えるが、致命傷になるのはあの冷凍攻撃だけだ。
救われたとは思っていない。が、彼女が救おうと思っていたのは本心なのだろう。
「はん。人間に懐柔されてた鉄屑が俺を救おうなんて皮肉な話だな」
「懐柔、か……否定はしない。彼女の気持ちは分からないでもなかったし、彼には世話になっていた。人間を憎んだのも私だが、人間に触れていたのもまた私だ」
「………………」
「それに今は、お前だって人に触れているのだろ?」
「まあな……」
ゴジラの言葉に女性はニコリと微笑むと立ち上がる。
「さて。ではそろそろ行こうじゃないか。GIRLSだったか?私もそこに入る……私の事はこれから3式機龍と呼ぶと良い。何ならお姉ちゃんでも良いんだぞ?」
「さっさと行くぞ機龍」
「むぅ……お姉ちゃんで良いのに。まあ、仕方ない。向こうで妹達に期待しよう」
「また新しい家族ですか。今度はお姉さん……」
「まあ正確には同族の年上。家族ではないがな……いや、ある意味俺自身とも言えるが」
「…………?それで、そのサンちゃんはどこに?」
「さあおいで妹達。お姉ちゃんが可愛がってやろう」
と、3式機龍はビオランテ、スペースゴジラ、オルガの前で両手を広げ満面の笑みを浮かべる。三人はそんな機龍にどう反応したものかと迷っていると、リトルがやってきた。
「あれ、パ……パ?ママ?」
「ああ、お前はリトルだったな。さあおいで、伯母さんが抱き締めてやろう」
リトルは3式機龍を見て戸惑っていると3式機龍に抱き締められ撫で回される。一頻り堪能した3式機龍はグリンとビオランテ達を向く。
「…………一抜け!」
「ま、待て!俺も!」
「置いてかないで!」
「…………何やってんだ?」
「堪能した」
ゴジラが迎えに行くとぐったりした妹三人と娘、やけに艶々した姉が居た。
「取り敢えず受け入れるとよ。これからよろしくな機龍」
「ああ、よろしく頼む」
ゴジラの言葉に3式機龍を笑顔で応えた。
「ああ、それと。この前の礼がまだだったな……助かった」
「構わんさ。可愛い弟と姪の為だからな」
「…………そうか」
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