ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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お見舞?怪獣王!?

「よ、ミクラス。災難だ……な……」

 

 病院に行きミクラスの病室に入ると涙目のミクラスと出会した。

 アギラやレッドキング達とはすれ違いだがタイミングの悪い時に入ってきてしまったらしい。

 

「…………あー……まあそのぐらいの傷なら半日も経たずに治るだろ」

「治らないよ!?アタシはゴジラ達みたいな回復能力ないもん!」

 

 慌てて涙を拭こうとしていたミクラスはその言葉に反射的に突っ込む。その目には回復能力を持つゴジラに対する嫉妬が見て取れる。

 ギリッと無意識に歯ぎしりをして、その音に自分の中の感情に気付いて布団を被る。

 

「……出てって」

「ミクラス……」

「出てけ!」

 

 枕を投げ付け叫ぶミクラス。人型とは言え怪獣娘が投げた枕だ。当然その威力は頭に当てれば脳震盪を起こさせるぐらいはあるだろう。が、ゴジラはミクラスと同じくカイジューソウル持ちでしかもスペックが違う。あっさり止められた。

 

「いたた!?」

 

 そして怪我人なのにそんな動きをしたミクラスは身体が痛みで引きつりベッドから転がり落ちた。

 

「無理するな、怪我人なんだから」

「誰のせいだと思ってんのさ」

「流石に不謹慎だったな……大怪獣ファイトには間に合いそうにないのか?」

「…………延期だってさ」

「そうか……」

 

 ミクラスの脇に手を通し持ち上げる。

 

「……アタシさ、頑張ったんだ。大怪獣ファイトに出たくて」

「そうか」

「……悔しいよ…………出れない事もそうだけど、負けちゃった事が……レッドキング先輩や、ザンドリアスにも練習に付き合って貰ったのに…………」

 

 ゴジラに支えられたまま顔を見せないように俯きながら声を絞り出す。

 

「そう思えんなら大丈夫だろ……」

「何でそう言い切れんのさ」

「俺だってそうだったからな。人間の兵器相手に為す術も無く死に掛けた恐竜か或いは陸上生物のなり損ないだった。死に掛けて、仲間が力尽きてくのを見て、悔しくて憎くて怪獣になった。怪獣になった後も他の怪獣に負け掛ける事も有った。でも、悔しいからもっと強くなれた」

「…………前半は絶対要らない。後半だけで良い」

「そうか?最近、やけに前世の事を思い出す頻度が増えてついな…………」

 

 と、苦笑いするゴジラにミクラスは身体を預け服の裾をギュッと掴む。

 

「……ゴジラ、私強くなりたい」

「そうか……」

「なれる……かな?」

「なれるさ。悔しいって思いが有るならそれをバネにすれば良い。もしこれぐらいで良いやって妥協しそうになった時は俺に言え。もっとずっと強い奴が居るって事を教えてやる」

「え~?アタシのが強くなってたらどうするのさ……」

「そしたら俺はお前より強くなるだけだ」

「そっか…………」

 

 ミクラスはゴジラの言葉によし!と身体を離し、再び痛みに悶える。

 

「……ね、ねえゴジラ……」

「ん?」

「ゴジラはアタシより強くて、アタシが強くなってもアタシより強くなろうとしてくれるんだよね?」

「ああ」

「じゃあさ、キチンと証明しようよ」

 

 と、ミクラスは悪戯っぽくニヤリと笑う。証明とは何の事だろうと首を傾げるゴジラにミクラスはその言葉を発した。

 

「大怪獣ファイト。ゴジラも出るの」

「……あ?」

「だってそうすればゴジラの強さも解るでしょ?」

「……マジ?」

「マジマジ。ね、良いでしょ?」

「……じゃあミクラスがレッドキングに勝てたらな。せめてそれぐらい強くなれよ」

「もちろん!やってやるよ……!──いたた」

 

 胸を張りドンと叩き痛みに悶えるミクラス。学習しない。

 

「で、お前を襲ったのは誰なんだ?シャドウかシャドウミストか?」

「うーん……ピグモンさんからは確認が取れるまでは話しちゃダメって。ピグモンさんに直接聞いてみたら?教えても大丈夫なら教えてもらえると思うし……」

 

 と、言い難そうに顔を逸らすミクラス。確認が取れる、となるとシャドウではないのだろう。

 

「…………ガッツか?」

「え!?な、なんで解ったの…………────あ……」

「…………成る程な」

「ま、待って!今の無し!」

 

 

 

 

 ゴジラが道を歩いていると車が吹っ飛んでゼットンがキャッチするという光景を見たが気にせず帰る。

 

「ピグモン、居るか?」

「ゴジゴジ?ミクミクは大丈夫でし……──ん?」

 

 ピグモンはやってきたゴジラに書類から顔を上げるがスンスン鼻を鳴らしてゴジラに顔を近付ける。

 

「…………これ、ミクミクの入院してる病院のシャンプーの匂い……?何でゴジゴジからするんですかね~?」

「慰めてやったからな。その時だろ」

「……やっぱり強がってましたか~。ありがとうございます。それで、何のご用ですか?」

「実は前にガッツの偽物と接触した事が有る」

「──…………詳しく」

 

 

 

 ゴジラが偽ガッツとの邂逅を詳しく離すとピグモンははぁ、と溜め息を吐く。

 

「もっと早く言って欲しかった、が本音ですが今回はまあ良いです。確認が取れるまで誰にでも話せる、といった内容でも無いですしね~。で、ゴジゴジはそのガッツンを偽物と言い切るんですか?」

「ああ」

「……そうですか。解りました。また何か解ったら連絡してくださいね」

「そっちもな」


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