「ふぁぁ・・・」
「マヤ、大丈夫?」
「なんとかね・・・」
V-1襲来から8時間。
そこからは何も来ず街上空を行ったり来たりしている。
《あ・・・こちら0-2、フュエルビンゴ。一旦ラズベリーに向かうわ》
《0-3、入れ違いで0-1と合流します》
「了解。こっちもあと30分でビンゴ」
《0-3、了解》
依頼完了まであと6時間とちょっと。
あたりは真っ暗で飛行の疲れもあり私も眠くなってくる。
「マヤ、起きてる?」
「・・・・」
「マヤ?」
「ふがっ!?ご、ごめん!寝てた・・・」
「大丈夫だよ。レーダーの範囲を150kmくらいに切り替えて」
「どうするの?」
「パイロット側で監視する。ちょっと寝てて」
「え・・・でも・・・」
「大丈夫。戦闘になったら起こすから。それまで寝て体力回復させて」
「・・・ごめん」
「謝らない。マヤも頑張ってるから」
「うぅ〜・・・ハルのママ味がすごいよ〜・・・」
「冗談言ってないで休める時に休む」
「ありがとう、じゃあちょっとだけ寝るね・・・」
「うん。おやすみ」
インカムからはマヤの規則正しい寝息が直ぐに聞こえだした。
「ふぁ・・・私も眠い・・・」
眠気覚ましのガムを噛んではいるがそれでも真っ暗な空を見ていると急にガクッと眠気がくる。
「いっそ何か来てくれればいいんだけど・・・」
来たらきたで困るが・・・。
そう思った時RWRが電子音を鳴らす。
一瞬ビクッとなって表示を見ると30と言う表記が。
ミオのSu-30だ。
《レーダーでハルさんを確認しました。もうすぐ合流します》
「了解。でも突然RWR鳴ったからびっくりした」
《ふふ、目が覚めましたか?》
「今夜は寝なくて済みそうだよ」
遠くにミオの機体が見えたその時、燃料警告が出た。
念の為ラズベリーからストロベリーまで往復できるくらいの燃料で設定はしてあるがそろそろ給油しないとまずい。
「ミオ、燃料ビンゴ。」
《了解です。交代ですね》
「リリアがすぐに来ると思うから」
《了解です。ラズベリーは少し雲が出てき始めたので気をつけてください》
「了解」
交代に来たミオとすれ違い、ラズベリーに急いだ。
今日は月明かりすら無いくらい曇っている。
ラズベリーに降りるにはストロボが頼りだ。
「マヤは・・・起こさなくていいか」
着陸だけなら大したことない。
このまま寝かせておこう。
「なんだってこんな山の中に街を作るんだろ・・・」
ラズベリーが出来たのはつい10年前くらいのことだ。
険しい山の中に作ることで魔獣や山賊に襲われにくくする事が狙いだったらしいが・・・。
その代償として着陸の難しい飛行場が出来上がってしまった。
ILSを整備しようとしているらしいが、滑走路前の岩山が思ったより硬く、設置に手間取っているそうだった。
「はぁ・・・早く帰りたい」
そうボヤきながら飛行を続ける。
30分くらいでラズベリーに到着した。
「ラズベリー、こちらエンジェル0-1」
《0-1、こちらラズベリー。滑走路13への進入を許可。先程から雲が出てきているため視程が2000mほどです。13手前の岩山に注意してください。岩山の頂点は気圧高度計で5300ftです》
「0-1了解」
4回目となるこのやりとり。
着陸にも慣れてきた今が1番危ない。
「ほんとに見えないし・・・・」
夜間の上雲で視程も悪い。
せめてもの救いはストロボの光が確認できることだ。
《エンジェル0-1、滑走路13への着陸を許可》
「着陸許可。エンジェル0-1」
そこからはストロボに沿って飛び、何事もなく着陸した。
「ふぁ・・・降りたの・・・?」
「うん。燃料補給とトイレ済ませたらまた上がるよ。お腹は減ってない?」
「大丈夫ー・・・」
着陸の衝撃で目を覚ましたマヤだったがかなり寝ぼけている。
私は機体を駐機場に止めるともう一度マヤを起こした。
「ほら、1回降りるよ」
「うん〜・・・」
「まったくもう・・・」
フラフラするマヤを見ていると心配になるがなんとかタラップを降りてくれた。
「ふぁぁ・・・」
「ちょっと休憩していく?」
「ううん、私は大丈夫だけど・・・ハルは?」
「大丈夫」
