高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

26 / 68
温泉旅行1日目

「あー・・・いいお湯・・・」

 

「ほんとねー・・・」

 

「気持ちいい・・・」

 

3人でゆっくりと露天風呂に入っていた。

空は澄み渡る青空で雲一つない。

夜空を眺めながらというのもいいがこうして青空を眺めながらというのもいいものだ。

 

「ねぇねぇ、出たら何食べる?」

 

「たしかここはキノコ料理が美味しいって噂よね」

 

「うん、あと川魚を使った料理とか」

 

「楽しみね!」

 

「久々にお酒飲みたい・・・」

 

「いいわね!私も飲みたい!」

 

「私も私も!」

 

「まぁでも真昼間っていうのもアレだし夜にしない?」

 

「そうだね」

 

美味しい料理を食べて美味しいお酒を飲むのも最高だ。

何だかんだクエストの報酬を貯めていたので今回はパーっと使おう。

 

「ねぇねぇ、そういえばこの街って職人さんが一つ一つ手作りで銃を作ってる店あるんだけど行ってみない?」

 

「銃を?」

 

「うん、ネットで見たんだけどね」

 

その店は魔王戦争時代の武器をメインに一つ一つ手作業で銃を作っている店らしい。

M4やAK47等の自動小銃は作っていないのだが、モシン・ナガン、M1903、kar98k、三八式歩兵銃など、有名所のボルトアクション小銃をメインに作っているそうだ。

また、少し値は張るが、最新のボルトアクション狙撃銃も作っているとか。

一つ一つ手作業のため、部品の規格が微妙に違ったりと故障した際に部品を付け替える事は出来ないが、武器が壊れる前に使用者が寿命で死ぬと言われているほど頑丈らしい。

また300m先から魔獣の目を正確に打ち抜けるほど高精度だとか。

 

「お土産に良いかもね」

 

「ねぇハル、せっかくだしそれ持って何かお仕事しない?」

 

「旅行に来てまでしないよ」

 

「そうだよねー・・・」

 

この後の行き先などを話しながらのんびりとお湯に浸かる。

 

「そろそろ出よっか」

 

「そうね」

 

「出たらお昼だね!」

 

「そうだね」

 

露天風呂から出て脱衣所で着替える。

 

「あれ、ハルってそんな服持ってたっけ」

 

「マヤが買ってきてくれたでしょ」

 

「あー!前ハルが飛行服しか着ないから強制的に買ったやつだ!」

 

「強制的って・・・というかハルも女の子なんだからオシャレくらいしたら?」

 

「そんなお金あったらトムキャットの維持費に回す」

 

「恋人できた時困るわよ?」

 

「私は飛行機が恋人だから」

 

恋人なんて要らない。

私にはトムキャットが居ればそれでいい。

まぁトムキャットより魅力的な人が居るなら考えるが。

脱衣所を出ると外でトマホークがお座りで待っていた。

 

「あ!トマホーク!さっぱりしたー?」

 

「わん!」

 

「そーかそーか!気持ちよかったんだねー!」

 

「わん!」

 

トマホークは笑顔で尻尾を振る。

気持ちよかったのだろう。

 

「じゃ、部屋に行って荷物持って出掛けよっか」

 

「そだね!」

 

マヤが買ってきた服、紺色のスカートに水色のパーカーだがどうもスカートは下がスースーして気になる。

マヤもお揃いの!とか言って同じような格好だがリリアはお嬢様らしい白いワンピースを着ていた。

 

「ねぇリリア、それでカレーうどんでも食べよっか」

 

「え?カレーうどん?」

 

「うん」

 

「美味しそうね・・・ってちょっと待って!今ハルの思ってること分かったわよ!!」

 

「チッ・・・」

 

「ちょっと何よその舌打ち!!」

 

「冗談だよ。ご飯食べに行こ」

 

「ハルの冗談たまに酷いわよぉ・・・」

 

ちょっと凹んでいるリリアを横目に旅館の中のレストランに向かう。

夜はここの小さな宴会場のような所でご飯だ。

 

「何食べよっかな!」

 

