高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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救出作戦

「なんじゃ嬢ちゃん、そんなおめかしして」

 

「これがおめかししてデートに行くようにでも見える?」

 

「デートならデートで相当物騒な所に行くようにしか見えんがの」

 

テキサスの私たちの格納庫。

つい2時間前に帰ってきた私たちはすぐに装備を整えた。

エルと私はダニエルディフェンスというメーカーのRIS IIを装備したM4A1・・・一般的にM4A1 BLOCK2と呼ばれるカスタムを施しサイトはハイマウントT-1ドットサイト、銃口はNT-4サプレッサー、フラッシュライトを銃に装備した。

拳銃はマヤがいつの間にか買っていたGLOCK19を持っていく。

弾薬は9mmAP弾。

M4の弾薬はM855A1を詰めてきた。

そしてミオとエルフのハルは後方警戒ということでエルが賞金首から奪ったMk12をミオが。

ハルが私のAK74を装備した。

 

 

「ちなみに、何しに行くんじゃ?」

 

「この子の友達を助けに行く」

 

「犬の嬢ちゃんのか?」

 

「うん。売られたらしいからね」

 

「・・・そうか。ならワシからも頼むぞぃ。無事に連れ帰ってきてくれ」

 

「おじさんらしくないね」

 

「なんじゃ!ワシだってそう言いたくなる時くらいあるわい!」

 

「ばっちり証拠も撮ってくるから」

 

私は今回、バリスティックヘルメットを被りカメラも装着してきた。

これで証拠を集めて奴隷商人を追い詰めてやる。

 

「じゃあおじさん、時間だから」

 

「それならちょっと待ってろ!」

 

おじさんは小走りで格納庫の事務室に消えていく。

そして何かを抱えて戻ってきた。

 

「これも持ってくんじゃ!」

 

「なにこれ」

 

おじさんが持ってきたのはガバメントのようなハンドガンだった。

 

「これ何?ガバメントみたいだけど・・・」

 

「実は街の中の小さい山みたいなのあるじゃろ。あそこ散歩してたら扉がちょっとだけ開いてての。名前はTTI 2011 Combat Masterって銃じゃ」

 

「弾は?」

 

「9mmじゃよ。9mmホローポイントじゃ」

 

「それはまた強そうなのを」

 

「予備でマガジンも持っていくといいぞぃ!」

 

「じゃあエル使う?」

 

「うん、せっかくだし」

 

そう言ってエルはおじさんから受け取ったホルスターと一緒に装備した。

 

「じゃ、今度こそ」

 

「頑張ってこいよ!」

 

おじさんにそう言われてヘリに向かう。

ヘリはもうエンジンを始動し、私たち以外は乗り込んでいた。

 

「お待たせ!」

 

「行くよ!」

 

マヤがそう言ってヘリは離陸した。

まず私たちが捜索するのはここから西に250kmの森の中にある小さな屋敷だった。

そこは滅多に人が通らない場所でもある。

また噂によると近くに奴隷商の拠点もあるのだとか。

ハルゼーの調査によると最も可能性がある地点だと言う。

 

「みんな、先に言っとくけど・・・絶対に容赦しないで」

 

エルは静かに、でも強い口調でそう言った。

みんなはもちろんと頷く。

 

「もう1つ、情報を持ってるやつならいいけど後は要らないから」

 

「エル?」

 

「ごめんハル。今回だけは法律を守れない」

 

「・・・」

 

きっとエルは友達を酷い目に合わせているヤツを許せないのだろう。

投降しようが生かしては帰さない・・・口では言わずとも目がそう言っていた。

私は複雑な気持ちになりつつもケータイに新しい情報が送られてくるのを待つ。

今回ハルゼーは、イーグル、コブラというコールサインのチームを展開している。

ドローンのコールサインはレイブン1。

また、私たちが捜索すべき屋敷は艦砲の射程には入り切らず、支援はトマホークミサイルのみだった。

あまりに過剰威力のためなるべく使用は控えたい・・・が支援要請から弾着まで最低でも20分はかかる位置にいる。

使い所に悩んでしまう・・・。

 

「ご主人様・・・ご主人様は人を撃つ時何か考えてますか?」

 

「え?」

 

「私・・・あの・・・初めてで・・・」

 

「私・・・」

 

私はその時ふと思う。

何か考えているか?