「でも・・・」
マヤはずっと操縦している私を心配してくれているのだろう。
「分かった。すこし休んでから行くよ」
私たちは補給担当に給油と点検をお願いして近くのカフェに入る。
そこにはちょうど休憩を終えようとしていたリリア達がいた。
「あ!ご主人様!」
「お疲れ様。私たちは今から戻るわ」
「お疲れ。もういいの?」
「2時間はゆっくり出来たから。ハル達も休んで」
「了解。お言葉に甘えさせてもらうよ」
「ストロベリーの空は私たちにお任せ下さい!」
「頼もしいよ。ちょっとだけ休憩してくね」
そう言って別れて席に座る。
とりあえず2人で軽食を取る。
「ねぇハル・・・あの人たち大丈夫かな・・・」
「・・・」
マヤが気にかけているのはアンデッド化した住人のことだ。
2機のCH-46でこのラズベリーに輸送中、1機の檻が破損しアンデッドが機内に出てきた。
同乗していた警備員がやむを得ず発砲するも貫通した弾がエンジンを損傷させヘリはラズベリーの滑走路脇の芝生に不時着した。
この事故でアンデッド化した住人の5名、警備員1人、パイロット1人が死亡した。
残りのヘリは無事に着陸し教会に住人を運びこめたが、まだ呪いを解く儀式の最中でどうなるか分からない。
「たぶん大丈夫。ここの教会に任せて私たちは街を守ろ」
「そうだね!ふぁ・・・」
「ふぁぁ・・・マヤにつられた・・・」
「えへへ・・・あ!きたきた!」
私たちが注文したのはイチゴやブルーベリー、クランベリーなどのこの街特産のベリーがふんだんに使われたパンケーキだ。
ホイップクリームもこれでもかと言うくらい使われている。
深夜のカロリー摂取、背徳感があるが今回は食べないと動けないからと自分に言い聞かせて欲望に従った。
「んー・・・!おいしー!」
「おいしい・・・深夜にこれは罪深い」
「いいじゃんいいじゃん!」
「仕事だからね。仕方ない」
お腹が空いていたのと疲れもあり直ぐに完食した。
あと1時間30分ほど仮眠しよう。
「ちょっと寝る」
「ふぁ・・・私も・・・」
アラームを設定し目を閉じた。
座っているから寝づらいかと思ったが意識は直ぐに消えた。
「ん・・・」
「ふぁ・・・」
アラームで目が覚める。
窓から外を見ると朝日が登り始めていた。
「マヤ」
「んー・・・」
「起きて。行くよ」
「んー・・・そんな時間ー・・・?」
「そんな時間。あと3時間頑張ろ」
時計を見ると依頼完了まであと3時間とちょっとだ。
私たちは機体に急ぐ。
「街上空までは寝てていいよ」
「起きる!ハルにはさんざん寝かせてもらったから!」
「そか。じゃあ監視よろしくね」
「うん!」
朝焼けに照らされる空は快晴だった。
昨日の夜と打って変わって雲ひとつない。
代わりに風が強いが。
「じゃあ、行こっか」
若干強風でふらつきながらも離陸し街に向かう。
「こちらエンジェル0-1。みんなお待たせ」
《おかえりなさいご主人様!》
《おかえり。何も無かったわよ》
《こちらも何もなしでした!》
「了解。あと3時間だね」
《さすがに疲れたわ・・・》
「ラズベリーで宿取って休んでから帰ろ」
《賛成です!》
長かった依頼もこれで終わる・・・。
そう思った矢先だった。
「ん・・・?ハル、レーダーに何か・・・」
《こちらもレーダーでなにか捉えました。速度80・・・》
《ヘリ?》
「それにしては高度が高すぎる。10000だよ」
「こんな時に勘弁してよ・・・」
私はボヤきながらも警告する。
「ストロベリーに接近中の航空機、直ちに反転しコースを変えなさい。近づけば敵と判断して撃墜する」
「う、撃つの!?」
「民間機ならフェニックスの安全装置が働く」
「そ、そうだけど・・・」
私だって撃ちたくない。
通信機や航法装置の故障だって考えれる。
だが、応答も転進もせず、降下し始めた。
「何考えてんの・・・!?」
《0-2、ターゲットロック》
「撃つの待って!」
《でもあの降下角度だと街に突っ込むよ!》
《こちらストロベリー管制。進入中の航空機、進入は許可してない直ちに反転せよ》
「クソ・・・!こうなったらやるしかない・・・」
「嘘でしょ!?」
