高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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遊びながらお金を稼いで暮らしたいとかクソ甘えた事を週に5回くらい考えてる作者です。
ついこの間ヘリに乗ってて気流が悪くて揺さぶられた時は死ぬほど怖かった・・・


代用空港

キャノピーを伝っていく大量の雨粒。

捨てられた飛行場でトマホークと名付けた柴犬を拾った私達は東にあるというフェアリィという街を目指して飛んでいた。

その最中に急に天候が崩れ雨が降り出した。

フェアリィまではあと30分ほどの距離だった。

 

「ねぇーハルー・・・雲の上に出ようよー・・・」

 

「そうしたいんだけど・・・」

 

実は今いる高度がメートル換算で8000m以上だった。

上昇したいが到着寸前に急降下が必要になる。

危ないし何より雲はまだまだ上の方にあった。

 

「変な天気だね・・・」

 

「この辺りではたまにあるらしいよ」

 

「う〜・・・青空見たいー!」

 

急に天候が崩れてすでに1時間。

降水量は並の雨のため物凄く降っているというわけでもない。

 

《着氷しないといいけど・・・》

 

「この高度で今1℃程度だからね。少し下りればもう少し暖かくなるから凍らないかも」

 

《着氷も怖いし下りるに一票ね》

 

「私も!」

 

「ワンッ!」

 

《トマホークも高度下げてって言ってるわよ、編隊長どの》

 

「・・・分かった、高度4000mまで降下しよ」

 

《了解!》

 

緩やかに操縦桿を奥に押して機首を下げた。

高高度だったために良く見えていなかったが下は広い草原や森が広がっていて、小さな村が何箇所も見えた。

その村も多種多様で見ていて面白い。

古き良きという感じの石造りの家などが立ち、畑や井戸のようなものがある所もあれば、現代風の家に村を守るための対空火器や対戦車砲のような物を置いている村、少し大きめの集落にはその村の人が所持しているのかそれとも冒険者が訪れているのかは分からなかったがCH-46とAH-1が駐機してあったりした。

 

「この辺は村とか多いね」

 

「うん、比較的魔獣とかが少ないのかな」

 

「特産品とか美味しそうなのいっぱいありそうだよね!」

 

《たしかこの辺りはフェアリィって街が近いだけあって精霊関係のものが有名だったわよ》

 

「精霊・・・」

 

そういえば今から行く街は精霊使いや色々な種類の妖精が集まる街だからということでフェアリィという名前になっていた。

街にはしっかりと空港もある。

またここは精霊魔法などを習得できる学校のような所もあり様々な魔法を習得できた。

昔、精霊魔法を習得して使い魔と共に戦闘機を乗り回している人が居た。

火や水の精霊を使って機関砲の弾丸に水の属性や火の属性を付与したり風の精霊魔法で失速限界の速度になっても翼の空気が剥離して失速しないようにしたりしてVTOLでもないのにその場でホバリングしたりと割とメチャクチャをやっていた。

 

「精霊のお守りとか欲しいよね!」

 

「うん、ご利益とかありそうだもんね」

 

「あと使い魔って何かいいよねー・・・」

 

「トマホークがいるでしょ」

 

「わぅん・・・」

 

トマホークは言葉が分かるのかちょっと悲しそうな声で鳴いた。

 

「ち、違うから!そんな悲しそうな顔しないでよ!ほれ、よしよし!」

 

「わん!」

 

《賑やかね・・・》

 

「ごめんね、こっちは二人乗りだから」

 

《分かってるわよ!何よ!私がそっちに混じりたいとでも言った!?別にトマホークと遊びたいとか思ってもぬいんだから!》

 

「はいはい」

 

《ムカつくぅぅ!!》

 

「ちょっと、危ないよ」

 

リリアのミグはフラフラと翼を振っていた。

 

「ハルのお友達は元気だねー・・・ね、トマホーク〜」

 

「くぅん・・・」

 

「・・・後ろで楽しそうだね」

 

私だってトマホークをもふもふしたい。

心行くまでもふもふしたい。

 

「雨・・・止まないかな」

 

