「あとどれくらいあるんだっけー・・・」
「あと20分くらい」
「もっと飛ばしていこうよー!」
「もう燃料カツカツなの。無理」
《私もちょっと節約していかないとヤバいかも・・・燃料が・・・》
何とか2機とも空港まで付ける燃料はある・・・と思っていた矢先だった。
コックピットに警報が鳴る。
「な、なに!?」
「待って、ミサイルとかの類いじゃない。」
警報のパネルを見ると燃料ポンプの圧力異常のランプが点灯していた。
「燃料ポンプ・・・燃料はまだあと30%は・・・マヤ、後ろの燃料計はどうなってる?」
「えっと・・・え、あ・・・ヤバい!左の燃料空になってるよ!!」
「左だけ?右は?」
「右はまだあと30%は・・・」
「リリア、後ろから私の機体を確認して」
《どうしたの?》
「左の燃料ポンプの圧力異常のランプがついてる。燃料が漏れてるかも」
《待ってて、確認するわ!》
その会話の10秒後、左のエンジンの回転数が落ち始めた。
「しまった・・・ヤバい・・・」
片方のエンジンがあれば空港に降りる事自体問題は無いが、下手に推力を上げるとバランスを崩すかも知れない。
《ハル!さっきまで機体から白い線みたいなのが見えてたよ!》
「やっぱり燃料漏れ・・・」
だが何故か前席の燃料計は残量30%を示していた。
「マヤ、整備記録がそこら辺にない?」
「えーっと待ってね・・・あ、これかな・・・」
「ここ一週間の記録で計器異常はある?」
「えっと・・・あ!左の燃料計の針のギアの状態が良くないから動かなくなる事があるかもって・・・」
「しっかり見とけば良かった・・・」
とりあえず後悔している場合ではない。
フェアリィに緊急事態を宣言しなければならない。
「フェアリィタワー、こちらエンジェル0-1」
《エンジェル0-1、どうぞ》
「燃料漏れにより左エンジン停止。緊急着陸を要請したいです」
《エンジェル0-1、スタンバイ》
「リリア、後ろで他にも異常が無さそうか見てもらってもいい?」
《分かったわ!そっちは大丈夫なの?》
「片方のエンジンが生きてるから何とか。でも両方止まるとやばいかも」
「ハル、武装の投棄は?」
「勿体無いけど・・・そうだね」
機体を重くするだけの爆弾やミサイルは捨ててしまうのが正解だろう。
機体から切り離す準備をした。
「リリア、武装を捨てるから気をつけて」
《了解、ちょっと待ってて!離れるから!・・・いいわ!》
「了解」
積んでいる武装を全て投棄した。
これで機体がかなり軽くなった。
《エンジェル0-1、フェアリィタワー》
「エンジェル0-1」
《滑走路35が使えます。着陸まで何分ほどかかりますか?》
「15分ほどです」
《了解しました。737も燃料系の異常でアプローチ中なのでそちらを優先させます》
「了解、最悪の場合、こちらはベイルアウトします」
《了解》
「ハル・・・ベイルアウトって・・・」
「トムキャットも大事だけど今は命も大事だし向こうは民間機。私達が無茶して罪の無い人を危険に巻き込む訳にはいかないよ」
「だね・・・トマホーク・・・耐えれるかな・・・」
「しっかり抱きしめてあげて。首はしっかり固定して」
「分かった・・・うん!」
前を見ると空港が見えてきた。
そして着陸前の737も視認できた。
「リリア、燃料は持ちそう?」
《なんとか・・・でもちょっとギリギリになりそう・・・》
「分かった、今からもし滑空状態になっても着陸できる高度まで上がって待機してて」
《でも・・・》
「大丈夫。まだトムキャットの燃料は残ってるから」
《・・・分かった、気をつけてね》
「うん。そっちこそね」
ミグがトムキャットから離れて上昇していく。
737は無事に着陸したようだ。
《エンジェル0-1、滑走路35への着陸を許可。消防車が待機中》
「了解」
滑走路脇に赤い灯火が見える。
風は強くない・・・大丈夫。
「マヤ、行くよ。楽しいランディングだからね」
「こちとら楽しくない!!」
トムキャットは翼を大きく開いて低速でも安定する状態になる。
あとはゆっくりフラップを下ろしていく。
「あと5マイル・・・マヤ、計器は?」
「大丈夫・・・異常なし!」
「了解」