《ハル、私たちでやるわ》
「待ってよリリア!民間機かも・・・!!」
《今待って街の人が死ぬよりマシよ!マヤ!》
「リリア、撃って!」
「ハル!」
《了解、FOX3》
数十秒後、遠くに爆発閃光が見えた。
黒煙を上げて落ちていく何かも見える。
「ハル・・・ほんとに大丈夫なんだよね・・・」
「マヤの気持ちも分かる・・・けど、街を守るためには必要だったって分かって」
「うん・・・」
マヤは完全に識別できてない状態で撃ったことに納得がいっていないようだ。
当たり前だろう。
もしかしたら民間機だったかも・・・私だってそう思う。
でもミサイルの安全装置は働かなかった。
あのフェニックスの安全装置は機体と乗っている人が武装しているかどうかもスキャンできる装置が積んである。
それでも着弾したのだから敵だったのだろう。
《ストロベリー、こちらエンジェル0-2。撃墜した機体はAn-2と確認。残骸から人型魔獣の破片が見える》
《ストロベリー了解。クソ魔王軍め・・・》
魔王軍はどうしてそこまでしてストロベリーを狙うのか・・・。
ただ今回厄介なのは民間機に偽装した航空機を街に突入させようとした。
魔獣は召喚してしまえばいくらでも替えが効く。
倫理的にはアウトだが・・・。
《あの・・・なんで魔王軍はこの街を狙うんでしょう・・・》
「恐らくはちゃんとした飛行場を持ってなくて防空能力もほかの街と比べたら低いから・・・だと思う」
ストロベリーの防空設備は街の外壁に設置された対空機関砲のみだ。
地対空ミサイルは携行式しかない。
一応、領主邸を守るためにHAWKが2基配備されているがこれは領主邸を狙った攻撃しか使われない。
魔王軍としては今使える戦術でどこまでやれるか試した・・・という感じだろう。
今のところ明るいうちしか攻撃も出来なさそうだ。
「まぁでも、弱いものイジメしようとしたら返り討ちにあったっていう感じだけどね」
《あはは・・・でも向こうからしたら弱いものイジメしてるのはこっちですけどね・・・》
「それは言えてる」
なんて冗談を交わしていると街から無線が入った。
内容は魔王軍の件で王国軍が動き、ストロベリー上空に戦闘機が派遣される。
それに墜落したV-1やAn-2の回収にも来るそうだった。
そのため依頼は終了、帰ってもいいとのことだった。
「帰っていいっぽいし帰ろっか」
《そうね!報酬も振り込まれたみたいだし!》
「それじゃお疲れ様も兼ねてラズベリーでご飯にしない?」
《大賛成です!》
みんな声を合わせてそういった。
「決まりだね。じゃあ行こっか」
コースをラズベリーに合わせる。
終わったことで気が抜けて少し眠気に襲われているが今は頑張らなければ・・・。
《ハル、ちょっとふらついてるわよ》
《そういうリリアさんもですよ?》
《なっ、だ、だって結構難しいのよ!?トムキャット乗るの初めてだし!》
「本音言っちゃえば?私は眠い」
《うぐ・・・わ、私も眠いです・・・》
《ふぁ・・・私も眠いです・・・》
ここまで20時間近く飛んでいる。
休憩を除けば14時間くらいだが・・・。
とにかく降りて寝よう。
「んー・・・風が強い・・・」
「え、えと、ラズベリーには行きたいけど無理しないでね・・・?」
「大丈夫。なにもマヤのわがままで行ってるわけじゃないんだから」
「そ、そうだけど・・・」
空港が近づくにつれて風に煽られ始める。
もう下は山岳地帯だ。
山から吹き上げてくる風で機体が揺さぶられる。
「ちょ、ちょっと怖くなってきた・・・」
「大丈夫。ちゃんと降りれるから」
安心させるためにそうは言ったものの、さすがにゴーアラウンドするようなら着陸を諦めてテキサスに帰ろう。
「リリア、ミオ。もしゴーアラウンド必要になったら教えて。無理に再チャレンジするより安全に帰りたい」
《了解、再チャレンジ必要ならテキサスに直帰ね》
《了解です!燃料は十分ですからね》
「そうしよ。空港の天気は?」
《えーっとですね・・・あ、ご主人様。風速50ノットですって》
「えぇ・・・」
《風向どうなってます?》
《風向が・・・卓越180からですね》
《・・・ほぼ横風・・・》
