ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

94 / 123
みんなで!怪獣娘!

『ゴアアアァァァァ!』

 

 ビリビリと空気を震わせながら吠えるシャドウG-1。人型ではあるが百足の様な触手と言い、大きさと言い、人とは完全に異なる。オマケにゴジラの力を吸収しようとして尾が生え背鰭も出ており、怪物じみてきている。

 そして、両手を広げると四体のシャドウビーストが現れた。

 蝶型にクワガタ、生物とは異なるロボットの様な形態が二体。それぞれが怪獣娘達に敵意を向ける。

 

「おい母さん、行けるか?」

「誰にモノを尋ねている。行く行かないではなく、行くぞ。あれはワシ等の一族の力を吸って変異した……我等が片を付ける」

 

 ドン!と地面を蹴り同時に蹴りを放つ。

 

『グウゥ!?』

「む?」

「お?」

 

 それに対してシャドウG-1は自ら後ろに飛び威力を殺す。そして百足の様な部位を二人に向かって放つ。

 

「ふん。甘いわ」

「出直せ」

 

 それを尾で弾くゴジラと少女。と、弾いた百足の影から別の影が現れる。が、それはガッツと分身のガッツが弾く。

 

「うむ。別段援護は必要無かったが良くやった」

「母さん、あんま素直な感想言うなって……ん?」

 

 と、シャドウG-1は曲刀の様なモノを生み出し投げ付けてきた。ゴジラはそれを蹴りで跳ね返す。

 

『ガァ──!』

 

 シャドウG-1の腕を切り落とし地面に突き刺さる曲刀。何時の間にかそこに移動していたのか、少女が引っこ抜き振るう。

 

『ゴァ!?グ……コ、ノ…………偽リノ怪獣ドモガァァァ!』

「ほう、喋れるのか?しかし、理性を持っているなら身に余る力に手を出すべきではなかったな。既に使命も忘れ、目に付くモノを破壊したいだけだろう?大人しくしていろ…………セルヴァム!」

 

 と、少女が自らの腕の皮膚を爪で引き裂くと黒髪の頭に赤い球の髪飾りを付けた少女達が現れシャドウG-1を押さえ付けた。

 

「……何あれ?」

「何って、前世でお前の姉妹達だったセルヴァムだろうが……」

「俺のは怪獣娘化してないからなぁ…………してるのはシンだけ……そう考えると分裂に関しては母さんが上か」

 

 押さえ付けられもがくシャドウG-1。膂力では勝っていようが数で押さえ込まれている。

 

『グ、オオォォォォォ!!』

 

 と、シャドウG-1の背鰭がどす黒く発光し口内にも同様の光が灯る。

 

「ふん、セルヴァム共!放り投げろ!」

 

 少女の叫びにセルヴァム達が『えーい!』とシャドウG-1を空高く放り投げる。

 

「フィリウス、ケリを付けろ」

「おうよ……」

『ガァ!』

「ゴアァ!」

 

 シャドウG-1が黒い熱線を吐くと同時にゴジラも回転して背鰭の発光による軌跡を描きながら赤い熱線を放つ。

 

『グ、ガ……──ガァァァァァ!!!』

 

 それはシャドウG-1の熱線を押し返し、シャドウG-1を遥か上空まで吹き飛ばし爆発させた。

 

「ううむ、射程距離はワシより上か?」

「俺は大気圏外の隕石を狙い撃ち出来る男だ」

「にーちゃすごーい!」

「アニキー!」

「……此奴等どうにかならんの?」

「お前に懐いているんだ。可愛いものじゃないか」

 

 引っ付いてくる妹(?)達にゴジラが振り払えず去れるがままになっていると少女はカラカラと笑った。

 

「終わったようね」

「エレキング、来てたのか。ん、其奴等は?」

 

 何時の間にか来ていたらしいエレキングが話し掛けてきて、その後ろに居る見た事が無い怪獣娘達が居た。

 

