高度20000フィートの大空で   作:イーグルアイ提督

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最後の方書いてて自分でも何言ってんだコイツとかなってた(


自爆魔獣パンジャンドラムの討伐

「・・・まったく居ない!!」

 

《居ないわねー・・・あ、増槽の燃料尽きた》

 

「ふぁ・・・」

 

パンジャンドラムを探し始めて4時間。

まったく見つからない。

 

「リリアー、上から見えないの?」

 

《まったく・・・森ばかりで》

 

「リリア、私が全責任を取るからあの森を石器時代に戻して」

 

「ハル!?」

 

《何言ってんの!?》

 

「頭にきた。ナパームで全部燃やし尽くしてやる」

 

いい加減イライラしていた。

ちょうどいい。

 

「まったまった!!」

 

《落ち着いてよ!てか私クラスター爆弾しか積んできてないわよ!》

 

「ちっ・・・役立たずのミグ野郎め」

 

《ちょっと待って今なんて言った?》

 

「役に立たないでございやがりますわリリアお嬢様って言った」

 

「・・・ハルが壊れた・・・」

 

「いい加減イライラしてる」

 

「その気持ちは分かるけど・・・」

 

そんな事を言った矢先に突然左の森の奥で大爆発が起きた。

それ釣られて複数の爆発も起きる。

間違いなくパンジャンドラムだ。

たぶん私達を見つけて転がってきたが木か何かに当たり爆発、その爆発に巻き込まれたか目の前で仲間が爆死して後追い自爆をしたのだと思う。

とりあえず大爆発のインパクトがすごい。

 

「ちょっと!来てるよ!」

 

「見たら分かる」

 

「パンジャンドラムってあんなに怖い生き物だったの!?無理無理!!!」

 

「見た目のインパクト凄いよね」

 

「あんたはホントに呑気だな!」

 

マヤは車の窓を開けて近づいてくるパンジャンドラムに小銃を向けていた。

 

「森の中に入れば一旦逃げ切れるかも」

 

《森の中にも複数のパンジャンドラムがいる!入ったらダメよ!!》

 

「待ち伏せ!?ちくしょー!撃っても撃っても数減らないし!!」

 

「文句言いながらパンジャンドラムの車輪撃ち抜いて止めてる辺り私は凄いと思う」

 

「あんたは冷静だな!!」

 

「リリア、私達の後ろにクラスター爆弾1個投下して」

 

《パンジャンドラムの群れを殺るのね!了解!》

 

「大丈夫なの!?」

 

「大丈夫、あの子ああ見えて無誘導爆弾の爆撃は天才的に上手いから」

 

昔、無誘導爆弾の爆撃で勝負した時、彼女は10回中10回とも誤差数10センチという精度で爆撃をした。

攻撃機にでも機種転換すればいいのだが本人は頑なに戦闘機から降りようとしなかった。

 

「クラスター爆弾の子弾は私達には1発も当たらないよ」

 

「それなら信じてみるけど・・・てか、何匹いんのよ!」

 

「20匹?」

 

「ざっと見て60!!」

 

「パンジャン1匹みたら30匹はいると思えとかよく言うけど・・・それよりもここまでコースアウトせずによく追ってくるよね」

 

「今年のパンジャンドラムは活きがいいんだよ!」

 

マヤは再装填を行った小銃で射撃を再開しつつ怒鳴るように言う。

 

「・・・マヤ、来たよ」

 

前をみるとフルクラムがアプローチしてきた。

投弾体勢だ。

 

《コースよし・・・レディ・・・Bomb's away!!》

 

フルクラムが爆弾を投下して上昇していく。

数秒もしないうちに爆発は空中で分解、小さな子弾が撒き散らされる。

その子弾は私達の上を通過、見事にパンジャンドラムの集団に直撃した。

小さな爆発の後パンジャンドラムが次々と爆発する。

 

「いやっほー!!リリア天才だよー!!」

 

マヤは上空のフルクラムに向かって大声でそう言っていた。

追ってきていたパンジャンドラム60匹のうち、50匹が連鎖的に後追い自爆し、のこり10匹程度は爆発せず、爆発の衝撃で車輪が壊れ、そのまま走れなくなりショックで絶命していた。

 

「リリア、お疲れ様。燃料は?」

 

《ビンゴ。私は先に帰るわね》

 

「了解、気を付けて」

 

