鳥のさえずりが朝を告げている。
早朝、僕はある場所へ向かっていた。それは真琴のお墓である。僕は毎日お参りしたいが真琴のお墓は小さな山の頂上ではかなり大変なのでせめて一ヶ月に一回だけでも行こうと思った。
僕は、延々と見える階段を登り、彼女のお墓を目指し歩いた。太陽がこれでもかというほどに輝いていた。まるで真琴が笑っているかのように。僕は彼女のお墓に彼岸花を挿した。彼女が前に言った言葉を思い出し花屋で買ってきた。
僕は、線香をあげ、真琴との思い出に浸っていた。
「もう一ヶ月か…。僕は真琴と出会って、変われたんだ。友達は真琴のおかげで出来た友達や仲間ができたんだ。真琴の分まで友達を作ろうて思ってるよ。前の自分だったら、こんなこと考えられないだろうって思ってるだろう?」
僕は、お墓の前で延々と喋っていた。時計を見ると、登校の時間が迫っており真琴に挨拶をして急いでお墓を後にした。
学校に行くと、友達の優太と明央がいた。今でも変わらず友達だ。新しい友達だってできた。隣の席の子、同じ部活の子。
そして昼休み、僕と優太と明央はいつものように屋上のベンチに座っていた。
「何で、真海が死ななきゃなんないの?真海が死ぬなら、私も、死ぬ!」
明央は一ヶ月経ってもこれだった。これは立ち直るのに時間がかかりそうだ。
「しょうが無いだろ?もう過ぎたことだよ」
優太は、切り換えが早かった。
「もう優太は冷たい!愛斗もなんか言ってやって!」
「真海も色々あったんだよ」
「何か知ってるのか?」
優太が言った。
「別に。真海の事ずっと忘れないようにしような」
明央と優太はうなずいた。
僕は学校の帰り道の途中で本屋の前で立ち止まった。以前真海に言われて気になった彼岸花。何故だか無性に彼岸花の花言葉について知りたくなった。一年生のとき彼女に彼岸花の花言葉を聞かれて、僕は分からず聞いてみると、
「悲しい想い出…。それと、もう一つは…。」
「何?」
僕は聞いたが彼女は「ヒミツ~!」と答えて教えてくれなかった。
僕は本屋に入り花のコーナーに行き、花言葉が載っている本を探した。時間はかかったが見つかった。
(彼岸花、彼岸花…。あ、見つけた…。)
彼岸花にはたくさんの花言葉があった。でも一つだけ目にとまるものがあった。そこには、
「想うは…あなた一人」
僕は文字をなぞりながら口ずさんだ。途中で涙が目から一粒流れた。
(そうか。彼女はあの時からずっと僕のことを想っていたのか…。)
僕は本屋ということを忘れ、大声で泣き叫んだ。
僕は涙を拭い、本屋を去った。そして、真琴が住んでいた家に帰った。あれから、自分の家に戻るか迷ったが、真琴との思い出が詰まったこの家から離れたくなかった。僕は自分の部屋に入り、ベットに寝転んだ。
「真琴。元気か?僕は元気だ。僕は真琴との思い出は忘れないよ。
そうだ、僕は心理学者になろうかなと思ってるんだ。僕はこれから、多くの人を助ける。そして、真琴がやりたかったことを僕が引き継ぐ。僕を好きになってくれてありがとう。僕に恋を教えてくれてありがとう。」
そう口ずさんだ。すると、耳元で聞き覚えのある声が聞こえた。
僕は起き上がって辺りを見回した。しかし人らしき人はいなかった。
(真琴?)
「あんにゃろ~!」
僕は、部屋を飛び出して真琴の部屋に向かった。
ドアを開けるとそこには、僕と真琴二人の写真が飾ってあった。
(これ、花火の時の?これを見せたかったのか?)
この時僕は無性に大好きと言いたくなった。
「真琴、大好きだ」
僕は、真琴に背中を押されたような気がした。
(また会いに行くよ。彼岸花を持って)