・・・答えに悩むということは何も考えてはいない。

強いて言うなら・・・今撃たなければ死ぬ。

それくらいだ。

 

「・・・今撃たないと誰か死ぬ。そう思うくらいだよ」

 

「そうですよね・・・!私が引き金を引くことで誰か助かると思えば・・・!」

 

「ううん・・・違うよ。確かに助かるけど誰かの命も奪うんだから・・・」

 

「・・・・」

 

「大丈夫、撃たせないから。私たちだけで十分だよ」

 

「いえ・・・私はご主人様を守るためなら地獄にでも行きます!ご主人様を守れない方が嫌なんです!」

 

「うん・・・分かった。頼りにしてるよ」

 

ハルは覚悟を決めたようにいう。

私は窓の外を眺めていた。

するとケータイが震える。

新しい情報だ。

 

「あ・・・みんな、ハルゼーのイーグルチームが目標1つ制圧、エルフを3人保護だって」

 

《さすが一流の軍隊ね》

 

「ばっちり証拠も回収したらしいからこれで艦長達も安泰かな」

 

「だといいけど・・・」

 

「マヤはまだ信用出来ない感じ?」

 

「なんというか・・・自分たちに砲を向けた人を信じれなくて」

 

「気持ちは分かるよ、でも今は味方」

 

「それは分かってるよ!だから葛藤してるの!」

 

まぁでもマヤの気持ちも分からなくはない。

1度自分たちに砲を向け、しかも私たちは異世界人だから仕方ないんだと言われても簡単には信用できない。

 

「まぁでも、あの人たちのおかげでエルの友達を助けに行けるんだから信用してもよかろう!」

 

「ずいぶん上から目線だね・・・」

 

「そんなことないと思うけどなー?あ、ハル!あの森の中の屋敷じゃない?」

 

「どれ?」

 

私はドアを開けて外を見る。

確かに事前情報と一致する形の屋敷だ。

それに位置も情報と一致する。

間違いない。

 

「マヤ、開けてる場所ある?」

 

「えーっと・・・このあたりなら・・・」

 

周りを見ると屋敷から3kmくらいの所に少し開けた場所があった。

そこに着陸することになった。

 

「それじゃ、上からの支援はよろしく。でもなるべくバレたくないから呼んだら来て」

 

「りょーかい!」

 

私たち地上組は初弾を装填して着陸を待つ。

そしてそこから数分後に着陸、展開した。

 

「それじゃミオとハルは初めてだろうからしっかり着いてきて」

 

「分かりましたご主人様!」

 

「了解です!」

 

かなり濃い森だ。

私たちは慎重に進んでいく。

 

「エルの耳と鼻が頼りだからお願いね」

 

「分かってるよ」

 

「あとはレイブンか・・・」

 

この森じゃハルゼーに無線を送ることは難しい。

だがさっき届いた情報だと屋敷の外の警備は3人。

そして屋敷の裏に地下への入口があるという情報も得た。

私たちは地下から行くことにする。

レイブンからの情報はケータイに直接、画像で送られてくる。

それをチェックしながらになる。

 

「みんな、ナユの命も大切だけど何かあったら自分の命を優先して」

 

「・・・」

 

エルは静かにそう言った。

 

「でも・・・」

 

ハルはそんな事言われても・・・という感じに呟く。

 

「私は私のお願いでみんなを傷つけたくない。だから、もし危なくなったら逃げて」

 

「まぁ、危なくなったらの話ですけどね」

 

ミオは後ろを警戒しながら静かに言う。

 

「つまりは危なくならければいいんですよ、あんな連中ぜんぶやっつけて美味しいもの食べに行きましょう」

 

「ミオの言う通り。さっさと片付けよ」

 

