東方リリカル仮面記   作:雪風冬人 弐式

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大変お待たせしましたー!


第二話 「出撃」

「こりゃまた、派手に壊れてるな」

 

 『立入禁止』と書かれた黄色のテープの向こう側に広がる、悲惨としか言い様のない惨状に司は声を漏らす。

 

「あ、司!こっちよ」

 

 司達が眺めていると、テープの向こう側から一人の女性の警官が声をかけてきた。

 

「お勤めご苦労様、鈴仙。悪いね、任せっきりで」

「これぐらいは何ともないわよ。私にできることをしているだけなんだから」

「だそうですよ、阿求氏」

 

 司にジト目で睨まれた阿求はあらぬ方向へ視線を逸らして、あくまで聞こえないフリを貫く。

 

「阿礼乙女は相変わらずのようで。あ、どうぞ」

 

 阿求の態度に苦笑しながら、鈴仙はテープを開けて司達を中へ通した。

 

「司さん、部外者が入っていいのですか?」

「心配ない。鈴仙の能力で見えなくしているから」

「流石、妖怪。能力、パネェ」

 

 メリーが不安げに尋ねるが、司の答えを聞いた蓮子は感嘆する。

 鈴仙の後に続いて司達は破壊された現場へと辿り着く。

 

「ここが現場よ。かすかな魔力の残滓が残っていたから、辿ろうとしたんだけど…」

「ふむ。途切れてるな」

「喰われたってこと?」

「それか、どこか別の場所へ移動したってとこね」

「ナズーリン、能力使って調べれない?」

「残念ながら、対象が曖昧過ぎて無理だ」

「風見譲がいれば良かったのですが」

「いないもんはしゃーない」

 

 抉れた地面や散らばる木材を見分しながら、司達は意見を出し合う。

 すると、何かに気付いたのか司は顔を上げた。

 

「そういや、この辺の警察の鑑識の制服って白服?」

「違うわよ。鑑識の人の制服はあれ」

 

 鈴仙が指した方向を見れば、『鑑識』と背中に書かれた紺色の制服の警官達がいた。

 それで何か分かったのか、司は表情を険しくしたが、気付いた者はいなかった。

 その後も色々と調べたが大した発見はなく、鈴仙は引き続き警察で情報収集を、司達は大学へ戻って行った。

 

―――夜。草木も眠る丑三つ時ほどではないが、深い闇の帳が降りた時間。

 海鳴市の郊外に広がる森の一画、道路も電線も通ってない場所にレンガ造りの洋館が建っていた。

 その館に明かりは点いておらず、住人は寝ているものと判断できる。

 しかし、玄関が内側から開けられ、一人の青年、司が出てきた。

 

「さってと。行きますか」

「こんな夜更けに、どこに行くつもりだい?」

「まあ、大方の見当はつきますが」

「ねえねえ!私も連れてってよ!」

 

 軽く体をほぐして、いざ出発しようとしたその時、背後から司に声をかける人物がいた。

 その人物とは、眠そうに欠伸をしながら壁に寄り掛かる阿求。昼間と同じ服装だが、ネズミのような耳と尻尾が生えたナズーリン。ナイトキャップを被り、クリスタルのように透き通った七色の羽根を広げるフランドール・スカーレットの三人だった。

 

「おう、お前ら。どうした?」

「いや、そこで心底不思議そうな顔をされても困るんだが」

「やー、やっぱりお前らのことだからさ。言わなくても、『司は私達に迷惑をかけまいと一人で何かするつもりだ(キリッ』と考えて付いて来るだろうと思ってな」

「やれやれ、信頼されているのは、うれしいんだがね」

「ま、それが司ですから。皆への説明は私がしておきます」

「私は元々夜行性だから」

「はは。フランは相変わらずか。それじゃ、行こうか、ナズーリン、フラン」

「いってらっしゃい」

「行ってくる」

 

 阿求に見送られながら、司はナズーリンとフランに声をかけると歩き出す。

 

「ねえねえ!誰が、一番に着けるか競争しようよ!キバット!!」

 

 不意に、いいことを閃いたと言わんばかりに顔を輝かせながらフランは、虚空から現れたカードを放り投げる。

 すると、そのカードが光ると金色の蝙蝠へと姿を変えた。

 その蝙蝠に、フランは左腕を差し出してポーズを取る。

 

「変身!」

〈カブッ!〉

 

 突き出した左手に蝙蝠が噛み付き、フランの頬にステンドグラスのような模様と腰に何本もの鎖が巻かれてベルトが現れた。

 そのベルトに蝙蝠を泊まらせると、フランの姿はファンガイアという種族の王の証であるヴァンパイアのようなキバの鎧を纏った、仮面ライダーキバへと変身した。

 

「ちょ!?それズルくない!?」

「お先に~」

 

 キバの姿が金色と真紅の蝙蝠のような姿へと変わると、フランはすぐさま飛び立ってしまう。

 それを見たナズーリンはフランと同じ様なカードを取り出すと、それは銃口が二つついた大型の拳銃に形を変える。

 

「まだまだ甘いね、フラン嬢!変身!」

〈KAMEN RIDE! ディエンド!〉

 

 取り出した銃から十枚のプレートが飛び出してシアンと黒のスーツが装着されると、頭部にプレートがバーコードのように突き刺さる。

 ナズーリンが変身したのは、仮面ライダーディエンドだった。

 

〈ATTACK RIDE! インビジブル!〉

 

 そして、別のカードを装填するとディエンドの姿が消える。

 

「仕方ない。変身!」

〈KAMEN RIDE! ディケイド!〉

 

 出遅れた司は、ディケイドに変身すると別のカードをベルトに装填する。

 

「速さなら、これだな」

〈KAMEN RIDE! カブト!〉

 

 そして、またカードを装填すると同時に、司は走り出す。

 

〈ATTACK RIDE! クロックアップ!〉

 

 瞬時に司の姿が掻き消え、残ったのは見送っていた阿求のみとなった。

 

「さて、明日も早いですから、寝ますか」

 

 ふわーあ、とあくびをしながら、阿求は洋館の中に姿を消した。

 コソコソと、二つの影が洋館から抜け出していたのに気付かずに。




次回、ようやくプロローグの場面まで持って行けそうです。
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