ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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ははおや?怪獣蛾!?

 バトラが街の見回りに行き、夜のパトロールを終え少し寝過ぎたモスラが目を擦りながら起きる。

 

「ん~!ふぁ……そろそろお昼かぁ…………」

 

 太陽は既に高い所に有る。時計を見ると十時半。

 寝過ぎてしまった。しかし、何か熱いような……?

 基本的にモスラは涼しい格好で寝る。前世、火達磨になったり熱線で焼かれたりして熱いのに少し苦手意識が有るのだ。

 今はまだ冬。何が原因だろう?と、寝惚けた視界で部屋を見回すモスラは自分に引っ付く二つの影を見付けた。

 

 

 

 久し振りに一人で散策。ここ最近シャドウミストの対策で二人以上で組む事が多かった。

 まあゴジラの世界の怪獣達は僅かな例外を除き基本的に強いので単独でも問題ないと判断されたのだろう。

 くぁ、と欠伸をして尻尾をユラユラ揺らして歩くゴジラ。と、その時──

 

「いてぇ!?」

 

 尻尾の先に何かが噛み付いた。

 振り返る。何か小さな影が路地裏に逃げていった。犬にでも噛まれたか?

 

「……あの、ゴジラ」

「ん?モスラ、お前今日非番じゃなかったか?」

 

 犬を追おうか考えていると声が掛かる。振り返ると困った様な顔をしたモスラが居た。

 

「えっと……その、少し言い難いんですけど」

「…………?」

 

 路上で男女が話しているのは嫌でも目立つ。こういう不躾な視線は苦手だ。さっさと用件を言って欲しいと思ったゴジラだったが、次の瞬間責めて移動すれば良かったと後悔した。

 

「子供が出来たみたいなんです」

「「「「!?」」」」

 

 ざわ!?と周囲がざわめき、視線が更に集まる。

 ゴジラはゴジラでモスラから放たれた言葉に思考を停止していた。が、直ぐに復活する。

 

「……何故、それを俺に言う?」

「子供達が貴方に会いたがっているんです」

「何で……──っ!?」

 

 また尻尾に噛み付かれた。今度は逃がさぬと尻尾を持ち上げれる高さ限界に持ち上げ振り返るゴジラ。

 

「…………何だ此奴等…………」

 

 茶髪の双子らしき良く似た少女達がゴジラの尻尾の先端に噛み付いてぶら下がっていた。

 

「私の娘です」

「……そうか、で。何でお前の娘はさっきから俺の尻尾を噛みながら蹴ってくるんだ。地味に痛いんだが……」

「それが…………」

 

 モスラが発言に迷っていると少女達は尻尾から口を放し着地すると同時にゴジラの脛を蹴る。 

 

「んが!?」

 

 この痛み、人間の力ではない。怪獣娘だろうか?

 

「「ママ虐めんなDV夫」」

「はあ?」

「……ゴジラは刷り込みって知ってますか?」

「ん?まあ知ってるが……リトルとかもしばらく人間を親と思ってたしな。托卵性としては珍しいけど…………」

「托卵性なのに刷り込みが有るんですね……取り敢えず、私達は虫型の怪獣ですけど刷り込みが有るんです。役目を伝える必要が有りますから野生の虫と違って子育てしますから」

「ん?そうだったのか?」

 

 てっきり直ぐに戦いに挑んでくるから母親を理解する生態なのかと思っていたが。

 

「それで、この子達が前世で最初に見た大きな生物は……」

「…………俺、か?」

「……はい。ゴジラを父親、私を母親と認識していたみたいで……その、ゴジラは前世で私を…………」

「………………」

 

 ほぼ毎回子供の前で焼き殺してた記憶が有る。DV夫と言うのはそれが原因か。しかもさっきからゲシゲシゴジラの足を蹴ってくるのだが。

 

「つまり何か?此奴等の中で俺は毎回お前を殴る蹴る燃やす最低親父って事か?」

「まあ半分は事実ですし……」

「それは……そうだが…………ん?」

 

 と、何時の間にか周りに白い糸が飛んでいた。絡み付いてくるそれを一部体温を上げて焼き切っていく。

 糸の出所はモスラの子供達。

 

「………………」

「「………」」

 

 ゴジラと睨み合う双子。どうしてくれようか此奴等、とゴジラが怒気を込めるとモスラがハッと子供達の前に出る。

 

「や、やらせませんよ…………!」

「………………」

「「ママ虐めるな!」」

「………………」

 

 ゴジラははぁ、と溜め息を吐くとモスラの頭をワシャワシャ撫でる。

 

「……?」

「大人気なかった。此奴等は母親のお前を守ろうとしてただけだもんな…………俺だって親だし、子を守ろうとするお前の気持ち解る。悪かった……」

 

 そう言うと今度はモスラの子供達に視線を合わせる。

 

「おまえ達も、何時も何時も悪かったな……許せとは言わねー…………何てのは許して欲しい奴の言い訳だからはっきり言うぞ?もうしない、許してくれ」

「「………………」」

 

 ゴジラの言葉に双子は顔を見合わせる。

 

「「……許さない」」

「そか……」

「「()()許さない」」

「……ありがとな」

 

 

 

 

 

「所でお前、幼虫の時の記憶はどうなってんだ?」

 

 帰り道、両手にそれぞれ子供達の手を繋いで歩いているモスラにゴジラが不意に尋ねる。今までの会話から幼虫期の記憶は有ったはずだ。

 

「有りますよ、一応……」

「そうか…………んで、増えた原因は?昨日何か変わった事をしたのか?」

「特には……あ、何時もと違う事と言えばバレンタインのチョコの残りを食べた事でしょうか?」

「………………で、此奴等の名前どうする?」

 

 ゴジラは深く尋ねない事にした。話を逸らされた訳だが特に気にした様子もなくモスラは二人を見詰め首を傾げる。

 

「何にしましょう……」

「モスとラーで良いんじゃね?」

「「ちゃんと考えろダメ親父」」

「ダメ親父だぁ!?」

 

 

 

 

 

 その頃ピグモンははー、と重い溜息を吐いていた。

 

「どうした?」

「あ、ラドラド……丁度良い所に……」

「……?」

「実はリトルンの祖父母さん達が、リトルンを引き取りたいって言い出したんですよね。ゴジゴジ達は確かにリトルン達を育ててますけど養子縁組の許可を取っている訳でも無いし、血縁関係的にも…………けっこー面倒な事になりそうで」


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