私たちは薄暗い森を進む。

さすがに屋敷の人間もヘリには気づいてはいないと思うが・・・。

 

「ちょっと待って」

 

エルが右手を上げて止まれの合図をする。

 

「何かいる」

 

「敵?」

 

「分からない。でも話し声が聞こえた」

 

「内容は分かる?」

 

「ちょっと耳を済ませてみる」

 

私たちはなるべく音を立てないようにする。

エルは目を閉じて集中していた。

するとエルは目を開けてこう言った。

 

「大丈夫だった。近くの村人みたい」

 

「村人?」

 

「薬草の採取。護衛に冒険者もいるみたい」

 

「了解、それなら大丈夫だね」

 

確かこの森は鎮痛剤の材料になる薬草が豊富に自生している。

それ目当てなのだろう。

ただ・・・この薬草、生のまま食すと麻薬と同じ症状が出るので1部のジャンキーたちにも人気だった。

ただし麻薬と同じ症状が出て幸福感を味わえるのはいいが、ひとたび効果が切れると強烈なうつ状態になるらしいのでわざわざ食べようという人間も少なかった。

 

「このまま進もう」

 

ケータイに送られてくる情報を頼りに目的地に進む。

すると森の奥に白い建物が見えてきた。

しっかりと手の入った綺麗な屋敷だ。

・・・それに事前の情報とも一致する。

 

「・・・着いちゃったね」

 

「ここまで接敵しなくて良かったよ。ハル、カメラ準備お願い」

 

「了解。バッテリーは持って3時間だから」

 

「分かった。まずは警備を調べよ」

 

エルがそう言うとミオは銃を建物に向ける。

 

「見える?」

 

「・・・1人入口に居ます。武器は・・・クリンコフですね」

 

「AKSか・・・ほかは?」

 

「えと・・・あ、待ってください屋上に1人」

 

「屋上?」

 

「屋根にある窓から監視してるみたいです」

 

「屋根か・・・」

 

上から見られているとなると少々めんどくさい。

だが撃って排除する訳にもいかない・・・。

 

「あー・・・またどえらい物持ってますよ」

 

「武器は何?」

 

「パッと見ですが・・・M82ですね」

 

50口径の対物ライフル・・・そんなもので撃たれたら即死だ。

 

「分かった、迂回して行く」

 

「私たちはどうしますか?」

 

「この場で待機。いつでも撃てるように」

 

「了解」

 

「ご主人様・・・気をつけて」

 

「分かってる。」

 

「エルも必ず帰ってきてください」

 

「分かってる。任せてよ」

 

後方を任せて私たちは迂回して建物の裏に回る。

そこには警備が1人と地下に通じていそうな入口があった。

そして警備が持っているのはM4A1。

しっかりとカスタマイズが施されているし本人の装備も奪ったと言うよりはこの家から支給された装備とも思えた。

入口の警備と違い、プレートキャリアを着込み、ヘッドセットも装着していた。

明らかに雇われ山賊というよりは傭兵だ。

だが・・・。

 

「まだバレてない上に射程内。やる?」

 

「ハルからそんな提案来るとはね・・・」

 

「どうも意味ありげに守ってるし、やらないと進めないよ」

 

「・・・だよね。分かった、私が撃つ」

 

「いいの?」

 

「狙撃には慣れてるから」

 

エルはゆっくりと銃を構えた。

私はミオ達に今から射撃すると連絡する。

 

「ミオ、こっちはタイムカード押すから」

 

《分かりました。お仕事開始ですね》

 

「いい?」

 

「おっけー」

 

「了解」

 

エルはゆっくりと呼吸をして照準を合わせた。

そして引き金を引く。

サプレッサーを付けていたおかげで銃声はほとんど響かない。

あとは倒れたアイツの体を隠すくらいだ。

 

「ターゲットダウン」

「確認、行こう」

 

私たちは小走りで警戒しつつ入口前に到着した。

入口の扉を開けるとハシゴがあり、地下に進むようになっていた。

下には人の気配はない。

敵の死体は一緒に入口に放り込んだ。

これなら見つからないだろう。

 

