世期末世界に生きる量産少女リリカルX   作:シャケ@シャム猫亭

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なんだこの作品と思ったそこの貴方!
あなたは正しい! 何せ二年半ぶりの更新ですからね!


まさかまだ130人もお気に入りされてたなんて思わなかった。
嬉しい。


ただいまぁ……

「ただいまぁー……あー、疲れた」

「うぅ、腰とお尻痛い……」

 

 あれから小さなトラブルこそあれど順風満帆の道中となり、予定通りシアの家へは二日で着いた。

 シアは旅道具が入ったバッグをドサリと床に置くと、そのままソファへと倒れ込む。

 一方のナノハは、慣れないバイク旅のせいで痛めた腰とお尻を撫でながら、シアの家へと上がった。

 

 かつてこの世界の首都は大戦で激戦が繰り広げられ、一度は見る影もないほどに荒れた土地となった。だがかつて首都であっただけあって徐々に復興が進み、少しずつではあるが治安も回復しつつある。

 そんな首都から少し離れた湾岸地域に、シアの家はあった。

 首都と違いライフラインが死んでる分不便である。しかし、首都は治安維持隊が見回りしているとはいえ、まだまだ安心できるような場所じゃない。

 数日留守にすれば、その隙をついて泥棒に入られるだろう。

 探掘者(トレジャーハンター)として生活するシアには遠出する機会が多く、その度に泥棒に入られていてはとてもじゃないが暮らしていけない。

 そのため、こうして首都から離れた瓦礫と廃墟の土地で、隠れ住んでいるわけである。

 

「このまま寝ちゃおうかしら……」

『せめてシャワーを浴びてからお休みになりますよう』

「わかってるわよ……」

 

 シアはのそりとソファから身を起こすと、台所へ向かう。

 

「アンタもお茶飲む?」

「あ、うん。欲しいかな」

「んじゃ、その辺座って待ってなさい」

 

 言われた通り、ナノハはソファに座って待つ。

 ただまあ、どうしたって興味は引かれるもので。ナノハはきょろきょろと部屋の中を見回す。

 元々は軍の施設だったというこの家は、入口からして崩れ去りボロボロだった。それでも中に入ってみれば意外とキレイに残っており、その中でもこの一室は普通に家と言えるほど整備されていた。

 もちろん、シアの努力だろう。

 廊下と同じ味気ない床や壁には、絨毯や壁紙が貼られて暖かみを感じられるようになっているし、観葉植物やぬいぐるみが置かれ、可愛らしく仕上がっている。

 

 そのなかでも、ナノハが気になったものがある。

 壁にかけられたコルクボードに、ピン留めされた写真。ナノハは立ち上がり、近寄って眺めた。

 金糸の髪をした高齢の女性が優しく微笑み、赤髪の女性が元気にVサインをし、茶髪の男性が赤ちゃんを抱いて笑っている。

 一見普通の幸せそうな家族写真なのに。なぜかナノハの胸の奥でモヤモヤしたものが沸いた。

 

「何見てんのよ?」

 

 お茶の入ったコップを両手に持って戻ってきたシアは、それをナノハに差し出しながら言った。

 ナノハは礼を言ってから、コップを受け取る。

 

「この写真……」

「ああ、この赤いのがママ。これがパパで、腕に抱かれてるのがアタシ。それから、この一番(とし)行ってるのがお婆様」

「そうなんだ……」

 

 説明されてやっぱりと思うけど、それでもモヤモヤは収まらない。

 なんだろうか、この何か噛み合わない感じは。

 それがシアにも見て取れたのだろう。ついでとばかりに口を開く。

 

「あー、何か納得行かないみたいだから言うけど、ここにいる全員、血は繋がってないわよ」

「え、そうなの?」

「お婆様がよく孤児を拾って来る人でね、パパもママも拾われたの。もちろんアタシも」

「そっか、それで何かモヤモヤしたんだね」

「納得した?」

「うーん……でも、血が繋がっていないのに、お婆様はシアちゃんと似ているね」

「それね、アタシもそう思う。でも金髪赤目なんて割といるし、空似でしょ」

 

 そこで話を切り、シアはお茶をぐいっと呷った。

 ナノハもそれに釣られてコップに口を付ける。

 

「んっ! 冷たい」

「いいでしょ? ここ、動力が生きてるから冷蔵庫とか使えるのよ」

 

 正確には動力炉を復旧させ、生かしているから。

 維持もメンテもお金が掛かるが、動力があるのとないのでは大違いだ。

 疲れた身体に冷たい水は染み渡る。

 あっという間に二人のコップは空になった。

 

