今、この状況。
俺の前にオムライスを美味しそうに頬張る女の子。シエル。
とにかく可愛い。
「………それでどうして俺の前に座る?」
他に席が沢山空いてるのに。
「これでも村娘よ?村の人の顔はみんな覚えているわ。だから見ない顔の見ない服装、その長い筒を持った君が珍しいからね。話を聞きたかったの」
つまりは珍しいものがそこにあるからそれを見てるだけって事。
「…そうか。それで?何が聞きたい?俺の方こそ色々聞きたいんだが。」
この世界の事とか色々と
「じゃあ情報交換しましょ。まず私からね。」
「さっきも言ったけど、この辺で見ない顔と服装ね。あとその筒は何?答えたらこっちも答えてあげる」
いいだろう。と黒谷は首を立てに振る。
「俺の名前は黒谷和平、日本人だ。この服装は学ランって言って君くらいの年の男の子が着る服だよ。あとこれは刀といってものを切るために使うんだ。護身用さ」
護身用の刀を抜いてみせる。
「カズヒラ?変な名前ね。それにしてもそのカタナってものまるで店長の包丁みたい!それに長くて凄そう!」
何かに気づいたようにシエルは黒谷に聞く。
「そう言えば日本って聞いたことないわね。どこの国かしら。それにもしかしてあなた宿泊する所がないんじゃないかしら?」
意外と頭のいい娘なのか。聞きたいこととかを察知してくれる。
「宿はまだ取ってないね。取らないと今日は野宿だな。」
どこかに宿はないかとシエルに訪ねようとすると
「だったらここにとまらせてあげる!」
「……え?いいのか?」
黒谷は驚いたように聞く
「いいよ!その代わり条件があるわ。」
黒谷は頷く
「このお店で一緒に働いて!」
「…え?それだけ?」
「ええ。」
「喜んで。店長さんに会いに行ってくる。」
席を立とうとすると、
「ちょっと待って、口にケチャップついてるよ。取ってあげるね」
このシチュエーションは布巾とかで拭き取ってくれるメイド的なアレか…と心で思った黒谷は油断していた。
「ペロっ」
「え…」
シエルは何を思ったのか黒谷の頬についたケチャップを舐めたのである。
「ええええええ?!」
黒谷はビックリして仰け反る。
「…?」
シエルはなんで?みたいな顔で黒谷を見つめる。
「シエルさんんん?これはいったい?」
「殿方はこれで喜ぶって聞いたからやってみたんだけど嬉しい…?それとも嫌だった…かな?」
至高です
「シエルさん俺はあなたが好きだ!彼女になってくれませんか!」
なんでこんなこと言ったのかは分からないけど、一目惚れだ。
「じゃあ私を頑張って振り向かせてね?実は気になってたの、お店に入ってきた時からね。」
「あ、そうだそのBセット、私が睡眠魔術かけておいたからもうすぐ寝ちゃうね。おやすみ。」
え?
今更気づいた黒谷は重くなって行く目蓋をしめまいと抵抗するがそれも無意味に倒れ込んでいく。
遠のいていく意識の中、シエルが店長になにか指示をしている。
そして黒谷の意識は完全に消えた。
黒谷が目覚めたのはその2時間後だった。
目覚めると、コンクリート製の壁で出来てる部屋にいて、多分地下だとわかる。
「……ここは…?」
そして意識がはっきりすると護身用の刀があることを確認して、部屋を出ようとすると
「…ん?上が騒がしいな」
何やら騒がしい。黒谷は地下の出口を探していると、ドアを見つける。
そのドアを開けて階段を上った先には……
「なんだこれ…」
その先は自分がさっきまでいた村、だが赤く燃え上がっていて盗賊らしき男達が村の男を殺し、女を馬車へ載せている所だった。
「シエル!」
黒谷はシエルを探してその馬車へ走る。
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