「エル、先に行って」

 

「了解 」

 

ハシゴを降りていく。

深さは15mくらいだろうか。

そこそこな深さだ。

 

「いかにも何かありそうだよこれ」

 

「奥には光も見えるし・・・何か音というか呻き声も聞こえる」

 

「声は?」

 

「・・・女の子の声」

 

「急ごう」

 

私は薬室に弾薬があるか確認して行く。

カメラもばっちり録画している。

もうこれで相手は言い逃れできない。

 

「・・・ひどい」

 

光の漏れていた場所に到着する。

そこには簡素な作りの牢が幾つも並び、中には獣人やエルフ、人・・・その若い女の子ばかりが閉じ込められていた。

奴隷服のようなものを来ている子もいれば、もはや何も着ていない子もいる。

ただ1つ幸いなのは・・・辛うじてみんなまだ生きている。

 

「エル、ナユがいるかどうかは置いといてみんな解放するよ」

 

「言われなくてもやるよ!」

 

エルは少し大きな声になる。

そして手分けして鍵を破壊する。

 

「大丈夫?今助けるからね!」

 

「・・・」

 

中の女の子は生気の抜けた顔でこちらを見上げた。

衰弱している・・・。

 

「鍵は・・・撃つしかないか・・・」

 

鍵自体は南京錠だが、物が新しいので撃って破壊するしかない。

M855A1なら貫通させて破壊することも出来るだろう。

 

「離れてて!」

 

女の子はゆっくりとだが移動した。

その時見えたのはエルとは違い少し黄色の尻尾だった。

この子も獣人・・・

私はとにかく今は助けるべきだと思い、鍵を撃つ。

南京錠は簡単に破壊できた。

 

「よし・・・これで1人・・・」

 

「・・・・」

 

女の子は私を見るだけで何も言わない。

この子は下着すら着ていないので衰弱も激しいのかもしれない。

 

「大丈夫、今助けるからね」

 

「たす・・・かる・・・の・・・?」

 

「うん、そうだよ。これから連れて帰るからね」

 

女の子は小さな声でそういった後、安心したのか大粒の涙を流し始めた。

私は来ていたソフトシェルジャケットを脱いで渡す。

 

「寒いから着てて」

 

女の子は泣きながら頷いた。

私はそれを見て腸が煮えくり返りそうなほどの怒りを覚える。

なんでこの子達がこんな目に会わなければならないのか。

その気持ちでいっぱいだった。

エルもきっと同じだろう。

 

「エル、そっちは?」

 

「順調。衰弱してはいるけど命に関わるほどでないと思う」

 

「了解」

 

私は最初に助けた子の所に行く。

 

「ねぇ、ここにいるのはこれで全部?」

 

「えと・・・1人連れていかれた・・・のじゃ」

 

「1人?」

 

「名前は・・・ナユとか言ってたの」

 

「ナユ・・・!」

 

エルはその言葉を聞き今にも駆け出そうとしていた。

だがその気持ちを押さえ込んでいた。

 

「ねぇあなた狐の獣人だよね」

 

「そ、そうなのじゃ・・・」

 

「銃は使える?」

 

エルはそう言っておじさんから貰った2011 Combat Masterを渡す。

 

「つ、使えるには使えるが・・・」

 

「それならクソ野郎が来たらみんなを守って。いい、胸を狙って。ホローポイントだからそれだけでノックダウンできる」

 

「わ、わかったのじゃ・・・」

 

狐の女の子は銃と弾倉をエルから受け取っていた。

 

「最初からビンゴだね」

 

「・・・殺してやる」

 

「エル?」

 

「私の友達に・・・何かしてたら何を言おうと殺してやる・・・!」

 

エルは呟くようにそう言った。

だが・・・気持ちは同じだ。

こんな事をする奴は生かしておけない。

人を殺す理由を作っているようだが・・・。

 

「行こう」

 

「うん」

 

警戒しながら階段を上る。

するとすぐに1回に出た。

そして・・・

 