なんて思いながら飛んでいるとGPSに空港が表示された。

フェアリィの空港コードも表示されていた。

 

「マヤ、フェアリィが見えてきた」

 

「あ、ホントだ。管制呼び出す?」

 

「うん、燃料も増槽使い切ってるし早く降りたい・・・」

 

《私はもう残量70%程ね》

 

「了解。機体に異常は無い?」

 

《うん、計器に異常は無いよ》

 

「分かった、フェアリィも雨だろうから着陸した時にスリップしないように気をつけて」

 

《了解》

 

私は無線をフェアリィの管制に合わせる。

 

「フェアリィタワー。こちらエンジェルフライト。」

 

《エンジェルフライト、フェアリィタワー。どうぞ》

 

「フェアリィ空港への着陸を求めます。こちらはF-14、Mig-29の2機編隊」

 

《エンジェルフライト、フェアリィタワー。ネガティブ。こちらの滑走路は現在、着陸失敗事故で塞がっています。復旧の目処は経っていません。》

 

「着陸失敗事故?」

 

《賞金首と交戦した冒険者グループの内一機が着陸寸前で滑走路に激突、現在滑走路が使用不能の状態です。》

 

「了解。どこかに代わりの空港はありますか?」

 

《ここから北、300km先にこの街と交流のある村に農業用の滑走路があります。長さは1500m、アスファルト製の滑走路です》

 

「了解、そちらに向かいます」

 

《300km程度なら何とかなるわね》

 

「うん。でも燃料は節約して飛ぼう」

 

《そうね。》

 

《フェアリィタワーよりエンジェルフライト。村への着陸を許可します。現在、村近くに在空機は居ません。村には管制塔がありませんが村の精霊魔法使いが案内に精霊を使って滑走路まで導いてくれるそうです。現在村は悪天候により視程2000m、雨です。》

 

「了解、ありがとうございました。」

 

「精霊の案内ってすごいね!」

 

《インテークに吸い込んだりしないわよね・・・》

 

「精霊には実体が無いらしいから大丈夫だと思うよ。」

 

《そうよね・・・というか案内に使うくらいだから大丈夫よね・・・》

 

私達は街の上空を通り越して北に向かった。

通り過ぎる際に滑走路を見ると滑走路の真ん中付近に燃え上がる機体があった。

パイロットが無事な事を祈りつつ村を目指す。

 

「村かー・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや、私って出身が小さな村だったんだよね。その村が今はどうなってるかなーって」

 

「今度行ってみる?」

 

「うーん・・・どうしようかな・・・お父さんこの前ハリアー買って調子乗ってホバリングしてたら倉庫燃やしたって言ってたし・・・」

 

「・・・」

 

「お母さんはお母さんで戦闘機はソ連?製しか認めないってお父さんといつも喧嘩してたし・・・」

 

「濃い家庭だね・・・」

 

「私は妹がいるんだけど妹は妹でB-52こそ至高の存在、全知全能の神とか言って家の近くにB-52を祀った祠を建てたり・・・」

 

「妹・・・」

 

「何か爆撃機を信仰する会とかいう宗教の幹部だよ」

 

「なにその宗教怖い」

 

異教徒は爆撃されそう。

なんて話していたら突然目の前に赤い球体が現れた。

本で見た事があるが、精霊のようだった。

まるでこちらを誘うかのように前をひらひらと飛んでいた。

 

「お迎えかな?」

 

「たぶん。300kmならそろそろだろうから」

 

「了解、リリア。誘導が来たよ」

 

《私の目の前にも居るわ。視界が悪いからこの子が頼りね》

 

「うん、まだこの高度ならいいけど下は厚い雲だから気をつけて」

 

《了解》

 

誘導の精霊に従ってゆっくりと高度を下げていく。

すると精霊が何かをジェスチャーするようにフラフラと前を飛ぶ。

丸い円のような形を作り続けていた。

 

「ねぇハル、ギアダウンしてってことじゃない?」

 

「あー・・・なるほど。了解、ギアダウン・・・ロック」

 

精霊はギアダウンすると嬉しそうにまた前を飛び始めた。

フラップも下げて着陸態勢は整った。

ただ、滑走路がまだ見えない。

 

