高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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温泉の街「ホットウォーター」

「・・・ちょっと雲行きが怪しくなってきたね」

 

「うん・・・せっかく温泉行くのに雨はやだよね」

 

ホットウォーターまであと1時間。

すれ違う旅客機の量が多かったために雲の下まで高度を下げたのだが段々と雲行きが怪しくなってきた。

 

「まぁホットウォーターの天気は晴れだと信じよ」

 

「そだね!」

 

そう話していたらキャノピーに水滴がつき始めた。

 

「あーあ・・・降ってきた」

 

「視程の悪化には気をつけないと・・・リリア、あまりに視程が悪くなったら上に出るよ」

 

《了解、そっちに任せるわ》

 

天候に注意を払いつつ飛行を続ける。

 

「晴れてたらいい景色だったろうにね」

 

「ちょっと残念だけど帰りはきっと晴れてるよ!」

 

「そうだね」

 

ふと横を見るとトマホークは気持ちよさそうにマヤの足の上で寝ていた。

 

「いつの間にか寝てる・・・」

 

「あはは・・・」

 

しかもよく見たらリラックスしすぎているのか少し白目を剥いてる。

・・・ちょっと怖い。

 

「ふぁ・・・私も眠い・・・」

 

「マヤは起きてて」

 

「うー・・・私もワンコになりたい・・・」

 

「馬鹿なこと言わない」

 

「ワンコになってハルに飼われたい・・・」

 

「どういう事それ・・・」

 

「ハルに躾されたい・・・」

 

「ドMか」

 

「ハルの前ならドMでもドSにでもなります!」

 

「・・・・・気持ち悪い」

 

最近割とマヤの頭の中が心配になってきた・・・。

 

「とりあえずマヤのことは置いとくとして・・・レーダーに反応は?」

 

「うぅ・・・ハルのスルースキルが上がってる気がするよぅ・・・何もありませんよーだ・・・」

 

「なら良かった」

 

なんて話しながら飛行を続けた。

10分ほどすると空が明るくなってきた。

 

「あ・・・晴れてきた」

 

「ホントだね!」

 

《ねぇ下見て!綺麗!》

 

下を見ると1面の草原に川や小さな池等があり、そこで暮らす動物達の姿も見えた。

 

「こういう所でお弁当食べたら美味しいんだろうな・・・」

 

「魔獣がいるだろうから武装しないと無理だけどね」

 

「そこで現実に戻さないで!」

 

実際私もこんな所でのんびりしてみたい・・・。

そう思いながら地上を眺めながら飛んだ。

 

「あ、ハル。最後のウェイポイント。方位280に右旋回」

 

「了解、方位280」

 

「ホットウォーターってたしか空港大きかったよね?」

 

「うん。たしか街そのものが大きくて滑走路が3本あった」

 

「4本かー・・・大きいね」

 

「その分、混雑してるけどね。」

 

「まぁ観光地だし!あ!そろそろ管制圏なんじゃない?」

 

「ほんとだ。ありがと」

 

無線をホットウォーターの管制塔に合わせた。

 

「ホットウォーター、こちらエンジェル0-1」

 

《エンジェル0-1どうぞ》

 

「そちらの空港への着陸を要請します」

 

《了解エンジェル0-1。現在本空港の滑走路35L上で事故が発生したため、35Lは封鎖中です。滑走路22が空いていますのでそちらに向かってください》

 

「了解。事故の方は大丈夫なの?」

 

《着陸失敗事故です。整備不良だった冒険者の戦闘機が35L上で回転して滑走路外で炎上中です》

 

「回転したって・・・了解。滑走路22に向かいます」

 

「どんな整備不良なのやらね・・・ハル、気をつけてね!」

 

「大丈夫、おじさんの腕は最高だから」

 

遠くに街と空港が見えてきた。

それに黒煙も。

まだ炎上中なのだろう。

 

《エンジェル0-1、滑走路22への着陸を許可します》

 

「滑走路22への着陸許可、エンジェル0-1」

 

許可も降りた。

あとは落ち着いて着陸しよう。

事故機が近くにあるのが不吉だが・・・

 

「リリア、もし降りた時に駐機場が離れた場所だったら空港出てすぐの所にある航空機ショップで待ち合わせね」

 

《りょーかい!》

 

機体をゆっくり降下させていく。

 

「ランディングギアダウン・・・ロック」

 

「フラップは?」

 

「オートフラップにしておいて」

 

「了解」

 

「もうちょい空港が近づいたら着陸前チェックするから」

 

「おっけー!ほら、トマホーク起きて、もう着くよ」

 

「わぅ・・・?」

 

トマホークは眠たげな目をしながら起きた。

よくこんな戦闘機の中で寝れるものだ・・・。

 

「マヤ、着陸前チェック」

 