「美味しそうなのあるといいね」

 

「だね!」

 

レストランに入って席についた。

 

「何食べるかなー」

 

「私はこれにしようかな」

 

私は蕎麦とキノコの炊き込みご飯セットにした。

異世界料理をそのまま再現したと書いてある。

 

「じゃー私もこれ!」

 

「私はこれかな」

 

マヤは同じものをリリアはキノコのパスタを選んでいた。

トマホークには店から犬用のご飯を出してもらっていた。

 

「蕎麦って食べた事無いよね」

 

「うん!初めてだよね」

 

「私のお父さんが美味しいって言ってたわよ」

 

「楽しみ」

 

待つこと10分ほど、最初にリリアの料理が来た。

 

「ごめんね、お先に頂くわ」

 

「うん、そんな気を使わなくてもいいよ」

 

さすがお嬢様というだけあって食べ方はお上品だ。

その足元でトマホークはこの近くで取れた鹿肉を美味しそうに頬張っていた。

 

「そういえばマヤの言ってた店って近いの?」

 

「えっとね、ここから歩いて10分くらいかな」

 

「じゃあその店行ってあとは街を歩いて回ってみよっか」

 

「そだね!」

 

そう話していたら私達にも料理が届いた。

 

「美味しそう!」

 

「うん、いい匂い」

 

「じゃ、いただきまーす!」

 

初めての蕎麦の味を楽しみながら時間は過ぎていった。

トマホークは鹿肉をすぐに食べ終わり次のをくれと言わんばかりに足を叩いてきた。

 

「もうトマホークは食べたでしょ」

 

「わぅん・・・」

 

「まだ食べたいの?」

 

「くぅーん・・・」

 

「もうしょうがないなー・・・」

 

マヤは店員を呼んでトマホーク用のお肉をもう一つ用意してもらっていた。

そして肉が来るや否や物凄い勢いでがっついていた。

 

「ふー・・・美味しかった」

 

「お腹いっぱいだね!」

 

「お金払って行こっか」

 

「だね!」

 

食べ終わって名残惜しさか容器を舐めまわしていたトマホークを連れて店を出た。

 

「じゃマヤの案内で」

 

「りょーかい!」

 

職人の店。

私達パイロットからすればいくら高精度でも狙撃銃など必要は無いがお土産にはいいだろう。

 

「えっとたしかここを曲がると・・・あった!ここだよ!」

 

マヤが指さす店は小さな銃砲店だった。

中に入ると店番なのか私達と同年代くらいの女の子が一人いた。

 

「いらっしゃいませ、ごゆっくり見ていってください」

 

女の子は笑顔でそう言ってきた。

店内には多種多様なライフルが飾ってあった。

 

「わー・・・すっごい・・・」

 

複製魔法を使わない全ての部品を職人が作っているライフル。

一つ10万ドル越えは普通だった。

 

「あ・・・お爺様が持ってたライフル」

 

「ん?どれどれ?」

 

「これ、99式小銃」

 

「へー・・・リリアのお爺さんが使ってたの?」

 

「うん、魔王戦争で戦死した戦友のライフルって大切にしてたから」

 

「そうなんだ・・・」

 

「私、これ買おうかな」

 

「お!いいね!買っちゃえ買っちゃえ!」

 

「マヤは?」

 

「私はー・・・これかな?Kar98k!」

 

マヤはKar98kというライフルを指さしていた。

 

「ハルは?」

 

「選んでる」

 

色々と置いてあるがその中でも気になった銃があった。

全て古めの小銃が多い中一つだけ場違いなライフルがあった。

マクミラン TAC-338

異世界の伝説の狙撃手が使ったとされているライフル・・・と説明文に書いてあった。

値段は30万ドル。

私は何故かこのライフルに惹かれてた。

 

「私はこれかな」

 

「お決まりですか?」

 

「あ、えっと、99式とkar98、あとこのTAC-338で」

 

「かしこまりました!弾薬はどうされますか?」

 

「どうする?」

 

「せっかくだし射撃しに行こうよ!買お!」

 

「じゃあ弾薬も」

 