「さーて、ナノハは先にシャワー浴びちゃいなさい。アタシはその間に戦利品の確認するから」

「戦利品?」

「アンタがいた施設にあった使えそうな物を持ってきたのよ」

「それどうするの?」

「売る」

「それって、泥棒じゃ──」

「探掘はれっきとした職業よ。その道で伝説的な一族がいるくらいにはね」

 

 何でも動物に変身する術を持ち、あらゆる遺跡を探掘して回り、世に出回るロストロギアの半分はその一族が見つけたとか。

 大戦中に一族は散り散りになり、今じゃみんな行方知れずらしいが。

 

『スクライアの者たちは、みな優秀です』

「あ、スクライアって言うんですね」

「バル、アンタまるで会ったことあるみたいに言うわね」

 

 まあ、シアとて"自称"スクライアなら何度か会ったことがある。

 大体は探掘者とはとても言えないような三流以下だったが。

 

『大戦前は図書館で司書をしていた方がおりましたので』

「何その才能の無駄遣い。今じゃ考えられないわね」

 

 もし今、本物のスクライアがいれば、軍に首輪を付けられてここ掘れワンワン休みなく働かされるだろう。

 しかも、三日で掘り起こせとの無茶な命令付き。

 毎日目の下にクマを貼り付けて遺跡に籠るのだ。

 そんなことを語るシアに、あんまり変わらなかったとは言わないのはバルなりの優しさだった。

 

「ほら、飲み終わったら行くわよ。シャワーの使い方教えてあげる」

「あ、うん。ごちそうさまでした」

 

 コップを流しに置き、ナノハをシャワールームへ案内する。シャワーの使い方を教えて着替えとバスタオルを渡すと、シアは戦利品を送った保管庫のある別室へと向かった。

 地下にあるその部屋は、元は避難シェルターだったらしく、分厚い扉による厳重なロックが掛かっている。

 認証パネルにバルをかざしロックを外すと、安全のためかゆっくりと扉が開いた。

 部屋の中は二つの区画に分けられている。一つは今までの戦利品が大雑把に分類分けされて置かれた保管庫。もう一つは時空間魔法で出先から戦利品を送るための転送スペースで、床にはクッションマットが敷かれている。

 シアは今回の戦利品が山積みになった転送スペースへ行くと、早速その選別を始める。

 

「保存食はまだまだ平気そうね、取って置きましょ。お酒はマーケットに卸すとして、新品の軍服……」

 

 防弾防刃素材なので、何かに使えるだろうか。

 

『私がいるので必要ないかと』

「普通に考えて、バリアジャケットの方が強いわよね」

 

 これも、マーケット行きでいいだろう。

 あとは医療品に携帯用小型動力、デバイスとデバイスパーツ。野営用のテントやら雑貨。

 

「医療品とデバイスパーツ類は先生の所に持っていくのがいいかしら」

『であれば、明日にでもお届けするのがよろしいかと。要望リスト品が数点あります』

「なら、ついでにナノハのことも診てもらいましょ」

 

 ざっくりと分けて梱包し、それぞれの保管場所へ置く。

 それでもまあまあな時間がかかった。もうナノハはシャワーを終えているだろう。

 早く汚れを落として、お腹いっぱい食べて、ぐっすり眠りたい。

 保管庫の扉をしっかりとロックして、シアは部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「お医者さん?」

 

 一週間ぶりの自室で寝たシアとナノハ。一つしかないベッドで二人寝たためちょっと狭かったが、それでも安心のためか快眠できた。

 朝食もしっかり取り疲れも取れたシアは、日が十分に昇ってから首都へとバイクを走らせた。

 後ろにはナノハを、両脇には戦利品をパンパンに詰め込んだバッグを載せて。

 

「そう。アンタ長期間生体ポットに入ってたんだから、メディカルチェック受け取きなさい」

「でも私、元気だよ?」

「記憶喪失になってるくせに何言ってんの」

 

 昔ならハイウェイが使って一時間程の道のりだが、残念ながらあちこち崩れているため使うことができない。

 瓦礫で埋まった道を迂回しながら進むこと二時間、ようやく首都へと入った。

 

「わぁー! シアちゃん見て見て、すっごく高い建物!」

「見飽きたからいい」

 

 最初に目に付くのは、首都中央にそびえる建築物。

 途中で折れて無くなっているため、ホントはもっと高かったんだろうが、それでも他のビルとかと比べれば何倍も高い。

 

「ねえ、あれってなんなの?」

「この辺牛耳ってる奴が居る場所。高みから見下ろしててムカつく」

「……もしかしてシアちゃん、あれ嫌い?」

「大っ嫌いよ」

 