《そっちも。じゃあまた後で、RTB》

 

街に向かうフルクラムを見送り、私達は絶命したパンジャンドラムに近づいた。

 

「・・・爆発しない?」

 

「もう死んでる。大丈夫」

 

マヤは恐る恐る近づいていた。

パンジャンドラムは完全に絶命していた。

あとは真ん中を切り開いて肉を採取するだけだ。

 

「マヤ、ナイフ」

 

「はいよ」

 

「ん、ありがと」

 

分厚い脂肪を切っていく。

その際に流れ落ちる血液は超高級な紅茶のような芳醇な香りがしていた。

 

「紅茶みたいな香り・・・」

 

「実際、爆発する以外は紅茶と同じ成分らしいからね。ただすぐに味も香りも落ちるから討伐した人以外飲めないけど」

 

「じゃあ飲も!」

 

「そう言うと思った。コップある?」

 

「はい!」

 

パンジャンドラムから滴る紅茶のような体液を採取してコップに注ぐ。

まるで入れたてのような温度で湯気も立っていた。

私達は近くにあった岩に2人で腰掛ける。

 

「じゃ、いただきまーす」

 

「いただきます」

 

しっかりとパンジャンドラムに感謝しつつ紅茶を啜る。

 

「おいっしー!」

 

「うん、ホントだね」

 

「初めてだよ!こんなに美味しい紅茶!」

 

「まぁ紅茶じゃなくてパンジャンドラムの体液だけどね」

 

「それ言わない!」

 

あっという間に飲み干してしまう。

私達は美味しさの余韻に浸りながら少しお喋りをする。

 

「ねえハル、そう言えば前の賞金首だけどもう上がって来ないよね?」

 

「リーパーの事?」

 

「うん、撃墜はしたけど本人は生きてたみたいだし」

 

「確かにね。でも私ならもう上がらないかな」

 

「戦闘機がないから?」

 

「ううん、私達がどういう手段で撃墜したか覚えてる?」

 

「あっ・・・なるほど・・・」

 

「もう噂になってると思うと。ペイント弾に落とされた死神って」

 

「あはは・・・私はレーダー扱う係だから分からないけど私がパイロットなら恥ずかしてくてもう飛べない・・・」

 

「マヤもパイロットでしょ」

 

「ヘリコプターのね。戦闘機は苦手だよ」

 

「ふーん・・・」

 

「あー・・・でもプロペラ機なら大丈夫だよ」

 

「でもなんでマヤはトムキャットの後席に乗ってるのに戦闘機苦手なの?」

 

「苦手って言うか戦闘機の操縦だよ。音速とかだと目が回っちゃって・・・トムキャットの後席ならレーダーガン見してるから気にならないけどね」

 

「そうなんだ」

 

何年も一緒に冒険者をしているが超音速が苦手なのは初めて知った。

なんて話をしているうちに紅茶も無くなる。

 

「さてと、お肉回収して帰りますか」

 

「うん。あ、そうだ。マヤ、脂肪も回収するよ」

 

「脂肪も?」

 

「水と塩と砂糖とイースト菌加えて発酵させたらプラスチック爆弾になるから・・・って資料で見なかった?」

 

「いや待って!それ工程パン作りだよね!?」

 

「うん。副産物?」

 

「パン作りで副産物がプラスチック爆弾なんて初めてだよ!!」

 

「そんなに言ったって仕方ないじゃない。そういう作り方なんだから」

 

「それはそうだけど・・・発酵の工程必要なの・・・?」

 

「なんかアルコールが発生しないとダメらしいよ」

 

ちなみに威力は一昔前の戦車の正面装甲程度なら20gくらいで爆砕できるらしい。

大体貫通力は110mmくらいだ。

電気発火しかしないので扱いも静電気に気をつければ比較的安全だった。

ただ、パンジャンドラム自体が勝手に自爆するため中々回収出来ないためパンジャンドラム製高性能爆薬はかなり高値で取引される。

 

「帰ったら爆薬作って売りに行かないと」

 

「ちなみにパンジャンドラム1匹で爆薬どれくらい取れるの?」

 

「大体500gくらい。大体200万くらいの価値になるかな」

 

「ということは10匹分で2000万!」

 

「でもレーダーとバルカン砲とかその他諸々の修理費が2000万だから・・・」

 

「うぇぇ・・・このクエストの報酬は?」

 

「18万」

 

「安い!!」

 

