「平和だな……」
ゴジラはバイトの帰りにふと、空を見上げ呟く。
ここにはシャドウが出ない。犯罪者も早々に遭遇したりしない。しなかった、昨日までは……
『我々はX星人とM宇宙ハンター星雲人。諸君等の子供は預かった。大人しく我等の地球侵略の駒となるが良い』
そう言ってモニターに映された映像は仲良く遊ぶ子供怪獣達。その中央には見るからに怪しいオブジェが存在してカチカチ針を回している。
画面が切り替わり変なサングラスを付けた全身タイツに加え頭からアンテナの様な物を生やした変人とデカいゴキブリが映る。
『繰り返す。我等の地球侵略のこ────』
テレビの中央に椅子の足が突き刺さりブツリと映像がと途切れる。
「……さて」
ゴジラは立ち上がり指をゴキゴキ鳴らす。
「取り敢えず……」
今日、マガオロチ繋がりでゴジラと知り合ったキングオブモンスは首をゴキリと鳴らす。
「打ちのめすか」
マガオロチは肩をグルグル回した。
「何言ってんだマガオロチ、打ちのめす訳無いだろ」
「ん?」
「打ち殺すんだよ」
「ああ、そうだったな……」
さて、何故こんな事になっているか、それは今日の朝に遡る。
「世界子供ランド?」
「ああ、この辺りに出来たアミューズメントパークだ。行ってみないか?」
キングオブモンスが九時頃に突然マガオロチの下にやって来た。要件はそのアミューズメントパークへの誘いだった。
「ジャッパやオロチが丁度良い年齢だろ?友人を誘えば少し安くなるみたいでな」
「うーん……あ、じゃあ私も一人誘って良いですか?」
「構わないけど、誰かママ友が居るのか?」
と、キングオブモンスが首を傾げた時、奥から寝癖を付けたゴジラがノッソノッソと欠伸をしながら現れた。
「……ん?客か?」
「……オロチ、お前何時の間に再婚を」
「違うっすよ!ほら、例の…………」
「ああ。お前が大切な球を見付けてくれた……キングオブモンスだ、改めて礼を言う」
「んあ?ああ…………」
とまあこんな感じで三人が知り合いジャッパとオロチ、リトルとシン・ゴジラ、バジリスとスキューラを連れて世界子供ランドに向かったのだ。
中央に有るゴジラタワーと言うのを見てゴジラはどこかで見た様な遊園だなと首を傾げている内に、何時の間にか子供達とはぐれた。
そして先程の映像だ。
「完璧な作戦だ。これは諸君等M宇宙ハンター星雲人の協力が有ってこそ」
「いやいや、君達の計算機が有って初めて上手く行った作戦だ」
作戦は簡単。何故か人の姿で存在している怪獣達の子供を遊びに来させ、特殊なテープで爆弾が置かれている迷子センターに閉じ込める。
後は親を脅し侵略作戦に乗り出させ、そのうちそれぞれを操るテープを作ればいい。
「今度こそ地球をこの手に…………おお、新しい計算結果が出た」
「我らの勝利が書かれているのでしょうな」
そういって紙を取る。そこに書かれていたのは『一分後に全滅』と言うものだ。
「「………は?」」
次の瞬間彼等が居たゴジラタワーの一階付近が丸ごと吹き飛び、ゴジラタワーが倒れる。
直ぐ様、脱出したX星人達。こんな時の為に上層部を宇宙船と一つにしていたのだ。が、ズズズン!と立て続けに三度揺れ天井を一本の腕が突き破る。
メキメキ音を立て穴を広げると現れたのは三人の怪獣。そのうち一体を見た彼等は目を見開く。
「そ、その尻尾……貴様、ゴジラか!?」
「あ?誰だてめぇら……生憎敵対した人間で覚えてんのは俺の名前を叫んできた奴だけだ」
現れたゴジラを見て彼等は焦る。ゴジラの適応能力は高い。それこそ最初は何とか操れても次第にG細胞が無効化する様になってしまう程に。
しかしここに来た理由は何だ?そう考え、はっとする……
「動くなゴジラ!少しでも妙な行動を取れば貴様等の子供達が…………!?」
と画面に迷子センターを映すと壁をガリガリ食べるオロチとスキューラ、オブジェ型
「…………」
「さて」
「早速」
「殺す」
「まあ色々有ったが楽しかったな。オロチ、お前中々良い男を見付けたな」
帰り道、キングオブモンスが笑みを浮かべながらオロチにそんな事を言う。
「い、いやだからそんなんじゃ……」
「そうか?なら私が貰って良いか?良い男だし子供にも優しいし、何より強い」
「や、そ……それは……」
「どうだろうゴジラ、良かったら私の家に来ないか?スキューラやバジリスも、お前の子供達と仲が良いようだし」
スルリとゴジラに腕を絡ませ家に誘うキングオブモンス。オロチはオロオロ成り行きを見守る。流石にキングオブモンスに文句を言うことは出来ない様だ。
「……いや、止めておく。彼処にはもう一人、娘が居るんでね」
「……そうか、先に見付けられなくて残念だ。しかし住みたくなったら何時でも言ってくれ」