高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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薬草採取

未だに直らない滑走路。

街の物流は輸送ヘリによってなんとか確保されているが、低空を低速で飛ぶ輸送ヘリは翼竜や中に積まれた物資目当ての山賊に撃墜されていた。

一応、対戦車ヘリか戦闘ヘリが護衛についてはいるが・・・。

林内に配置され偽装を施された対空機関砲や携行式地対空ミサイルの餌食になっていた。

 

「輸送ヘリの護衛クエストばっかり・・・」

 

ギルドで依頼を確認するが、あるのは輸送ヘリの護衛、護衛、護衛。

見渡す限り輸送ヘリの護衛ばかりだ。

 

「マヤ、アパッチあるけどどうするの?」

 

「うーん・・・正直ハルと違ってあまり戦闘慣れしてないから・・・」

 

確かにマヤはヘリの操縦なら右に出る者は居ないと思うほどだが、戦闘になると話は別だった。

ブラックホークに乗っている時も基本的にマヤは操縦に専念し武器の使用は副操縦士やドアガンナーに任せていた。

どうも、操縦と武器の使用の両方を同時に行うのは苦手だそうだ。

 

「ハル、これ」

 

依頼ボードの前で悩んでいるとエルは1枚の紙を出してきた。

それはここからそう遠くない所にある森に自生している薬草の回収。

この薬草は強い鎮痛効果と止血効果があり、乾燥させ粉末状にし傷口に擦り込むと動脈出血すら止めることができる。

ただし、動脈出血の場合は出血している血管に擦り込まないと吹き出る血で流れていってしまい効果が薄くなってしまう。

それでも、現場で大量出血を止めることが出来る手段なので重宝されていた。

その薬草が今、空港の閉鎖で入ってこなくなっており病院や薬屋での在庫が切れそうだった。

 

「これなら簡単だし、ヘリで行けばそこそこな量が持って帰れるかも」

 

「確かに。やる?」

 

「私はいいよ!」

 

「私も行きます!」

 

「じゃ、決まりだね」

 

今日のメンバーは、私、マヤ、エル、ミオ。

リリアや他の子は家でまったりとするとの事だった。

 

「武器はどうする?」

 

「いつも通りの装備。マヤとミオはヘリの警戒でもいい?」

 

「私はむしろそっちのほうがいいかな!」

 

「私もマヤさんとヘリを守ります!」

 

「じゃあそれで」

 

私とエルが薬草の採取、マヤとミオがヘリの警戒となった。

私達は格納庫で武器と装備を整えた。

私とエルはジーパンにOD色のソフトシェルジャケット、プレートキャリア、ComTacを装備した。

銃は何も装着していないAK-74NとP226。

エルはKar98kとホロサイトを装着しハンドガードをRIS2に換装したM4、M1911だった。

 

「重くない?」

 

「慣れたから」

「それならいいけど」

 

マヤ達はいつの間にかお揃いで購入していたMP7を装備していた。

 

「それじゃ、お仕事と行こうか」

 

「了解!」

 

格納庫からトーイングカーでエプロンに出る。

管制からはエプロンからそのまま離陸していいと言うことだった。

 

「よし、エンジンも操縦系も異常なし!行くよ!」

 

「よろしく、機長さん」

 

今日はミオが副操縦士席に、私とエルはガンナー席でM2重機関銃を握っていた。

増槽を装備しているので上方の射界は狭いが仕方ない。

 

「ねぇエル」

 

「何?」

 

「今度、戦闘機乗ってみる?」

 

「え?戦闘機に?」

 

「うん。どうかなって」

 

「戦闘機・・・」

 

エルは少し考え込んだ。

だが次は笑顔で答えた。

 

「うん、乗りたい」

 

「了解、それじゃ明日何もしないしちょっと飛ぼ。おじさんが作ってくれた電磁カタパルトがあるし」

 

「分かった、楽しみにしてる」

 

明日の予定を立て翌日が楽しみになる。

エルを乗せて飛ぶのは初めてだ。

 

「それにしても・・・いい天気ですね・・・」

 

副操縦士席で辺りを見ながらミオが呟く。

天気は雲ひとつない青空。

下は広大な草原だ。

寝転べば気持ちよさそうだ。

風もいい感じに吹いている。

 

「帰りに余裕あったらちょっとだけこの草原で遊んで帰る?」

 

「賛成!」

 