「見えないね滑走路・・・」

 

「うん・・・ん、あの光・・・」

 

何かが前方で点滅していた。

誘導灯のような感じだった。

 

「誘導灯かな」

 

「信じて行ってみる?」

 

「うん、念の為ゴーアラウンド出来る態勢でいくよ」

 

「了解!」

 

《了解、ゴーアラウンド出来る態勢ね!》

 

スロットルをいつでも全開に出来るようにする。

だが、その必要は無さそうだった。

目の前に滑走路が現れた。

 

「滑走路だ」

 

「あ!ほんとだ!」

 

高度が下がりすぎていたので少し高度を上げて進入する。

1500mしか無いのでなるべく滑走路端を狙って機体を接地させた。

 

「ナイスランディング!」

 

「ふう・・・天気悪いとドキドキするね」

 

リリアの機体も接地し、ドラッグシュートと呼ばれる制動用のパラシュートを広げていた。

 

「あれ、後で畳むの手伝ってって言われるよね」

 

「だろうね・・・あれ何回も使うものじゃないってハルが教育してあげてよ!」

 

「あの子ケチだから無理」

 

《聞こえてるわよ!誰がケチよ!》

 

「ワンっ!」

 

《犬語でも何言ってるか理解出来たわよ今!!》

 

「あ、トマホークが見たことないくらい笑顔になってる」

 

「犬にもバカにされてるね」

 

《うるさいわよ!泣くわよ!》

 

「泣いたらちゃんと慰めてあげるよ」

 

《あんたは優しいのかドSなのかどっちなのよー!》

 

「飴と鞭を使い分けれるから優しい」

 

《言うと思ったわ!》

 

なんて言い合いながら滑走路を出て駐機場らしき場所に機体を止めた。

エンジンを止めて外を見ると沢山の人が集まっていた。

ただ、何か困った様子だ。

 

「・・・なんか下りてものんびり出来ない予感」

 

「・・・私も・・・」

 

しかし下りないわけにも行かないのでタラップを下りた。

すると村長らしき人が駆け寄ってくる。

 

「よくぞおいでくださいました。ようこそ・・・と歓迎したいのですが・・・」

 

ほらきた。

予感的中だ。

 

「何かあったんですか?」

 

「実は昨日に・・・」

 

聞くと昨日、村の近くにある洞窟に最近住み着いた魔物が村へ献上品を求めてくるらしい。

それがもう三ヶ月前だが今月は降り続く雨のせいで狩りに行く事も出来ず、作物も降り続く雨のせいで出来るものも出来なかったそうだ。

それを村にやってきた魔物に言うと、食べ物が無いなら代わりにこの子を貰う。返して欲しければいつも通り食べ物を持ってこい。といい近くにいた女の子を攫って行った。

期限はその魔物の空腹が限界になる4日後。

街のギルドに救援を求めようにもこの辺りはまだ通信が確保されておらず、村の農業用飛行機用の燃料を運ぶ輸送機や定期整備のための人員や街からの交易品が乗った飛行機が降りてくる以外は街との交流も無かった。

飛行機で街に行こうにも悪天候のせいで農業用飛行機は飛べず車を使おうにも悪路のせいで街まで最低1日はかかっていた。

しかもギルドに救援依頼を出してもそれを受理して助けが来るまでに何日かかるか分からない。

困り果てている所にたまたま私達が悪天候と街の滑走路が事故で塞がり代用空港としてこの村に着陸してきたという事だ。

 

「どうする?」

 

「どうするって・・・」

 

洞窟があるのはこの先2キロくらいだ。

それに魔物がどんなものか分からない。

 

「マヤ、銃の弾は?」

 

「あと・・・300発ずつかな?でも弾倉は持てても6本くらいが限界だし・・・」

 

そう悩んでいるとリリアは私達より先に返事を返した。

 

「やるわ!化け物ぶちのめしてその子助けてくるわよ!」

 

正義感なのか何なのか・・・村人はその言葉を聞き喜びの声を上げたり泣いたりしていた。

・・・断るに断れなくなってしまった。

 

「リリア・・・」

 

