ヤンキー・グラヴィトン・アンファンツ【完結】   作:梵葉豪豪豪

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 コミケではデッ○プールが太い物を咥えてる絵を落描きしてました。エロで固まったサークルの島で。



10 アンバスター・マーチ ~そらのおくりもの~

 学園所属の大型バス御一行が、1学年を乗せて現在海沿いのルートを走っている。本日から臨海学校なのだ。

 その先頭の1台、1組のバスに沙莉寿とシャルはいた。ガラス窓に頭を預け、沙莉寿は爆睡している。隣に座るシャルも船を漕いでいる。

 背後の席から一夏がシャルに問いかける。向こう隣の沙莉寿をちらちらと見ながら。

 

「何でそんなに眠いんだ? 5日も公欠で何かやってたのか?」

「この前東海で起きた地震でね、僕と沙莉寿ちゃんと簪ちゃんは災害救助に参加してたんだ。で、昨日真夜中に帰ってきたとこ」

「災害救助って……。何もシャルが行くことは」

「やれる力があるならやらない理由はないと思うんだ」

 

 欠伸を噛みしめながらシャルが応える。

 

 先日東海地区にて地震による災害が発生したとの報を聞いたシャルは、山田先生に無理矢理公欠をもぎ取り、デュノア社日本支社から持てる限りの救援物資とEOSと人材をかき集めた。更に沙莉寿にも声を掛けたところ快諾したので同様に公欠をもぎ取り、社員共々現地へと向かった。

 一方簪も公欠を取り、ISメーカーのスタッフに伴う形で現地へ向かった。

 いざ現地に着いて一望すれば、一言で言うなら地獄と呼ぶべき惨状だった。その中を自衛隊と連携し、ISとEOSを駆使して瓦礫を撤去し人命救助に当たる。一方素手で巨大な瓦礫を持ち運ぶ沙莉寿は被災者たちに大いにインパクトを与えたが、それを気味悪く思う者は一人もいなかった。

 また避難所にて、沙莉寿と簪が現地の青年を率いて自警団を組織し、積極的に見回りなどをし火事場泥棒を防ぐ。更に、ストレスで暴動寸前だった被災者をシャルがまとめて毒電波を垂れ流し落ち着かせ、避難所を終始穏やかな雰囲気へと変えた。

 そうして3人は自身の持てる力を駆使して人助けをし、落ち着いた頃にようやく帰ってきた。それがほんの数時間前までの話である。

 

 かいつまんでそういった説明をしたシャルである。無論洗脳云々の話は口にしない。一方ヒーローというあり方に否定的な見解を持っている一夏ではあるが、それは創作上のヒーローに対する逆張りであり、現実に人助けをしている人に対して否定する舌は持ち合わせていなかった。なので黙るしかない。

 セシリアが興味本位でシャルに尋ねる。

 

「ISは他にも大勢おりましたのでしょうね」

「いや、僕たち以外にはいなかったよ。自衛隊も含めてね」

「そんなことって……」

「寧ろ一部の女性から言われたよ。『ISをそんなことに使うな』ってね。それがIS業界の現状さ」

「……何と言いましょうか、世の中ままならないものですわね……」

 

 私たちはシャルの味方だからねー! という一部女子からの声援が聞こえてくる頃には、シャルは本格的に眠りに落ちていた。

 

 

「ね! アレアレ! 空の向こう!」

 

 クラスの谷本癒子が、バスから見える遥か後方を指差した。周りも何事かと同じ方向に身を乗り出す。 巨大な何かが全身を燃やしながらこちらに向かって落下して来ていた。

 

「隕石だ!」

 

 直後、バスの右手側にある山中に物体が落下し爆発した。回転し、爆炎を吹き飛ばしながらそれは二本の太い脚で斜面を掴むと走り出した。同時に自身の2倍近くある尻尾が後方に真っ直ぐ伸びてバランスを取る。

 

「……恐竜!? 恐竜ダァー!」

 

 クラスメイトの叫びの通り、蒼い羽毛を全身に纏ったそれは、外見がユタラプトルそのものである。ただし全高が10mを超え、尻尾を含む全長に至っては30m近くにもなる巨大な生物だ。

 その巨大恐竜が、1組のバスの後方、2組のバスに向かって大口を開け咥えこもうとしていた。

 

「ごめん沙莉寿ちゃん!」

 

 沙莉寿の寄りかかっているガラス窓を開け、シャルが身を乗り出した。座っている沙莉寿に乗っかる形である。左腕を窓から出し、左腕のみISを部分展開してアサルトライフルを連射してユタラプトルに叩き込む。

 ユタラプトルは怯みバスから離れるが、皮膚に銃弾が通ったという様子ではない。

 

