ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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家族の絆?怪獣王!?(前編)

「「デュクシデュクシ!」」

「いい加減に鬱陶しいぞてめーら!」

 

 GIRLS本部への帰り道、モスラの娘達──名前はレオとミドリにした──に時折攻撃されるゴジラは流石に鬱陶しくなったのか叫ぶ。直ぐ様母親の後ろに隠れ舌を出してくるレオとミドリ。

 ゴジラが約束通りモスラに手を出さないのを上手く利用している。

 

「「べー!」」

「……なあモスラ、一発ぐらいは殴っても良いと思わねー?」

「駄目です」

「…………ッチ…………ん?」

 

 不意にゴジラはキョロキョロ辺りを見回す。

 視線が集まるのはまあ仕方ない事だが、今一瞬不快な敵意を感じた気がしたが、気のせいか?

 

 

 

「あ、ゴジゴジお帰りなさい……」

「ただい……ん?どうかしたのか?」

 

 GIRLSの本部に着くとピグモンが出迎えたが様子が可笑しい。何か有ったのだろうか?

 と、ピグモンが言葉に迷っていると隣のラドンが応える。

 

「実は、リトルの祖父母がリトルを引き取りたいと…………」

「…………あ?」

 

 ラドンの言葉に数秒呆けたゴジラは直ぐに眉間にしわを寄せ不快気な声を出す。リトルの両親はリトルを捨てた。その両親を育てた奴が?

 明らかに嫌悪感を放ち隠す気も無さそうなゴジラにピグモンがはぁ、と溜め息を吐く。こうなりそうだから黙っていたのに。

 

「孫娘を引き取りたいと願い出るジジババがそんなに嫌いか?」

「あん?」

 

 振り返るとそこには六十代程の老人が二人居た。爺と婆。爺の方はゴジラをジロリと睨んでおり、しかしゴジラが反応したのは隣の老婆。

 

「……あんた、さっき俺の事睨んでた奴だな。付けてたのか?」

「視線に敏感なんですね?後ろめたい事でも有るんですか?質問にははい、と応えましょう。貴方がその子供達を足蹴にする所から見ておりました。怖かったでしょう?貴女達」

「「コイツが怖いのは昔からだ」」

 

 とかゴジラの悪口を言いながらも老婆から隠れるようにゴジラの後ろに隠れる。そう言えばモスラは基本的に卵時代は人間の見せ物にされていた。苦手意識でも有るのかもしれない。

 

「「でも此奴は理不尽な程強くても、理不尽な怒りを向けない」」

「へ?」

「「同族(仲間)を殺された。その力を平然と利用して、破壊だけで見逃しても性懲りも無くまた同じ事をする。同族(仲間)の死を汚される。復讐の邪魔をされる。された方からしたら堪ったものではないかもしれないけど、それは此奴も同じ事。堪ったものではない事された。怒って当然。邪魔をすればそいつに怒りを向けるのも当然」」

 

 味方してくれるなど思っていなかったが予想外のミドリとレオの言葉にゴジラもモスラも呆ける。

 された方には堪ったものじゃない、と言うのは自分達からゴジラに向けての言葉でもあるのだろうが。

 

「で、でも暴力はやりすぎじゃないかしら?」

「「確かにそう。でも此奴を悪と呼べるとしたら、家族も友人も皆殺しにされても復讐しないと言える奴だけ」」

 

 その言葉に固まる老婆を無視して二人はさっさと寮に向かってしまう。モスラは老婆に頭を下げてから二人の後を追った。

 

「…………取り敢えず、場所を変えましょうか」

 

 

 

 

 老夫婦(名前を智代と哲治と言う)は談話室に移動し、出されたお茶を飲む一同。しばらくするとパタパタ足音が聞こえ扉が勢いよく開く。

 

「じぃじ!ばぁば!」

 

 リトルは満面の笑みを浮かべ老夫婦に向かって飛び込もうとする。全力で……

 

「アブね!?」

 

 ゴジラとラドンが慌てて両足を掴むとビタン!と机に顔から落下するリトル。鼻を押さえ涙目で起き上がった。

 