「いいじゃない、この人たち困ってるんだし」

 

「そうだけど・・・」

 

私だって良心はある。

こんな話を聞いて嫌だとは言えない・・・けど、私達はパイロット。

地上で戦うのは本職ではない。

相手がもし銃火器を使うオークだったら逆にやられてしまう。

 

「リリア、気持ちは分かるけど私達はガンナーじゃないんだよ」

 

「そうだけど・・・ほっとけないわよ」

 

「私だってほっときたくないけど・・・だけど、相手の戦力も分からないんじゃどうしようもないよ」

 

「・・・」

 

私とリリアであーでもないこーでもないと悩んでいるとマヤが何かを思いついたようだ。

 

「ねぇハル、戦闘機を使えば?」

 

「戦闘機って・・・洞窟ごと吹き飛ばす気?」

 

「違うよ!街まで飛んで救援をお願いするとか・・・」

 

「でも街の滑走路は・・・」

 

「なにもフェアリィだけじゃないよ、テキサスでも!」

 

「テキサス・・・そっか、ここから真っ直ぐ飛んで3時間もかからない・・・」

 

「そういうこと!」

 

「でも報酬次第では来てくれない人が・・・」

 

言い方は悪いが結局は金次第・・・そういう事だった。

無償でいいと助けに来てくれる人もいるかも知れないが探すのに時間がかかる。

だがマヤにはアテがあるようだった。

 

「大丈夫!私の友達で人質救出とかで稼いでるパーティいるから!ちなみにもう連絡済みだよー!ふふふ、どや!」

 

「・・・こういう時だけ仕事早いんだから」

 

「そういう訳だから村長さんに話してくるねー!」

 

マヤは村長の所へ走っていく。

雨はさっきより強くなり始めていた。

視程も悪くなってきた。

おまけに風も出てきた。

早くしないと飛ぶに飛べなくなる。

 

「ハル、私のフルクラムじゃ航続距離が足りないかも。」

 

「分かってる、リリアはここでトマホークと待ってて。何かあれば無線で連絡するよ」

 

「分かった、気をつけて」

 

私はいつでも上がれるようにコックピットに乗り込む。

ここに到着前に増槽を使い切っているが道中に空中給油サービスをしている給油機が飛んでいたはずだ。

機内燃料もまだ1000km近く飛べるくらいには残っている。

テキサスまでは約800キロ。

道中で給油を受ければ充分だ。

燃料の計算をしているとリリアが戻ってきた。

 

「ハル!離陸!」

 

「分かってる、村長さんはなんて?」

 

「お願いします・・・それだけだよ」

 

「・・・分かった、行くよ」

 

「トマホークは?」

 

「リリアと待ってもらってる。今は時間が惜しいから急ぐよ」

 

「了解!」

 

急ぎつつも落ち着いてエンジンをスタートさせる。

ゆっくりと第1エンジンの回転数が上がっていき、第2エンジンもスタートする。

よし、トムキャットはご機嫌だ。

空を見上げると不気味なほど暗い空が広がっていた。

風もかなり強い。

 

「マヤ、アフターバーナー点火して一気に加速、離陸するよ」

 

「分かった。風は200から20ノット」

 

「強い・・・」

 

風の音がキャノピー越しにも聞こえる。

滑走路端までタキシングして一気にスロットルを開ける。

雷のような轟音を轟かせ滑走を始める。

 

「80ノット・・・・ローテート!」

 

ゆっくりと機首を上げると機体の斜め右から吹く強風で機体が揺さぶられた。

 

「おっと・・・結構風強いね」

 

「うん、早く風が弱くなる所まで上がろう」

 

目的地はこのまま真っ直ぐだった。

そうなると当分この向かい風と付き合わないといけない。

燃料の事も考えると早く風の弱い所に上がりたい。

 

「高度5000・・・マヤ、風速は分かる?」

 

「待ってね・・・えーっと・・・まだ強いよ、25ノット」

 

雨足もかなり強い。

前がほとんど見えないほどに視界も悪かった。

VFRは諦めて今は計器に頼って飛ぶIFRだ。

 

「マヤ、念の為周囲に警戒してて。なるべく回避して進むから」

 

