「いやー遊んだ遊んだ」
「なんか・・・最後の方は逃げる奴は悪党だ!逃げない奴も悪党だ!とか言って事件解決に向かった先で動くもの全てに撃ってた気がするけど・・・」
「民間人には当ててないから」
「そういう問題なの!?」
「そういう問題」
まぁ確かに最後の方は2人してテンションおかしくなって事件だからって言われて向かった先にいた悪党を生かして返すな!なんて言いながら銃撃していた。
「暗くなってきたし予約してあるホテル行こ」
「そうだね。ところで明日はどうするの?」
「んー・・・明日は食べ歩きになるんじゃないかな?マヤが楽しみにしてたし」
「了解。それにしても・・・まさか貯めたルーブルで銃が貰えるなんて・・・」
「お土産には丁度いい」
私とエルは貯めたルーブルで記念品としてちゃんと使える彫刻入りの銃を貰った。
私はM1887 レバーアクション式のショットガンを。
エルはM1873 後装式の単発ライフルを貰っていた。
エルのライフルは見た目がマスケット銃にそっくりだった。
どうやらこの見た目がエルは気に入ったようだ。
「マヤ達は?」
「さっき連絡したときはまだ遊んでるみたい。ミオ達はパークから出て買い物だって」
「そっか。私達はそのままホテル直行?」
「うん。帰ってくるまでのんびりしよ」
「分かった」
そしてホテルまで2人で今日あった事を話しながら帰る。
途中にあった店で他のみんなが帰ってくるまで飲もうということでお酒を買った。
「どんなお酒買ったの?」
「カルーア。ミルクで割るとコーヒー牛乳みたいで美味しいよ」
「楽しみ」
「おつまみもナッツを買った」
「最高だよ。早く行こう」
そして予約してあるホテルに到着しチェックインする。
ホテルは温泉付きの20階建てのビルだ。
私達は15階の部屋を何部屋か借りていた。
「私とエルと・・・あとミオだね」
「3人部屋なんだ」
「まぁどうせ寝る前までは誰かの部屋で遊んでるだろうけど」
「マヤがトランプとか持ってきてたもんね」
そう話しながら荷物を部屋に置く。
大半の荷物は運び込まれていたので手荷物くらいだ。
「はー・・・ふかふか・・・」
「ねぇハル。お酒の前に温泉行かない?」
「最上階の?」
「うん。最上階の」
「いいね、みんなまだ帰ってこないし」
「じゃあ準備して行こ」
「おっけー」
着替えを持ってエレベーターで最上階に向かう。
エレベーターを出た先はすぐ温泉だった。
「おー・・・ウチより広い・・・」
「逆にウチのお風呂が無駄に広いだけ」
報酬で貰った屋敷だが今の人数ですらまだ広いくらいだ。
だからと言ってこれ以上増えるのもどうかと思うが・・・。
「ふー・・・遊び疲れたあとのお風呂は最高だね」
「ほんと。寝ちゃいそう」
「寝ないでよハル、溺れても知らないから」
「そこは助けてよ」
さっそく体を洗って湯船に浸かる。
熱過ぎず温過ぎず、いい温度だ。
それこそ寝てしまいそうなほど。
「あ、ねぇねぇ。サウナ行かない?」
「サウナ?」
「あそこにあるよ」
「私サウナ初めてだから行ってみたい」
「あれ、そうなの?」
「私村からあんまり出たことなくて」
「じゃあ行ってみよ、先に出た方がジュースを奢るってことで」
「いいよ。負ける気しないけど」
「甘く見てのぼせないようにね」
そして私達はサウナに向かう。
「・・・なにこれ」
「サウナってこういうもんだよ」
「暑い・・・」
「そりゃ汗かく施設だから」
2人で並んで座る。
とりあえず5分くらい入ってるか・・・そう思ってエルを見ると入って数十秒なのにもうプルプルしていた。
「ふふ、限界?」
「ま、まだまだ・・・」
「まぁ、5分くらいで出よ」
「先に出た方がジュースっていうのは・・・」
「横でプルプルしてるエル見たらなんかその話はいいやって」
さすがに初めての相手にそんなの酷だと自分でも思う。
それに2分くらい経ったがエルは既に顔が真っ赤だ。
普段腰まである髪の毛のせいで余計に暑いのだろう。