 吐き捨てるようにシアは言った。

 その強い口調にナノハは怯み、しばらく無言が続く。

 どうしてなのか聞こうとタイミングを伺っているうちに、バイクは路地へと入っていき、一軒の店の前で停まった。

 

「着いたわよ」

「よいしょっと……う、また腰が。シアちゃんはよく平気だよね」

「慣れよ」

 

 初めはシアも腰を痛めていたが、次第に痛めない乗り方が分かり、今では数時間くらいならまったく問題ない。

 ナノハがストレッチで腰を伸ばしている間に、バイクの両脇に取り付けていたバッグを取り外す。

 片方をナノハに持たせてバイクに鍵をかけると、シアは店へと入っていった。ナノハもその後に続いたのだが、

 

「し、シシシシシシアちゃんッ!?」

「何よ?」

「だ、ダメだよココはっ! 今すぐ出なきゃ!」

 

 マネキンが着ているいかがわしい衣装。ショーケースに並んだ卑猥な道具の数々。

 壁に貼られたポスターにはあられもない女性の姿。

 はっきり言ってしまおう、ポルノショップであると。

 

「こういうのはちゃんと十八歳になってからじゃないとダメなの! 常識でしょ!?」

「いつの常識よ。あ、いや、アンタがポットで寝る前はそうだったのか」

 

 今じゃ法律なんてあってないようなものだから、こういうグッツは普通に売ってるし買える。

 とはいえ、この店の品揃えと(ごう)はその辺じゃ見れないほど深いが。

 

「安心しなさい、用があるのは奥だから」

「奥? ……もしかして、もっとスゴい物を──」

「違うわよ!」

 

 シアは誰もいないレジカウンターに入ると、そこにあった端末をカタカタと操作する。

 するとポスターの貼られていた壁の一部が上がり、地下へと続く階段が現れた。

 ナノハは呆気にとられ、ポカンと口を開ける。

 

「行くわよ」

「……あ、うん」

 

 ナノハはシアの後に続き、階段を降りる。

 およそ二階分降りた先にあったのは、様々な機械が置かれた研究室のような部屋だった。

 

「先生、センセー! ……寝てるのかしら? その辺の椅子に座って待ってなさい、探してくるから」

 

 くれぐれも機械とかには触らないようにと言うと、シアは奥へと続く扉を開けて行ってしまった。

 ナノハは言いつけを守り、持っていたバッグを床に置いて待っていたが、中々シアは戻ってこない。

 暇になって辺りを見回していると、何やら機械の影でモゾモゾと動く影があった。

 気になって見ていると、ひょこっと子供が顔を出した。栗色の髪を腰まで伸ばした女の子だ。歳は十に届かないくらいだろうか。

 可愛らしい服の上に、だぼだぼの白衣を着ている。

 

「えっと、こんにちは」

「……おねえちゃん(だあれ)

 

 女の子はこてんと首を傾げる。前髪を止めている黄色い髪留めが明かりを反射してきらりと光った。

 ナノハは女の子に近寄り、しゃがみこんで目線を合わせて自己紹介する。

 

「私はナノハって言うの。あなたのお名前は?」

「……フラーリィ」

「フラーリィちゃんね、よろしくね」

「ナノハ、おねえちゃん?」

「うん、そうだよ」

 

 ナノハが肯定を返すと女の子はぱあっと花が咲いたように笑い、勢いよくナノハへと抱きついた。

 そのまま楽しそうにナノハの胸の中で頭をぐりぐりと動かす。

 

「えへへー」

「あはは、くすぐったいよー」

「………C……」

「? 何か言った?」

「ううん、なんにも? それよりもおねえちゃん、きてきて!」

 

 そう言うと女の子はナノハの手を引き、マッサージチェアのような物の回りに色々な機械が取り付けられた機械の前に連れて行く。

 

「これにすわって!」

「座ればいいの?」

「うん!」

 

 満面の笑みで女の子は頷く。

 ナノハは言われた通りに、マッサージチェアのようなそれに座る。くれぐれも機械に触るなとシアに言われたことがちらりと頭をよぎったが、よぎっただけだった。

 

「はい、これでいい?」

「うん、ありがと! ────これでアンタはウチの(もん)や」

 

 カシャン。

 

「へ?」

 

 突然、椅子から拘束具が飛び出し、ナノハの両手両足は椅子に固定された。

 慌てて外そうともがいてみるも、まったく外れる気配がない。

 

「あ、あの、フラーリィちゃん……?」

「いやー、こんな上玉は久しぶりやなっ! 可愛(かいら)しいし肌スベスベやし、何よりこの将来性を感じるおっぱい!」

「え、ちょっ、やぁ!」

「柔らかさも弾力も、文句なしや!」

 