そしてトムキャットは何事も無かったかのようにゆっくりと着地した。
「ふぅ・・・リリア、いいよ」
《ヤバい!もうマジでヤバい燃料が!》
「管制官、Mig-29が燃料切れで着陸するかも知れないのでトーイングカーをお願いします」
《フェアリィタワー了解。》
《いやぁぁぁ!!ポンプのランプがぁぁ!》
「落ち着いて」
《やだやだやだ!ハル助けてエンジン止まっちゃうよぉ!!》
「滑空できる高度まで上がったんだから落ち着いて」
《やだぁぁぁ!落ちるのやだぁぁ!!》
「・・・さっきまで落ち着いて飛んでたのに・・・」
「・・・いやハルは落ち着きすぎ・・・」
何だかんだ言いながらもリリアは何とか着陸でき、トーイングカーで駐機場に引っ張られていった。
「うーん・・・どこから漏れたんだろ・・・けほっ!油くさ・・・」
マグライトを持って機体をゆっくりと点検する。
ベテラン整備員のおじさんも付き添ってくれて機体の周りを点検した。
ちなみにこっちのおじさんはドワーフではなく人間だ。
「あー・・・ここだな。なんかがタンクぶち抜いてるぞ」
「え?あ・・・ホントだ・・・」
左の燃料タンク部分に小さな穴が空いていた。
よく見ると金属片らしきものが刺さっている。
「なんか心当たりは?」
「うーん・・・たぶん村の滑走路の状態が悪くてタイヤが踏んだのかも・・・」
「よくパンクしなかったな・・・」
「不思議と運だけは良いから」
「運ね・・・」
「30mm弾5発くらいまともに食らってエンジンとレーダーと機関砲持ってかれたくらいだから」
「運というか・・・まぁこれくらいならすぐ治る。任せとけ。明日の昼には飛べるようになってるはずだ。」
「うん、ありがと」
機体を後にして不貞腐れてるリリアの所に行く。
「リリア、元気だして」
「あんまりよ・・・死ぬかと思ったのよ・・・」
「だから安全な高度に上がらせたんでしょ」
「そうだけど・・・」
「もともと距離が距離だから仕方ないよ。何か美味しい物食べようよ」
「うん・・・」
「ところでマヤは?」
「近くにドッグランがあるからってトマホーク連れていったわよ。」
「そうなんだ。じゃあマヤが帰ってくるまであそこ行かない?マヤには私からメールしとく」
「どこ?」
「そこ。航空機ショップ」
「あ・・・ちょっと行きたいかも・・・」
「じゃあ行こ」
「うん!」
すこし元気を出したリリアを連れて店に入る。
「すごい・・・色んな機体が・・・」
航空機の実機は格納庫の中だが今ある在庫の機体の模型などがあった。
中には見た事ない機体も。
「みてみてハル!これ!」
「ん?どれ?」
「これこれ!」
リリアが指さすのはADF-01と書かれた機体。
何やらコックピットが無いようだ。
「これすごくない?!コックピットはモニターが並んでて全周を表示してくれるんだって!」
「へー・・・すごいね・・・」
それより気になるのは機体に高出力の魔法石を組み込み、そこから発する魔力を魔水晶に通すことでビルでさえ焼き切る事ができる高出力レーザーを発射できる装置が組み込んである事だ。
レーザーが放てるのは最大でも2発までで2発撃つと魔法石を交換しなければならないようだ。
機体の値段は最新のステルス戦闘機が100機は買えるお値段。
機体自体、複製魔法で作ったパーツをあまり使用していないために電子システム抜きでとんでもない額だ。
「高い・・・」
「あ!これもいい!」
次に指さしたのはSu-35BMだ。
これも説明を見る限り最近異世界から入ってきた戦闘機で、研究が終わったために売りに出されたオリジナルの機体だった。
「フランカーシリーズ・・・いいわよね・・・」
「フランカーは私も好きだよ。」
値段はオリジナルのため異世界語を分かる前提なので買えないことは無い値段だ。
「うー・・・欲しい・・・」
「ミグはどうするの」
「そっちも手放したくないけど・・・うぅぅぅ・・・」
「というかリリア、異世界の言葉分かるの?私でもやっと異世界のえっと・・・英語・・・?が少し分かるくらいなのに。これロシア語・・・なんて分かんないよ」
「勉強するわ!うぅぅぅ・・・同志が私を呼んでるの!店員さーん!」
「・・・大丈夫かなあの子・・・」