「ハル・・・限界・・・」
「それじゃ出ようか」
3分くらいでエルは我慢の限界に達したようだ。
そこから水風呂に入る。
「ひっ・・・!」
「どしたの?」
「つ、冷たくて・・・」
「あはは、ゆっくり浸かるといいよ」
そして水風呂に入り、露天風呂などに入ったあとに温泉から出る。
「どうだった?」
「良かった。でもサウナは当分いい・・・」
「髪の毛長いから暑かったでしょ。私みたいにセミロングくらいにすればいいのに」
「長い方が色んな髪型出来るでしょ」
「まぁ確かに。でもエルって普段そんなに髪型変えてた?」
「変えてないけどリリアにたまにオシャレしろって弄られる」
「まぁリリアも髪長いしオシャレ好きだからね」
「それに髪型変えるのちょっと楽しくなってきた」
「そう?私は短いくらいが好きだけど」
「ハルも伸ばすと絶対似合うよ」
「ありがと、考えとくよ」
そしてエレベーターに乗って部屋のある階に戻り部屋に入るがまだ誰も帰ってなかった。
時刻は夜の21時。
「まだ遊んでる・・・」
「ミオ達も初めての観光地だし買いたいもの多いんでしょ」
「そういえば・・・ミオは家族も居るよね」
「え?あ、うん・・・ミオはね」
「何も嫌味で言ったんじゃないよ」
「分かってるよ。エルがそんな嫌な子じゃないのは知ってる」
確かに私たちの仲間で家族がいるのはリリアとマヤ、ミオだけだ。
私は飛行機事故で亡くしてるし他のみんなはカルト教団に襲われて亡くしていた。
「なんか暗い雰囲気になっちゃった・・・ごめん」
「エルのせいじゃないよ。ほら、とりあえず飲も」
私はお酒を出してグラスに注ぐ。
「初めて飲む・・・」
「昔飲んだことあるけど美味しいよ」
初めてということもありエルのお酒は少し薄めにした。
すると気に入ったのかグイグイと飲む。
「美味しい?」
「美味しい!」
「じゃあこれもお食べ」
私はナッツを出して広げた。
そこからは今日の思い出やまた戦闘機に乗りたいなどと話していると酔いが回ったのかエルは口数が少なくなり寝てしまった。
すーすーと規則正しい寝息が聞こえる。
「・・・寝ちゃった」
ベッドに移そうか考えているとミオが帰ってきた。
「ただいまですー!ってあら、エル寝ちゃいました?」
「飲んでたら。ミオも飲む?」
「飲みます!あ、でしたらマヤさん達の部屋に行きませんか?」
「エルは寝ちゃったしそうだね。でも椅子で寝かす訳にもいかないからちょっと手伝って」
「了解です!」
ミオと協力してエルをベッドに寝かせ布団を掛けてやる。
幸せそうな顔して寝てる。
「じゃ起こさないように・・・」
私はミオと大きな音を立てないようにマヤ達の部屋に入った。
するとマヤ達もお酒とおつまみを買っていたのでちょっとした宴会だった。
エルフのハルとアヤは遊び疲れたのか温泉に入ってお酒をちょっと飲んだらすぐに寝てしまった。
「また酔っ払って暴れないでよマヤ」
「あ、暴れないよ!」
「どうだか・・・あ、そういえばふと思ったんだけど」
私はお酒を持って笑っていたミオを見て思う。
エルフはとんでもなく長寿だ。
いったいミオは何歳なんだろうと・・・。
「エルフってさ、寿命すごく長いでしょ?」
「んー、そうですね。人の3倍以上は・・・」
「・・・ミオって幾つなの?」
「・・・乙女にそれ聞きます?」
「興味本位」
「えー・・・まぁ・・・そうですね・・・長すぎてあんまり数えてないんですけど180年くらいは生きてますね」
「ミオで180!?」
「ハルは100ちょっとですよ」
「ち、ちなみに獣人は?」
「・・・獣人は人よりちょっと短い・・・私は18」
「まって、未成年!?」
「獣人族の成人は10歳なので問題ないですよ」
「そ、そうなんだ・・・」
「なんか・・・長寿って憧れるわね・・・」
「じゃあリリアの来世はエルフ?」
「なんでよ!」
「・・・でも長寿も辛いですよ」
ミオは少し下を向いて話す。
「私の寿命が来る前に・・・皆さんとはお別れしないといけませんから・・・」