《だって。トムキャットだとふらつくんじゃない?》
「ん・・・まぁ・・・」
この機体は通常の着陸でも少しふらつく癖がある。
ミオのフランカーなら電子制御で落ち着いて操縦出来るが・・・。
「トムキャットには電子制御で安定させれる改造もしてないしテキサスに直帰しよ」
《そのほうが安全よね》
「マヤはそれでいい?」
「おいしいスイーツも食べれたから大丈夫!お土産買えなかったのが残念だけど・・・」
「また来よ」
「うん!」
《じゃ決まりね。我が家に帰りましょ》
「了解」
管制塔には進入をやめコースを変えると連絡してテキサスに進路を合わせる。
ここから約1時間・・・。
天気はいいからのんびりと帰ろう。
《それにしても・・・爆弾が重いわね・・・》
《もう積みすぎですよ!》
《仕方ないじゃない!発射機出たら潰さなきゃいけないんだから!》
そういうリリアはGBU-31JDAMが2発、フェニックスが1発。
2000lb爆弾2発も積んでかなり重くなっている。
私のトムキャットもGBU-12が2発とフェニックスが2発積んでいるのでそこそこな重量だ。
それにリリアも私もサイドワインダー2発とAIM-120かAIM-7を1発積み、ターゲティングポッドも積んでいる。
「手頃に狩れそうな魔獣でも居ればいいけど・・・」
《魔獣に誘導爆弾ぶち込む気?》
「そのほうが機体も軽くなるしお金も稼げるでしょ」
《跡形も無くなりそうなんですけど・・・》
「TGPの映像は録画してるから大丈夫」
このご時世、討伐対象が塵も残らないなんて事象がかなりの頻度で生起する。
そのため目標を攻撃し討伐した映像を提出することで報酬を得ていた。
たまに魔獣狩りで生計を立てているハンターから突然強力な魔獣が出てきた時の対処で護衛を任されるのだが、大抵の戦闘機乗りの冒険者はペイブウェイやマーベリック、下手するとAC-130のようなガンシップを持ち出してくることがあり、ワンチャンでレア素材が欲しいハンターからはなるべく威力の低い武器で頼むと言われていた。
とは言っても元々戦車を吹き飛ばしたり敵の施設を破壊するための空対地兵装は魔獣相手では強力すぎるため、いくら威力を抑えてもバラバラに吹き飛んだりしていた。
《それにしても・・・辺りの村人からしたら大迷惑よね》
「なんで?」
《魔獣の素材ってものによったら高く売れるでしょ?それを跡形もなく吹き飛ばされるんだから》
「まぁね。でもそろそろ魔獣用の爆弾とかミサイルも出るでしょ?」
《そういえばあの人の会社で開発中みたいね》
「あの人じゃなくてダーリンでしょ?」
《はぁ!?マヤは何言ってんの!?》
「話する時楽しそうじゃん。名前なんだっけ?」
《お、教えない!!》
《リリアさん照れまくりですね!》
《うるさいわよ!》
《・・・これぞガールズトーク》
「どうせならオシャレなカフェでしたいけど・・・」
ごっつい戦闘機の上でしたら雰囲気台無しだ。
なんて途中からみんなの恋バナになり私の話になりかけた。
「だから私は何にもないから」
《うそ!絶対あるわよ!》
「ない。非モテ」
「どの顔が言うか!」
「それめっちゃ悪口言われてるみたいなんだけど・・・」
なんて話してた時だった。
《誰か!助けてくれ!!》
「ん?」
《助けてくれって聞こえたわね》
「一応、応答しとくか・・・こちらエンジェル0-1。爆装を施したF-14が2機、対空兵装満載のフランカーが1機で飛行中」
《よかった・・・こちらはテキサスのハンターパーティだ!今あんたらの機体の爆音が聞こえる!》
「それなら近くだね。どこ?」
《あぁ・・・えと、そこから大きな1本の木が見えるか?》
「1本の木・・・」
周りを見ると2時方向にポツンと生える木があった。
「確認」
《その近くの岩場の影に隠れてる!》
「岩場・・・木から100mくらいのところ?」
《そこだ!助けて欲しいんだ!》
必死な声が無線から聞こえた。
「了解。何に襲われてるの?」
《戦車の群れだ!》
「戦車の群れ!?」
《戦車乗りの山賊連中に会っちまった!!》
「・・・了解!」
《こっちは魔獣狩り用の装備しかない!助けてくれ!!》
