ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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衝撃!怪獣王!?

 銀髪の女、何処と無く見た事が有る。

 そして思い出す。名乗っていた名前と前世の記憶が完全に一致した。

 

「ジェットジャガーか、うん……彼奴か」

 

 共闘を誘われ共に戦った記憶が有る。確か液体窒素を口から吐く機能が有ると言っておきながら使わなかった奴だ。

 まあ一対一なら使う必要がないほど強い、と言うのもあったが。後、初めて会った時は人間並みのサイズだったのに何時の間にか巨大化してた奴でもある。

 後もう1人は、本来来るはずの遅刻者だろうか?

 

「もう、何時も何時も遅いデス」

「主役は遅れて来る?みたいな、ね♪」

「え、えぇ……」

 

 ガッツ星人と名乗った女性の言葉に流石のアギラも若干呆れていた。ゴジラはと言えば遅刻したくせにまず謝罪もなしかこの女、と指をゴキバキ鳴らしていた。

 

「そういう問題じゃなくて、働き過ぎなだけじゃ………」

「うあああ!じゃぐじゃあぁぁ!」

「──って、それどころじゃないねー」

 

 キングジョーが文句を言おうとするが男が奇声を発する。ゴジラに投げ飛ばされたというのに元気な奴だ。

 

「うん。さて、さてさて、さてさてさて早めに解決?で行きましょうか。行くよ、ジェットジャガー!」

「OK!」

 

 ガッツ星人とジェットジャガーが拳をぶつけ合うと同時に男が駆ける。

 

「うおお!」

「おっと」

「ほい」

 

 それをガッツ星人はテレポートで、ジェットジャガーは普通に避ける。

 

「黙れ!黙れぇぇぇぇ!」

「さっきから彼奴は何言ってんだ?どっか別の世界の奴と交信でもしてるのか?」

 

 ゴジラは叫び声をあげる男に引きながら、まあこのまま任せるかと傍観を決め込む事にした。

 

「あれは、何かに取り憑かれてるわね」

「うお、びっくりした。未希?何でここに…………」

 

 不意に聞こえた声に振り返るとそこには未希がいた。今日は私服なのか、灰色のパーカーを着て髪をリボンで纏めている。

 

「バイトの帰り。変な気配……と言うのか、思念?を感じて……あの男の人はそれに憑かれてる……」

 

 未希の言葉にゴジラは男の体に纏わり付いた黒い靄を見詰める。アレがその思念とやらの正体だろうか?

 思念……そういえば何時だったか、未希の力が流れ込んできて一時的に身体が動かなくなった時に未希の記憶を覗いた事が有った。そこではゴジラを操ろうと考える男に未希が襲われた記憶が有ったが……それと似た様な事を人間相手に行っている奴が居るのだろうか?

 ユラリとゴジラの右腕から黒い靄が立ち上りゆっくり移動する。

 

「ゴジラ?」

「ん?何だ……」

「あれ、気のせいかな?」

 

 しかしその靄は未希が話し掛けるとあっさり霧散した。誰に気付かれる事なく。

 

「はぁ!」

「目が!目がぁぁぁ!」

 

 と、ジェットジャガーが行った強烈な目潰しに目を押さえのた打つ男。ガッツ星人が両手を光らせるが、不意に何かに気付くいた様に呟くと指先だけ光らせ放つ。

 

「ぎゃああああ!」

 

 男はそのままパタリと倒れ黒い靄が消えていく。と、同時に未希が片手を伸ばす。靄がまるで何か感じ取れない風に煽られたかの様に不自然に揺らめき、未希がじっとりと汗をかく。しかし、数秒その場に留まっていたが靄は消えてしまった。

 

「ごめんゴジラ、逃がしちゃったみたい」

「そうか、あまり無理するなよ」

 

 恐らくあの靄を捕まえようとしたのだろう。が、別段責める気はない。男を見るとキングジョーが男に歩み寄っていた。

 

「あ、あれ……俺は、何故」

「大丈夫ですか?」

「……あえ?」

 

 男は手を差し伸べてきたキングジョーを見て赤くなりだらしなくニヤけるその手を掴み立ち上がり、簡単な事情説明を受けた後去っていった。

 

 

 

「で、久し振りだなジェットジャガー」

「久し振り!ゴジラも来てたんだね、私1人かと思っちゃってたよ!」

 

 ゴジラの手を掴みブンブン上下に振ってくるジェットジャガー。前世でも握手はしたが今回はかなり激しい。

 

「つか、お前何時の間にGIRLSの職員と知り合ってたんだ?そんな報告受けてないぞ」

「ううん。さっき知り合った」

「目と目が合って気が合った」

「「ねー♪」」

 

 どうやらジェットジャガーとガッツ星人は波長が合うようだ。会ったばかりとは思えない気安さを感じる。

 

「それにしても危機一髪でしたね。ゴジラさん、格好良かったデスよ」

「それに比べてボク、あまり役に立てずにすいません」

 

 と、ションボリ落ち込むアギラ。

 

「何言ってんだ。真っ先に飛び出したのはお前だろ?だから俺達も直ぐ対応出来た」

「そう言ってもらえると、嬉しい……」

「そそ、十分十分……」

「で、ガッツ星人だったか?遅刻した事に関する言い訳は有るのか?」

「う、そういうこと言っちゃう……?」

 

 ゴジラの顔に決まりが悪そうな顔をするガッツ星人。一応罪悪感は有るらしい。

 

「あのー、ところでさっきのって?」

 

 慌てるガッツ星人を可哀想に思ったのか、アギラが話を逸らす。とはいえそれはゴジラも気になっていた事だ。

 

「シャドウミストだね」

「シャドウミスト?それがあの思念の正体?」

「思念?言い得て妙だね。そう、あれは弱った心の透き間に取り付く精神だけのシャドウ……」

「人を凶暴化させるとってもこわーいシャドウなのデスよ」

「……怪獣娘の暴走、みたいな?」

 

 アギラはチラリとゴジラを見る。ゴジラが暴走した時の事でも思い出したのだろう。

 

「ちょっと違うけど、凶暴になって襲ってくるのは同じだね」

「シャドウミストは私みたいなファンと接する怪獣娘にはとっても迷惑なのヨ」

「一般の人だもんねー。ちょっと強くなってるけど人間の火事場の馬鹿力の域を出ないし」

 

 だからあの時両手から指先だけに変えていたのか。手加減する為に。

 そう考えるとゴジラにとっては厄介な相手かもしれない。

 

「人の体を乗っ取るという事は力任せに倒すだけじゃない戦い方が必要になってきますネー」

「おジョーはちょっと難しいよねー。だって、力任せにするしか能がない──」

「んー?ガッツ~?」

「あ、いや何にも言ってないよ~。ホント、ホントに……怒っちゃだめだめー!」

 

 はぁ、と頬に手を当てたキングジョーにガッツ星人がからかう様に言うとキングジョーが拳を握り締めた。

 

「……ん?」

 

 と、不意にキングジョーは吹き出るオーラを収めゴジラ達の背後を見る。するとそこからシャドウが現れた。

 

「むがー!」

 

 そのシャドウにキングジョーがボディプレスをかますとステージがひび割れ衝撃でアギラ達が浮いた。

 

「……ね」

「うんうん」

「ジェットジャガーみたいな戦闘スタイルって事か」

「飛び火した!?」


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