高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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帰宅

「ハルゼー、こちらエンジェル0-1。合流地点まであと5分」

 

《こちらハルゼー、了解。そちらの機体を確認したら地上のチームがフレアを上げる》

 

「了解」

 

カエデ達を襲撃を受けた屋敷から脱出させて今は駆逐艦に保護してもらう為に駆逐艦のクルーと合流しようとしていた。

本当は船に直接行くはずだったのだが、近くを王国軍の哨戒機が飛行していたため、森の中で合流することになった。

私達まで隠れなければならないのは面倒ではあるが仕方ない。

 

「これ、王国軍に見つかったら私達も危ないんじゃ・・・」

 

「大丈夫、ここは対空ミサイルの射程内だから」

 

「なにその目撃者を消せば大丈夫みたいな理論!!」

 

「マヤ、バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」

 

「そういう問題じゃない!!!」

 

コックピットでそんな話をしながら飛ぶ。

真夜中の森は暗くて不気味だ。

 

「はぁー・・・この森の上飛ぶの怖いよ・・・」

 

「同感」

 

早く帰りたい。

そう思っていると1キロくらい先に赤いフレアが上がった。

駆逐艦のクルーだ。

 

「見つけた」

 

「だね!はやく行って帰ろ!」

 

そのままフレアの発射地点に向かうと灰色のSH-60が何時でも飛べる状態で居た。

その周りには駆逐艦のクルーらしき人影が。

 

「降りよ」

 

「了解!」

 

周囲の木に気をつけてゆっくりと着陸する。

今日は満月だ。

真夜中とは言え視界はある程度確保出来た。

着陸するとハルゼーに乗っていた医者のベルが来た。

 

「この子?」

 

「うん、そうだよ」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「うん!よろしく!これからあなたの街づくりを合衆国海軍が全力で支援するから!」

 

「ありがと!」

 

ベルとカエデが話をしている時にふと隣のヘリを見た。

パイロットは2人とも暗視装置を持っていた。

そして機体の尾部にNAVYという文字。

やはり、異世界から来たんだなと感じる。

 

「じゃあまたね!ハルさん!マヤさん!」

 

「うん、またね。何時でも依頼してくれれば物も運ぶし守るよ」

 

「ありがと!心強いよ!」

 

「マヤ、行こう」

 

「了解!」

 

離陸して帰路に着く。

ハードな1日だった。

 

「ふぁ・・・眠い・・・」

 

「私もだよー・・・帰ったら寝よ!」

 

コックピットではお互いに大あくびをしていた。

 

「このまま何も無ければいいけど」

 

「やめてくださいよエル!森の上飛んでるんだし!」

 

「何か起きない為にちゃんと見ててよミオ」

 

「分かってます!」

 

ヘリは来た時と同じく真っ暗な森の上をテキサスに向けて飛ぶ。

何か出てきそうな雰囲気だ・・・。

 

「帰ったらどうするの?」

 

「早く寝て、明日は休む。皆で何か食べに行く?」

 

「賛成!」

 

「私も行きます!」

 

「私も」

 

「じゃあみんなで行こ。どこに行きたい?」

 

帰ったあとの話をしながら飛行を続ける。

そんな時、ガンナー席で下を監視していたエルが何かを見つけた。

 

「ん・・・何あれ」

 

「何かあった?」

 

「ハル達から見て9時の方向、下に何か・・・」

 

「見間違いじゃないですか?」

 

「犬の獣人舐めないで。臭いも感じる」

 

私はコックピットの窓から下を見た。

すると確かに何かいる。

暗い森の奥に赤く光る2つの点のようなものを見つけた。

目・・・?

 

「まさか・・・!」

 

エルは何かを感じ取り大きな声を出した。

 

「マヤ!今すぐ上昇して回避!!」

 

「え!?」

 

「翼竜!!」

 

エルがそう叫ぶと同時に森から二匹の翼竜が上がってきた。

あれは航空機の素材を好んで食べる翼竜・・・。

しかも低速のヘリがよく狙われるのでチョッパーキラーとかいう俗称が付けられていた。

夜のせいで黒い色の翼竜は視認しにくい。

 

「ミニガンで牽制します!!」

 

本来であればこの機体にミニガンなど搭載出来ないが、捜索用の窓と増槽などを載せていたスタブウイングを外しそこにミニガンを搭載していた。

見た目は普通のブラックホークに洋上迷彩を施した感じだ。

 