「後輩よ。名前は──」

「あ、マガジャ──はわ!?」

「自分はマガバ──はへ!?」

「…………ん?」

「何をしてるの、ゴジラ?」

「いや、何か頭撫でたくなった…………」

 

 ナデナデと二人の頭を撫でながら首を傾げるゴジラ。しかし撫でるのは止めない。

 

「にーに、私も!」

「ボクも、ボクもにーちゃ!」

「アタシもー!」

「パパ、ボクも……」

「解った解った、きちんと並べ…………ん?」

「ん?」

 

 妹(?)達の頭を撫でていると明らかに呼び方が異なる声が聞こえた。見ると眠そうな顔の灰色の髪の少女が居た。

 

「…………ミニラ?」

「久しぶり、パパ♪」




いやぁ、まさか最終回で子供にリンチされて大きさの変わる水晶玉を武器にされて最後の怪獣を倒された挙げ句トラウマ間違いなしの泡になって溶けるラスボス(笑)指令が出て来るなんて。これはつまり三期がやるということ?


もしもシリーズ
グラムサイト2さんのリクエスト

もしもゴジラがガールズの誰かと幼馴染だったら part2


ゴジラの設定。
少しの間捨てられることなく両親に育てられていたが両親が蒸発し、幼馴染みの家に厄介になっている。中目黒に会っていないため性格が違う



レッドキング√

「なあベニオ、土曜久々にゲーセンいかねー?」
「ああ、今日給料日だっけ…?」

 背中を合わせながらお互いを背もたれにゲームをしながら、ユウラは茶色の封筒を見せてくる。
 トラックに荷物をつっこむ簡単な仕事だがユウラの力は強く、かなり儲かっている。

「つか土曜って祭りだぞ?そっちで使おうぜ」
「ああ、そういやそんな時季か……」

 カレンダーをチラリと見ながら面倒くさそうに呟く。

「そんな顔すんなって」
「するさ……なあベニオ、お前クラスや後輩の連中と行けよ、彼奴等の嫉妬の視線マジうぜーんだよ……」
「なんか行動に移されたりしてないか?もしそうだったら俺に言えよ?」
「はっ!行動に移してくれりゃボコれて楽なのにな」

 と、皮肉気に笑うユウラ。背にかける体重が増えベニオがおとと、と前のめりになる。




 祭り当日。浴衣姿のベニオと着流し姿のユウラ。
 今日まで本当にうざかった。露骨に舌打ちしたり聞こえるようにベニオを誘ったり、姉御肌で人気が高い幼馴染みを持つと苦労する。

「んじゃ、回ろうぜユウラ」
「たりぃ………」

 にこやかな笑みでユウラの手を掴むベニオ。ユウラは引っ張られながら雑踏の中へと踏み入った。



金魚すくい

「すげ……!」
「水の流れと金魚の動きを読め。そうすればポイが破けることはない」
「魚や水の流れって……」
「そんなんじゃ鯨も捕まえられねーぞ」
「捕まえねーよ!」


型抜き

「……………」
「へったくそだなあ」


的当て

「弓じゃなくてボールか」
「真ん中のどでけぇぬいぐるみ、明らかに棚に乗せる商品減らすためだよな」
「そういうのは思っても言うなよ。で、でもあんなにデカいとうっかり当てちゃうかもなー」
「…………………」



