大事なことなので、二回書きました。
世界は常に狙われている。理由など千差万別だ。文明の破壊であったり、人類の支配であったりする。
そして、多くの人々はその事実に気付かず偽りの平穏な日常を送る。
それが、まやかしだと、一歩外へ踏み出せば怪物が淘汰する世界と表裏一体の世界だと気付きながらも、頭の片隅に追いやって作り出した幻想だとも知らずに。
だが、希望はある。
それは、人知れず見返りも求めず感情を仮面に隠して戦う戦士。
人々はこう呼ぶ。仮面ライダー、と。
そしてもう一つ、仮面ライダーと共に戦う存在も居ると言う。
人々の記憶から生まれ、そして忘れ去られ、幻想と成ったモノ達。すなわち、神や妖怪、妖精、様々な呼び名がある。
今宵も、世界のどこかで光と闇の戦いが起きているだろう。
この闘争に終わりはない。なぜなら、闇が在るからこそ、光が生まれ、光が在るからこそ、闇が生まれるからである。
だがしかし、解せない事は多々ある。
周期的に現れる闇の組織、そして×o×××ル×きょ××。
まさか、いや、そんなバカな。おや、誰かが来たようだ……。
第一話 「兆候」
―――時は魔法と仮面、そして幻想が邂逅する半日前。
「で、何これ?」
四畳程の所狭しと本が積み上げられ、研究室のような部屋の中で男の声が響く。
一目見れば、好青年といった当たり障りのない印象を抱く青年、『海東司』が、ジト目で先程読んだ原稿を渡してきた、いかにも大和撫子といった少女、『稗田阿求』に視線を送る。
「いやね、幻想郷に戻れなくなって早一か月。暇で暇で」
「だったら、原因を調べに行ってる奴らを見習え!」
「病弱薄幸少女にナニさせるつもり!?」
「黙れ、ロリババア」
腕を抱えて叫ぶ阿求を、司はデコピンを喰らわせて黙らせる。
うー、と額を擦りながら抗議の目線が送られるが、司は気にした様子もなく机の上に広げられた資料と壁にかかった地図と睨めっこを再開する。
「まさか、あの異変の解決のために外へ出ていた時に戻れなくなるとは。転生生活の中で初めての出来事ですよ」
「だろうな。安定していた結界が揺らいで、境界が曖昧になったせいで戻れないからな。安定すれば迎えが来るさ。原因が幻想郷の中なのか、外なのかは不明だがな。それに、
「八雲の賢者と博麗の巫女、慧音先生が残っていたのは、不幸中の幸いですけど。私達にできるのは、こうして原因が外の世界に揺らいだ原因があると仮定して探るしかないですから。ただ心配なのは、パワーバランスですね」
「だな。命蓮寺と仙界、妖怪の山、そして地底か。ま、適合してしまったのは仕方ないさ」
「吸血鬼の姫の言葉を借りるなら、運命ってやつですかね」
軽口を叩きながらも資料を漁りながら、二人は思考の海に浸る。
―――\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!