「うわぁ! ビックリしたなもー」

 

 沙莉寿が起き上がってしかめっ面で耳をほじる。誰だって間近で銃声を聞かされれば起き上がる。ついでに周りのクラスメイトは揃って耳を塞いでいた。

 シャルの様子を見て、ふと外を覗いた沙莉寿は再度シャルに向き直った。

 

「いつの間にスピルバーグワールドに異世界転生したんさ?」

「どっちかというとレジェンダリー映画かな?」

「成程ローレンス・○ィッシュバーンが酷い目に遭うのか」

「いやそれサ○ュエル・L・ジャクソンだから。間違うと色んなとこから怒られるから!」

 

 ケン○ーコバヤシと山○ルイ53世の区別すら付かないようなオナゴの言う事である。シャルも沙莉寿の狂言は流すという術を覚えておくがよかろう。

 

 ここで千冬が指示を飛ばす。トーナメントでの一件以来思うところはあったが、仕事に没頭することで自分なりに何とかしようとはしている。

 

「専用機持ちは各自迎撃に出ろ! 対象の足を止めてバスを守れ! 他の生徒は頭を低くする!」

 

 シャルとセシリアは頷き合い、互いの対面の窓の上部に手を掛け、逆上がりの要領で車外へと飛び出した。お互い空中で逆立ちになった所でISを展開し、ユタラプトルへ向けて飛び出していった。何せ走っているバスの上でのアクションである。度胸は座っている2人といえた。

 遅れて一夏とラウラも、窓から足を引っかけて飛び出しISを展開させた。事前に2人の行動を見ていなかったらちょっと出来なかったかもしれない。

 

 一連のバスの周囲には、一夏、セシリア、ラウラ、シャル、そして鈴音と簪も集まっていた。専用機持ちの集合である。一方、ユタラプトルはバスの最後尾まで追いすがっている。巨体の分ゆっくり走っているように錯覚するが、猛然と飛ばしているバスと同等のスピードを誇っている。余裕で追い越し踏みつぶせるであろうことは容易に想像が付く。

 

 一夏が「白式」の右肩から、マイクロミサイルを6発射出する。全弾ユタラプトルの背中に当たり爆炎を撒き散らしはしたが、相手は全くの無傷だった。羽毛一つ削れてもいない。

 

「あ畜生硬ぇ!」

 

 仮にも競技用のミサイルとはいえ、車一つ平気で吹き飛ばせる威力のある代物である。

 ユタラプトルの両目の奥が発光し、たちが悪いことに2条のビームを発生させた。一夏が狙われたが、寸でのところで躱し切れ……ず横切られてしまい、一発でシールドエネルギーの殆どを削り取られてしまった。これでシールドエネルギーを消費する零落白夜はもう使えない。残り外れたビームは山の中腹を蛇行して削り取る。

 あからさまに生物離れした離れ業に、専用機の面々は大いに狼狽した。

 

「げぇ! アイツ夕立のお仲間なの!? あのくそ怪獣!」

「何きょーだいのきょーだいか!?」

「君たちひっどい言い草だね!」

 

 鈴音とラウラの見解にシャルが猛然と突っ込む。仲間扱いされた件の人物の自業自得ではある。

 ついでに鈴ちゃんが今いる地点は1組のバスの真横である。後ろ向きになって並走して飛んでいる。

 

「聞こえてっぞ白いY豚ちゃん! ナマぶっこいてっと(pi----)にダイ○ンの掃除機ぶっ込むぞ!」

「ア゛ァ゛? アンタのアレにも双天牙月食らわせて処女取ったろかぁ!?」

 

 などと続くお互い親指を下に向けての沙莉寿と鈴音の罵倒の応酬に、一夏とシャルは唖然とする。ナマの女子高生なんて概ねこんなものだという無駄な基礎知識は覚えなくていいことだ。

 

 などと延々馬鹿をやっているとバスの向こうのユタラプトルから威嚇の咆哮が届いた。鈴音を含め皆が先程からライフルや機関銃にミサイルを撃ちまくっているがまるで効果がない。

 

「やかましいわボケェ!」

 

 ヤケを起こした鈴ちゃんが、青龍刀の双天牙月をユタラプトルに向かって投擲した。全くもって合理性に欠けるが、人間頭に血が昇るとろくなことをしない。

 ユタラプトルは飛んできた刃物を悠然と歯で受け止め、余裕で噛み砕いてボリボリと食ってしまった。

 

「げぇっマジでか!?」

 

 沙莉寿のリアクションは言うまでもない。

 

「笑ってんじゃないわよぶっ!?」

 