 女の子はがっしりとナノハの胸を鷲掴み、遠慮なく揉みしだく。

 ナノハは身をよじって逃げようとするが、拘束されているためまったく叶わない。

 

「どうやってここに入ったかは知らんけど、迂闊な自分を恨むんやな」

「は、離してっ!」

「大丈夫、痛いのは最初だけや。すぐに気持ちよくなるでー」

「ぃやぁ……」

 

 ナノハは恐怖のあまりに涙を浮かべるが、それは女の子の加虐心を煽るだけだった。

 女の子はニタニタといやらしい笑みを浮かべながら、ぷちり、ぷちりとナノハの上着のボタンを一つ一つ外していく。

 

「ふふふっ、ながーい夜の始まりや……」

 

 そうして露わになった胸の、最後の砦を外そうと手を伸ばし────

 

「そこまでだクソレズ」

 

 シアの発したフォトンランサーに吹き飛ばされた。

 

「シアちゃんっ!」

「ったく、だから言ったじゃない。機械には触るなって」

 

 はあっとため息を吐きながら、シアは機械の操作パネルをいじる。

 ほどなくしてナノハの拘束は解け、ナノハはシアへと勢いよく(すが)り付いた。

 

「ぅええぇん、怖かったよぅ……」

「はいはい、もう大丈夫だから」

 

 ぐすぐすと泣くナノハの背中を、シアはあやすように叩く。

 

「早く、早く帰ろうっ」

「用事が済んだらね…………起きろ、次は本気で撃つわよ」

 

 シアは鎌のようなデバイスになったバルを、壁際で倒れている女の子に向けて言った。

 

「……やれやれ、物騒やな」

 

 シアのフォトンランサーで壁際まで吹き飛ばされていた女の子が、むくりと起き上がる。

 そして服についたホコリをパンパンと手で落とすと、まるで何事もなかったかのように立ち上がった。

 

「こーんな可愛い子にデバイス向けて平気なん?」

「黙れロリビッチ。いい加減客を襲うの止めなさい」

「せやかて、可愛い女の子とにゃんにゃんするのはウチの生きがいやし?」

「それが辞世の句ね?」

 

 バシュンッ!

 

「ギャン!」

「……はあぁぁ、腕は良いのに……」

 

 シアは頭を抱えながら、盛大にため息を吐いた。

 

「あの、シアちゃん。あの子、ピクリともしないんだけど……」

「平気よ、バカみたいに魔力高いから」

「バカとはひどい言い草やな」

「何でそこには反応するのよ」

 

 ぴょんと、またもや何事もなかったように女の子が立ち上がる。

 

「それで、今日は何の用や?」

「アンタが欲しがってた物が手に入ったから売りに来たの」

 

 シアは持っていたバッグを女の子に投げ渡す。ついでに床に置かれていたナノハのバッグも。

 中々に重いはずだったが、二つとも軽々と受け止めると、早速女の子は中身を検分し始めた。

 

「おお、この薬よう見つけたな。こっちは……アカン、析出しとる。二束三文やな。……む、このパーツ、使えそうやな……」

 

 一つ一つ丁寧にテーブルに広げ、時には光に透かして確認していく。

 楽しそうに、でも真剣なその表情を浮かべて。

 あまりの変わり身に、ナノハは頭が追いつかない。

 

「ああそれと、ナノハのメディカルチェックもお願い。お代は天引きでいいわ」

「ええよー。さっきの椅子座って待っといてな」

 

 こちらを見ずに、女の子は小さな手をひらひらと振って応える。

 

「だってさ。ほら、座んなさい」

「い、いやいやいやいや! さっきあんな目にあったばっかりだよっ!?」

「大丈夫よ、アタシが監視してるから」

「だとしても! だ、大体あの子何なの!?」

「ああうん、そうよね。先に言っておくべきだったわ」

 

 シアは心底嫌そうな顔をしながら、女の子を指差して言った。

 

「アイツはフラーリィ。一級の闇医者で、特級のデバイスマイスターで、ド級の変態よ」

 

 

 

 

 




バルドスカイのノイ先生の誘惑に速攻で負けた作者です。
ぅるせぃ、私に石を投げれるのはノイ先生の誘惑に負けなかった人だけだ!!


最近、リリカル二次増えて嬉しい。
ついつい思いついて書いちゃったじゃないか。
え、量産型の方はどうしたかって?
……ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪(目逸らし下手な口笛


でもこれでやっと三娘そろい踏み。
シア、7NO8、フラーリィ。
○○シア、ナノハ、Flurryと書けば、わかりますよね。
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