『ニケテ』
「…………?」
ゴジラはモスラから送られてきたメールに首を傾げる。
最近ただでさえ寝不足でストレスが溜まっていると言うのにこの訳の分からない文は何なのだろうか?
取り敢えず折り返しのメールで詳細を────と、思った瞬間
「きさまくぁぁぁぁぁぁ!?」
「──!?」
角を生やした鬼が現れた。
いや、よく見るとその角は頭に何故かネクタイ巻き付けられていた二本の包丁。さらにその両手にも包丁。
慌てて男の手首を掴み、止めようとするゴジラ。ズザザ!と数センチ下がる。
変身していないとは言え、ただの人間なら世界クラスが束になっても適わないであろう力を持ったゴジラが、だ。
「何だてめぇ!?」
「誰がお
「言ってねぇよ!」
取り敢えず掴んでいる手首を押し返し放す。今度は普通の人間同様吹っ飛んだ。
「で、誰なんだ結局…………?」
「貴様が誑かした娘の父だ!」
「…………?」
誑かした?はて、何の事だろうか?
心当たりはさっぱり無いゴジラは首を傾げるしか出来なかった。すると男は益々憤怒のオーラを放つ。
「って、よく見たらシャドウミストに取り憑かれてるじゃねーか……仕方ねー、ちょっと痛いが我慢しろよ……」
ゴキリと指を鳴らすゴジラ。ジリッと体重を前に移動させる男。その瞬間……
「お父さんのバカー!!」
「げぶへ!?」
突如レオとミドリを連れたモスラが男を殴り飛ばした。
明らかに人間の力じゃなく、シャドウミストに取り憑かれてかなりの力を持っていたとは言え人間相手に容赦ない。
モスラにしては珍しい。
「もう!ちゃんと話を聞いてくださいよ!誤解なんですって!」
「う、ご…………誤解……?」
モスラは確かに力が無く飛行や特殊能力にこそその真価を発揮する怪獣娘だが、吹き飛ばされるほど殴られて気絶もしないこの男は果たして何者なのだろうか?
「だ、だがお前確かに電話で子供が出来たって…………それに子供達も……!」
「私がGIRLSに所属したのは去年の後半ですよ?この子達は見た目4歳、計算が合わないでしょ?」
「…………あ」
その会話を聞いてゴジラは現状を把握する。要するに、モスラが子供達の存在を親に報告したのだろう。多分子供が出来たので子育てを教えてくださいとかそんな感じに……で、勘違いした父親が来たと……。
「じゃ、じゃあこの子達は?」
とレオとミドリを見詰める。
「実はバレンタインの時、手作りチョコを食べた次の日に…………」
「貴蝶の手作りか?なら不思議でもないか……」
家族にもそう言う認識なのかモスラの料理(?)は。
「ほら、二人とも挨拶しなさい。おじいちゃんですよ」
「「…………おじいちゃん?」」
「おお、この子達が、貴蝶に似てメンコイなぁ……」
「「………………」」
頬をだらしなく緩めるモスラの父に対してモスラの後ろに隠れる子供達。男は明らかに落ち込んでいる。
「…………と、兎に角すまない。私の勘違いで」
「いや、俺にも娘達が居るから気持ちは分かる。ある日突然どこの馬の骨とも知れない奴との間に子供もうけてた何て聞かされりゃ動揺もするだろ」
「そう言ってもらえると助かるよ…………つまり君は貴蝶とはその…………そう言う行為はしてないんだね?」
「ああ、モスラとはキスまでしかしてない」
ゴジラの言葉に無言でモスラを見る男。モスラは口を押さえ赤くなって俯いている。
「くたばれぇぇぇぇ!!」
「うおっ!?」