高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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ちょっと盛り込みすぎたって思ってる(



渓谷飛行

先に進むにつれて段々と渓谷が狭くなってきた。

 

「ルートはこれであってるの?」

 

ところどころに分かれ道のようなところがあり、ラングレーの指示で飛行してはいるが・・・

 

《衛星から確認している。そのまま飛べ》

 

「了解・・・」

 

渓谷そのものは急に曲がったりしていないので飛行そのものは簡単だが、狭くなってきている事に不安を覚え始めた。

それでもまだ747型旅客機が飛行できるほどの広さはあるが。

当初の2機は余裕で飛べる広さから1機がようやく飛べる程度まで狭くなってきていた。

 

「ハル、大丈夫?」

 

「まだ大丈夫。マヤは?」

 

「外見ると怖いからずっとレーダー見てる!」

 

「・・・」

 

後席は気が楽でいい・・・。

 

「リリア、そっちは?」

 

《聞かないでよ!こっちも怖くて今すぐ上に出たいくらいなの!》

 

「本当に危なくなったら離脱して」

 

《分かってる!》

 

そのまま飛行を継続していると横から道のような物が見えてきた。

舗装も何もされていないが明らかに何かが通った跡がある。

それがそのまま奥へと続いていた。

 

「ラングレー、壁から道のようなものが見えてきた。見えはしなかったけど洞窟のような穴から続いてるみたい。」

 

《了解、それは輸送用の道路だろう。ターゲットはその先だ。》

 

「了解。マヤ、道に何か見えたら教えて」

 

「了解!怖いけど頑張る!」

 

道に沿って飛行すること数分、視界の奥から橋のような物が見えてきた。

橋桁も見える。

私は避けるためにすこし上昇した。

 

「あれ、ハル。なんか橋の上に居ない?」

 

「え?」

 

橋まではあと数秒。

私は軽くロールして確認できる姿勢を取った。

 

「なにあれ・・・奴隷商人・・・?」

 

橋上空を高速で通過した。

その時に見えたのは馬車とその後に鎖のようなもので繋がれた人々が見えた。

馬車の運転手のように見えたのは魔王軍の人形の魔獣のようにも見えた。

 

「マヤ、ラングレーにガンカメラの画像を送って」

 

「え?わ、分かった!でも今のって・・・」

 

「分からない・・・けど私達にはどうすることも・・・」

 

《私だけでも反転してあの馬車を・・・!》

 

「ダメ、30mmだと破片がほかの人に当たるかも」

 

《でも!》

 

「ラングレー、エンジェル0-1。魔王軍所属らしき馬車とそれに連れられた奴隷のような人々を確認」

 

《了解。外道どもが・・・とにかく君たちはそのまま飛行してくれ》

 

「了解」

 

《あれを放っておけっていうの!?》

 

《今、騎士団の航空部隊で強襲させる。あとは我々に任せろ》

 

「今は仕事に集中しよ、リリア」

 

《・・・了解》

 

私だって今すぐ引き返して先頭の馬車にだけ機銃掃射してあの人達を助けたいがこっちは高速で飛行する戦闘機。

おまけに武装は20mm機関砲。

しかも弾は破砕榴弾を装填してある。

もし破片が人にあたれば大惨事だ。

 

「・・・私、奴隷の人と目が合った」

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・その・・・奴隷の人と目が合ったから何とか助けれないかなって・・・」

 

マヤは悔しそうにそう言った。

 

「大丈夫。あとは騎士団に任せよ」

 

「・・・うん」

 

私だって奴隷の人と目が合った。

こちらを見上げる1人の男の子と目が合った。

だけど、何も出来ないことに悔しさを感じていた。

 

「目標まであと少し・・・」

 

事前に戦闘機のコンピュータに入力したルートを確認すると目標まであと少しだった。

 

「マヤ、偵察カメラ起動」

 

「了解!」

 

渓谷が狭くなってくる。

さらに曲がる角度もきつくなってきた。

 