「M61積めてて良かったね!」

 

M61とは7.62x51mm弾の徹甲弾だ。

ボディーアーマーのプレートくらいならぶち抜ける性能だ。

 

「喰らえ!!」

 

咆哮のような銃声が響き弾丸がばら撒かれる。

 

「うそ、弾かれた!?」

 

「後ろどうなってるの!?」

 

「翼竜に向けて撃ったんですが効果無しです!!」

 

「クソっ!!」

 

「どうする!?」

 

「とにかく街の防空圏まで引きずり込めば対空ミサイルで落としてもらえる!そこまで逃げるよ!!」

 

「了解!!」

 

「私は近くの航空機に援護求めてみる!!」

 

私は無線をリスクを承知で全周波数にする。

この時間帯に戦闘機が近くを飛んでいるとも思えないが・・・。

それに、空賊や山賊にも聞こえてしまうがこの際仕方ない。

 

「メーデー!メーデー!メーデー!こちらエンジェル0-1!!現在二匹のチョッパーキラーに追尾されてる!至急救援求む!!繰り返す・・・!」

 

何回も無線に向かって必死に叫ぶように言った。

 

「ダメ追いつかれる!!」

 

「マヤ!!フレア撒いて!!」

 

「フ、フレア!?」

 

「生き物なら火は怖いでしょ!!」

 

「わ、分かった!!」

 

エルからフレアを撒くようように言われマヤは急旋回しながらフレアを撒き散らした。

さっきから高機動を繰り返し機体から軋む音がする。

 

「効果あり!!」

 

「了解!もっかい行くよ!!」

 

もう1度旋回しながらフレアを撒く。

翼竜が驚き少しだけヘリから離れた。

その時だった。

 

《こちらエンジェル0-2。ハル、まだ生きてる?》

 

「リリア!?」

 

《あら、元気みたいね。翼竜に追われてるの?》

 

「そう!今どこ!?」

 

《そうね・・・もう近くよ》

 

そうリリアが答えた直後だった。

どこからともなく飛来した2発のミサイルが翼竜をバラバラに砕いた。

 

《スプラッシュ》

 

「イケメンかよ・・・」

 

《ふふ、後で何か奢りなさいよ》

 

その直後、爆音がして真上を音速でフランカーが飛び去っていった。

 

「カッコつけすぎだよ・・・まったく」

 

「私今惚れそうでした・・・」

 

《ふふん!今日は機嫌がいいから!》

 

「また何があったのか・・・」

 

《ふふ、聞きたい?》

 

「いや面倒くさそうだからいい」

 

《なんでよ!ていうか聞いてよ!!》

 

「どっちだよ・・・」

 

リリアはそのまま機嫌が良い理由を話した。

家に帰った理由はいつも通りお見合いの話だったそうだ。

そしていつも通りまずは音速で父親の執務室の横を飛び去り屋敷の窓ガラスを全て粉砕し庭にあった父親のお気に入りの盆栽棚に空対地ミサイルをぶち込んだそうだ。

父親は泣きながら頼むから1回だけ見合いをしてくれ、それ以上の事は求めてないからと懇願してきたので1回だけ見合いを受けたそうだ。

するといつも通りのイケメン君が居たそうだが、どうやらちょっとだけリリア好みだったそうだ。

おまけに本人も戦闘機乗りで乗っているのはSu-35BM。

つまり、リリアと同じ戦闘機に乗っていた。

そこで2人は意気投合して連絡先も交換したそうだ。

・・・つまりはリリアに春が来たということだ。

 

「・・・惚気話かつまりは」

 

《ち、違うわよ!!》

 

「それにしてもお父さん可哀想・・・」

 

「屋敷の窓ガラス全部割られて趣味を空対地ミサイルで爆破され・・・」

 

「毛根死滅しそう」

 

《大丈夫よ、私が帰る度に薄くなってきてもう無いから》

 

「リリアのせいじゃんそれ!!」

 

リリアのお父さん南無三・・・。

私は心の中でそう思った。

 

「まぁ、リリアもこれで落ち着くって感じ?」

 

《どうかしら・・・結局相手も企業の御曹司って感じだし・・・》

 

「飛ぶ機会減りそうだもんね」

 

《そうなのよね・・・》

 

