高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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最近、Escape from Tarkovが楽しすぎて休みの日は1日中やってる人です(笑)
一昨日、InterchangeからスタンダードM4を4つ近く回収できた時は笑いが止まらなかった


ベイルアウト

「ハル、足は大丈夫?」

 

「痛いけど・・・大丈夫」

 

ベイルアウトして降りた森をひたすら歩く。

とにかく開けた場所にでて信号弾でも上げるか、村を探して助けてもらうか・・・。

 

「まったく運がいいのやら悪いのやら・・・」

 

「死ななかっただけ運がいいよ!」

 

「・・・まぁね・・・」

 

一歩間違えたら死ぬ状況だったのは間違いない。

 

「はぁ・・・結構寒いね」

 

「早めに休めるところ探そう」

 

「そだね!」

 

私はまだ痛む足を少し引きずりつつ進む。

その時、遠くから話し声が聞こえてきた。

 

「なんの声だろ・・・」

 

「村かも・・・行ってみる?」

 

「だね!」

 

声の聞こえる方向を頼りに警戒しながら進んでいく。

声からして複数人の男のようだ。

 

「ハル、足は大丈夫?」

 

「ん・・・何とかね」

 

「無理・・・しないでね」

 

「言われなくても分かってるよ」

 

マヤはかなり心配しているようだ。

私も正直、時間が経つにつれて痛みが増している気がする。

木が刺さったのだからもしかしたら破片が残っているかも知れない・・・。

 

「感染症になる前に帰らないと・・・」

 

まともに消毒も済ませてないので感染症が心配だ。

 

「マヤ、弾薬は?」

 

「どうしたの?」

 

「もし声の先に敵がいたら弾薬が必要でしょ」

 

「それなら大丈夫だよ!」

 

マヤは小型のチェストリグを指さして得意げな顔をする。

30発入り弾倉が6つは入っている。

私はそんなに要らないと4つほどしか持っていない上に怪我をしているから戦闘になったらマヤ任せになるだろう・・・。

 

「M4も買ってて良かったよね!」

 

「うん、まさか使うことになるなんて思ってもなかったけど」

 

「あはは・・・そだね・・・」

 

草むらをかき分けて進むとすこし前が開けてきた。

同時に声の主を確認できた。

耳を済ませて内容を聞く。

 

「そういえばさっきよ、この近くにホーネットが落ちてたぞ」

 

「ホーネット?あぁ、ペンギン迎撃隊のか?」

 

「あぁ、しかもパイロットは脱出してた。パラシュートを見たからな」

 

「なるほどな・・・んで、どうしたいんだ?」

 

「それがよ!パイロットが2人ともいい感じに若い女の子なわけよ!」

 

「ほぉ・・・」

 

「どうよ、捕まえて1発」

 

「森の中なら分かりゃしないわな。よし、コブラの準備だ」

 

「さすが兄貴!」

 

・・・ヤバい。アイツら山賊だ・・・。

しかも捕まるとろくな目に会わない・・・。

 

「ハル!ヤバいよ捕まると!」

 

「・・・想像もしたくない」

 

なるべくなら逃げたいが、運がいいのか悪いのか、目の前にはAH-1Sが駐機してある。

どうやらここは山賊のキャンプのようだ。

弾薬箱や燃料の入ったドラム缶があった。

パイロットらしき2人以外にも、もう3人ほど確認できた。

 

「マヤ、やれそう?」

 

「・・・サプレッサーでもあれば良かったんだけどね・・・」

 

「そんなものは無い」

 

「知ってるよ!でもAHを奪えれば・・・」

 

「そのままフェアリィに帰れる」

 

「・・・やるしかないかぁ・・・」

 

相手の武装を見た感じ拳銃メインのようだ。

離れたところにAK-74らしき小銃も確認できる。

いや・・・若干弾倉の曲がっている角度が大きいためAK-103かもしれない。

どちらにせよ、生身に弾丸なんてまともに喰らえば1発で致命傷だ。

 

「私は後ろから援護するよ」

 

「りょーかい、切り込みは私だね」

 

「・・・幸運を」

 

「ハルこそね!」

 

私はゆっくりと射線を確保できる位置に移動する。

 

「おーい!20mmの補給終わってねーぞー!」

 

「待ってくれ!まだASRの装填が終わってないんだ!」

 

敵はこっちの存在に気づいていないようだ。

私は太い木の後ろに隠れる。

ここならマヤを確認できるし射線も確保できる。

マヤからは準備よしのハンドサインが見えた。

それと同時に先に撃ってというサインも。

 

「すー・・・ふぅ・・・」

 