《エンジェル0-1、今だ!上昇しろ!》

 

「りょ、了解!」

 

突然の指示で操縦桿を引いて急上昇した。

すると目の前には森が広がっていてその中に小さな砦のような物が確認出来た。

 

「マヤ!」

 

「分かってるよ!」

 

マヤが偵察ポッドを操作して写真を撮影する。

 

「リリア!そのまま上空を哨戒して!」

 

《了解!何匹か翼竜が上がってきたわよ!》

 

「そいつらをお願い!」

 

《了解!エンゲージ!》

 

フランカーが編隊を離れて降下していく。

 

「ハル!隠れ始めた!」

 

「了解、何枚くらい撮れた?」

 

砦が結界で覆われていく。

肉眼で確認出来なくなる結界だろう。

あたりは完全に森だけになった。

 

「30枚くらい!ラングレーに送るね!」

 

「うん、お願い。これで報酬ゲットだね」

 

《こっちも翼竜撃墜よ!ふふん、最近ハルより撃墜数多いんじゃないかしら》

 

「調子に乗ってるとまた変なのに絡まれるよ」

 

《なによそれ!》

 

「ふふ、冗談」

 

なんて話をしているとラングレーから通信が入った。

 

《良くやってくれた。これより王国軍ガンシップが空域に進入する。だが・・・それよりも先に特別任務だ》

 

「まだやるの・・・?」

 

マヤが少し面倒くさそうな言い方をした。

だが、内容は私達がつい数十分前に望んだ事だった。

 

《近くの街から王国軍騎士団のヘリ隊が離陸した。今から先程の奴隷を引き連れた集団を強襲、奴隷を解放する。その後ガンシップの援護に回ってくれ》

 

「・・・了解!待ってました!!」

 

《それでこそね!ハル!行きましょ!》

 

「了解・・・上空から偵察支援でいい?」

 

《それでいい、まずは奴隷商人を見つけてくれ》

 

「了解」

 

旋回して谷を注意深く見ていく。

偵察ポッドも赤外線探知モードにして捜索を続けた。

 

「そういえばハル、さっき人形魔獣が乗ってた馬見た?」

 

「ううん、どうしたの?」

 

「一瞬だったけど、毛並みとか揃っててすごくいい馬だったよ!私もああいうのに乗ってみたいな・・・」

 

「どうしたのいきなり」

 

「ほら、騎士団の中にも女性だけの部隊あったでしょ?」

 

「あー・・・なんかあったね」

 

「あの人達、見た目はすごく綺麗な鎧とか着てるのに持ってるのって最新式の自動小銃だから何かカッコイイよね!」

 

カッコイイかカッコよくないかで言われたらカッコイイが、高貴な鎧に身を包んで馬に乗りながら自動小銃ぶっ放す貴婦人様なんて嫌だ。

しかも終いには馬からFGM-148ジャベリンと呼ばれる対戦車ミサイルをぶっ放していた。

 

「なんか憧れるよね!強い女の人って!」

 

「まぁ憧れはするけど・・・」

 

馬に乗りながら戦車を吹き飛ばす女性って強いとか弱いとかの次元じゃないような・・・・。

 

「・・・っと!目標発見!」

 

「了解、ラングレー」

 

《了解した。こちらもモニターしている。現在ヘリが急行中。コールサインはセイバーホークだ》

 

「了解」

 

偵察ポッドは確かにさっきと同じ集団を捉えていた。

 

「リリア、空中哨戒よろしく」

 

《まかせて!でも、その外道を月まで吹っ飛ばせなくて残念ね》

 

「次があるよ」

 

《次って・・・まぁいいわ。とりあえず敵影なしよ》

 

「了解」

 

そうしてるうちにヘリが交信可能圏内に入ってきた。

 

《エンジェル0-1、こちらセイバーホーク》

 

「エンジェル0-1」

 

《こちらはブラックホーク3機とミニガン装備のリトルバードで向かっている!奴隷の人数は確認出来るか?》

 