「分かった!けど、敵より厄介なのが映ってるね・・・」

 

「なに?」

 

「前方に大きな積乱雲・・・ちょっとこのままだと避けれないかも」

 

「積乱雲のてっぺんは?」

 

「不明・・・どうする?」

 

「積乱雲は避けたいけど・・・」

 

頑丈な戦闘機だから近づいても強烈な乱気流で分解などはないだろうが・・・でも避けれない以上突入するしかない。

 

「マヤ、乱気流に備えて」

 

「やっぱ突っ込むしかないよねぇ・・・」

 

「気象レーダーでもあれば風の弱い所見定めれるんだけど・・・」

 

気象情報はマヤが携帯電話で収集していた。

機体がガタガタと揺れだした。

 

「来た・・・」

 

乱気流に備えて操縦桿をもう1度しっかりと握る。

目の前はほぼ視界ゼロ。

計器のみが頼りだ。

 

「マヤ、吐かないでね」

 

「ハルこそね!」

 

私は少しスロットルを開く。

一刻でも早くこの雲を抜けたかった。

 

「くっ・・・!」

 

機体が乱気流で上下左右に揺さぶられ始めた。

HUDや補助用の水平儀があっちこっち向き始めた。

 

「おっふ・・・これは酔う・・・」

 

「呑気な事・・・言ってられない・・・!」

 

操縦桿がガタガタと震える。

その時だった。

速度が突然ゼロになった。

 

「え?」

 

「ハル!ピトー管が凍った!」

 

「こんな時に・・・!着氷性なの!?」

 

私はピトー管の氷を溶かすピトーヒートスイッチを入れて、主翼や他の場所が凍らないように氷を溶かすヒーターのスイッチも入れる。

 

「どっちが上か下かわかんない・・・」

 

もはや空間識失調を起こしていた。

計器を見てもそれが本当に正しい表記なのか不安で仕方無かった。

計器は水平を示していても機体は真っ逆さまなのではないか・・・速度が分かれば降下してるか上昇してるのか分かるがピトー管が凍ってしまい正確な速度が分からなかった。

操縦桿を握る手が汗ばむ感じがした。

 

「ハル、がんばって!このまま真っ直ぐ行くと抜けられるから!」

 

「あと・・・あと少しだよね!」

 

私は計器を信じて飛ぶ。

すると数十秒もしないうちに機体の揺れが収まりだした。

また少し明るい場所が見えた。

私はそこを目指す。

 

「あと・・・ちょっと!」

 

その時、さっきまで止まっていた速度計に速度が表示された。

 

「溶けた!」

 

ピトー管の氷がちょうど溶けたようだ。

速度は500ノットだった。

 

「ハル、青空・・・」

 

「ほんとだ・・・」

 

積乱雲を抜けた・・・

その先には青空が広がっていた。

私は恋しく感じていた青空を少し眺めていた。

その時、マヤが何かを見つけて叫んだ。

 

「ハル!!前、前!!」

 

「え?」

 

前には箒にまたがったウィッチが3人飛んでいた。

彼女たちの姿形がハッキリ分かるくらい近かった。

私はとっさに操縦桿を左に倒して左にロールした。

ぶつかる。

そう思った。

景色がスローモーションに見える。

驚いた顔でこっちを見ているウィッチ3人の顔がハッキリと分かる。

トムキャットはギリギリの所で背面飛行になり、ウィッチの少女達の頭の上を飛ぶ。

真ん中の少女はギリギリで垂直尾翼の間を通った。

その間終始目が合いっぱなしだった。

 

「はぁ・・・ふぅ・・・・」

 

きっと2秒程度だっただろう。

それが何分にも感じた。

 

「・・・トムキャットの垂直尾翼が2枚で良かった・・・」

 

痛いほどそう感じた。

少し旋回して少女達を見ると無事そうだった。

 

「良かった・・・」

 

「ウィッチはレーダーで捉えられないから・・・間一髪だったよ・・・」

 

「うん・・・」

 

胸を撫で下ろして再び目的地に向かって飛んだ。

このまま少し行けば空中給油機がいるはずだ。

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