ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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特訓?怪獣王!?

 ゴジラは夜中、目を覚ます。最近どうも寝付きが悪い。

 まだ海底に住んでいた頃、突如光によって仲間が焼かれる瞬間の夢を見たり、雑食性の恐竜として島に住んでいると人間がやって来て攻撃された挙げ句やはり光で焼かれる。

 様々な武器で攻撃されたりゴジラァァァァ!と叫ぶ男を殺したり。

 兎に角、悪夢で目が覚める。

 

「……あ」

「ん、ゼットン?」

 

 リトルとシン・ゴジラを起こさないようにベッドから出て歩いていると何やら書類を整理しているゼットンが居た。

 

「何やってんだ?」

「訓練メニュー作り。頼まれた……」

「…………ふーん、俺も手伝おうか?」

「良いの?」

「眠れなくて暇だしな」

「ありがとう」

 

 

 

 

 次の日。怪獣娘達はピグモンに呼ばれ、ある一室に集まっていた。

 

「と言い訳で、シャドウミストと共にシャドウも活発化すると思われます。皆さんも特訓しましょう」

「でも、弱いんですよね。別に必要ないんじゃ……」

 

 ピグモンの言葉にウィンダムが遠慮がちに言うとピグモンが懐からソウルライザーを取り出す。

 

「ソウルライド、ピグモン」

 

 変身し、そして布に包まれた何かを置く。布を取ると大量のトレーニング器具が現れた。

 

「変身した上にピグモンさん容赦ない!?」

 

 

 

 

「皆~、頑張ってくださいね~」

 

 ピグモンは旗を振り皆を応援する。しかしここは何処だろうか?何で都心から数分で広野に辿り着くのだろう?

 

「本当にコレ、キツいんだけど」

 

 と、頭に重りを乗せ両手にダンベルを持ったレッドキング。

 

「誰がこのカリキュラム考えたの~?」

 

 尻尾にダンベルを付け片手で逆立ちして片手で扇子を開きその上に水の入ったコップを置いてバランスを取るゴモラがボヤく。

 

「フン、フン…………ん?」

「…………ぷい」

 

 角にバーベルを引っ掛け腕立て伏せするエレキングが重りを引き摺りながら走るゼットン見ると顔を逸らされた。

 

「お前かー!」

「楽だと、特訓に、ならない…………それと、ゴジラも手伝ってくれた」

 

 ゼットンの言葉にゴジラを見ると尻尾一本で体を支えて重量挙げをしていた。

 

「ゴジラ尻尾強いね~」

「俺は尻尾一本で体を浮かせて移動出来る。昔それでドロップキック擬きを食らわせた」

「あー、懐かしいね」

 

 ゴジラの言葉に足を引っ掛け逆さまで腹筋するジェットジャガーが懐かしそうに頷く。

 

「でもさ~、あの子達はちょーっと可哀想じゃない?」

 

 ゴモラが見るとベルトコンベアーの上で必死に走っていた。その後ろには棘が…………。

 

「つらいー」

「アギさん、大丈夫ですか?」

「ウィンちゃん、こそ……」

「キツです~、先輩キツい~…………あ~、キツいな~♪」

 

 必死に走るミクラス、アギラ、ウィンダム。ザンドリアスだけはよく見ると浮いていた。そのザンドリアスの眼前を一筋の光線が通過する。

 

「…………」

「グルルル」

「今シンの前で如何様すると狙い撃ちされるぞ……」

 

 シン・ゴジラはゴジラが生み出したセルヴァムを光線で撃ち落としていた。

 

「ちなみにお前はまだましだぞ?キングシーサーとカマキラスは、モスラと模擬戦だしデストロイアとかはバトルロワイヤルだし…」

 

 遠くの方では戦闘音が聞こえてきた。模擬戦というのは本当なのだろう。

 

「……ん?」

 

 と、不意にゴジラは先程持ち上げていた岩を置き溜め息を吐いているガッツを見付けた。

 

「どうしたガッツ……」

「ん?あ、ゴジラ……」

「楽だと特訓にはならないが身体を壊したら元も子もない、キツ過ぎたら言ってくれ」

「や、大丈夫大丈夫……」

「……そうか?顔色悪いが……」

 

 と、ガッツの額に手を当てるゴジラ。熱は無い様だ。

 

「……ゴジラってさ、私のこと異性として見てる?」

「ん?そりゃガッツは女だろ?」

「…………んー…………ま、暖かくて気持ちいいからもう少し」

 

 

 

 

 

「じーっとしてられないんだから~」

 

 ピグモンはエレキングと通信しながら彼女の行動の早さに呆れる。

 

「どーにもならない、しね……」

「で、何か解った?」

「シャドウミストは、あくまで副産物。奴らを生み出す、何かが居るみたい」

「シャドウや、シャドウビーストよりも?」

「ええ、強い存在……」

 

 エレキングの言葉にピグモンはゴクリと唾を飲む。

 

「後輩ちゃん達のフォローを徹底します」

「お願いね」

 

 

 

 

 ゴジラは街の中を一人歩く。

 中二的な言い方だが右腕が疼いていた。

 

「こっちか……」

 

 ゴジラは壁を蹴り建物の屋上に向かう。

 

「…………」

「ッ!?チィ!」

 

 屋上に着いた瞬間ビームが飛んできた。咄嗟に弾くゴジラ。空中でバランスを崩したが指の力で屋上の縁を掴むと腕の力で屋上に乗り出た。

 

「……ガッツ?」

「…………」

 

 そこに居たのはガッツだった。無表情でゴジラを睨み、光線を放ってくる。

 

「嘗めんな!」

 

 しかし、ゴジラはその光線を片手で弾くと床を蹴りガッツに迫る。

 

「……?ガッツ、じゃねぇなお前……誰だ?」

「………………っ!」

 

 ガッツと良く似た少女の首を掴み尋問するゴジラ。

 

「……!?」

 

 取り敢えず一度気絶させようかと考えた瞬間ゴジラの右腕から黒いオーラが吹き出し絡み付く。

 反射的に腕を振るうと少女が屋上から宙に投げ出された。

 

「しまっ──くそ!手を伸ばせ!」

 

 ゴジラは直ぐ様飛び出て腕を伸ばす。が、少女の姿が消える。

 

「うわ!?吃驚した!」

 

 地面に着地するとミクラスの声が聞こえてきた。見るとゴモラとアギラ達が居た。

 

「どうしたのゴジラ…………ゴジラ?」

 

 アギラはゴジラに近付こうとするがゴジラは右腕から感じる不快感に蹲っていた。

 

「ゴジラ、大丈夫……?」

「っ……ああ、もう大丈夫だ」

 

 漸く不快感が消え立ち上がるゴジラ。

 

「ゴジラ、何か……あったの?」

「…………いや」

 

 ゴジラは立ち上がり去ろうとするがアギラがゴジラの服の裾を掴む。

 

「…………アギラ?」

「ゴジラ、ボク達……そんなに頼りにならない?ちゃんと話してよ……」

「…………」

 

 どうやらアギラには何か隠し事をしているのがバレたらしい。

 

「……頼りないなんて思ってない」

「なら……」

「ちょーっと面倒な事でな。相談し難いんだ、見間違いだと困るし……何より証言だけで証拠がない」

「それ……誰の為?」

「お前の為でもあるよ、友達の事だからな」

 

 と、アギラの頭を優しく撫でる。

 

「……ちゃんと、落ち着いたら話してよ」

「ああ、その時は頼らせてくれ」

「…………うん」


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