「・・・」
長寿のエルフなりの悩みなのだろう。
人と知り合い、例え仲良くなっても長寿のエルフはほとんど老いることも無くその人の死を見届けなくてはならない。
「まぁ・・・仕方ないですよ、こういう種族ですから!」
「うん・・・」
「ほら、暗い雰囲気はダメダメ!」
マヤは暗い雰囲気に耐えきれずそう言った。
「まだお酒あるんだし飲もう!」
「そうだね」
そしてそこから日付が代わり朝の2時くらいまで夜更かしをしていた。
お開きになりミオと部屋に戻る。
「明日はどこいくんでしたっけ」
「明日・・・というか今日はマヤが美味しい物食べたいって言ってたから食べ歩き」
「それもいいですね!」
そして部屋のドアを開けた。
すると中から呻き声が聞こえた。
エルだ。
「エル・・・?」
うなされているようだった。
私は近寄るとエルは涙を流していた。
そして寝言で叫ぶ。
「お前ら許さない!皆殺しにしてやる!!」
「エル!?」
「母さん・・・父さん・・・」
涙を流しながら叫びまた寝始めた。
「・・・たぶん昔の夢でも見てるんだろうね」
「ですね・・・」
何となく私とミオはエルにくっつくようにして寝始めた。
するとエルはまた寝言を言い始める。
「んぅ・・・そこ・・・」
「?」
「・・・そこの338ラプア取って・・・」
「なんちゅー夢を・・・」
寝言で弾薬を要求されるなんて思いもしなかった・・・。
まぁでも悪夢が終わったならそれでいい。
私も寝ることにしよう。
〜エル 数ヶ月前〜
「ふぁ・・・」
「エル、眠そうだね」
「昨日、アルが寝かせてくれなくて・・・」
「エ、エル・・・まさか・・・!」
「違うから」
「なんだ、エルの事だから旦那のアルと夜な夜な・・・」
「夜な夜な何もしないし旦那でもないから」
「ラブラブな癖にぃ〜」
「ここで脳天ぶち抜いてあげようか」
「ごめんなさい冗談です!!」
「まったく・・・」
なんて話を見張り塔でする。
最近この近くにカルト教団の人間至上主義団体が彷徨いているということで銃を扱える村人は交代で見張りや巡回をしていた。
だが昨日の夜、私の家にゲームさせてくれと隣に住んでいる幼馴染のアルが訪ねてきた。
そして2人でゲームしていたら気づくと明け方だった。
お陰で寝不足だ。
「それにしてもエルは古いの使うね」
「ナユみたいに最新式は苦手なの」
「そのわりには拳銃は新しいの使うんだね」
「弾は多い方がいいでしょ」
「まぁね・・・」
そう言って私が持っているのはM1903とP226。
となりのナユが持っているのはSR-25。
7.62mm口径のセミオートライフルだ。
あとは念の為にAKMが2丁見張り塔に置いてある。
「それにしてもこの村襲うなんて何考えてるんだか」
「人以外を滅ぼそうとしてるんでしょ」
「そういう意味じゃなくて銃で武装してる村をってこと。エルフなら昔ながらの剣とか弓だけど」
「そう?最近は銃で武装してるところも多いみたいだけど」
私達獣人族は狩りをすることが多いので銃が出始めた当初から銃を使っている。
弓や罠で狩りをするよりもずっと高威力で簡単だからだ。
「はぁー・・・王国軍も掃討してくれればいいのに」
「基本的に王都以外は我関せずでしょ。騎士団なら別だけど」
「その騎士団も村まで守りきれませんってなってるし・・・酷い世の中だよ」
「だからこうやって守ってるんでしょ。っと、定時連絡」
「はいはーい」
ナユは無線機を使って村の警備係と定時連絡をする。
「CPこちら03ポスト」
《こちらCP》
「定時報告以上なーし」
《CP了解》
私はため息をついて森を見張る。
獣人・・・特に犬の獣人の私達は耳と鼻が効く。
何かあれば気づくはずだ。
「それにしても先週から村人の大半がAKで武装って山賊かなここは」
「あとRPGにM2機関銃もね。まぁ何も知らない人がみたらそうじゃない?」
「ひぇー怖い怖い」
「そういうアンタもね」
「なぁっ!?こんな美少女に向かって!」