息を整えて狙いを定める。

最初に私たちを捕まえようと話していた男を狙う。

 

「これお前徹甲弾じゃねーかよ!榴弾だっつったのに!!」

 

「仕方ねーだろ、最近のパトロールは装甲車で動いてんだから」

 

「んな事言ったってこれじゃ狩りできねーよ・・・」

 

呑気に弾薬について話している。

ゆっくりと引き金に力を込める。

 

「・・・おやすみ」

 

弾丸が打ち出される。

それはまっすぐ男の頭を捉えた。

 

「んな!?て、敵襲!!」

 

倒れた男を見て敵は慌て始めた。

そこにマヤが突入した。

 

「女!?」

 

「ごきげんよう!そしておやすみ!!」

 

銃撃戦が始まる。

すでにマヤが1人倒した。

あと2人だ。

 

「闇雲に撃つな!狙撃手がいるんだぞ!!」

 

「ちくしょう!どこから出てきたあのアマ!!」

 

「さっきのホーネットの奴だろうよ!!」

 

「増援だ増援!!もう一機のコブラ呼べ!!」

 

大声で話してくれるおかげで位置はバッチリだ。

マヌケめ。

狙いを定めた時だった。

 

「いたぞ!あの木の裏だ!」

 

見つかった。

火力がこっちに集中する。

・・・それだけならよかったが・・・

 

「あぐっ!!?」

 

木の薄い部分を貫通した弾がお腹に当たる。

当たった部分が焼けるように熱い上に痺れてきた。

 

「う、撃た・・・れた・・・!?」

 

服が血に染まっていく。

 

「ハル!!」

 

「わ、私は大丈夫!!」

 

そう叫ぶが大丈夫なわけない。

 

「し、止血・・・!」

 

まだ痺れているおかげで痛みはあまりない。

アドレナリンが出ているせいかもしれないが。

 

「く、うぅ・・・」

 

それでも苦しい。

それに出ていく血の量を見ただけで気が遠くなる。

私は近くにあった小さめの石を傷口に入れる。

 

「ぐ、あぁぁぁ!!」

 

激痛が走る。

いくら小さいとはいえ、石だ。

そんなもの傷口に入れて痛くないわけがない。

 

「ハル!!ねぇ!!」

 

「はァ、はぁ・・・だ、大丈夫・・・」

 

気づけば銃撃戦の音は止んでいた。

マヤが仕留めたようだ。

 

「石じゃだめだ・・・そ、そうだ・・・」

 

傷口には泥を刷り込んだほうがいいという話を聞いた記憶がある。

血で泥になった所を取って傷口に刷り込む。

 

「い、つぅ・・・!!」

 

そのまま上着を脱いで傷口に強く巻き付ける。

お腹が苦しいが仕方ない。

そこにマヤが駆けつけてきた。

 

「ハ、ハル!?撃たれたの!?」

 

「う、うん・・・」

 

「ど、どうしよう・・・!」

 

「ダクトテープ・・・ないか見てきて」

 

「ダクトテープ!?わ、分かった!」

 

私はテープで傷口を塞ぐ事にする。

やはり服で締め付けたところで血は止まらない。

ただ、さっきよりは出血量が減っている。

幸い、大きな血管や内蔵は傷つけていないようだ。

 

「ハル!あったよ!!」

 

すぐにマヤが帰ってきてくれた。

 

「ありがと・・・うぐ、ぅ!」

 

痺れが引いてきて代わりに痛みが増してくる。

 

「ハル、とりあえずヘリに行こう!」

 

「うん・・・!は、ぅ・・・!!」

 

シャツを脱いで傷口にガーゼの代わりに当ててテープでぐるぐる巻きにする。

 

「これで・・・なんとか・・・」

 

マヤに肩を貸されてヘリまで移動した。

 

「ハル、すぐに街に帰るから頑張って!!」

 

「大丈夫・・・まだ・・・いける・・・」

 

マヤは急いでエンジンを始動させる。

「N1回転数アップ・・・ハル!痛いと思うけど頑張って!!」

 

「大丈夫・・・大丈夫だから・・・」

 

正直、大声だして泣きたいレベルで痛い。

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・」

 

呼吸すら苦しい。

 

「よし!テイクオフ!!」

 

ヘリはゆっくりと上昇して加速していく。

 

「フェアリィまであと150km・・・!ハル!あと1時間もあれば帰れるから!!」

 

「大丈夫、出血は止まったから・・・」

 

幸いにも血は止まってくれたおかげで失血死だけは免れそうだ。

痛みで泣きそうだが。

 

「お願いもっと早く飛んで!!」

 

「焦らないで・・・マヤ・・・」

 

