高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

51 / 68
食費稼ぎ

「さてどうしたものか・・・」

 

空港のターミナルに張り出された張り紙。

それには空港がいつまで閉鎖になるか未定だと書いてあった。

滑走路の損傷は思った以上に酷く、周囲に飛び散った翼竜の死体や給油機の残骸の回収で手間取っている上、墜落した時の火災でコックピットボイスレコーダーとフライトデータレコーダーが完全に破壊されていて事故調査が思った以上に進んでいないそうだ。

出来ることなら異世界に持って行って解析してもらいたいと事故調査委員会は嘆いているそうだった。

 

「しばらくは飛べないか・・・」

 

そう呟いていた時だった。

 

「嬢ちゃん嬢ちゃん」

 

聞きなれた声。

振り向くと整備員のおじさんがいた。

 

「またろくでもない仕事?」

 

「ろくでもないとはなんじゃ!ていうか仕事じゃないわい!」

 

「じゃあどうしたの?」

 

「なに、ちょっと面白いもの作っての」

 

おじさんは着いてこいと言い、格納庫に案内された。

するとそこから車に乗せられて破壊された滑走路の無事な部分に向かう。

 

「何作ったの?」

 

「着いてからのお楽しみじゃよ!」

 

おじさんはニコニコしながらそう言った。

そして車で走ること数分。

滑走路に到着した。

そこには・・・

 

「・・・なにこれ」

 

「電磁カタパルトじゃ!動力源は暇してた魔法使い雇って動かしてるぞぃ!」

 

なんだそれ。

私は本気でそう思った。

 

「嬢ちゃんのトムキャットならここから離陸出来るぞぃ!なんならワイヤーもこの先と滑走路の反対にも設置してるから艦載機なら運用できるって寸法じゃよ!」

 

「またいつの間に・・・」

 

「ドワーフの力じゃな!うははは!!」

 

・・・まぁここから飛べるなら仕事が出来なくて干からびることは無さそうだ。

ただ、離陸可能な機体は限られてくる。

リリアやミオのように艦載機としての能力を持たない機体では離発着は不可能だった。

 

「あ、それとじゃな。空港運営から滑走路に並行して伸びてるターミナルと反対側の誘導路を滑走路として使っていいとお達しが出てるぞい」

 

「え、なにそれ」

 

「旅客機は無理じゃが戦闘機ならアフターバーナーさえ炊かなければ大丈夫だと言っておったの。まぁ正規の滑走路じゃないから事故ったら自己責任とは言っておったが」

 

また無茶苦茶を・・・。

ただ、それならリリア達とも飛べるか・・・。

私はとりあえず帰るとおじさんに言ってギルドでお茶をしているマヤ達の所に向かった。

 

「ただいま」

 

「おかえり!どうだった?」

 

「なんかおじさんが滑走路に電磁カタパルトと着陸制動用のワイヤー設置してた」

 

「なによそれ・・・」

 

「とりあえず艦載機なら飛ばせるみたい。あ、でも一応誘導路からの離発着もいいって通知でてるみたい」

 

「それならさっき放送で言ってたわね。事故ったら自己責任らしいけど」

 

「まぁ正規の滑走路じゃないからね。で、どうする?」

 

「なにが?」

 

「このまま空港の閉鎖解除を待ってたらお金が底を着いちゃう」

 

「調子に乗って買い物しすぎよ」

 

「経済を回してるんだからいいでしょ」

 

「まったくハルったら・・・まぁ、そうね。私は・・・閉鎖が終わるまでのんびりしようかしら」

 

「え、干からびない?」

 

「ハルと違って貯金してるの!私は!」

 

「私に黙ってそんな事してるなんて見損なった」

 

「ひどくない!?」

 

「冗談。でも整備費とか大丈夫なの?」

 

「なんとか賄えるわ。お父様から揺すったお金もあるし」

 

「揺すったって・・・」

 

そういえばこの前家に帰った時に200万近く貰ったと言っていた。

 

「マヤはどうする?」

 

「私はハルが行くなら行く!」

 

「了解、頼もしいよ」

私はとりあえず食費分でも稼ぎに行くことにする。

簡単な魔獣の排除で行こう。

 

「エルは?」

 

「私は家でまったりしてる。私が見てないと変態のほうのハルが何しでかすか分からないから」

 

「・・・それはかなり重要任務だからよろしく」

 