「良かったな、周辺のカセットとか菓子とか取れて……」
「………あ、ああ」

 店主が涙目になるほどの稼ぎをしておきながら落ち込んでいるベニオにユウラはケラケラ笑う。と、その時……

「あ、歌川さん」
「ん?」
「歌川先輩!」

 と、ベニオの部活の先輩や同輩達と出会した。ユウラはッチと舌打ちすると踵を返す。

「俺適当にふらついてる。ベニオは其奴等と話してろよ」
「あ、おい……!」

 慌てて止めようとするもユウラはさっさと行ってしまう。

「あ、花火の穴場は教えるなよ?お前が来ないなら、俺一人で使うから……」
「………何彼奴………歌川先輩、行きましょう」




 両親がデート時使ったという穴場。下の方からは見えにくいが、この辺は木が開けており空が良く見える。誂え向きに岩があり腰をかけることも出来る。

「……何だよ、来てないのかよ」

 トイレに行くと言ってなんとか抜け出してきたが、ユウラはいない。当回しにここに来いと言ったと思ったのに単純に帰るための言い訳だったのだろうか。

「何だよ、毎年俺と一緒に見てるくせに……」
「そういやそうだな」
「うひゃ!?」

 その声に振り返るとユウラが居た。その片手には大きな熊のぬいぐるみがあった。的当ての景品だ。

「く、くれんのか……?」
「欲しいのか?」
「あ、いや……その」
「なんてな。幼馴染みなんだ、お前が可愛いもの好きなんてのは知ってる。欲しかったんだろ、これ?」
「ほ、欲しくなんか……!」
「そうか、なら売ってくる」
「ま───っ!」

 と、慌てて駆け寄ろうとするベニオの声は爆音にかき消された。

「……花火、あがったのか」

 そう言って空を見上げるユウラ。花火は好きらしい。曰わく、空に打ち上げ楽しむだけの爆発だからとか。

「そういや、おばさんとおっさん、花火見ながらキスしたんだってよ」
「何でそれをこのタイミングで言う!?」
「ふと思い出した」

 ボッ!と顔を赤くするベニオ。このタイミングでその話、まるでそういうことをしたいみたいではないか。いや、ユウラなら堂々と言ってきてそうだけど。

「……………」

 普通に花火の鑑賞を再会したユウラ。自分だけが意識しているという事実に赤くなるベニオは少しくらい反応してくれても良いんじゃないかとそっとユウラを見る。と、口と口が触れ合った。

「───!?」

 熊のぬいぐるみとベニオの口が………。
 ユウラがニヤニヤと笑っていた。

「な、おま……お、俺のファーストキスを……!」
「お前のファーストキスならガキん頃ぬいぐるみにあげまくってたじゃねーか。何言ってんだ」
「──っ!」

 顔を赤くしたまま何か叫ぼうとするが立て続けの爆音にかき消される。

「それやるよ。文字通り他人の唾付きなんざいらねーから」
「…………ありがと」

 ベニオの言葉は花火の音にかき消される。が、ユウラは聞こえたのか聞こえてないのかクククと笑っただけだった。



ザンドリアス√

「お兄ちゃんのバカー!」
「まてこらサチコ!」

 バン!と扉を開き飛び出るサチコの背中を見ながらユウラははぁ、とため息を吐く。

「サンちゃん怒ってたわね~」
「何がそんなに気に食わないのかね?俺にはさっぱりだ」
「そりゃあ、大好きなお兄ちゃんが喧嘩ばっかりして、止めようとしたのに関係ないなんて言われたらねぇ」

 はぁ、たため息を吐く育て親にユウラはぐっと言葉を詰まらせる。

「まあ、私はサンちゃんの友達の家に連絡してみるわ。暫くは落ち着いて考える期間も必要でしょうしねぇ」
「………また家出か」
「一年に何回するのかしらね?」
「…………………」



「それで、お兄さんと喧嘩してまた家出?」
「だってお兄ちゃん酷いんだよ!危ないからやめろって言ってるのに!」
「まあ、先輩は人助けって言うより、それで出来る暴力が好きみたいだからねぇ。と言うより悪人退治か………」

 サチコの友人ははぁ、とため息つく。つきあいが長いなら、彼の性分も知っているだろうに……。

「この前だって暴走族の抗争潰してたし」
「サチコちゃんのお兄さんってさ、実は仮面ティーチャーかなんかなの?」
「注意したのに聞いてくれないし……」
「まあでも、先輩スッゴく強いしさ、大丈夫じゃない?」
「強いのと死なないのは話が別じゃん」




「あ、先輩」
「おう……」

 翌日の放課後、何やら校門が騒がしいので行ってみるとユウラがいた。バイクに腰掛けスマホを弄っている。

「………何しに来たの」
「迎え」
「まだ高校じゃないの?」
「サボった」
「………ママに言われたの?」
「暫く落ち着かせろとよ……」
「じゃあ、本当に何しに来たの……」