 沙莉寿に顔を向けて怒鳴っていたところを運悪く、ユタラプトルのビームをモロに食らった鈴ちゃちゃちゃおである。顔面の真横に食らった瞬間の鈴ちゃんの表情は、そっとしておいてあげたい。作者も絵にする気はない。そのまま落下し地面を転がり、ユタラプトルの脚の間を絶妙に通り抜けていった。クレーンもかくやという太い脚に踏んづけられなかったのは一生モノの奇跡である。

 

「何やってんだ鈴ー!」

 

 判ってても言い方ってもんがあるだろう感で一夏が悲壮に叫ぶ。

 

 だが間髪入れず、ユタラプトルに何かがぶつけられた。2リットルのペットボトルである。小癪にも中身が詰まったブツである。ユタラプトルが投げられた方向を睨み付ける。

 下手人は沙莉寿だった。腕と顔を出し、更に中指までおっ立てている。言葉は通じなくとも悪意というものはよく通じる。怒ったユタラプトルは沙莉寿のいるバスへとジャンプしつつ一気に突貫した。

 

 ユタラプトルが沙莉寿の突き出た腕に噛みついた。クラスから悲鳴が上がる。更に噛んだまま獲物を引きずり出そうとした。クラスメイトたちが沙莉寿の体を必死になって押さえる。

 

「ぶわぁーかめ!」

 

 腕を食われた沙莉寿は余裕のにへら笑いで睨み付け、もう片方の腕でユタラプトルの目を突き刺した。眼球から透明な液体が噴き出し、ユタラプトルが激しく震える。ついでにクラスメイトも激しくしがみ付く。

 直後に簪も相手の片方の目に外腕を突き刺した。それでも奴は沙莉寿の腕を咥えて放さない。

 が、沙莉寿が強引に腕を引き抜いた。というより、ユタラプトルの長大な舌を引き千切ったのだ。釣られて歯も幾ばくか折れ、口腔から大量の青い血を噴き出しながらユタラプトルは咆哮してのたうち回った。

 

「口の中狙って!」

 

 機を逃さず、シャルが敵の口腔内を攻撃するよう指示する。口腔内にあらゆるものが叩き込まれ、ユタラプトルは悶絶して倒れ込んだ。気絶しただけである。失血死するのは時間の問題であろう。

 

 そして1学年御一行は危機を潜り抜け、そのまま走り去っていった。専用機持ちたちも順次戻っていった。

 

 とりあえず緊張の解けた千冬は沙莉寿に指示する。

 

「夕立……それは捨てろ」

「うぃーっす」

 

 ユタラプトルの巨大で長大な舌を沙莉寿が手にしたままである。引きずって道路に青い筋まで付けまくっている。適当にぶん投げられた舌は回転して山の斜面に叩き付けられた。この惨状を処理する行政にはご愁傷さまと言う他ない。

 尚クラスメイトが牛タンって牛の舌だって知ったらちょっと大変なことになること請け合いである

 

 

「何だったんだろーねー結局」

「何だろねー」

「ぬー」

 

 シャルと簪が眠そうに感慨深くなり沙莉寿が立ったまま寝かけている。現地に着いたバスを前にしてのことである。沙莉寿が乗っていた辺りから後方に青い血糊がベッタリと流れてぶち撒けられていた様を見ながら。これから運転手さんが頑張って洗い落とす訳で……。

 

「寝よう」

「もう部屋に篭ってばたーっと行きたいばたーっと」

 

 と3人はとっとと旅館に篭って自分たちに割り当てられた部屋で寝る算段を立てた。が、その前に点呼と警察からの取り調べというハードルを乗り越えなければならない。前途多難である。

 

 

 しかして宇宙からの襲来者がこれで終わらないと思い知るのは後の話である。そして地球人は地に縛り付けられたまま奴らと対峙せざるを得なくなる。

 

 

次回:11 幻に遊ぶならいっそ現世で狂うべし ~山本山昇が藤田○コルと前川○くの中の人で7発ずつブッパしてちり紙でよく拭かなかったが故の親衛隊員の悲劇~(仮)

 




・災害救助
 ISについて思うことがあるオリ主って、自分の持つ力をこういうことに使わないの? という素朴な疑問から始まった。

・一夏
 原作でもあるヒーローへの否定的な見解は、よくある高二病と済ますと簡単すぎるとは思う。

・宇宙怪獣
 ご存知ティラノサウルス類をモデルにしても良かったのだが、アート・オブ・ダイナソーというイラスト集に紺色の超速そうなユタラプトルが載っていたのでそのイメージからそのままでかくしてみた。

・鈴音
 作者の別作品でもそういう呼び名を使ったが、公式絵を見比べると全然似ていない。当たり前である。

・牛タン
 あれそのものの塊を見ると結構引く。
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