「パンジャンドラムの群れを攻撃して10匹以上爆発させるか討伐する事だったから」

 

パンジャンドラムは勝手に爆発するから正直大した報酬にならないが爆発させなかった場合、パンジャンドラムの肉や脂肪が高額で取引されるため上手くやると副報酬が基本報酬の100倍以上になることもある。

 

「じゃあさっさと回収して帰ろっか」

 

「そうだね!あー・・・疲れた・・・」

 

黙々と1時間ほど作業を行い肉と脂肪を集めた。

パンジャンドラムの紅茶液は帰りに飲むために水筒に集めておいた。

 

「じゃ、帰ろっか」

 

「帰りながら紅茶で乾杯だね!」

 

「そうだね」

 

車に乗り込みエンジンをかける。

ふと周りを見ると穴ぼこだらけだった。

 

「これに巻き込まれたら・・・うぅっ、怖っ!」

 

マヤは爆発に巻き込まれた事を想像して震えていた。

幸い、帰り道で何かトラブルに巻き込まれることも無くテキサスに帰ってこれた。

守衛さんに通行証を見せて中に入る。

 

「脂肪って宿で加工する?」

 

「さすがに危ないからギルドに委託するよ。すこし報酬減るけど」

 

「いくらくらい?」

 

「手数料が80万くらいかな」

 

「あれ、意外と安かった。200万くらい行くかと思ってた」

 

「ここの加工屋さん良心的だから」

 

「なるほどねー・・・あ、ギルド見えてきた」

 

「早めにクエスト完了報告して宿に帰ろっか」

 

「そうだね、お風呂入りたいし!」

 

「だね」

 

ギルドの駐車場に車を止め中に入ると受付のお姉さんが困った顔をしてこっちに来た。

 

「あの・・・クエスト直後で申し訳ないのですが・・・」

 

「どうしました?」

 

「おふたりに緊急クエストをお願いしたいのです・・・」

 

お姉さんは申し訳なさそうに言うがどうも本気で困っているようだ。

 

「何かあったんですか?」

 

「はい・・・実は最近、Uボートの活動が活発になってまして本来港に来るはずだったタンカーのうち10%程しか来ていなくて・・・深刻な燃料不足になっているです」

 

「空路は?」

 

「それがこの時期は翼竜の活動が活発で・・・陸路は製油所まで遠すぎて使えませんし・・・だからリーパーを落としたハルさん達にお願いしたいんです!」

 

「いいけど・・・私達の飛行機は飛べないよ?トムきゃんじゃ対潜戦闘も無理だし・・・というか街の騎士団は?あの人達にお願いしたほうがいいんじゃない?」

 

「実は国王様の式典参加のために出払ってまして・・・1チームしか・・・」

 

騎士団というのは国の首都から各街を防衛するために派遣された組織で昔は鎧に身を包み剣を持った凛々しく強い集団だったが今では剣を銃に変え馬は戦車や航空機に変わっている。

装備も鎧から軽く機動性に富んだボディアーマーやチェストリグなどで身を包み、見た目は異世界の特殊部隊のようだった。

ちなみに国の首都にしか居ないがしっかりと国軍も存在している。

 

「なるほど、それで賞金首撃墜の実績もあるし私達にって事ね」

 

「そうです!お願いします!飛行機はこちらから貸し出しますので!」

 

「ハル、どうするの?」

 

「燃料がないならトムキャットは飛べなくなるしやるしかないよ」

 

「ありがとうございます!報酬は弾みますので!飛行機は整備員さんが教えてくれますから!」

 

お姉さんはクエスト開始の処置のためかカウンターに急いで帰っていった。

 

「もうひと仕事だね」

 

「頑張ろ!正直疲れたけど・・・」

 

そんなことを言いながら格納庫に向かう。

 

「で、機体はどれかな」

 

「さぁ・・・」

 

すると私達に気づいたドワーフの整備員がこっちに来た。

トムキャットの整備をしてくれていた人だ。

 

「よう嬢ちゃん!Uボート狩りだってな!」

 

「うん、それで飛行機は?」

 

「おお!こっちじゃ!あー・・・でも気に入るかは分からんが・・・」

 

整備員が連れていってくれた先にあったのは2機の飛行機だった。

 

「お前さんらのはこれじゃ!ええっと・・・何じゃったかなコイツの名前は・・・」

 