私ものんびりと商品を眺める。
この街はかなりF-14のパーツが豊富に売り出されていた。
中でもハードポイント搭載のガンポッドが豊富にあった。
7.62mmの小銃クラスのガトリング式の機銃が二連装で搭載されたガンポッドや、30mmクラスのガンポッド。
中でもとんでもないのは装弾数が5発と少ないが105mm無反動砲を組み込んだポッドだ。
砲弾は通常の徹甲弾から並の魔法使いの防御魔法壁であれば簡単に貫ける劣化ウランのAPFSDS、HEAT・・・
ちなみに並の魔法使いの防御壁の防御力は物理エネルギーに対して700mm、化学エネルギーに対しては900mm程だ。
ただしその厚さも攻撃を受ける可能性がある箇所のみでそこ以外は物理で400、化学で700程度だ。
それでもそれだけ厚い装甲だが・・・。
「105mm砲・・・ドラゴン狩りにはいいかも」
ドラゴンも最近進化してきて背中の鱗は空対地ミサイルを撃ち込んでも弾くレベルだ。
さすがに腹は簡単に貫けるが。
「他には・・・」
試作型だというAIM54のアクティブレーダーホーミング型が売っていた。
射程はそのままに打ちっ放しが可能性で推力偏向機構を取り入れたために推進剤があるうちはサイドワインダーに負けない機動力らしい。
誘導用の翼面も改良しAIM120には劣るもの従来のAIM-54より格段に命中率は上がるそうだ。
「・・・・・・・・」
アクティブレーダー式は使わない主義だったけど・・・。
「欲しい・・・」
しかもこのミサイル、母機側から自爆させることやミサイル本体が対象にある程度接近した時に相手の機体をスキャン、万が一民間機だった場合は自動的に自爆するシステムらしい。
ちなみに、このスキャンシステムを製造工場の専門員以外が触って取り外そうとすると爆発するらしい。
悪用する奴には死の制裁を・・・とか書いてある。
しかもロボットアームに触らせて自爆する映像を流している・・・。
「・・・」
ヤバいでも欲しい。
この安全装置がついて長射程でアクティブレーダーホーミング・・・買った!
「店員さーん」
私も店員の所に急いだ。
マヤが合流したのはその1時間後だ。
私とリリアはホクホクした顔でマヤとペットと一緒に入れるカフェに入った。
「・・・ふたりしてどうしたの?というかハルの嬉しそうな顔久々に見たんだけど・・・」
「知りたい?」
「結構気になるかな・・・」
「こんなもの買いました」
「こんなもの・・・はぁ!?フェニックス買ったの!?」
「うん。毎月定額でどこの空港でも補給してくれるみたい。」
「え・・・でもハル、フェニックスはあんまり使わないって・・・」
「ここ、ここ」
「え?」
私は説明書のある欄を指さす。
「アクティブレーダー・・・アクティブレーダー!?」
「いい買い物した」
「またすごい物を・・・まぁでも・・・いいか・・・んで、リリアは?」
「んふふ・・・みてみてこれ」
「め、めっちゃ笑顔だね・・・」
リリアはある1枚の写真と書類を渡した。
「えーっと・・・所持証明・・・Su-35BMフランカー・・・はァ!?」
「買っちゃった♡」
「買っちゃった♡じゃねーよ!ミグはどうするの!?」
「私ここに住もうかなって」
「えぇ!?」
「ちなみに私も賛成。」
「ハルもなの!?」
「お金にまだ余裕あるし家と格納庫を借りるのもアリかなって」
「いや・・・アリだけど・・・まぁいいか・・・トマホークもこの街気に入ってるっぽいし・・・」
「わん!」
「じゃ、この街に居を構えるということで」
「さんせーい!」
「私がトマホークと遊んでる間に何があったんだろうか・・・」
ちなみにマヤを連れてさっきの航空機ショップに行くと激レア物が!!とか叫んでヘリコプターを1機購入していた。
AH-64のまだAH-64という形で正式採用される前のプロトタイプの異世界から入ってきたオリジナルの機体が売られていたようだ。
名前はYAH-64だそうだ。
またトマホークはペット用の食べ物を売ってる店でお気に入りのご飯とおやつを見つけて完全に街に住み着く気だった。
だがこれで格納庫も借りて複数の機体を保持して安定してクエストに出られるため少し楽になったかも知れない。