大空とスクールアイドル   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)272 「専属の執事」

 

 

 

10分後にことりは目覚めた。娘がとりあえず目が覚めたのを確認すると、仕事に行く準備をし、玄関にてことりの母は財布から5000円札を取り出して、ツナに手渡した。

 

お金(これ)をツナ君に渡しておくわ。ことりが何か食べたいって言った時に使って。後、台所にお粥があるから。」

 

「わかりました。」

 

「後、これ私の携帯番号。なるべく早く帰るつもりだけど、もしことりに何かあったら連絡して。」

 

「はい。じゃあ後は任せてください。」

 

「ごめんなさいね。ツナ君に任せっきりで。」

 

「大丈夫ですよ。気にしないでください。」

 

「ありがとう。じゃあ行って来るわね。」

 

そう言うとことりの母は玄関を出て、仕事に向かっていき、扉が完全に閉まったのを確認した後、再びことりの部屋に戻ると、とりあえず熱を計った。

 

「どう?熱は下がった?」

 

「ううん…全然…」

 

「そっか。まぁ今は安静にすることが大事だからね。あ!そういえばお母さんが、お粥作ってたって言ってたけど食べる?」

 

「うん…」

 

ことりが弱々しい声でそう答えると、ツナは台所に行ってことりの母が作っておいたお粥を電子レンジ温めて、台所からお盆とスプーンを探した後、お盆にお粥の入った皿とスプーンを乗せて、ことりの部屋に戻った。

 

「どう?食べられそう?」

 

「なんとか…」

 

「わかった。じゃあ俺が食べさせてあげるよ。」

 

「えええええ!?///」

 

まさかツナが食べさせてくれるような、夢のような展開が起こるとは思ってもみなかった為、顔を真っ赤にしてしまった。

そして断る間もなくツナはスプーンにお粥を掬い、ことりの口元に近づけていった。

 

「はい。あーん。」

 

「あ、あーん…!!///」

 

「どう?美味しい?」

 

「う、うん…!!///美味しいよ…!!///」

 

ツナ君が食べさせてくれたからという言葉を、グッと押えこみながら、ことりは美味しいと答えた。

 

「よかった。じゃあもう1回、口を開けて。」

 

「え…!?///その…!?///」

 

ことりは自分で食べるから大丈夫だよと言うつもりであったが、このままツナに食べさせてもらいたいという気持ちが強くて、結局断ることができずこの後もお粥が半分ぐらい無くなるまで、ツナに食べさせてもらった。

だがことりはこれ以上、ツナに食べさせてもらうのが恥ずかしくなってきてしまった。

 

「も、もう大丈夫だよ!!///自分で食べられるから!!///」

 

「そう?無理しないでね。」

 

そう言うとツナはスプーンを皿に置いて、そのままお粥の皿をことりに渡すとことりはお粥を食べ始めた。ツナに食べさせてもらったおかげか、少しであるが食欲が戻ったようである。

しばらくしてことりはなんとか、お粥を食べ終えた。

 

「よかった。食欲が少し戻ったみたいだね。」

 

「う、うん…!!///」

 

「あ、ご飯粒ついてるよ。」

 

「!?///」

 

そう言うとツナはことりの口元についている、ご飯粒を人さし指で取ると、そのご飯粒を食べた。その仕草にことりは顔を真っ赤にしてしまった。

 

「じゃあ次は薬を飲まないとね。」

 

「う、うん…!!///」

 

この後、ことりは病院で渡された薬を飲み、再びベッドの上で横になった。

 

「ことりちゃん、他に何か食べたい物とかない?」

 

「大丈夫だよ…ありがとう…」

 

「何かあったら遠慮なく言ってね。いつもことりちゃんはメイドとしてお客さんの色々の要望を答えてるけど、今日は甘えていいんだよ。今日の俺はことりちゃんの専属の執事だから。」

 

「わ、私専用の執事…!!///」

 

ことりはいつもはツナの専属のメイドの姿を想像しているが、この言葉でツナが自分の執事をやっている姿を想像して顔をほんのりと赤くしてしまった。

 

「じゃあさっそくお願いがあるんだけどいいツナ君…!?///」

 

「うん。いいよ。」

 

「私の手を握っててくれない…!?///」

 

「手を?」

 

「うん…!!///」

 

「いいよ。」

 

手を握ってくれという要望に疑問符を浮かべたが、それでも両手でことりの右手を握った。

 

「これでいい?」

 

「うん…!!///こうしてると安心するの…!!///」

 

「そっか。じゃあこのまま握っててあげるよ。」

 

笑顔でそう言うと、30分後にスゥスゥと寝息をたてながら眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は経過していき、4時間後。

 

「う、う~ん…」

 

寝ていたことりが目覚めると、部屋にある時計を見て時間を確認した。

 

「あれ?ツナ君は…?」

 

部屋の中を見てもツナの姿が見当たらないことに気づくが、右手に温もりを感じた。そこには両膝を床について眠ったまま、ことりの右手を握っていたツナがいた。

 

「ことり…ちゃん…」

 

「もしかしてあれから…ずっと…?」

 

ことりは眠ってもなお、自分の手を握っていたツナを見て、あれからずっと自分の手を握っていてくれたということを確信した。

さらにツナは寝言を続ける。

 

「大丈夫だよ…俺がずっと傍にいるから…この手を離さないから…」

 

「ツナ君…!!///」

 

眠っても自分のお願いを護り続けたツナの優しさに、ことりは顔を赤くしたのだった。

 

 

 

 




高評価をくださった、冨永房藻さんありがとうございます。

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