「大体・・・30人ほど」

 

《了解だ!これより接近する!到着まで五分!》

 

あの人達が助かるまであと五分・・・良かった・・・

安心感が湧いてきた。

 

《エンジェル0-1、こちらラングレー》

 

「エンジェル0-1」

 

《新たな情報だが・・・どうもその奴隷の中に捕まったウチの関係者がいるそうだ。そのアホ面を確認したいので写真を撮影してほしい》

 

「了解、きこえた?マヤ」

 

「了解!顔が見えればいいんだよね・・・よし!」

 

マヤは写真を撮影してラングレーに送る。

 

「どう?ラングレー」

 

《確認した。もう一週間前から連絡の着かない職員だったが・・・無事で良かった。これは報酬上乗せだな》

 

「やった!」

 

「太っ腹」

 

《帰ったらヤツにもビールの1杯は奢ってもらわないとな》

 

「私達が助けてやったんだから当然だね!」

 

《追加で燃料代もね!》

 

《分かった、すべてヤツの給料から天引きしよう》

 

などと上空では冗談を言い合っていた。

 

《こちらセイバーホーク、目標確認!》

 

「了解、セイバーホーク接近を確認」

 

《捕まってる人に当てるなよ!撃て!》

 

目標接近から制圧まで数分とかからなかった。

素晴らしい練度だ。

捕まっていた人がヘリに乗り込んでいく。

その時、さっきの評議院の関係者らしき人の声が無線から聞こえた。

 

《バッチリだ!上手くいったな!》

 

《1発で馬を仕留めた!それよりもアンタか、評議院の関係者は!》

 

《あぁ!感謝してるよ!それよりももったいねえ、いい馬だったのに!》

 

ヘリは離陸して渓谷を離れていく。

それと入れ違いのように王国軍ガンシップもレーダーに捉えた。

まるでここまで援護してないが無事なようだ。

 

「ガンシップ確認」

 

「さてと、最後のお仕事お仕事っと」

 

「燃料はあと・・・60%・・・リリアは?」

 

《燃料・・・ごじゅう・・・・えっと55%》

 

「了解。ビンゴ設定は?」

 

《30%よ。あと1時間もしないうちにビンゴになるわ》

 

「了解、ラングレー。空中給油機はいない?」

 

《待ってくれ・・・近くにいるが、交代で給油でよいか?》

 

「それでいいよ。リリア、先に行って」

 

《了解!》

 

《よし、こちらで手配する。燃料代は・・・さっき助けたマヌケ持ちだ》

 

《了解!ふふっ、助けられたのに可愛そう》

 

「まったくだね」

 

そう笑いながらガンシップと合流した。

それにしてもこのAC-130というガンシップ、異世界製ではあるが作った人は何を思って作ったのだろうか。

輸送機をベースにそのペイロードを生かして爆撃機にするなら理解は出来るが、機体側面に25mmバルカン砲、40mm機関砲、105mm榴弾砲・・・。

殺意の塊だ。

まさに上空からの死といったところだ。

 

《こちらスプーキー、エンジェル0-1。エスコート任せたよ》

 

「了解、スプーキー。でもこっちはちょっと燃料が危ういから途中でエスコートは交代するから」

 

《了解》

 

「リリア、給油したらなるべく早くね」

 

《分かってるわよ、給油機はここから10マイルくらいを飛んでるからすぐ行けるわ!》

 

「了解」

 

ガンシップを引き連れて魔王軍の砦に向かう。

聞くと、魔王軍の結界は肉眼から隠せても熱源探知装置からは隠れられないらしく、ガンシップから一方的に殴りまくるつもりのようだ。

・・・魔王軍には同情すら感じてきた。

 

「ねぇマヤ、魔王軍が可哀想に思えてきた」

 

「どしたの?いきなり」

 