 と、そこまで言うとユウラがヘルメットを投げてきた。慌てて受け取るサチコ。

「さっき言ったように、おばさんは現状維持だと……だからこっちは俺の言葉。帰るぞ」
「………………」
「飯、どっか行きたいところあるか?」
「………お寿司。回らない奴」
「おま………──はぁ、解ったよ。乗れ」
「うん……」

 髪を解き受け取ったヘルメットを被ると後ろに乗る。
 そういえば昔も喧嘩する度に迎えに来て、おぶってくれたっけ……何てことを思い出しながら背中に体重を預けた。


ガッツ星人√

「私、ガッツ星人なんだって!」
「何言ってんだ、お前は印南ミコだろ?」
「そうじゃなくて、私って怪獣娘だったの!」

 ミコの言葉にユウラはああ、と思い出す。テレビで見た。前世が怪獣の女がその力を覚醒させるあれか……とミコを見つめる。

「良かった……のか?その妙な力を利用されないようにな……」
「やなこと言うなぁ……でも私、怪獣娘だからさ、スッゴく強いよ」
「だから?」
「今度は私がユウラ守ったげるよ」
「へー………」
「む、何その返事。『私はいかなる戦いにも負けたことがない怪獣』なんだからね」

 負けたから因子が受け継がれたのでは?というのは無粋だろう。ユウラとて空気は読めるのだ。読んで無視することもあるが幼馴染みには遠慮も覚える。

「と・に・か・く!もしユウラでも勝てない奴がいたら、私が倒してあげるからね!」




「よお、無事かミコ……」
「……何で」
「さあ?俺も変身できた……で、この黒い恐竜みたいなの何だ?」



「おい、そこの中学生、ガキ相手に何大人気なく強気に出てんだ?」

 それが初めて聞いた彼の言葉。公園を占領してた、自分よりずっと大きな中学生を一方的にボコった幼馴染みとの出会い。
 彼は別に助けるつもりはなかったのだろう。ベンチで寝ていて、騒がしかったからいらついて、沢山殴れる方を敵に回しただけ。でも、今まさに殴られそうになっていた自分にとってはヒーローだった。
 付き合いが増え、彼の両親が姿を消して、一緒に暮らすようになってからも守ってもらってばっかりだった。

「……今度こそ、私の番だと思ったんだけどなぁ」

 GIRLSに所属して、シャドウの存在を知った時、良くないことなんだろうが少し喜んでしまった。怪獣娘にしか倒せないなら、ユウラにも倒せない。自分が彼を守れる。そう思ったが現実は残酷だ。
 ユウラには何故か因子がありシャドウを倒せた。しかも単身でシャドウビーストと渡り合えるぐらい。
 同世代なら負け知らずだった。初めて年齢が離れた相手に怯え、それを同世代が倒した。嫉妬したし憧れた。そうなりたいと願ったし、何時しかそれは隣に立ちたいという思いに変わった。
 なのにずっと向こうにいる。

「はぁ……」
「どうした?」
「わ!?」

 気づけばユウラが此方の顔をのぞき込んでいた。そうとう深く考え事をしていたらしい。

「な、何でもないよ」
「そうか?なら良いんだが……あまり抱え込むなよ?お前は、直ぐ抱えて、押しつぶされそうになる。対応する此方の身にもなれ」
「別に、手伝わなければ良いじゃん」

 つい悪態を取ってしまう。嫌われてしまったろうか?

「それもそうだろうが……昔っから俺についてこようとするお前に、期待してるからな。早々潰れるなよ?」
「………期待?」
「ああ」

 期待、されてたのか。眼中にもないと思っていた。

「………いや、見てなかったのは私の方か。うん、ごめん。ちゃんと休むよ。だからさ、今度鍛錬に付き合ってよ」
「おう、加減はしてやる」
「ふふん、そんな余裕、すぐになくしてあげるよ!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。