ガッツが襲われ、ゴジラが倒れた。
緊急会議の議題はその事に関してだ。
「結論から言います。襲撃犯の正体はシャドウミストに侵蝕されたガッツ星人です」
「元々ガッツ星人は分身能力を特技としているけど、今回のケースでは私達の知ってるガッツと、シャドウミストに犯されたガッツ星人の、二人が存在していたの」
ピグモンの結論に補足を加えるエレキング。一同が困惑する中、ゴモラが声を発した。
「良いがっちゃんと悪いがっちゃん?」
「そう」
確かに端的に言ってしまえばそう言う事だ。が、納得出来ない事も有る。
「シャドウミストは人間にしか取り憑かないんじゃなかったのかよ!?」
「前例が無かっただけでしょ?怪獣娘でも心に隙が出来ればシャドウミストに付け入れられる……と言う事」
皆を安心させる為か、敢えて淡々と語るエレキング。エレキングの言葉にアギラは歯噛みした。
ガッツの様子が可笑しいのを見掛けた。でも、それだけだった。キチンと気付いてあげられれば……。
「ただ、完全に乗っ取られなかったのは流石はガッツね」
今回の偽ガッツ……シャドウガッツはガッツが防衛本能で分身しそちらにシャドウミストを移し切り離したからだと推測。
しかしシャドウミストに取り憑かれると凶暴性と共に力も上昇する。エレキングの見立てでは5割増しだ。
ガッツが100だとするなら150と言う事になる。
「止めなきゃ!」
「はい。その為に私達が居ます……」
シャドウガッツはガッツからソウルライザーを奪った。それに偽のイベント告知メールを送り誘き寄せ確保すると言う作戦だ。
名付けて《絶対ガッツを助ける大作戦》(アギラ命名)。
「そしてもう一つの問題がゴジゴジです……」
「お兄ちゃんもシャドウミストに乗っ取られたんだっけ……」
「正確にはその途中、です……」
ザンドリアスの言葉にピグモンも俯きながら話す。現在ゴジラは天敵になるG細胞や放射能をある程度吸収出来るMUTO姉妹やオルガ、デストロイアにシノムラ、メガギラス等に見張らせている。
「ゴジゴジの力が5割増しとなると、シャトウビーストよりも遙かに強敵になると思われます」
「しかし、ゴジラは体内に住み着いた異物を弾き出せるのでは?前回それで怨霊を体から追い出した訳ですし」
と、挙手する千年竜王。それにはその場に居たモスラやバトラ、アギラ達も同意だ。
「理由は不明です……怨霊達がシャドウミストと違い明確な意思が有ったからか、或いはシャドウミストが工夫してるのか……兎に角、現在ゴジゴジの中からシャドウミストを追い出す為の方法を調査中です。心苦しいですが、幾らか其方に人材を裂く事になります」
単体でシャドウビーストを圧倒出来るゼットンやゴジラ。もしこの二人がシャドウミストに侵蝕されたら、多くの怪獣娘に暴走時に備え見張らせる。今回はその緊急措置が行われたというわけだ。
そこは暗い海の中だった。
前すら見えず、人間ではまだ侵入出来ない特殊な地形から流れる潮に紛れたきた魚を食らい生きていた。
仲間の気配は常にしていた。何時かは自分もこの中のどれかと番になり、子を残すのだと理解していた。
「………………」
しかしそれは唐突に崩れ去った。壊された。その日の潮の流れを覚えている。その日の水温を覚えている。その日紛れてきた魚を覚えている。
「…………?」
違和感。
来ない。確かに来たはずだ。この後、否、もう来たはずだ。しかし何も起きず、仲間の気配は健在。可笑しい、可笑しい、可笑しい。
ああ、しかし……これはこれで良いのかもしれない。
だが、何かを忘れてはいまいか…………。
懐かしい島だ。
木の実を食らいながら潮風を感じる。つい最近まで喧しかった人間達も居ない。
あの人間達はまあ、此方を尊重してくれたから嫌いではない。小競り合いは余所でやってほしいから好きでもないが。
「恐竜殿!」
「……!?」
と、何時の間にかあの人間達のリーダー的な奴だった男が立っていた。その背には大きな卵が有る。
「専門家の判定により、恐竜殿の同種の卵と思われます!我等の窮地を救ってくれた御身に感謝を!」
そう言って一礼すると去っていった。後には卵が残されている。
この卵、誰が守っていたんだったか?いや、それ以前に確か生まれてなかったか?
守っていた?生まれていた?自分は何を言っているんだ?
思考が曇る。まあ良い、この卵が生まれるのを待とう。考えるのはそれからでも遅くないはずだ。
「………………」
ゴジラが目を覚まし上体を起こす。周囲を見回せば数名の怪獣娘が居た。
「
オルガが真っ先にゴジラに駆け寄る。ゴジラはぼんやりとした瞳でオルガを見るとその大きな帽子に手を置き……壁に向かって投げ付けた。
「かはっ!?」
「!?」
「ッチ!?暴走したか……!」
一同は直ぐ様構える。バーニングモードになる前に決着を付ける。ゴジラと正面切って戦い勝つ手段はそれしか思い付かない。
同時に仕掛けるデストロイア達にゴジラは一瞥をすると床を蹴る。
「「「「────ッ!?」」」」
ほぼ同時刻に震度観測点がマグニチュード4.9程を観測。ゴジラは衝撃で吹き飛んだ床の穴から地下の下水道に向かって落ちていく。
瓦礫も落ち、道が完全に塞がった。追うのは困難だろう。
「…………む?」
「おばあちゃんどうしたの?」
地面がそこそこ揺れ『ああ、地震か』としかし何事も無い様に歩いている一般人の溢れた大通りで一人の少女が地面を見る。地面と言うよりは、その先に有る何かを見ている様だ。
「おばあちゃん?コンクリートは食べれないよ?」
「違うわ!どうやら面倒な事になったみたいでな……其方に向かうぞ」
「え?でも良いの、せっかく一時間も並んだのに……後十分待ちだよ?僕、これ食べたい」
「…………まあ二万年も娯楽がなかったからのぉ。多少娯楽を優先しても許されるであろうさ」
もしもシリーズ
もしもゴジラ達の世界にアルヌスのゲートが開いたら。
「蛮族どもよ!今日よりこの地は我等……」
「買い物……邪魔、するな」
「シンちゃん!殺しちゃだめだよ!」
「首一本のキングギドラか?」
「桑原!それは我に対する侮辱か?良いだろう、我が本物の力を見せてくれるわ!」
「全身真っ黒で不死身って、ゴジラ見たいですね」
「はじめましてぇ異世界の守護神様ぁ。私は亜神、ロゥリィ・マーキュリーと申しますぅ」
「大統領、総理大臣をあんまりいじめちゃだめですよ~。やられたらイヤでしょう?たとえばこの情報をリークされたら困るのは大統領……自分の立場になって考えてください。両国とも仲良くしましょう?ピグモンとの約束ですよ~?」
「「は、はい……すいませんでした」」
「お、俺を誰だと思っている!?」
「知るか。あまり図に乗ると国ごと焼き払うぞ」
ハーディ「新生龍や火龍使っても変える様子ないんだけどどうしよう……」
とある蟲達「彼処に行くのやめよう。絶滅する」
活動報告にちょっとした企画