「でも!!」

 

その時、コックピットに警報が鳴る。

後ろを見るともう一機のコブラが追いかけてきていた。

おまけにサイドワインダーまで装備してある。

 

「ど、どうしよう・・・!」

 

「マヤ、機体を180度旋回・・・」

 

「ハル!?」

 

「大丈夫・・・やれる」

 

「違うよ!そんな事したら撃たれて!!」

 

「もうロックされてる・・・大丈夫・・・」

 

「大丈夫じゃないよ!逃げないと死んじゃう!!」

 

「・・・どうせ死ぬならさ・・・抵抗しないと・・・」

 

「え・・・?」

 

「どうせ、落とされて死ぬなら・・・抵抗しないまま落ちるのと抵抗して戦って落ちるなら・・・私は戦うほうがいい・・・」

 

「・・・あぁもう!ハルのイケメンさには心底惚れるよ!!帰ったら寝かさないから!!」

 

「・・・怪我人は労わってよ・・・」

 

マヤは機体を素早く180度旋回させる。

同時にミサイル警報が鳴る。

 

「発射・・・!」

 

バルカン砲を真正面に固定してトリガーを引く。

その射線には敵のコブラも入っている。

 

「ちくしょー!こっちも発射だ!!」

 

マヤもロケット弾をばら撒く。

すると機体の目の前で爆発が起きる。

対空ミサイルを迎撃できた。

同時に敵のコブラは火を吹いて落ちていった。

 

「ふぅ・・・はぁ・・・撃墜マーク1・・・だね」

 

「はぁ・・・だね・・・それよりもハルは大丈夫?」

 

「なんとか・・・血は止まったけど正直大声で泣きたいほど痛い・・・」

 

「頑張って・・・」

 

「大丈夫・・・私たちラッキーガールだから・・・」

 

「そうだね・・・ってハル、なんか元気ないけど・・・」

 

「わかんない・・・ちょっと疲れた・・・」

 

「え、まって!!寝ちゃダメだよ!!ハル!!」

 

「耳元で叫ばないで・・・起きてる・・・よ・・・」

 

何故だか意識が遠くなる。

マヤの声も遠くに聞こえてきた。

 

「ハル!!ねぇ!!ハル!!やだよ!死んじゃやだ!!」

 

勝手に殺すな。

そう言いたいがそのまま意識が飛んだ。

 

 

 

「・・・・・・?」

 

電子音が聞こえる。

ここが天国・・・?

目を開けると天井が見えた。

あと点滴も。

 

「・・・病院・・・?」

 

何かがお腹に乗っている感覚がしてそちらを見るとマヤが私のお腹の上で寝ていた。

時計を見るとあの撃墜された日から2日経っていた。

 

「マヤ・・・?」

 

「ん・・・」

 

軽くゆすると目を覚ましてくれた。

 

「ハル・・・?」

 

「うん。おはよ」

 

「ハ、ハルー!!うわぁぁぁん!!」

 

「わぷっ!」

 

思いっきり抱きつかれた。

 

「死んじゃったと思ったよぉぉぉ!!」

 

「大丈夫、生きてるから」

 

そこに医者が入ってきた。

 

「起きたみたいですね、ハルさん」

 

「おかげさまで」

 

「あなた、本当に幸運でしたよ」

 

「え?」

 

「弾は臓器をどこも傷つけること無く、しかも体内で破片を撒き散らすことも無く貫通してましたから」

 

「えぇ・・・」

 

「あと、途中で気を失ったのは足に刺さった木のせいですね。アレは睡眠薬になる樹液を持っているので」

 

「そうなんだ」

 

「とりあえず明日にでも退院出来るので大丈夫ですよ」

 

「良かった」

 

医者は部屋を出ていった。

 

「マヤ、心配掛けてごめんね」

 

「ううん、大丈夫!私はハルなら大丈夫って信じてたから!それよりもリリアがね・・・」

 

「どうしたの?」

 

「帰った時、とんでもないくらい大泣きしてて今日なんて泣きすぎて熱出して寝込んじゃってるよ」

 

「えぇ・・・あ、そうだ、ホーネットは・・・」

 

私の1番の心配事だった。

借り物のホーネットを落としたとなると幾らかかる事か・・・

 

「あー、それなら乗ってきたAH売って弁償したよ?何かあのホーネットも大量生産されてきたから安くなるんだって!でも今回は不慮の事故ってことで20万フェアリィドルで大丈夫だったよ!」

 

「そうなんだ・・・良かった」

 

「あ、それで家はどうする?」

 

「あ・・・えっと、やっぱテキサスに帰りたい」

 