「ちなみに相手は何してるの?」

 

《ミサイルのメーカーよ。異世界から入ってきたミサイルの生産と独自に新しいミサイルを開発してるんだって》

 

「へぇー」

 

《もうちょっとしたら新しい製品出すみたいよ。翼竜とかの魔獣のみを識別してロックオンする対生体誘導ミサイルだって》

 

「また凄いのだすね」

 

《逆に飛行機とかは攻撃出来ないらしいけどね》

 

使い道が難しそうだが、狩りをする時にはいいかも知れない。

 

「そういえばリリア、よくこんな時間に飛んでたね」

 

《私も帰り道だったの。思いのほか話が盛り上がっちゃって》

 

「幸せそうで良かったよ」

 

《そ、そんなんじゃないわよ!》

 

「その割には嬉しそうだけど」

 

《う、うっさい!》

 

その後はリリアの護衛のお陰で何事もなく空港へとたどり着けた。

 

「ホントにありがと。助かった」

 

「いえいえ。ホントにいいタイミングで良かったわ」

 

「明日は何か奢るよ。皆で何か食べに行こうって言ってたし」

 

「ほんと?じゃあ、お願い!」

 

人気の少なくなった道を歩き家に帰る。

途中の戦闘で疲れたのかミオはほとんど眠りながら歩いていた。

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさい、ご主人様!」

 

「まだ起きてたんだ」

 

「うん、眠れなくて・・・。それに帰りも遅いから・・・」

 

出迎えてくれたのはこの前の救出の時に重傷だったエルフ。

名前は私と同じハルだ。

ハルは同じ名前だと呼びにくいし、この家でメイドをしたいという事で私のことはご主人様と呼ぶようになった。

 

「そっか。明日は皆で出かけるから今日は寝よ」

 

「ご主人様と寝ます!」

 

「それは私の特権なの!!」

 

マヤがハルに絡む。

 

「いつからそんな特権出来た」

 

「生まれた時から!」

 

「怖い」

 

「ミオ、ベッド行くよ」

 

「ふぁーい・・・」

 

エルはミオを連れて寝室に向かっていった。

 

「しっぽもふもふですー・・・」

 

「や、やめ・・・!尻尾は・・・!あっ、ちょっ!耳もダメ!!」

 

「んへへ〜・・・」

 

寝ぼけたミオはエルの尻尾や耳を触りまくっていた。

 

「あんな事したい!」

 

「私もご主人様とシたい!」

 

「おい1人字がなんかおかしかった」

 

身の危険を感じてきた・・・。

 

「もうなんでいいから寝させて・・・疲れた・・・」

 

私はクタクタだったので寝室に直行した。

 

「あ!ご主人様!お風呂!」

 

「明日朝入る・・・」

 

「わっかりました!」

 

元気な子だ・・・ホントに・・・。

私は疲れきっていたせいかベッドに寝転んだ瞬間意識が飛んだ。

 

「ん・・・んん・・・」

 

差し込む朝日で目が覚める。

 

「ふぁぁ・・・」

 

背伸びをしながら起きるとマヤはまだ爆睡していた。

リリアはいつの間にか起きて同じようにシャワーを浴びてきたのか髪の毛を乾かしていた。

 

「おはよ・・・」

 

「あら、おはよ。よく寝てたわね」

 

「疲れてたから・・・。お風呂行ってくる」

 

「はーい。あ、お風呂ならあのエルフの子が準備してくれてるわよ」

 

「分かった、ありがと」

 

私は着替えを持って浴場に向かう。

浴場に着くとハルが用意してくれたのか浴室内は程よい暖かさがあった。

 

「なんだか・・・お風呂に入らない日があるのダメだよね・・・」

 

私は服を脱ぎながらそう呟いた。

たまにだがこうやってもう朝でいいやとなる事があった。

女の子としてどうかと思うが・・・。

 

「はぁー・・・気持ちいい・・・」

 

体を洗って湯船に浸かる。

お湯の温度も丁度いい。

 

「今日はどこに行こうかな・・・」

 

近くに確かコーヒーの美味しいカフェがあった。

そこで軽く軽食でも食べるのがいいかも知れない。

あとは買い物でも行こう。

 

「賑やかになったし楽しいよね」

 

大人数で行くのも楽しいだろう。

私はそう思いながら湯船から上がる。

体も温まり気持ちいい。

そして脱衣所に出た。

すると・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・これがご主人様が1日着てた服の香り・・・ふぁ〜・・・」

 

・・・・・・・・・・

 

「ほんのり汗の匂いとご主人様の甘い香りがマッチして最高です・・・ふぇへへへ・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何してんの???