「7.62mmのライフルもった美少女なんて居ないよ」
「居るよ!たぶん!どっかの街の冒険者とか!」
「冒険者なんて大抵飛行機乗りでしょ」
「まぁ・・・そうだけど・・・というより来てくれるのかな」
ナユは空を見て不安げにそう言った。
ここからすぐ近くの街に村の警備の依頼を出している。
一応依頼を受けた冒険者グループが居るということなのだが、近い街でもここから300kmはある。
攻撃されて来てくれと要請して何分かかるか・・・。
「ふぁー・・・」
ナユも眠くなってきたのだろう。
大あくびをしたその瞬間だった。
黄緑色の光が見張り塔の屋根を吹き飛ばす。
「ぶぁぁぁぁ!?」
「襲撃!!」
「む、無線機!こちら03ポスト!!襲撃を・・・」
「いままで何処に・・・!」
私はライフルを構えて光が飛んできた方向を見る。
すると杖をこちらに向け魔法を打とうとしている魔法使いが見えた。
「すー・・・はぁ・・・」
私は引き金を落ち着いて引く。
弾丸は魔法使いの心臓を撃ち抜いた。
胸を抑えて崩れ落ちた。
「あのクソども魔法で匂いを消してたんだ・・・!」
「おーおーやること卑怯だね!」
「情け無用だよナユ!」
「任せて、地獄を見せてやろうよ」
そう言ってナユは銃を構えて発砲する。
その弾丸は指揮をしているようにも見えるカルト教団の信者の足に命中した。
足を抑えて崩れ落ちる信者。
そしてそれを救おうと近づいた信者の足をさらに撃つ。
「ナユも大概残酷だね」
「まだ優しいよ。生きてるんだから」
「それもそっか」
私はなるべく1発で敵を仕留めているがナユは足を撃ち敵を行動不能にしていた。
だが助けようとしたら撃たれると分かったのだろう。
誰も助けに来なくなった。
するとナユはもう用済みだと言わんばかりに倒れている信者の頭を撃ち始めた。
「ちょっと、それこそ残酷」
「これぐらいが丁度いいよ!」
「あーあ・・・アイツら怒ってこっち来るよ・・・」
私も射撃しながら敵の様子を見る。
明らかに敵は怒っているようだ。
そりゃそうだ。
仲間を助けようと思ったら撃たれ、撃たれないように様子を見ていると用済みのごとく殺されたのだから。
「お隣は・・・派手に行くね」
となりの見張り塔には私達のお父さん世代のおじさん達が機関銃やロケットランチャーを持って昇っていた。
ロケットや機関銃で地上を掃射している。
「・・・!!エル伏せて!!」
「えっ?」
ナユに押し倒された瞬間、見張り塔に何かが当たる。
そして木で作られた見張り塔は簡単に倒れた。
私は衝撃で一瞬意識を失う。
「げほっ!ぐ、うぅ・・・」
全身に走る鈍い痛み。
意識がゆっくりとだがハッキリしてくる。
「ナユ・・・ナユ!!」
私に覆いかぶさっていたナユは頭から血を流していた。
「ナユ!!」
脈を確認すると生きてはいるが意識を失っているようだ。
私は見張り塔のガレキから這い出て銃を探すが使っていたM1903は銃口から地面に突き刺さっていた。
これでは銃身内に土が入り最悪暴発する。
周りを見るとAKMが近くにあったのでそれを広い予備の弾薬も2弾倉見つけ着ていたリグに入れる。
「ナユ・・・すぐに運ぶから!」
私はAKMを背負い、拳銃を抜いてナユを引きずる。
「ナユ・・・頑張って・・・!」
見張り塔が潰れたことでそこからカルト教団が侵入してきた。
私はすぐに拳銃で射撃する。
「クソっ・・・!何人いるんだよ・・・!!」
射撃、引きずる、射撃、引きずるという行動を繰り返していると聞きなれた声が聞こえた。
「エル!」
「アル!ナユが・・・」
「俺が連れてく!お前はAKで援護してくれ!」
「分かった!」
ナユを引き渡すと私はAKを構えた。
「ナユ、頑張れよ!お前は強いヤツなんだからな・・・!」
射撃しながら2人の様子を見る。
その時大きな爆発音が響く。
その方向を見るとおじさん達が居た見張り塔が爆発系魔法をくらい、さらに弾薬が誘爆して大爆発を起こしていた。
「おじさん・・・!」