「私もお家でトマホークと遊んでます!」

 

ミオもそう言った。

そうなると飛ぶのは単機になるが、まぁ仕方ない。

 

「じゃあ、夕飯までには戻るよ」

 

「了解、気をつけてね」

 

「ありがと、エル」

 

私はクエストボードにマヤと向かう。

 

「何か魔獣撃退系はない?」

 

「んー・・・あ、これとかは?」

 

マヤが取った依頼書はテキサスからそんなに遠くないソルトシティーという街の近くの塩田地帯にデーモンと呼ばれる魔獣が出現しているそうだ。

デーモンは肉食の魔獣で人も襲うのでかなり危険な魔獣だった。

それでも街までは近づいてこないが。

一説によるとデーモンは本来は森に生息していた熊だったのだが、熊の住んでいる地域に扉が開き、その扉から放射線が出ていて突然変異したらしい。

その容姿は体長が小さくても10メートルもあり突然巨大化でもしたのかところどころ皮膚は裂け、そこから羽のような物が生えていた。

その羽はそもそもが小さく飛行できるようなものではないが、これからまた進化した際に飛べるようになるかもしれないという研究結果が出ていた。

顔もその皮膚が裂けた場所から小さな羽や目玉が出ていたりと非常に恐ろしい顔立ちとなっている為デーモンと名付けられた。

とにかく見た目が醜悪な上に非常に凶暴な魔獣だった。

攻撃は素手で行ってくるが、装甲車くらいなら引き裂く怪力な上、30mmクラスの徹甲弾なら頭に喰らわない限り1発は耐えるそうだった。

さすがに戦車には無力だが移動速度は巨体の割に素早く、砲身くらいならもぎ取る怪力なので1匹にたいして戦車2両というのが鉄則らしい。

弱点は背中の皮膚が裂け、羽が生えている部分だそうだ。

そこなら戦闘機の20mm機関砲でも効果がある。

個体によっては脊椎近くが裂けているのでそこを狙えば即死させることが可能かもしれない。

 

「これにする?」

 

「ハルがよければ!」

 

「報酬は70万・・・2週間分の全員の食費分くらいにはなるね」

 

「だね!」

 

「じゃあこれに行こ。マヤ、私は戦闘機の準備するから申請お願い」

 

「了解!」

 

私は格納庫に向かった。

武装は今回はガンポッドを積んでいこう。

翼のハードポイントに2基の20mmバルカン砲のガンポッド、そして自衛用のサイドワインダー2発とスパローを4発。

あとは増槽だ。

これで十分だろう。

私は武装をおじさんに伝えた。

 

「さっそく使ってくれて嬉しいぞぃ!20mmの弾薬はオマケしといてやるぞ!」

 

「ありがと」

 

「嬢ちゃんはお得意様じゃからの!うははは!!」

 

機体の準備をしていると、マヤが戻ってきた。

 

「お待たせ!」

 

「おかえり。もうちょっと待ってて」

 

ミサイルを積み終わり今はバルカン砲に給弾していた。

弾薬は徹甲榴弾と曳光焼夷弾の組み合わせだ。

生き物相手なら焼夷弾は効果的だろう。

 

「よし!給弾終わりじゃ!じゃ、気をつけての!」

 

「ありがと」

 

私達はコックピットに乗り込み、滑走路に向かう。

滑走路が使えないとあり誘導路にはほとんど航空機が居なかった。

ものの数分でカタパルトに到着し機体を接続した。

 

「タワー、エンジェル0-1。離陸許可願います」

 

《こちらタワー、離陸を許可します。行ってらっしゃい》

 

「マヤ、頭打たないでね」

 

「了解!」

 

私は出力をあげる。

その数秒後、機体は射出され一気に加速した。

カタパルトが切れる頃には280ノットになっていた。

すぐに機体は地面を離れる。

 

「カタパルトでの射出はやっぱキツイ・・・」

 

普段は経験しない加速度。

首が痛くなる。

 

「マヤ、大丈夫?」

 

「今回はね!」

 

「なら良かった」

 