 

「おほっ・・・!これは・・・ご主人様の・・・!!」

 

ハルは私のパンツを持ち上げ匂いを嗅ごうとしていた。

 

「ちょ・・・」

「あんた何してんの」

 

私が止めに行こうとした時、同じように風呂に入りに来たエルがハルに話しかけた。

 

「あんたそれ、ハルのでしょ」

 

「はい、ですから私のです!」

 

「名前が一緒なだけで違う。この変態」

 

「あぁん!その目最高ですぅ!」

 

・・・なんだこの変態は!!!

 

「はぁー・・・見なかったことにしてあげるからそれ戻しなさい」

 

「お、お願いです!せめて!せめて、ここの匂いだけは!!」

 

「それを止めろっつってんのが分かんないの!?」

 

「あぁん!ひどい!!」

 

エルはハルから私の下着を奪い取り元の位置に戻してくれた。

 

「次やってるの見たらハルに報告するから。ハルならきっとアンタを追い出すよ」

 

「ご、ご主人様はそんな人じゃないです!」

 

この時点で既に君を追い出そうか追い出さまいか本気で考えてるよ。

もし私を命の恩人だからとそういう感情を持っているのなら直接命を救ったトマホークに持つべきでは・・・。

私はそう思った。

 

「・・・そこどいて」

 

「ご、ご主人様!お風呂どうでしたか?」

 

「気持ちよかったよ。入れてくれてありがと」

 

「お役に立てて嬉しいです!」

 

ハルは小走りで浴場から出ていった。

 

「・・・どうせ全部見てたでしょ」

 

「最初からね・・・」

 

「まったくあの子は・・・」

 

「ありがと、エルのお陰で助かった」

 

私は何となく撫でたくなりエルの頭を撫でる。

獣人とは言っても、顔はちゃんと人の顔でただ頭にその動物の耳が生えている。

それでも、柴犬の獣人であるエルは犬のような可愛らしさがあった。

 

「ちょ、ちょっと・・・撫でないで・・・」

 

エルは顔を赤くしながらそう言うが尻尾は嬉しそうにブンブン振られていた。

 

「口ではそう言うけど尻尾は正直だね」

 

「う、うるさい!私はお風呂行く!」

 

エルは顔を真っ赤にして風呂に入っていった。

 

「可愛いなホント」

 

「くぅーん・・・」

 

「トマホーク?」

 

エルを撫で回しているのを見たのか尻尾が垂れ下がったトマホークが悲しそうな声を上げてこっちに来た。

 

「よしよし、トマホークが1番だよ。私の戦友だから」

 

撫で回してやると嬉しそうに尻尾を振っていたがトマホークはよく見たら私の体を見ながら嬉しそうにしていた。

私は今バスタオル1枚だが、若干はだけて胸の辺りが見えそうになっていた。

 

「ト、トマホーク・・・?」

 

トマホークはじーっと胸の辺りを見ている。

 

「このエロ犬め・・・」

 

「わふ?」

 

私何も知りませんみたいな穢れなのない目でこちらを見るが何故かチラチラチラチラ胸を見ていた。

早くバスタオルはだけろと言わんばかりに・・・。

バスタオルを直してさっさと服を着ようと思ったがそれをまたトマホークはじっと見ていた・・・。

 

「あっち行ってて」

 

「わぅーん!!くぅーん!きゅーん!!」

 

「こんな時に必死の抵抗か貴様!確信犯じゃん!」

 

トマホークはモップのようになり抵抗していた。

だが、脇の辺りを持ち上げて外に出した。

トマホークは下ろしてと言わんばかりにこちらを見るが問答無用だ。

 

「次覗きに来たらおやつ抜きだから」

 

「・・・わふ」

 

どうやらおやつと覗きを天秤にかけた時おやつが勝ったようでそこからは大人しくなった。

 

「はぁー・・・朝から忙しい・・・」

 

そう呟くが、人も増えて賑やかになり楽しいのも本音だ。

今日は皆で出かける。

私はその事を考えながら着替えた。

 

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