「ん・・・!?だ、誰・・・・!!」

 

目の前に1人警備が居たがすぐに頭を撃ち抜く。

床に倒れたがもう回収なんてしなくていい。

そしてミオに連絡する。

 

「ミオ、狙撃手を排除していいよ。ウェポンズフリー」

 

《了解》

 

外からガラスの割れる音がした。

私たちはナユが連れていかれた可能性のある場所を探す。

何をされているか考えたくはないが・・・恐らく寝室だろう。

 

「寝室はどこだと思う?」

 

「屋敷は3階建て。2階と3階を分けて探そ」

 

「了解、私は3階に」

 

エルは2階、私は3階に行く事にした。

ゆっくりと階段を上る。

 

「・・・階段クリア」

 

《2階廊下クリア》

 

《こちら待機組、2階と3階の廊下に敵影ありません》

 

「了解」

 

私は何か音がするはずだと、ドアに近づいて音を聞く。

幸いここの廊下は絨毯張りなので足音が立たなくていい。

何部屋か探った時、ひとつの部屋から声が聞こえた。

 

「・・・ここかな・・・」

 

ゆっくりとドアを開けようとするが、鍵がかかっていた。

それなら・・・。

 

「・・・」

 

銃口を鍵穴に向ける。

そして引き金を引いた。

ドアを蹴り開ける。

中に入ると思った通り寝室で中には中年太りした男とベッドに四肢を縛り付けられた獣人の女の子がいた。

・・・予想通りお楽しみの最中だったようだが。

 

「床に伏せろ!」

 

私は大声でそう言う。

下の階からもサプレッサーの銃声が聞こえた。

 

「な、なんだお前!」

 

「いい、今私は気が立ってるから余計なことしたり喋ったりすると撃つよ」

 

「お前、俺を誰だと思っ・・・」

 

私は無言で膝を撃った。

 

「が、ああぁぁぁぁ!!!」

 

獣のような声をあげる。

その時隣の部屋から山賊が2人出てきた。

 

「おいどうし・・・!」

 

私は素早く2人を射殺した。

それを見て男は青ざめる。

 

「た、たすけ・・・お、お金ならあるから・・・!」

 

涙に鼻水、ヨダレまで垂らして酷い顔だ。

 

「待機組、こちら実働隊。ターゲット確保。0-2、回収よろしく」

 

《了解です!》

 

《こちら0-2、りょーかい!庭に降りるよ!》

 

《こちら0-3・・・なんかないのー?暇で仕方ないわよ》

 

「じゃあここのオッサン的にして爆撃訓練でもする?」

 

《あら、いい提案ね。そしたらちょっと脅かしてみようかしら》

 

リリアはそう言うと無線を切った。

そして上空から爆音が近づいてくる。

 

《0-3、ガンズガンズガンズ》

 

庭に向けてフランカーの30mm機関砲を発射した。

それをみた男はさらに青ざめる。

 

「た、頼むから命だけは・・・」

 

「それはこの子次第」

 

恐怖で痛みを忘れたのか男は必死で命乞いをしていた。

 

「大丈夫、怖かったよね」

 

私は縄を切りながら声をかけた。

女の子は泣きながら私の方を見た。

そこにエルが入ってくる。

 

「ちょっと、リリアに支援要請出てないって伝えてよ・・・って・・・ナユ・・・?」

 

「エル・・・?」

 

女の子はエルを見てさらに大粒の涙を流した。

 

「ナユ!」

 

「エル!会いたかった・・・会いたかったよぉぉ・・・!!」

 

「ごめん、ごめんね・・・!遅くなった・・・!」

 

「ううん、いいよ・・・こうやって助けにきてくれたんだもん・・!」

 

2人は泣きながら抱き合っていた。

そしてすぐにエルは表情を戻す。

銃を男に向けようとした。

 

「・・・お前ナユに何をした」

 

「エル、落ち着いて」

 

「た、頼む・・・!い、命だけは・・・!ほ、ほら!金だってある!」

 

