ウルトラ怪獣擬人化計画 怪獣王   作:超高校級の切望

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再開?怪獣蜘蛛!?

 子供も増え、なるべく広い公園を遊び場にするゴジラ。

 水辺ではリトルやシン・ゴジラが遊び、砂場ではミニラやセルヴァムシスターズ達が『お母さんごっこー!』等と言いながら砂場の中に潜ってその上に山を作ってから出るという遊びをしていた。

 

「…………平和だな」

「それが今の世だしな。特にこの世界じゃ俺みたいに環境破壊の末生まれた怪獣とか、出てきた怪獣とかが居たせいで自然になるべく優しくしてるし」

 

 元の世界に比べると、と付くがこの世界はかなり平和だ。国同士の小さな戦争も有るには有るが過去怪獣対策の為、組んだりもした訳だろうし、ゴジラ達の生まれた世界程ではない。

 もっともゴジラもゴジラ・アースもこの時代では人間達がどの程度争っていたのかは知らないが。

 

「時にフィリウスよ、気付いておるか?」

「ああ」

 

 ゴジラ・アースの言葉にゴジラは目を細める。

 先程から、子供達を見る目が有る。巧妙に姿を隠しているがこの二人には完全に気付かれている。とはいえ、普通の人間には気付けない程度の気配の殺し方。

 視線に宿る飢えた獣の様な気配に加え、狩りに特化した肉食獣を思い起こす気配も感じる。

 

「対応は俺がする。そこまで強くないみたいだしな」

「ああ。と言うか、この視線の標的に明らかにワシも含まれているようだしな…………」

 

 と、ゲンナリした様子のゴジラ・アース。この獣の様な視線を浴びていると、何故かドッと疲れる。

 

 

「はぅ、かあいいよう……お持ち帰りして食べちゃいたいよう…………」

 

 と、そんな視線の正体の変態(少女)は木の上から双眼鏡を構え満面の笑みで遊ぶ子供達を眺める。と、その時────

 

「…………あれ?」

 

 メキメキと音がして景色が下がる。慌てて双眼鏡を下に向けようとしたが木が激しく揺れ振り落とされた。

 

「あいた!?もう、誰よいきなり!何すんの、馬鹿じゃない!」

「馬鹿はてめーだド変態」

 

 誰が木を揺らしたのかと振り返れば揺らすどころか木を根っ子ごと引っこ抜き片手で持った男か居た。

 

「────?」

 

 当然、そんな光景を見ればまず混乱する。が、この女は追われる事に馴れた熟練の変態。即座に思考を切り替え、保護者と思われる人物から逃げようとする。

 赤い玉のイヤリングが現れ金髪だった髪の色に茶が混じり左右それぞれに二つずつ赤い球が髪飾りとして現れ、背中からは四本の節足が現れる。

 

「────」

 

 その光景に目を見開く男。その隙に逃げようと糸を出し遠くの木に付け移動しようとするもガシリと足を捕まれる。尋常ではない力で。

 

「…………てめぇかクモンガ…………まぁた俺の子でも食う気だったか?」

「あ、あれ…………もしや貴方様は…………ゴジラ?」

 

 変態、クモンガはさぁ、と顔を青くする。前世では結託した事も有ったが、子供を食おうとしたり宇宙人に操られていたとは言え敵対した事も有る。

 

「ま、待って!ほら、今私人間!食べないよ!」

「それもそうか…………じゃあ何してたんだ?」

「いやー、前世での食欲がこっちでは何か小さい者を愛でたい庇護欲に代わっちゃって~、ロリショタとか超尊い!今の私は中学生までなら愛でられる!」

「…………此奴一番妙な変化だな」

 

 

 

 

 

「戻ったか。ん?何だ、その小娘は」

「取り敢えず気絶させといた変態だ。気を付けろ、狙われているぞ」

「ほう……ワシを狙うとは、中々命知らずのようじゃな」

「…………そう言うのだったら良かったんだけどな」




「おい人間、ここは何処だ?」

 そいつは尋ねた。地獄みたいな世界の中で、黒灰が舞う中、平然と呼吸をし素肌を晒すその男は、龍尾を揺らし今まさに食われそうになっていた俺に尋ねてきた。


「よおリク、面白いもん連れてるな……どこで拾ってきた?」
「押し倒して、生殖行為強要した……」
「………何だろう、此奴……スーを思い出すな………」

 彼は弟が連れてきた少女を見て何ともいえない微妙そうな顔をした。


「情報操作による戦場の誘導ね………ま、頑張れや。俺にはそういう細かい作業は向かねーし」

 パパを助けてくれた怖い目つきの人はそう言うと私達と共に新しい集落に向かった。


「コロンに言われて新婚祝いに来てみりゃ、どういう状況なんだこれ……まあ良い。此奴の夫にゃ神になって貰って俺を元の世界に返す役目があるんだ。愛妻家らしいからな、此奴はやらせねーよ……来な、相手してやるよ鳥人間」

 夫の友人は、そういって強大な力を持つ存在を前に不適に笑った。


『待ちわびたぞ我が敵よ。貴様がこの世界に現れた時より、ずっと待っていた』
「へえ、気づいてたのか俺のこと」
『然り。貴様もまた余と同じ、「最強」を冠する者………しかしここは貴様の世界ではない。最強は二つと要らぬ。貴様もそのために来たのであろう?』
「はずれだ。俺は俺を送り返す神を作るために戦ってる、彼奴の扱う駒だ。ちなみに()()クイーン。この世界の唯一の余所者。戦争が終われば消える存在。中々皮肉が効いているだろ?」
『なる程……余の敵は………くくく。なるほど道理であったな』

 ズン!と巨人から途轍もない威圧感が発せられ、異世界の最強は珍しく冷や汗を流す。が、その汗も蒸発する。他でもない異世界の最強の()()によって。

「本当なら、エネルギー上昇させとくのはそこそこの時間を食うんだよ……まあ、今回はお前を含めたこの世界の者達が作ってくれた極上の()があったから、はじめっからそれなりのエネルギーを作れるがな」
『あれは有象無象(ざ こ ど も)を払うために使った余の気遣いだったのだがな……』
「嘘を付くなよ神様よ、解ってたんだろ?その上で乗った。最強()と戦うために」
『……………』

 その場に取り巻く物理法則やエネルギー保存の法則を無視して増大する質量と熱エネルギー。時間を、空間を、世界を侵しながら二つの最強は笑う。

「『さあ、戦争(ゲーム)を始めよう』」


ノーゲム・ノーライフG 二つの最強 近日投稿予定











今日はエイプリルフール

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