昼食も持ってきている。

この草原に降りて昼食を取るのもいいだろう。

 

「それじゃ、さっさと採取を終わらせよっか」

 

目的地まであと10kmほど。

目の前には森が見えてきた。

薬草がまとまって自生しているのは古代の遺跡群の近く。

その近くは比較的開けた場所がありブラックホーク1機なら簡単に下ろせるはずだ。

 

「ねぇねぇ!薬草なんだけど、少し多めに取らない?」

 

「多めに?」

 

「加工するだけなら街の加工屋に依頼すれば簡単だし持っとけば突然の怪我にも使えるし!」

 

「まぁ・・・確かに」

 

確かに私は撃たれた経験は何回もあるし、出血で死にかけている人を助けようとした事だってある。

その時はこの薬草を持っておらず、魔法と止血帯に頼るしか無かった。

だがこれさえあれば自分も他人の命も救える。

持っていて損は無いだろう。

 

「えっと、採取は5kg分ですよね?」

 

「うん、5kg採取して病院に納品」

 

「じゃあ1kgくらい多めに取りましょう!」

 

「そうだね」

 

今回は依頼主が街の総合病院。

報酬は1kg1000ドルの5000ドルだ。

あまり高い報酬とも言えないが、この仕事をしないと困る人もいる。

どうせお金はまだあるし人助けも良いだろうと選んだ。

それについでに自分たちの分の薬草の採取も出来るしいいだろう。

薬草の採取自体は大した難易度でもないし、ヘリがあれば簡単だ。

 

「ハル、もうすぐ着くよ」

 

「了解。ミオ、ドアガンよろしく」

 

「了解です!ハルさんを邪魔する奴らをぶっ飛ばします!」

 

「了解。頼もしいよ」

 

ミオは席を少しずらしキャビンに移動した。

私はドアを開けて着陸の準備をする。

 

「エル、弾薬装填」

 

「了解」

 

チャージングハンドルを引いて初弾を薬室に送り込む。

この金属音が心地よい。

 

「じゃあ警戒よろしく」

 

「了解!気をつけてね!」

 

私とエルは地面より少し高い位置でホバリングするヘリから薬草を入れる木箱を投げたあと飛び降りた。

ヘリは少し離れた位置に着陸する。

 

「回収地点はここだからこの箱に詰めて置いとこ」

 

「了解」

 

ヘリから降りる時に外に投げた木箱を回収した。

これに薬草を詰めるが木箱そのものが少し大きくヘリまで運ぶのは大変そうだ。

 

「さてと、集めますか」

 

「薬草はどんな見た目?」

 

「こんなの」

 

ケータイで画像を表示する。

エルはそれを見て写真を覚えたようだ。

 

「じゃあ探そ」

 

私たちは目の前の林に入っていく。

近くには昔の人が作ったと思われる石の置物などがあり、幻想的な雰囲気だ。

 

「暑い・・・」

 

寒いかと思ってソフトシェルジャケットを着てきたのは失敗だった。

降りた場所は湿度が高く、蒸し暑く感じる。

 

「エル、上脱がない?」

 

「賛成。暑くて集中できない」

 

私たちはジャケットを脱いで腰に巻いた。

上はシャツだがまぁ、大丈夫だろう。

 

「あれ、エルって着痩せするタイプ?」

 

「え?」

 

「そんなに胸大きかったっけ」

 

「な、なに言ってんの!?」

 

上半身がOD色のシャツだけだから大きく感じるのかもしれないが、エルは中々のものをお持ちのようだ。

Dくらいだろうか・・・。

というか私は何をまじまじと観察してるんだ・・・。

 

「変なこと言ってないで探すよ!」

 

「はいはい」

 

エルは顔を赤くして前に進んだ時だった。

バシュッという音が聞こえエルの前に何かの物体が飛び上がった。

 

「!!」

 

エルを守ろうにも何が起こったか分からずに固まってしまった。

そしてその物体が破裂した。

中からは薄いピンク色をした粉塵が撒き散らされる。

 

「エル!!」

 

「げほっ!!げほっ!!」

 

咳き込むエル。

私は駆け寄ってエルの容態と足元を確認した。

 

「大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫・・・」

 

エルは大丈夫というが顔が赤くなっている。

まるで風邪をひいたような赤さだ。

 

「体は?」

 

「痺れとかはないけど・・・暑い・・・」

 