「え?」

 

「・・・もうペンギンを見たくない」

 

「あ、あはは・・・そだね・・・」

 

とりあえず明日退院出来るなら良かった。

・・・ペンギン恐怖症になったのは間違いない。

 

「じゃあハル、ゆっくり休んでね!トムきゃんはもう直ってるから!」

 

「うん、ありがと」

 

私はもう一眠りする事にした。

はやくテキサスに帰りたい・・・。

 

 

 

「ん・・・」

 

朝日で目が覚める。

現在時は朝の5時。

まだ早いが目は覚めた。

 

「退院の準備・・・」

 

とは言ってももう荷物もまとまっているので特にすることもないが。

暇つぶしに携帯電話でも弄ろうかと思ったらベイルアウトした時に壊れたのを思い出した。

もう1度寝ようと思っても完全に目が覚めてしまっている・・・。

 

「暇だ・・・」

 

なんて思ってるとドアが開く。

 

「ん?」

 

「ハ、ハル・・・?」

 

「おはよ、リリア」

 

「ハルぅぅぅ!!!」

 

「うぐっ・・・」

 

リリアが飛びついて来た。

・・・地味に傷口付近に当たって痛い・・・。

 

「よかった、よかったよぉぉぉ!!」

 

「だ、大丈夫だから・・・」

 

「もう絶対にハルを落とさせはしないから・・・」

 

「だから大丈夫だって。それより、テキサスに戻るって聞いた?」

 

「うん、でもミグはどうしよう・・・」

 

「売れば?」

 

「酷くない!?」

 

「嘘だよ。確か、バラして空輸してくれるんじゃないかな」

 

確か民間のサービスでそんなのがあった気がする。

 

「でもそうよね・・・分かった!手配してくる!」

 

「うん。午後には出発しよ」

 

「分かったわ!」

 

リリアはそう言って病室を出ていった。

というかあの子はこんな朝早くに何をしてるんだ。

なんて思いながら天井でも見つめていると退院の時間になる。

手続きを済ませて外に出るとマヤが待っていてくれた。

 

「お待たせ」

 

「ううん、大丈夫!じゃ、いこ!」

 

時刻は昼の12時。

今から格納庫に向かって準備すればいい時間だ。

 

「そうだ、トマホークは元気?」

 

「うん!今日はハルの席で寝てたよ!」

 

「あの子ほんとシートの上が好きだね」

 

トマホークは気がつけばコックピットのシートの上で丸くなって寝ている事が多い。

相当お気に入りなのだろう。

 

「まぁインテークの中がお気に入りじゃないだけいいよね」

 

「・・・確かにね・・・」

 

なんて話しながら空港に向かう。

 

「そういえば撃墜スコアは?」

 

「あ、えっとね、私たちは2位だったよ」

 

「意外と高スコア・・・」

 

「1位はF-15Cの2機編隊で、1人なんて片翼失ってもそのまま20匹近く撃墜して無事に帰ってきてるからね・・・」

 

「なにそれ・・・」

 

「総撃墜数、200だったかな・・・」

 

「・・・そんな相手と戦いたくないね・・・」

 

「まぁ、同じ戦闘機乗りだし!」

 

そんな話をしつつ格納庫に入る。

中には綺麗になったF-14があった。

 

「さ、帰ろ」

 

「うん!」

 

「わん!」

 

トマホークもシートに座らせてエンジンを始動した。

ご機嫌な音だった。

 

「フェアリィタワー、エンジェル0-1」

 

《エンジェル0-1どうぞ》

 

「滑走路へのタキシング許可願います」

 

《了解、エンジェル0-1。滑走路17へのタキシングを許可》

 

「滑走路17へのタキシング許可、エンジェル0-1」

 

誘導路に出ると後ろにフランカーが着いてきた。

 

「3時間ちょいのフライトだね!」

 

「うん。天気もいいし最高だね」

 

《私もいい気分で飛べそう!》

 

「散々泣いた後だしね」

 

《誰のせいよ!!!》

 

「それだけ心配してくれてたんでしょ、ありがと」

 

《このツンデレめ・・・》

 

なんて話してるうちに滑走路に近づいた。

 

「タワー、エンジェル0-1。離陸許可願います」

 

《エンジェル0-1、離陸を許可します。現在の風速はほぼなし、無風です》

 

「了解」

 

滑走路に入って出力を上げていく。

 

「大空にただいまだー!」

 

後席でマヤが嬉しそうにそう言った。

空は雲一つない青空。

 

「こんな飛んでいて気持ちのいい日は初めてかも」

 

「だね!」

 

テキサスまではあと3時間。

大空の散歩だ。

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