あそこに居たのは私に銃の扱いを教えてくれた人が居た。
「クソっ!!」
「今はナユを助ける方が先だ!!」
「・・・分かってる!」
何とかナユを村の集会所に連れてこれた。
「ナユ!ナユ!起きろ!」
アルがナユを起こそうとしていた。
私は窓から銃を構えて入ってきた敵に向けて射撃していた。
「エル!」
「母さん?!父さんは・・・」
「お父さんは外で機関銃で戦ってるわ、あなたは大丈夫?」
「私は大丈夫、母さんは安全なところに」
「あら、銃の扱いならあなたより長いわ」
そう言って母さんはすぐ近くに置いてあったM16A4を手に取った。
「さすが母さん・・・頼もしい」
「子供を守るのが親の役目よ」
窓から2人で射撃する。
たが・・・いったい何人いるんだ。
撃っても撃っても数が減らない。
その時だった。
《敵は泥人形だ!!森の中の魔法使いが作ってる!!》
「ダミー!?」
《村長!航空支援はいつ来るんですか!!》
無線機からは冒険者の航空支援を求める声で溢れている。
おまけに敵はダミーの泥人形。
「だから撃っても数が減らないわけだ・・・!!」
よく見ると倒れた後溶けるように消えている。
泥人形が死んだ時の特徴だ。
「ナユ!良かった・・・大丈夫か!?」
「う、うん・・・わたし・・・」
ナユが目を覚ました。
私がふと後ろを振り向いた瞬間だった。
「・・・!!エル伏せなさい!!」
ナユと同じように母さんが私を押し倒す。
そしてその数秒後、爆発の衝撃で意識を失った。
「ん・・・う、うぅ・・・」
意識を失ったのはほんの数十秒だろう。
まだ辺りでは銃声が響いていた。
だが・・・
「母さん・・・?母さん!」
私に覆いかぶさっている母さんが返事をしない。
「そんな・・・母さん!!」
母さんを仰向けに寝かせると首に木片が突き刺さり血を流していた。
・・・どうみたって・・・死んでいた。
だけど、戦闘でアドレナリンが出ているせいだろう。
何も・・・感じなかった。
その時当たりを見ると集会所に大きな穴が空いていた。
爆発系の魔法の直撃を受けたようだ。
「エル!母ちゃん!」
外から父さんがM249を持って入ってきた。
「父さん!母さんが・・・!」
「くそ・・・!!俺が近くにいれば・・・とにかくお前が無事ならいい!逃げるぞ!」
「村を捨てるの!?」
「もう守りは限界だ!村長、そうだろ!!」
「・・・そうじゃな」
村長がそう言った時だった。
集会所に何人か入ってきた。
「くそ!」
父さんが機関銃を撃とうとした時、また爆発が集会所を襲う。
私は破片の直撃を受けたが何とか意識を失わずに耐えた・・・。
だが視界がボヤけて耳鳴りがする。
「と・・・父さん・・・」
爆風で機関銃を吹き飛ばされた父さんは拳銃で応戦しようとしていた。
そこに襲ってきたカルト教団のリーダーらしき人物が入ってくる。
「まったく人外が手間をかけさせる・・・。奴隷になりそうなのを集めろ男は労働、女は・・・まぁ変態共に高く売れるぞ」
「このクソ野郎、娘に手を出すな・・・!」
銃を向けようとした瞬間だった、魔法か剣しか使わないと思っていたカルト教団のリーダーは拳銃を抜いた。
「がっ・・・!」
「父さん!!」
「このクソッタレよくもおじさんを!!」
アルがナユのホルスターからグロックを抜き構えた。
「犬畜生が・・・」
相手は素早く2発撃ち1発がアルの眉間に当たった。
「そんな・・・」
私は銃を取ろうと手を伸ばすが手を踏まれた。
「余計なことをするな。犬は人間に従うべきだろ?」
「このクソ野郎・・・!」
「神父様、怪我をしてますがこのメスなら」
そう言って気を失っているナユを引きずってきた。
「ナユを離せこの野郎!!」
「口が悪いぞ」
神父と呼ばれた男はそう言って私の腹を蹴った。
「がはっ・・・!!」
「あまり私に手を出させるな。お前の商品としての価値が下がるだろ」
「この・・・野郎・・・よくも・・・」
よくも・・・父さんと母さんを・・・!!