すると、二人の思考を遮るように机の上に無造作に置かれた携帯から音声が流れる。
「はい、もしもしー」
『やほー、司!』
テンションが高い電話の相手に、司は若干耳から離して応答する。
「どうした、小鈴?何かあったのか?」
『そうなんだよ。見た目子供組を迎えに行った帰りなんだけどさ、池がある公園があるでしょ?ボートに乗れるとこ』
電話の相手、『本居小鈴』の相変わらずなテンションに司は苦笑する。
「ああ、あったな。そこがどうかしたのか?」
『無茶苦茶に破壊されてるんだよ。小屋や桟橋が。調べてみたらさ、どう見ても人の仕業じゃないね』
「それなら、怪人の仕業では?」
漏れた音声を聞いていた阿求が口を挟む。
『私もそう考えたんだけどね。でも、例の異変で助けた彼女達が臭うってさ。自分達が使う魔法と同じ臭いが』
「つーことは、その破壊を行った者は魔導師」
「とすると、外の世界に幻想だと思われていた魔法、いや、魔導ですか。が、断片的に認知された」
『それが、現と幻の境界が揺らぐ原因になった、と考えられるわね。あくまで、憶測に過ぎないけど』
小鈴の情報から仮説を立て、二人は納得したように頷く。
『で、どうします?今こっちに来ますか?』
小鈴の問いに、二人は目配せをする。
「ぶっちゃけ、暇してたとこだしな」
「行きますか」
「行こう」
そういうことになった。
『了解です。迎えは…』
「博士!事件です!!」
「教授!出番です!!」
小鈴が言い終わる前に部屋の扉が開け放たれて、威勢の良い二つの声が響き渡る。
「「公園で摩訶不思議な事件が発生しました!!」」
『どうやら、必要なさそうですね。では、待ってます』
乱入した二人の声は、小鈴にも聞こえていたらしく電話が切れる。
そして、乱入した二人は鼻息を荒く、瞳を輝かせながら司と阿求に詰め寄る。
「こいつらときたらー。俺は博士でも教授でもないと何回言えば、改めてくれるんだ?」
「まあまあ。蓮子さんにメリーさん、お二人が言う事件とは、池の付近が破壊された事件ですか?」
二人だけでも十分姦しい『宇佐見蓮子』と『マエリベリー・ハーン』の登場に、司は顔をしかめ、阿求がそれを宥める。
「流石は、博士に阿求氏!情報を掴むのが早いです!!」
「知っているなら話は早いです!さあ、私達『秘封倶楽部』の出番です!!」
部屋を飛び出す二人の破天荒な少女達を見つめ、司はため息を吐く。
「頼る人材、間違えたかも」
「ドンマイです。飴いります?」
「もらう」
司は阿求から棒付きキャンディーをもらって咥えると、蓮子達の後を追って部屋を出る。
次いで部屋を出た阿求を扉の鍵を閉めると、『海鳴大学・民俗学研究室兼秘封倶楽部活動拠点』と書かれたプレートの下にぶら下がっている『摩訶不思議な事件を募集中』のプレートを裏返し、『只今、不在』の面にして距離が離れた司の元へ小走りで向かう。
「それで司、どっちを乗せます?私はメリーさんを乗せます」
「確定してるなら聞くなよ。はいはい、俺は蓮子を乗せるよ。聞いてたか!?暴れんなよ!」
「それぐらい、わきまえてますよ。私まだ19ですから、死にたくないですし」
「阿求さん、着物でバイクを運転できるんですか?」
「大丈夫だ。問題ない。キリッ」
司は蓮子が運転中に何かやらかさないか危惧し、メリーは阿求がちゃんと運転できるのか不安になりながら四人はガレージに着いた。
司は泊めてある一台の黒とマゼンタのラインが入ったバイクにまたがり、阿求は自販機にメダルを入れて変形したバイクにまたがる。
「それじゃ、しゅっぱーつ」
「レッツ、パーリィ!」
「ヒィィィィィィィ!?」
なぜか阿求の目つきや性格が変わったような気がして、メリーの悲鳴も聴こえた気がしたが、司と蓮子は幻聴と決めつけて無視しながら、目的地の公園へ向かうのだった。
―――十分後
「おーい、司!阿求殿!こっちだ!」
公園の付近にバイクを停車させ、入口に向かっていると灰色のウェーブがかかった髪の少女が駆け寄って来た。
「あれ、ナズーリンじゃないか。小鈴は?」
「うむ。子供組と一緒に一足先に戻ったよ。聖共々、保母さんが定着してしまったようだ」
「子供好きですからねー。あと、面倒見もいいですし」
司達を迎えた『ナズーリン』に先導され、四人は事件現場に着く。
移動中、何やら色んな機械を持った四、五人程の白服の集団とすれ違う。
「ん?」
何かを感じ取ったのか、司は足を止めて振り返る。
すると、その集団の中の一人の女性も立ち止まって司を見ており、司が振り返ったのに気付くと会釈をして歩き出した。
「司、どうしたのかい?」
「いや、どこかで見たことあるような連中だったが、気のせいだったみたいだ」
尋ねてきたナズーリンにそう返すと、司は自分の考えをかき消すように首を振って移動を再開した。
―――すでに異変は始まり、やがて世界を巻き込む騒動を引き起こされることになるとは、この時、彼等は気づくことはなかった。
プロローグのとこまで進めるはずが、思ったより長くなってしまった。
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