私は旋回してソルトシティーに進路を合わせた。

ソルトシティーはその名の通り、塩作りで有名な街だった。

そこの街では色々な塩を作っており、その塩を使った料理で有名だった。

特に有名なのが色々なスパイスを混ぜた塩で、1部の熱狂的ファンからは合法ドラッグとまで言われていた。

これさえ使えば肉や魚料理はソースも何もいらないくらい美味しくなるんだとか。

ただ、ソルトシティーの塩田は街の外にあり、魔獣の襲撃に会うことがあった。

そして街の冒険者達でも対処しきれない依頼が近くのテキサスにも回ってくる。

テキサスからソルトシティーまでは片道30分ほどの距離なので比較的近いのも理由だろう。

せっかくだし、ソルトシティーに仕事終わりに着陸してお土産として買って帰るのもありだ。

 

「ソルトシティーの塩買ったら皆喜ぶかな?」

 

「きっと喜ぶと思う。エルに狩りに行ってもらって新鮮なお肉取ってきてもらうのもありかも」

 

「それいいね!えへへ、なんか楽しみになってきた」

 

「まぁ、それも仕事を終わらせてからね」

 

「分かってるよ!」

 

私達は目的地を目指して飛行する。

ソルトシティー近くの空域はテキサスからの冒険者たちもよく通るルートなので空賊が少なく比較的安全な空域だった。

ただ、テキサスの滑走路が塞がれてしまっているので今はどうかは分からないが・・・。

 

「あと10分かな」

 

「だね!えと、デーモンを3匹以上排除で依頼達成だから!」

 

「了解。じゃ、戦闘準備しようか」

 

私は機体のバルカン砲とガンポッドを何時でも撃てるようにする。

発射速度は最初様子を見るためにLOWに設定した。

HUDに機関砲のレティクルが表示される。

 

「マヤ、地上をよく見ててね」

 

「了解!」

 

塩田上空に到着し、ゆっくりと旋回を始めた。

すると塩田から少し離れたところに巨大な熊のような生物が見えた。

ターゲットだ。

 

「見つけた。なるべく上から行くよ」

 

「おっけー!任せるよ!」

 

「0-1、エンゲージ」

 

私はデーモンの真上に到達すると宙返りをして急降下する。

そして、デーモンが照準に収まった時引き金を引いた。

3基のバルカン砲から20mm砲弾の雨が降る。

 

「このあたりで引き起こしっと・・・」

 

高度低下の警報がなり始める前に引き起こした。

旋回してデーモンを見ると、背中に弾丸が集中したためか背中が裂け、焼夷弾の影響で火が付き燃え始めていた。

しかし動く様子はないので絶命しているだろう。

 

「よし、1匹排除」

 

「えーっと次は・・・あ、居た!3時方向!こっちみてるよ!」

 

マヤに言われた方向にはこちらを見上げるデーモンの姿があった。

だがこのデーモン、私達が攻撃しようとした瞬間、近くにあった岩を投げてきた。

 

「嘘!?」

 

「まぁ向こうだって脳みそくっついた生き物だもんね」

 

しかしいくら攻撃してきたとはいえ、投げられた岩。

300mも離れれば脅威でない。

ただ、攻撃の為に降下してる最中は危ないだろう。

 

「よし、もっかい行くよ」

 

しかし上から撃たないと弱点を効率よく攻撃出来ない。

私はもう一度急降下しながら先程より早めに引き金を引いた。

デーモンは攻撃に気づき頭を庇うような動きをしたが頭を隠した手の間を通り抜けた焼夷弾が裂けた皮膚部分に命中した。

デーモンは顔を抑えて転がり周り動かなくなった。

念の為もう一度、掃射したが焼夷弾で火がついた以外は動きが無かった。

これで2匹だ。

 

「結構スムーズに狩れてるね」

 

「いいペースだよ!」

 

「これなら観光する時間も稼げそう」

 

再び旋回してターゲットを探す。

すると今度は走って逃げているデーモンを見つけた。

巨大なくせに時速60km近くは出ているようだ。

私はそこに背後から接近し機関砲弾を浴びせた。

すると急所に当たったのかデーモンは突然力を無くし転がりながら絶命した。

これで終わりだ。

 

「ふー・・・お疲れ様」

 

「お疲れ様!じゃあ着陸を・・・」

 

その時だった。

全周波数で助けを求める声がした。

 

《メーデー!メーデー!メーデー!!空賊に絡まれた!誰か援護を!!》

 

「ハル!」

 

「分かってる」

 

《誰か・・・援護を!!》

 

震える声で助けを求めていた。

レーダーにはそれらしき航空機も映っている。

 

「マヤ、敵機に接近を悟られたくないから返答はしないよ」

 