「分かった、少し横になって」

 

エルを地面に寝かせ、エルが踏んだものを確認する。

 

「これ・・・」

 

初めて見る植物だった。

そこら中に生えている。

見た目は普通の花のようだが、どうやら触れると跳躍地雷のように地中にある球根が跳ね上がり顔の高さで破裂する。

そして中の粉塵を撒き散らすようだ。

私は花と球根の残りを回収して戻ることにする。

 

「マヤ、緊急事態」

 

《どうしたの!?》

 

「エルが踏んだら跳ね上がる植物を踏んでその粉塵を吸ったみたい。容態が分からないから急いで帰るよ」

 

《りょ、了解!》

 

「エル、行くよ。掴まって」

 

「ありがとう・・・」

 

エルは荒い息使いで私の肩に掴まる。

 

「大丈夫?」

 

「分からない・・・でも、体が暑い・・・」

 

「すぐに病院に行くから頑張って」

 

「うん・・・」

 

着陸地点に行くとヘリはちょうど上空に到着していた。

すぐに降りてきたヘリに乗り込み病院に直行する。

 

「エル、体の調子を教えて」

 

「体が暑い以外は・・・なんだか・・・変な気分も・・・」

 

「ど、毒でしょうか・・・」

 

「憶測はやめて。とにかく病院に」

 

「分かってる!すぐに着くから!」

 

病院までは20分ほどで到着した。

すでに連絡をしていたのでヘリポートでエルを担架に載せ替えて私も医者たちと病院に入った。

 

「今から検査をします、ここでお待ちください」

 

エルは処置室に担ぎ込まれて検査を受けていた。

1時間くらいだろうか、マヤたちも合流して検査が終わるのを待つ。

すると医者が出てきた。

 

「ハルさん、エルさんの容態ですが命に別状はありません」

 

「よかった・・・」

 

「恐らく、粉塵を吸い込んだ際のアレルギー反応でしょう。ですが、何かあればまた病院に来てください」

 

「分かった。ありがとう、先生」

 

数分後、エルも処置室から出てきたがまだ顔が赤い。

私たちは街中でタクシーを広い、家に戻った。

 

「エル、良かったね、何も無くて」

 

「うん・・・ごめん、ハル」

 

「ううん、あれは不可抗力。大丈夫だよ」

 

家に戻るとエルは自室に入りベッドに寝転んだ。

私も今日は看病のためにエルのそばに居ることにした。

マヤたちには買い物を頼み、今家には私とエルだけだ。

 

「ねぇハル・・・」

 

「なに?」

 

「着替えたい・・・」

 

「あ、汗だくだもんね。待ってて」

 

クローゼットからエルの服を出して持っていく。

その間にエルは服を脱ぎ下着姿になっていた。

「ありがと・・・」

 

エルはまだ荒い息使いでそうお礼を言った。

 

「大丈夫、大事な仲間だから」

 

そしてエルに近寄ったその時だった。

 

「ハル・・・ごめんなさい・・・」

 

私は腕を掴まれベッドに押し倒された。

そしてエルは拳銃を私に突きつけた。

 

「・・・なんの真似?」

 

「ごめん・・・ハル・・・」

 

エルは荒い息使いと紅潮した顔でそう言った。

 

「ふざけてないで着替えて」

 

「ううん・・・いい。それよりハル・・・脱いで?」

 

「・・・は?」

 

「脱いで」

 

「・・・・・?」

 

なぜ私が脱がねばならん。

頭に?が出ていることだろう。

 

「私・・・あの花粉吸って・・・来ちゃった」

 

「・・・あの・・・何が?」

 

「・・・発情期・・・」

 

「はぁ!?」

 

どういう事だ!!

私は本気でそう思った。

 

「あの花・・・故郷で聞いた事がある・・・強力な媚薬作用があるからって・・・」

 

「・・・嘘でしょ」

 

「だから・・・ハル・・・」

 

「まてまてまてまてまてまて」

 

エルは拳銃のフロントサイトに私の服を引っ掛けてめくり出した。

 

「動かないで」

 

「動くよ!おかしいでしょ!!」

 

「お願い・・・1回すればスッキリするから・・・!」

 

「そういう問題じゃない!!」

 

私は抵抗するがやたらと力が強い上に拳銃をお腹に突きつけられている。

しかも記憶が正しければ装填されている弾薬はRIP。

もし発射されでもしたら致命傷だ。

 