それは昔、異世界の本で読んだ事があった機体だった。

確か、日本という国が開発した対潜哨戒機・・・でも最新型なんかではない。

双発レシプロエンジンの骨董品だった。

 

「きゅ、Q1W・・・東海・・・」

 

「おお!それじゃそれ!Q1W東海じゃ!ええのぅ・・・ロマンの塊みたいな見た目じゃわい」

 

「ちょ、ちょっと待って!横にP-3Cあるよ!」

 

私は珍しく大声を出した気がする。

 

「ハルが珍しく大きな声出してる・・・」

 

「なんでこんな骨董品なの!?横にいい機体あるのに!」

 

「あーそれな、それ騎士団の連中が乗るんじゃよ」

 

「せめて!せめてもっとマシな機体に!」

 

「何を言っとるんじゃ、この東海がただの骨董品な訳ないじゃろが。レーダーやその他諸々の電子機器は最近式に取り替えてあるしエンジンもターボプロップエンジンに換装してある。ソノブイだって搭載しとるしの。唯一、武装が少ないってことじゃが・・・まぁ今回、転移魔法を使う奴が乗り込むから武装は格納庫から補充して戦えるわい」

 

「もはや中身別物じゃん・・・」

 

「操縦システムも古臭いワイヤーとっぱらって光ケーブルのフライ・バイ・ワイヤ式じゃ!バックアップにパワー・バイ・ワイヤも搭載じゃ!」

 

フライ・バイ・ワイヤとは一昔前は操縦桿からの操作を直接ワイヤーなどで稼働翼面に伝達していたがそれを電気信号で油圧装置などに伝え操作する方式だ。

コンピュータ制御が可能なため安定性や操縦性が悪い機体でも安心して乗れる。

 

「しかもじゃな!射出座席も採用じゃ!どうじゃ!」

 

「いや・・・どうじゃって言われても・・・」

 

完全に別の機体だ。

というかこの機体のどこにそんなもの詰め込んだと言いたい。

 

「はぁ・・・で、肝心の武装は?」

 

「あ・・・えっと・・・それがじゃな・・・」

 

ドワーフのおじさんは何か言いずらそうだ。

 

「えっと・・・これ・・・」

 

そこに置いてあったのは少し小さめの爆弾だった。

 

「150kg対潜爆弾・・・」

 

あれだけ高度なシステムやらなんやらをぶち込んでおいて武装はまさかの航空爆雷だった。

 

「なんで!?」

 

マヤもさすがに口を出した。

 

「あれだけ高度なシステムぶち込んでおいて武装はなんで爆雷なの!?」

 

「いやでもこれあれじゃ!GPS誘導じゃ!」

 

「これJDAM!?」

 

「見た目はアナログ中身は最近!その名もQ1W東海じゃ!」

 

「そこまでするなら見た目も最新にしてよ・・・」

 

「それ実はワシも改造初めて2日目くらいに思ってた」

 

「思ってたの・・・?」

 

「いや、あれじゃ。最初は、うひょひょ!こんな面白い仕事久々じゃわい!ドワーフの血が唸るぞい!とか思ってたんじゃがな。電装系いじってる時に、あれ?これ別にこの機体でする必要なくね?ていうか横のP-3Cよりいい電子装備積んでね?とか思ってきての」

 

「P-3Cよりいい装備なんだ・・・」

 

「まぁいっか!とか思ってたら出来上がったわけじゃ」

 

「・・・」

 

まぁとりあえず・・・大丈夫そうだが・・・

私は久々に大きな声をだして疲れた。

 

「とりあえず・・・飛ぶよ・・・」

 

「え・・・これで?」

 

「仕方ないでしょ。マヤは武装をお願い」

 

「はいはい・・・」

 

「そう言えば転移魔法使いっていうのは?」

 

「あー、それならあと2時間後くらいにこっちに来るって連絡があったからの」

 

「そっか。了解」

 

私はそのまま機体に向かう。

 

「ハル?」

 

「ちょっとコックピットに」

 

「私も乗る!」

 

「おー、今ちょうど外部電力でコックピットの電装系動かしてるから見てみるといいぞー」

 

「分かった、ありがと」

 

私は東海のコックピットに乗り込む。

・・・完全に想像してたものと別物だった。

 

「グ、グラスコックピット化されてる・・・」

 

これもう東海である必要ないよね・・・という気持ちを抑えて私は仕事の準備をする事にした。

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