「了解!敵機は・・・Mig-23だね!」

 

「分かった、もうひと仕事行くよ」

 

私は加速して目標に向かう。

すると遠くに輸送機、An-12が見えた。

2機のミグに絡まれている。

輸送機は急降下でもしたのかかなり低高度だった。

私は輸送機に当たらない角度からミグを狙い、ロックオンする。

 

「捕らえた、行くよ。FOX1」

 

ミサイルを発射した。

ミサイルはすぐにミグに到達しミグはバラバラに砕けた。

攻撃に気づいたもう一機は離脱しようとしたがもう遅い。

もう1発を発射した。

 

「よし、撃墜マーク2追加だね」

 

「グッドキル、ハル!」

 

「さてと、こちらエンジェル0-1。そちらの援護に入る。助けに来たよ」

 

輸送機の横を通過し、無線で伝えた。

それにしても悪い勘は当たるものだ。

空賊もテキサスが滑走路閉鎖になったのを知っていたのだろう。

そのタイミングで狙いに来たようだ。

 

「そういえば、あの輸送機の声って女の子だったよね!」

 

「うん。なんか知り合いの声とよく似てる」

 

私は輸送機に安否を聞くためにコールサインを聞いた。

輸送機はイーストカーゴ1と答えた。

そしてその声で私はほぼ確信した。

 

「もしかして・・・機長はサキ?」

 

そう聞くと輸送機はそうだと答えた。

サキはパイロットスクールの同期だ。

彼女は戦闘機の免許を取りに来たが戦闘機はあまり好きでないと言っていた。

それに本人は魔法使いでもあったのでよく覚えている。

 

《久しぶりだね!》

 

「うん。元気そうで良かった」

 

久々の旧友との再会。

嬉しかった。

そしてサキと話していると副操縦士は男の人だそうだ。

あの人見知りのサキが男と一緒に乗ってるなんて・・・。

人は変わるものだ・・・私はそう思った。

そして私の提案で私とマヤ、輸送機の2人でソルトシティーでお茶をすることにした。

 

「じゃ、先に降りて待ってて」

 

《うん!ありがと、助かったよ!》

 

「ちゃんと報酬は貰うから」

 

《うぅ・・・それは少しまけて・・・》

 

そう話しながら私は輸送機から離れた。

そして数分後輸送機は着陸し私たちの番になる。

 

「じゃ、降りるよ」

 

「はーい!」

 

やっぱり普通の滑走路はいい。

ワイヤーで急停止するのはあまりいい気持ちはしなかった。

私はトムキャットと指定されたエプロンに駐機し機体から下りた。

 

「んー・・・!はぁ・・・背伸びが気持ちいい」

 

「私もー・・・!ふぅ・・・」

 

2人で少し背伸びをしてサキ達が待つ場所に向かった。

そこには昔より少し大人びた雰囲気のサキと緊張しているのかぎこち無い副操縦士のカズキがいた。

何故か珍しそうにこちらを見ている。

 

「お待たせ」

 

「ううん!大丈夫!」

 

そしてこの街に詳しいサキにオススメのカフェに案内された。

私達はそこでお茶をする。

 

「それにしても久しぶりだね。魔法使いのほうは順調なの?」

 

「うん。魔法も使えて輸送機も飛ばしてるよ!」

 

「そっか。カズキは?」

 

「へっ?俺?」

 

「うん。パイロットの免許も持ってないって言ってたし」

 

「あー・・・えと・・・」

 

「カズキも魔法使いなの。でも凄いよ!武器の召喚も出来るし英語も読めるし!」

 

「え?」

 

英語も読めるという言葉を聞き、私は一瞬ハルゼーの艦長達の事を思い出した。

 

「ねぇ、カズキ君!その魔法見せてよ!」

 

マヤは興味津々でそう言った。

 

「え、えと・・・何を召喚したらいい?」

 

「何を?え、そんなに種類出せるの?」

 

「うん、たぶん存在してる銃火器なら」

 

「カズキ君どんな頭してるの!?」

 

「ひどい!」

 

それには私も同意見だ。

武器を召喚するにはその構成素材と全てのパーツの寸法や動き、機能を覚えていないと不可能な魔法だった。

どれだけ頭のいい人でも召喚できる銃は多くて2種類くらいだった。

 

「でもほら、コレ見て」

 

カズキはM1911とAK-74を召喚した。

しかもAKに至ってはドットサイトのアタッチメント付きだ。

 