「まだ何か言いたいか?」
「お前ら許さない・・・!!皆殺しにしてやる!!」
「ほう?今のお前にどうやってできる?」
男は私の顔を掴みニヤリと笑ってそう言った。
「何年かかったって・・・追い回して・・・追いかけ回して殺してやる!!」
「はっ、犬らしいな。だがお前はもう私達を追いまわそうと思っても無理だがな。せいぜい白馬に乗った王子様の助けを夢見て待ってろ」
そう言って銃の底で殴られ意識を失った。
「はぁっ・・・!?」
「すー・・・すー・・・」
「んぅ・・・マヤさんまだ食べるんですかぁ・・・?」
「・・・夢・・・」
なんて悪夢を・・・。
私はベッドに寝転がろうとした時だった。
「んぅ・・・エル・・・」
ハルが寝言で私を呼んだ。
「何があっても味方だよ・・・すー・・・すー・・・」
「・・・ありがと、ハル」
よく見たら私の手をずっと握っていた。
「ナユ・・・」
あの襲撃で私が知る限りの唯一の生き残りの事を思い出す。
私は売り手がつかないという理由でずっと閉じ込められていたがナユはどうなったか分からない。
「・・・探さなきゃ・・・」
今言い出す訳にもいかないが、この旅行が終わったら協力して貰って探しに行こう。
きっと帰ったら滑走路も直ってるはすだ。
〜ハル〜
「ん・・・んうぅ・・・はぁ・・・」
よく寝た・・・。
起き上がるともうエルは起きて顔を洗っていた。
「おはよ。昨日はうなされてたけど大丈夫?」
「大丈夫、ちょっと昔のこと思い出しちゃったくらい」
「・・・」
エルの昔の話は私の過去よりも残酷なのは分かっている。
だから返す言葉がなかった。
「・・・ねぇ、ハル」
「うん?」
「私の依頼・・・聞いてくれる?」
「・・・もちろん。なんでも聞くよ」
「ありがと・・・あのね、村の襲撃から友達が1人生き残ってるはずなの。今はどこにいるか分からないけど・・・助けたい」
「・・・それを私たちが断ると思う?」
「え?」
「大切な仲間の友達が酷い目に会ってるかもしれないのに放置なんて出来るわけないでしょ。きっと皆同じ事を言うよ」
「・・・うん」
「でもとりあえずここから帰らないとだし・・・マヤがご飯食べれないと文句言うから」
「わかってる、それに滑走路のこともあるから」
「じゃあ本格的な作戦は今日の夜練るよ。艦長なら協力してくれるかな・・・」
「あの駆逐艦?」
「うん。ハルゼーなら協力してくれるはず。それにこの事でもしかしたら国王様が恩赦をくれるかも」
「ふふ、エルフや獣人好きだもんね」
「そういうこと」
私はエルの依頼を聞き、ハルゼーに協力を依頼することにした。
エルの友達・・・絶対に助けに行く。