「はいよ!ランディングギア」

 

「チェック」

 

「フラップは・・・オート?」

 

「チェック。オートだよ」

 

「着陸前チェックリストコンプリート!オッケーだよ!」

 

「了解。」

 

滑走路が迫ってくる。

少し横風がある。

機体が若干揺れた。

 

「おっと・・・若干横風強いね」

 

「うん、少しラダー切らないと」

 

機体を少しだけ風の吹いてくる方向に向けた。

 

「500フィート」

 

もうすぐ地面だ。

ふと駐機場に目をやると今日は何かのイベントかというレベルでレシプロ機が駐機してあった。

B-17にB-29・・・零式艦上戦闘機・・・スピットファイアにBf109・・・あれは震電だろうか?

とにかくレシプロ機の見本市だった。

 

「すごい量のレシプロ機・・・」

 

「ほんとだねー・・・っと、300フィート」

 

「了解」

 

もうすぐ滑走路端にさしかかる。

 

「降りたら何しようかなー!」

 

「まずは予約したホテル」

 

「そだね!」

 

そうこうしてるウチに滑走路端に差し掛かった。

機体をゆっくりと地面に接地させる。

 

「着陸っと・・・」

 

《エンジェル0-1、そのまま滑走路から出てください。駐機場はスポット15です》

 

「スポット15、了解」

 

「15、15・・・あ!あのレシプロ機・・・えっと・・・97式艦攻・・・の横だね!」

 

「了解、97式艦攻か・・・写真でも撮りたいね」

 

「だね!滅多に見ない機体だし!」

 

ゆっくりタキシングして97式艦攻の横の駐機場に機体を停止させた。

幸いリリアも隣の駐機場だったので待ち合わせの必要もなさそうだ。

 

「エンジンカット・・・ふぅ、お疲れ様」

 

「お疲れ様!トマホークもお疲れ!」

 

「わん!」

 

機体から降りるとお爺さんが1人フェンサーを見上げていた。

 

「こんにちわ。どうしたの?」

 

「あぁ、いや。美しい機体じゃなと思っての」

 

「ありがと、お爺さんのは?」

 

「ワシはこの97式じゃよ」

 

自慢げに97式艦攻を指さした。

 

「ワシも若ければジェット戦闘機に乗りたいんじゃが・・・何分もう歳がのぅ・・・目が回っていかんわい」

 

「まぁ細かい機器類もおおいからね」

 

「97はワシが魔王戦争の時から乗っとるから手足みたいなもんじゃがな!」

 

「魔王戦争にいってたんだ」

 

「うむ!魔王城に1t爆弾ぶち込んでやったわい!うはははは!!ま、今は老人会の飛行機同好会の旅行って感じじゃな」

 

「そうなんだ。今日は温泉旅行?」

 

「いやいや、今日は旅行が終わって帰る日じゃよ。今はお土産見に行ったばあさん待ちじゃわい!」

 

「仲いいんだね」

 

「ラブラブじゃよ!はっはっは!」

 

元気なお爺さんだ。

そんな話をしているとリリアのフランカーが隣に到着した。

 

「あ、ごめんなさいお爺さん。友達が来たから行かないと」

 

「おお、時間取らせて悪かったの!温泉旅行楽しむんじゃぞ!」

 

「お爺さんも安全なフライトを」

 

「うむ!」

 

お爺さんと別れてフランカーの近くに行く。

マヤもそこに居た。

 

「お待たせ」

 

「あのお爺さん、元気そうだね」

 

「まだまだ現役って感じだった」

 

「長生きっていいよね・・・ね、トマホーク」

 

「わん!」

 

「よーしよーし!」

 

マヤがトマホークを撫で回してるとリリアが降りてきた

 

「ふぅ・・・お待たせハル」

 

「ううん。じゃ、行こっか」

 

「うん!」

 

スーツケースを持って空港を出る。

温泉街の旅館を予約しているのでそちらに向かった。

 

「いい街だね!」

 

「うん、いかにも観光地って感じ」

 

屋台なども沢山あり、美味しそうな匂いがした。

 

「旅館に荷物置いて着替えたら温泉に入ろっか」

 

「賛成!」

 

まだまだお昼前の時間だがいいだろう。

のんびり入って美味しい物を食べよう。

 

「あ!ここの旅館じゃない?」

 

「うん、ここだよ」

 

「じゃ、入りましょっか」

 

中に入りチェックインして部屋に入る。

ペット同伴可なのがいい所だ。

しかも旅館の温泉にはペット用の所も用意してあった。

 

「良かったねトマホーク、ここでトマホークも温泉に入れるよ!」

 

「わん!」

 

楽しみなのか尻尾をぶんぶん振り回していた。

 

「じゃ、着替えよっか」

 

3人と一匹、楽しい旅行になりそうだ。

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