「こんなんでも俺、記憶喪失なんだけどね・・・あはは・・・」

 

カズキは何かを隠すように笑った。

照れ隠しだろうとは思ったが。

 

「でも凄いよね、記憶喪失なのに英語も読めるんだから!」

 

「え、あ、いやまぁ・・・」

 

その時私は少し思い当たる節がありカズキにストレートに聞いてみた。

 

「ねぇカズキ」

 

「ん?何?」

 

「・・・もしかして異世界人?」

 

「ぶふっ!!」

 

・・・カズキは思いっきりコーヒーを吹き出した。

 

「な、何を!?」

 

「銃火器は分からないけど、記憶喪失なのに英語読める人なんてそうそう居ないよ。それに私、異世界人の知り合いいるから」

 

「え、ま、マジで?」

 

「うん。アメリカ海軍の駆逐艦とそのクルー」

 

「あー・・・ハルゼーの艦長ね・・・」

 

マヤは微妙な顔をして言った。

 

「カズキ・・・異世界人なの?」

 

サキはカズキのほうを見てそう言った。

 

「あの・・・聞きたいんだけど、異世界人って何か酷い扱い受けてるの?」

 

「ん?別に。ハルゼーの艦長は知らずに王国軍とも交戦してるから海賊扱いになってるけど」

 

「そ、そうなんだ・・・でも・・・その、確かにハルさんの言う通りだよ」

 

「え・・・?でもどうやって・・・」

 

「俺・・・1回死んだんだ。実感は湧かないけど」

 

「え・・・」

 

1回死んだという言葉に私達はショックを受ける。

冗談で言ってるようにも聞こえない。

 

「俺さ、交通事故起こして目が覚めたら目の前に女神が居て、転生だって言われて目が覚めたらサキに助けられてた」

 

「えと・・・」

 

「冗談っぽいけど本当なんだ・・・」

 

カズキはきっと信じてくれないだろうという感じに言う。

だが、私含めてマヤ、サキの反応は好意的なものだった。

何より私は知り合いが異世界人だ。

転生はよく分からないが異世界人だからと別に差別とかもあるわけじゃない。

マヤはただ単に興味津々だった。

そしてサキは目をキラキラさせながら異世界の事を聞いていた。

サキは昔から異世界の文献が好きでよく集めていた。

 

「意外と異世界から来る人って多いのかな」

 

「さぁ、分からない。駆逐艦のクルーは突然この世界に来たって言ってるから」

 

「そうなんだ・・・」

 

「帰りたいの?」

 

神妙な顔つきのカズキにそう聞いた。

 

「いや、俺はさっき言ったけど死んでるんだ。これが第2の人生だしこの世界で楽しむよ」

 

「ん、そっか。それで、パイロットにもなるんだもんね」

 

「うん、せっかくだし生前の世界でも出来ないようなことをね」

 

「そっか。パイロットスクールは楽しいから安心して」

 

「それ聞いて安心したよ」

 

そして1時間ほど4人で色々とお喋りをし店を出た。

サキとカズキはパイロットスクールへ。

私達は空港でお土産を買い、再び機体へ戻った。

燃料はまだ増槽を使い切っておらず、補給も不要だ。

このまま離陸しよう。

 

「じゃ、帰るよ」

 

「はーい!なんだか今日は楽しかった!」

 

「異世界の人とも会えたしね」

 

「マトモな異世界の人とね!」

 

「ひどい、ハルゼーだってマトモな人達」

 

「でも初対面の時のイメージが強くて・・・」

 

「・・・まぁ、確かに」

 

確かに初対面ではこちらは攻撃を受けている。

正確には同行していた哨戒機だが。

撃墜され、乗員全員が行方不明となっていた。

あの時こそ敵対していたが今では私の命を救った恩人でもある。

 

「まぁ、ティーチャーみたいな人でもないから」

 

「あれは別格でしょ!」

 

「まぁね・・・二度と会いたくない」

 

あのターボプロップ機だけはこの先ずっと会いたくないものだ。

マヤと色々と喋ってるうちに離陸許可が下りた。

 

「じゃ、帰りますか」

 

「ほーい!帰ろ帰ろ!」

 

とりあえずこれで食費は稼げた。

あとはこの食費が尽きる前に滑走路が直ってて欲しい・・・。

そう思いながらテキサスへの帰路についた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。