所変わり、ガッツ星人とゴジラ達はファミレスに移動していた。
「奢ってもらって悪いなガッツ星人」
「ジェットジャガーさんもありがとうございます」
因みに二人の奢りだ。
「そんな丁寧にならなくていいよ。私の事もガッツで良いから」
「私はジェットジャガーだから……ジャガーで良いよ」
「……ガッツにジャガー…………女の子らしくないね」
「「それは言わないで」」
アギラの歯に着せぬ物言いにガクリと落ち込む二人。自覚は有るらしい。ゴジラは頼んでいたフルーツパフェを食いながら一つ質問をする事にした。
「そういえばさっきキングジョーが働き過ぎとか言ってたが、実際どうなんだ?」
「ん?……んー、おジョーのあれは少し言い過ぎかな~。私は寝付きも良いしね。ベッドに入ったら直ぐ寝れるもん」
「それ寝不足の奴がなる典型例だぞ」
「……ほえ?」
ガッツはゴジラの言葉にポカンと口を半開きにして固まった。
「ん?いや、だから直ぐに寝付くのは寝不足……体が疲れてる証拠だ。睡眠時間が足りてても、深い眠りに就けてないんだろ。疲れてると逆に寝れないらしいしな」
「そ、そうなの……?いや、でも……その…………」
「あまり無理はするなよ?お前が倒れたら元も子もない。少しは周りを頼れ、溜め込むと何時か抱えきれなくなるぞ」
「……ゴジラ」
「まあその時は俺も支えてやるが、出来ればその前に頼む。そっちの方が楽だからな」
ゴジラがそう言って笑うとガッツも微笑む。
「ありがと。私、頑張り過ぎる?所有るからさ、そういう時、頼らせてもらうよ。あ、代わりにゴジラが困った時は私が助けてあげる」
「おう、その時は頼むな……」
「……………………」
アギラはお互い笑顔を浮かべ合うゴジラとガッツを交互に見る。何と無く、嫌な感じがした。これは何だろうか?
「にしてもあのシャドウミスト?だっけ……凄くやな感じがしたわ」
と、未希がシャドウミストを思い出したのか顔をしかめる。
「人の心に取り憑くような奴だしな、良い物ではないだろう」
「それはそうだけど…………っ!この感じ、また来た!」
「そうか……」
未希の言葉にゴジラは立ち上がると店から出て行く。数秒後、外で爆音が聞こえた。
「ゴジラ!?」
「終わったぞ」
アギラ達が慌てて出るとゴジラがシャドウを握り、或いは踏み潰していた。
「新しい怪獣娘さんですか」
「ああ。何かもうガッツと仲良くなってた。それと、未希も入れられないか?」
「ミキミキですか?」
ピグモンはゴジラの言葉に首を傾げる。未希は怪獣娘ではない。そこは別に問題ないのだが、理由が分からない。GIRLSの一般の職員は大歓迎ではあるのだが…………。
「未希はシャドウの気配を感じ取れる。これは有用だと思うぞ」
「……そうなんですか?」
「はい。何と無く、ですけど」
「……………」
ピグモンは顎に手を当てうむむ、と唸る。
シャドウの気配を感じ取れる人員は喉から手が出るほど欲しいが、それはつまり精神を乗っ取るシャドウミストに対して反応し易いと言う事ではないだろうか?
「ピグモンさん、私は……この力を役立たせる事が出来るなら使いたい。前世みたいに……」
「ミキミキ……解りました。本来怪獣娘さんではない方には試験を受けてもらう必要があるのですが、シャドウ退治に貢献出来るなら特別処置として認めます」
「ありがとな、ピグモン」
「ありがたいと思っているならそうですね……今度美味しいスイーツのお店で美味しいスイーツを奢ってくださいね。皆さんには内緒ですよ?賄賂はいけない事ですからね~」
「ん?おお、わかった……」
「うまく二人だけの誘いをしましたね」
ゴジラが先に帰り、必要な書類に記入していた未希が不意にピグモンにそんな事を言う。ピグモンはしかし慌てる事なくニコニコ笑っていた。
「ゴジゴジはライバルが多いですからね~」
「あー、確かにモテそう」
「ミキミキはそういうの、興味ないですか?」
「うーん、私は前世で人間だったから……恋愛経験もありますしね~」
未希はそう言って年に似合わぬ大人びた笑みを浮かべたのだった。
夜、シン・ゴジラとリトルは目を覚ます。
抱き付いていた温もりが消えた。見ると普段共に寝ているゴジラが上半身を起こしていた。
「………………」
ゴジラの目はとても冷たいモノだった。シン・ゴジラは戸惑い、リトルは既視感を覚える。
会ったばかりのゴジラがしてた目だ。ゴジラにそっくりな、スペースゴジラがリトルを虐めていた時にしていた目だ。
「パパ……?」
「…………ん?」
リトルの言葉にゴジラは目を何時もの物に戻りリトルを見る。
「どうした、怖い夢でも見たか?」
ゴジラはそう言ってリトルの頭を撫でた。
深い深い森の中で一人の男が木に縄を結び輪っかを作っていた。いざ首を通そうとして、不意に視線を感じ止まる。
「………………」
振り向くとそこには少女が居た。木からヒョッコリと顔を覗かせた灰色の髪の眉毛が太い垂れ目の少女。
「……!?」
少女は男の視線に気付くと慌てて隠れた。が、直ぐにまた覗いてくる。
「君、何でこんな所に?」
「…………住んでる」
「ここに?ここ、富士の樹海だけど…………」
「うん。あなた達みたいの頻繁に来て迷惑。埋めるの大変……」
ジト、と責める様に男を睨む少女。住んでる?ここに?
しかもどうやら死体を埋めているらしい。
「命は一つ。なのにどうして無駄にするの?」
「……会社、クビになっちゃってね…………妻には逃げられるし、娘も養ってやれない」
「娘はきっとおとーさんと居たいと思う…………」
「…………そんな事、ないよ……」
男はそう言って笑う。人と話して少しだけ冷静になれた。しかし、冷静になった所で現状が変わるわけでもない。
「後、そこ危ない」
「へ?」
次の瞬間地面が崩れ突如開いた穴に男は落ちていった。
「いてて……ん?」
穴は結構広い空間に繋がっていたらしい。目が慣れてくるとまた人影を見付けた。
先程の少女より年上の別の少女だ。緑の長い髪を伸ばし、この時代には珍しい煙管を加えていた。
「…………何だお主」
「────ッ!?」
ゾグリと全身の細胞が縮みあがる。あれは、駄目だ。人が目にして良い存在ではない。男は振り返り必死に穴を上り走り去った。
代わりに先程の少女が入ってくる。
「……倒したの?」
「ああ、ここに住んでいた奇妙な奴らは残らず消してやった。で、さきの男は誰だ?」
「また自殺志願者」
「カカ!またか、相も変わらず物好きなものだ。何故こうも命を大事にしない奴らが霊長の長など気取れるのか……」
緑髪の少女はそう言って笑うと不意に虚空を見つめる。そこから黒い靄が発生し襲い掛かってきた、が……
「下らん。失せろ……」
『────っ!!?』
少女の呟き一つであっさり消え去った。
「最近多いね」
「ああ……何なのだ此奴等は…………情報が足りん、人の街に行くぞ」
「ホント!?わぁい!久し振りの街だー!」
緑髪の少女の言葉に灰髪の少女は嬉しそうにピョンピョン跳ねたのだった。