男は膝の痛みを忘れて顔をぐしゃぐしゃにしながら命乞いをした。

 

「金なんていい。私が聞いているのはナユに何をしたかだこのクソ野郎」

 

エルが男にそう問い詰めている時、駆逐艦から通信が来た。

 

《こちらハルゼー。聞こえるか?》

 

「聞こえるよ」

 

《今、3件目の捜索を終えた。そちらはどうか?》

 

「1件目。でも主目標確保」

 

《了解。それならこちらはまだ余力がある。残りは任せてくれ》

 

「いいの?」

 

《友達を早く連れ帰ってやってくれ。あぁ、それとこの国の国王・・・でいいのか?その方から本艦に連絡がきた》

 

「早いね。なんて?」

 

《君たちの活動に感謝し、恩赦を与える。また可能なら証拠と生け捕りにした奴を引き渡して貰いたいという事だ》

 

「了解、良かった。これで海賊からおさらばだね」

 

《あぁ、これも君たちのおかげだ。そちらの犯人は捕らえたのか?》

 

「確保。でもあと3分くらいで死にそうだけど」

 

《了解、怪我か?》

 

「エルがブチ切れて殺しそう」

 

《分かった、こちらで回収するので出来れば生かしておいてくれ》

 

「了解。」

 

そう言って通信を切った。

 

「エル、聞こえてたよね」

 

「聞こえてたけど、1人くらい死んでてもいいんじゃない?」

 

「・・・ちょっとそれだと悪役」

 

「・・・まったくハルの優しさには負けた。私はナユを連れて戻るよ」

 

「了解」

 

「じゃあ、ナユ、行こ」

 

「うん・・・」

 

2人はそう言って部屋から出た。

 

「はぁ・・・」

 

私はため息をつく。

外からはヘリの音も聞こえてきてマヤが回収に来てくれたようだ。

 

「まったく・・・くだらない事して人生終わっちゃったね」

 

私はある程度離れた所から銃を向けて話しかけた。

 

「・・・・・・」

 

「別に黙ってるならいいけど。どんな刑になるかな」

 

私はあえて相手の恐怖を煽るように言う。

 

「あんたがどんな大金持ちだろうが地位だろうが国王様はこんなことする奴許さないもんね。火炙りにでもされるのかな」

 

男は小さく震えていた。

 

「ねぇ、焼かれるって1番辛い死に方らしいよ。女の子買って酷い目に合わせたツケだね、かわいそ」

 

「・・・・・・やめ・・・やめろ・・・」

 

「しかもカメラで証拠の映像も撮ったからね。明日には焼かれてるだろうから今のうちに少しでも楽に死ねるように刑罰軽くしてもらえる言い訳考えたら?」

 

「やめろぉぉ!!やめてくれぇぇ!!」

 

男は想像でもしたのか泣き叫ぶ。

そして逃げようとしたのか動くが膝を撃たれたせいで動けないようだ。

コイツ意外と小心者だな・・・。

一応国王様はこんな事する奴は問答無用で死刑にするような人なのだが、さすがに火炙りは王都民から反発があって取りやめにしている。

・・・とは言っても、ブチ切れた国王様は塵も残すなと言う命令で自走砲の射撃の標的にしたり空爆の標的にしてみたりとかなり酷いことをしてるが・・・。

 

「泣き叫んで後悔するなら初めからやるなっての・・・街に行けばそういう店いくらでもあるのに・・・」

 

全裸で泣き叫ぶいい歳こいたオッサンを横目に深いため息をついた。

その間にもマヤのヘリは庭に着陸し助けた女の子を乗せていた。

その数分後にはハルゼーからのヘリも到着した。

回収に来たクルーを見て男は子供のように泣き叫びながら許しを乞うていた。

問答無用で連れていかれたが。

私はそれを見てマヤのヘリに向かう。

ヘリには無事に助けることができた女の子達が乗っている。

それに積み残しもない。

・・・今日は大勝利だ。

誰も戦闘で怪我をしていない。

帰ったら宴会だ。

そう思いながらヘリへと向かった。

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