「いったーい!何するの!?」

「バカかリトル!そいつらはただの人間なんだ!全力で飛び付いたら最悪背骨へし折るぞ!」

「それどころかこの老体なら死ぬ事だって有り得る……」

「…………じぃじ達、死んじゃうの?」

「お前が力の使い方誤ればな……人間ってのは脆いんだ」

 

 本気で愛でよう等と思えば直ぐに壊れる程に、人間は脆い。頭の中に侵入してきた意志に対して少しの反意を抱いただけで、嘗てゴジラは未希を傷付けた。未希としては、ゴジラが殲滅対象じゃなくなる為の行為なのに、嫌がっただけでそれだ。

 

「じぃじ、ばぁば、ごめんね?」

 

 落ち込みながら謝罪するリトルに二人は笑顔を向けた。

 

「それで、本題に入りますがゴジラさん。里子ちゃんを家で引き取らせてください……」

「……自分が何言ってるか解ってんのか?」

「ええ、今まで何の音沙汰もなく、いきなりやってきて何を言っているんだとお思いでしょう。ですが、貴方に就いて少し調べさせていただきました。黒慈ユウラ、ずいぶん警察のお世話になっているそうで……先程の、理不尽な怒りは向けないとの事でしたが、過剰と言う言葉をご存じですか?」

「………………」

「それと、言い訳になるかもしれませんが我々は里子ちゃんが捨てられたのを知ったのは最近なんです。勝手に土地の一部を売り、上京した息子とほぼ絶縁状態で会社の海外旅行に行く間の夏、里子ちゃんを預かるだけの関係でしたから…………そしてこの前、とある番組の再放送を観たんです」

 

 十中八九あの大食いのテレビ番組だろう。心当たりはそれぐらいしか思い付かない。

 

「それで息子夫婦に問い合わせてところ、漸く吐きまして……」

「せめてどんな親が代わりになってるのか見て、俺だった、と……」

「そうだ……」

 

 ここにきて漸く哲治が口を開いた。

 

「乱暴云々は置いておいて、それが間違った事じゃないならワシから言う事は無い。だが、血の繋がらない仮初めの親子が上手く行くとは思えない」

「…………あ?」

「最初は上手く行くだろうさ。子供にとって優しい大人は安心する存在で、まともな感性を持っとりゃ他人の子供でも子供は可愛い。だが成長したら話は変わる。反抗期、生意気なクソガキに、偉そうな父親。実の家族でも大変なそれを乗り越えられるとは思えない……」

 

 ギチリ、とゴジラの歯が軋む。

 

「何も永遠に突き放そうって訳じゃない。高校生……義務教育が終われば上京させても良い。その時また、会えば良い……」

「…………けんな……」

「ゴジラ?」

「もちろんその時、里子の心境にも変化は有るだろう。その時改めて……」

「ふざけんな!!てめぇらはまた、俺から何もかも奪う気か!!!」

 

 ドゴン!と音を立ててテーブルが砕け散り衝撃だけで床が一センチほど沈む。皆が驚愕する中ゴジラは黒い靄を放つ右手を伸ばそうとして────

 

「パパ、駄目!!」

 

 リトルがその腕に抱き付き止まる。

 

「…………ゴジラさん、幼い子供に親の決定権が無いのは何でだと思います?」

「…………」

「感情に流されてしまうからです。それで、人生の選択を誤ってしまう……」

「……俺がリトルを育てんのが、リトルの人生を歪めるって言いたいのか?」

「少なくとも、今の行動を見る限り……」

 

 智代はそう言うと姿勢を低くしてリトルと向き合う。

 

「里子ちゃん、里子ちゃんはばぁばとゴジラさん、どっちと一緒に行きたい?」

「え?……えっと…………」

 

 リトルはその言葉にゴジラと祖父母達を見比べる。

 

「えっと……ね……あの、ね……私、ばぁばとじぃじのとこ行く!」

「────ッ!!?」

「決まり、ですね…………」

 

 智代がそう言うとゴジラは再びギチリと歯切りしして部屋から出て行く。

 

「あ、おい待てゴジラ!?」

 

 ラドンが慌てて追おうとするもバン!と勢いよく扉が閉まり付近の壁に亀裂が走った。

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