「かしこまりました!あ、それとTAC338なんですけど、照準器が無いんですが・・・サイトも買われます?」

 

「あ・・・じゃあアイアンサイトとこの8倍スコープも」

 

「かしこまりました!えっと・・・合計で90万ドルになります!」

 

「先に2人が払って、私の多いから」

 

「りょーかい!」

 

ライフルとおまけでガンケースを貰い店を出た。

店の外でトマホークが暇そうに欠伸をしていた。

 

「どこか射撃できる所ないかなー・・・」

 

ふと周りを見るとすぐ横に屋内射撃場があった。

 

「ここにしよ」

 

「いいね!ここにしよ!」

 

中に入り受付を済ませる。

その時に店にトマホークを預けた。

この射撃場、地下に作ってあって最大400mまで射撃ができるようだ。

 

「じゃあせっかくだし勝負しようよ!」

 

「いいわね!」

 

「ルールは?」

 

「5発で何点取れるか!あ、ハルはスコープ無しだよ!」

 

「分かってるよ」

 

「じゃあやろやろ!負けたらケーキね!」

 

「乗った」

 

「私も!」

 

射撃レーンは一つだけ使うことにした。

ケースから銃を出して弾を込める。

 

「じゃあ誰からやる?」

 

「そこは言い出しっぺのマヤから」

 

「じゃあ次私いいかしら!」

 

「いいよ。私が最後だね」

 

順番も決まり、イヤーマフを付ける。

 

「私こう見えて射撃は上手いから!」

 

マヤは笑顔で射撃レーンに着く。

銃を構えるとさっきまでの笑顔は消え真剣な顔で標的を狙っていた。

 

「すー・・・ふー・・・」

 

ゆっくりと引き金に指をかけていた。

そして腹の底に響く銃声がした。

ボルトを引いて排莢するときの金属音が心地よい。

その後順番に射撃を繰り返し、私の番になった。

射撃の結果は最後に見ることになっていた。

 

「・・・よし」

 

薬室に初弾を送り込む。

マヤやリリアの銃と違って私の銃は純粋な狙撃銃。

アイアンサイトだと少し狙いづらい。

せめてドットサイトが欲しかった。

 

「はー・・・ふぅ・・・」

 

息を止め、ゆっくりトリガーを引く。

腹の底に響く銃声と衝撃。

ただマズルブレーキのお陰でそんなに反動は感じなかった。

ボルトを引いて排莢する。

 

「・・・2発目」

 

同じように狙い、射撃した。

集中していたからか2人の5発は長く感じたのに自分がやって見るとかなり短く感じた。

 

「ふぅ・・・」

 

「お疲れ!じゃあ結果発表!」

 

近くにある射撃結果を印刷してくれる機械に行き印刷した。

紙を裏返してまだ見えないようにする。

 

「せーので見るよ!・・・せーの!」

 

紙を表にした。

 

「わーい!真ん中に2発も当たってるわ!」

 

「馬鹿なァ!!1発しか当たっとらんだとォ!?」

 

「・・・」

 

「ハルは?」

 

「ん」

 

私はきっとドヤ顔をしている事だろう。

全弾まさかのど真ん中だ。

 

「ま、負けた・・・」

 

「マヤの奢りね」

 

「お慈悲をください!」

 

「マヤが言い出したルールだもの・・・しっかり守ってね♪」

 

「リリア、店の指定無かったしいいお店に行こうよ。紅茶とケーキの美味しい店」

 

「任せて!いい店調べてあるから!」

 

「お願いします!あんまり高いのは勘弁してください!」

 

「ルールだし店の指定なかったから」

 

「うわぁぁぁん!無慈悲過ぎるよぉぉ!!」

 

射撃場を出て、少し行った先にあるケーキ屋でティータイムをした。

さすがお嬢様なリリアだけあり、美味しい紅茶と美味しいケーキが出てきた。

少し値は張ったが・・・。

マヤはヤケクソ気味でケーキを3個ほど平らげていた。

トマホークも犬用のケーキがあったのでそれを美味しそうに食べていた。

いいライフルも買えて満足の旅行1日目だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。