「お願いだから落ち着いて・・・」

 

「落ち着いてる、私、ハルとがいい」

 

「何が!?」

 

「発情してもそこらへんの男は嫌だ。ハルがいいの」

 

「ま、待って待って待って・・・!」

 

どうやって逃げ出すが考えている間に妙に素早い手つきで手をベッドに縛られた。

ちょっとでも動こうとすると拳銃をお腹に深く突きつけるし動くに動けない。

・・・これかなりヤバいんじゃ・・・。

 

「これでよし・・・っと」

 

「何一つよしじゃない!!」

 

私は両手を広げた姿勢でベッドに縛り付けられた。

そしてエルはついに下着すら脱ぎ捨てる。

獣人の発情期って同性にも発情するのか!?

 

「ハル・・・」

 

「んぅぅぅ?!?!?!」

 

思いっきりキスされた。

・・・初めてなのに!!!

まぁ・・・別にいいっちゃいいのだが・・・。

 

「・・・ご主人様・・・」

 

「ご主人様の言うこと聞いて!!」

 

せめて1人くらい家に置いておくんだった!!

そこから10分近くエルからキス責めされた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ハル可愛い」

 

「も、もう満足でしょ・・・?」

 

「まだ」

 

「ちょ、ちょっと待った!!せめて顔とかに・・・!」

エルは私の服を剥ぎ取り胸の辺りに顔を持っていった。

・・・そして舐め始めた。

 

「んふ・・・汗の味・・・」

 

「舐めるなぁぁぁ!!」

 

トマホークが私の手を舐めてくるようにぺろぺろと舐めてくる。

 

「や、やめ・・・くすぐった・・・ひゃん!!」

 

「可愛い声だね、ハル」

 

「お願いだからもうやめてぇぇ!!」

 

そう懇願するが、マヤたちが帰ってくるまでの1時間、散々な目に会った。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・大丈夫ですか?」

 

エルはマヤに連れていかれ生まれたままの姿にされベッドに縛られていた私はミオが助けてくれた。

もう身体中色んな液体でベトベトだ。

・・・獣人の発情期ってあんなに凄いのか・・・。

ほとんど私が一方的に責められただけだったが・・・。

 

「お、お風呂・・・」

 

「す、すぐ準備します!」

 

ミオが大急ぎで風呂の用意をしにいった。

そして風呂に入り私は自室に鍵をかけてベッドに潜り込んだ。

頭まで布団をかけて寝たが、夢でエルとしている夢を見て叫びながら起きたりした・・・。

そして翌日、媚薬効果で発情期になっていたエルはなんとか元に戻ったが私を見るなり全力で土下座をしていた。

 

「ごめんなさい!!」

 

「・・・」

 

「お願いです・・・私を捨てないで・・・」

 

エルは泣きながらそう言ってきた。

私は元からエルを捨てる気なんてないし、あれはあの花のせい・・・そういうことにしておいた。

 

「大丈夫だよ。エルは大切な仲間。昨日の事は怒ってないよ」

 

泣いているエルを抱きしめて頭を撫でてやった。

エルは嬉しそうに尻尾を振っていた。

とりあえずこれで良かったかな・・・・?

それよりもこの後の、エルフのほうのハルが大変だった。

この話を聞き、目のハイライトが消え包丁を持ってエルを探し始めた。

 

「エルさん・・・出てきてください、お話しましょう」

 

「ひぇ・・・」

 

私はハルを見て小さく悲鳴を上げた。

普通に怖い。

だが放っておくとこんな事を叫び出した。

 

「私だってご主人様とあんなことやこんな事したいのぃぃぃ!!!嫉妬で狂いそうですぅぅぅぅ!!!!」

 

「大丈夫、あんたはすでに狂ってる」

 

「嫉妬のちからぁぁぁ!!!」

 

そう叫びハルは家から飛び出して言った。

そして3時間後にどこから入手したのか弾頭が発射されたパンツァーファースト3を装備して帰ってきた。

聞くと街から飛び出して近くにいた山賊を襲い装備を奪って追撃してきた山賊の装甲車4両を蹴散らして帰ってきた。

そこまでしてスッキリしたそうだ・・・。

とりあえず、エルは発情期になると私がヤバいのとハルは嫉妬させるとバーサーカーになることがよく分かった日だった・・・。

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