「いや・・・異世界侵攻しようとしたのか知らないけど異世界への扉を開いたらそれがほぼ全部人間側に開いてそこから異世界技術流入して、圧倒的な力でずっとボコボコにされてるんだし」

 

「まぁ・・・数百年前は魔王軍も残虐行為ばっかりしてたっていうし・・・」

 

「まぁね・・・でもいまじゃ形勢逆転どころかちょっと顔を出したら、こんにちわでボコボコにされるんだから」

 

「あはは・・・まぁね・・・」

 

魔王はいったいどこで何をしてるのか・・・噂ではこんな所居られるか俺は異世界の王になるとかで核戦争後の世界に逃げていったとか聞いたことがある。

 

「ま・・・いっか。私たちにはそんな関係ないし」

 

そんなことしてる間に砦付近に到着した。

 

「スプーキー、このあたりだよ」

 

《了解した。よし、交戦準備だ》

 

《ハル、給油完了!いまから戻るわ!》

 

「了解、機影を確認したら私も給油に行く」

 

燃料計を確認してまだ少し余裕があることを見た。

それでも空中戦をしたら厳しいが。

 

「あとはガンシップがお仕事終えるのを待つだけだね!」

 

「うん、家と格納庫ゲット」

 

「んふふ、家具はどうしようかな!」

 

「とりあえず帰ったらお買い物だね」

 

「うん!」

 

なんてしてたら遠くからフランカーの機影が見えた。

交代だ。

 

「よし、交代だね」

 

「後よろしくね!」

 

《了解!任せて!》

 

給油機に向けて進路を変えた。

 

「帰った頃には終わっててほしい・・・ふぁ・・・」

 

「眠そうだね」

 

「家と格納庫って言葉だけで飛び出たから・・・ふぁぁ」

 

「ハルも結構無茶するよね」

 

「長い付き合いなんだからそれくらい知ってるでしょ」

 

「えへへ、そうでした」

 

なんて話をしているとガンシップが交戦状態に入ったという無線がきた。

 

《敵を確認、交戦を許可》

 

《砦に1名》

 

直後に砲声が聞こえた。

 

《ドカーン》

 

《グッドキル、木っ端微塵だぜ》

 

《敵が移動中》

 

《確認》

 

無線からは砲声やバルカン砲の音が聞こえてきた。

 

《うっへぇ・・・容赦ないわねあれ・・・》

 

「・・・今ほど地上に居たくないって思ったのは初めて」

 

私達の気持ちを知ってか知らずかガンシップは地上に死を降り注ぐ。

 

《へへっ、これは中々のスぺクタル映像になるな》

 

《聞こえてるぞ》

 

この人たち平然とやっているが言ってる内容とやってる事が恐ろしすぎる。

 

《105mm装填完了!》

 

《撃て》

 

《ワーオ・・・》

 

《おお、これは胸が痛むね》

 

《砦が派手に吹っ飛んだな、あれで幾らだ?》

 

ガンシップの無線を聞いている間に給油機が見えてきた。

 

「さて、私達は給油終わらせちゃおっか」

 

「そうだね」

 

「よし、プローブ展開っと・・・」

 

コンソールのスイッチをいじって空中給油用のプローブを出す。

 

「タンカー、こちらエンジェル0-1」

 

《こちらタンカー》

 

「給油要請」

 

《了解。そのまま接近。後部の気流に注意》

 

「了解」

 

プローブを給油口に差し込んで給油を開始した。

 

「これで空中給油何回目だっけ」

 

「数えてないから何とも・・・でも慣れてきたよね!」

 

「まぁね。最初に比べたら」

 

最初の頃は給油機に近づくことすら怖かった。

それが今では普通に給油を行えるくらいになってきた。

 

「さてと、トムキャットもお腹いっぱいみたいだし戻ろうか」

 

「そだね!」

 

帰る頃には仕事が終わっててほしい・・・

勢いで出てきたのはいいけど疲れた・・・。

そんな事を思いながら給油機から離れ、目標空域に向かった。

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