「分かった。戦車はどこ?」
《森の中に隠れてる!最低でも3台だ!》
「了解、こちらの武装はGBU-31が2発、GBU-12が2発。機関砲は1機が徹甲弾を装填。支援可能時間は約1時間」
《了解!空のことはよく分からんが頼む!》
このハンターパーティは運が悪いとしか言えない。
魔獣狩りのハンターは銃や対戦車ロケット弾を装備している人もいるが基本的に対機甲戦闘をするような装備でない。
魔法使いも同行しているだろうが、ガンナーパーティに着きそう対空戦闘や対戦車戦闘用の攻撃魔法ではなく魔獣を捕獲したり動きを鈍くするような魔法を使う。
「リリア、JDAMでは移動目標は狙えない。先制攻撃で2台吹っ飛ばすよ」
《了解。とは言っても自由落下でもいいのよね?》
「まぁ・・・できるよ」
《だったら自由落下でやるわ》
「了解。じゃあまずは戦車を炙り出すよ」
《了解!》
《私たちはどうしますか?》
「ミオ達は爆弾が無くなった時に機銃掃射して。弾は徹甲弾だよね?」
《徹甲弾を装填してます》
「それなら天板をぶち抜けるはず。それでお願い」
《了解です!》
作戦も決まった。
まずは敵戦車の位置を見つけないと。
「ハンターパーティさん、そのまま隠れてて。」
《了解!こっちは1人負傷してる、足を撃たれて動けない!》
「了解。敵戦車の位置を何かで知らせれない?」
《ちょっと待ってくれ・・・メル、やれるか?》
《こ、怖いけど・・・やれるよ!》
無線からは女の子の声が聞こえた。
《うちの魔法使いが敵戦車に雷を落とす!》
「了解。一旦退避する」
森の中を注意深く探す。
ターゲティングポッドも熱源探知出来るように設定し隠れていそうなところを探した。
その時、森の中に雷が落ちる。
そしてすぐにその周囲の木が踏み倒されるように倒れた。
敵の戦車だ。
「ターゲット確認。マヤ、マークよろしく」
「了解!」
旋回しコースに乗る。
投下まで30秒だ。
「エンジェル0-1、投下まで30秒」
「サーマルで見えた!T-72!」
「了解」
私も画面で確認した。
恐らく上空の私たちに気づいてはいるだろうが、森の中なら見つからないと思っているようだ。
「停止したって・・・サーマルで見えてるんだけどね」
そう呟いてるうちに投下時間になった。
私はペイブウェイを投下する。
「エンジェル0-1、ペイブウェイ」
「着弾まで20秒!」
《了解!こっちは戦車相手には無力だ!頼む!》
「任せて。誰一人怪我させないから」
そう言った数秒後、森の中で爆発が起きる。
そして砲塔が空に舞い上がった。
「GoodHit!」
《こちら0-3、敵確認!ガンズガンズガンズ!!》
《いやっほー!!やったぞ!ナイスだ飛行機野郎!》
《の、乗ってるの女の子なんだから失礼だよっ!》
《なんだよ、細かいこと言うなって》
《だからトロはモテないの!》
《んなぁ!?》
「あ、あはは・・・痴話喧嘩は無線を切ってね・・・」
「私は賑やかで好きだけど」
敵戦車を2台吹き飛ばしたところで山賊は撤退していった。
周囲の安全は確保できた。
「こちらエンジェル0-1、敵影確認できず。地上からなにか見える?」
《こちらも何も見えない。ありがとう!命の恩人だよ!》
「良かった。じゃあ帰り道は気をつけて」
私たちは挨拶を兼ねてフレアを放出してテキサスに向けて旋回した。
「魔獣狩りの話しててまさかハンターに出会うなんてね・・・」
「助けれたから大勝利」
「まぁね!」
《それにしても、珍しいですよね》
《ハンターは少なくなってるから貴重・・・》
《オマケに基本空からぶっ飛ばすからね。希少な素材とか台無しよ》
「じゃあ今度みんなで魔獣狩り行く?」
《上からの援護があるならね!》
「ふっふっふ、リリア。ここにヘリパイが居るよ」
《アンタのアパッチでしょ。吹き飛ばす気?》
「失礼な!ブラックホークに20mm機関砲を乗せるだけですぅー!」
「それでも十分だと思うけど・・・」
街を守り、ハンターを助け、今日は大勝利だ。
あとはこのヘトヘトの体を早く休めたい。
そう思いながらテキサスの飛行場へと向かった。