短小の物語群   作:眼鏡花

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 vita&ソルサク購入+クリアにつき衝動書き。
 ……連載……いやでももう大分書いちゃってるし……。

 なお、ネタバレ、独自設定に注意。……供物の具体的な設定とか、調べなおさなきゃ……。


ソルサク×リリカルなのは1

 『世界は変えられる』と。変わった本は言った。

 

 

 

 色々と言いたい事はあった。「私」として、とてもとても口に出して言いたい事が多々あった。

 

 何故、「私」の姿が数えるのを止めてしまったほど昔の、リブロム――『ある魔法使い』ジェフリー・リブロムを生贄にする前の、マーリンに生贄にされるのをただ待つだけだった頃の正常な右腕――もっと言えばリブロムやマーリンと違った意味で難儀する前の体を持った、人間らしく、みすぼらしい姿なのか。

 

 何故魔物として追われる身の中、再生した世界に現れたあの兄弟神の思念を相手に大立ち回りを演じた後、満身創痍の中付近に落ちていた赤い石が強い光を放ってから、意識を失ったのか。

 

 何故、目が覚めると木々に覆われた森の中に居るのか。

 

 違う。「私」が言いたい事はそんな事じゃない。

 

――何故居るんだ(・・・・・・)。リブロム。

「何で……って、そりゃこっちの台詞だ。どうして俺が居るんだよ(・・・・・・・)

 

 リブロムなのだろう。間違えるわけが無い。肉塊のような表紙。大小二つの目玉。歯が剥き出しの大きな口。耳に残るような声。

 マーリンに幾度となく戦いを挑み、死にかけ、最後には肉片となった無名の魔法使い。

 

 姿を変え、生贄達に願いを託し、世界にしがみついてきた日記の書き手。

 

「しっかし、お前の記憶が共有されてるのかもな。お前がしてきた事が全部伝わってきやがる。願わくば、一緒に死んでほしかった所だけどよ。……ありがとな……えーと……」

――ユウだ。ユウ・ラグーン。

「ユウか……わりい」

――気にしてないさ。

 

 「私」自身リブロムに直接語った事は無かったから、仕方が無い事だと言えばそれまでだ。

 

――たとえ、その体に直接名前を刻んであったとしても。

「だからわりいって言ってんだろ!? とにかく、現状の確認だ、確認!」

 

 それもそうだ。何時、何処から魔物が襲って来るかもわからない。

 まず「私」はその辺に落ちていた折れた木の枝の命から魔力を作り出し、魔法を使った。

 木々が折れるような音を連続して立てながら、植物の剣が右手に収まった。

 

 姿は違っても供物魔法は使えるらしい。これなら代償魔法も使えると考えた方が無難だろう。

 

 しかし、代償魔法の方は此処で試すべきでは無い。下手に試して死に目を見るよりは、安全な場所を得てから試した方がいい。

 

 何より、「私」は既に片目を捧げている状態だ。こんな状態で禁術――特に、サラマンダーやエクスカリバーは間違っても使いたくない。生贄にできそうなものがあれば――人型魔物などが居れば手っ取り早いのだが。

 

 記憶の方は――特に異常はない。寧ろ誰がどの記憶を持っていたのか、どの記憶の持ち主が誰だったかがはっきりし過ぎている。

 

 いや、違う。これは記憶では……ない? どうゆうことだ。

 

「こりゃあ……。ククッ。ユウ、俺に触れてみろ」

――何かわかったのか?

「いいから。検証だ、検証」

 

 言われるままに右手でリブロムに触れた。

 

 するとだ。リブロムの体がいつかの再現のように散らばり、「私」に本の情報を上書きする。

 

 右腕は手の甲に金色の目玉が埋め込まれた黒い(・・)右腕となり、体は人間というにはあまりに異形なその様は、きっと第三者からすれば魔物と区別がつかない。

 

 「私」自身、本の中でこの姿になった時は我が目を疑ったものだ。

 

 リブロムが『カオス化』と呼ぶ“討伐した魔物を生贄にし続けた魔法使い”の終着点、だそうだ。

 

 魔物と大差無いというのが、正直な感想である。追われても仕方が無い。

 

 しかし、「私」にとってこれ以上無く『正常』な姿でもある。異常な事態は別で起こっている。

 

 どうして腕が戻っているのか。

 

 マーリンを生贄にしてから引き継いだあの右腕はどうなったのか。

 

 そして、それを思案する間もなく聞こえてきた数人の声(・・・・)

 

――――――これ、は。

<……やっぱりか。ユウ、俺の中身が少し、書き換加えられているみてえだ>

――――それは。

<いや、いい意味でだ。まず、俺とお前の融合、分離が可能になってるらしい。生贄される時とは少し感覚が違う。俺も驚いたぜ。だがそれ以上に……まさか、生贄にしたあいつらの意識が完全な状態で宿っているなんてよ>

――……幻聴じゃなかったのか。

 

 そう。聞こえてくる――話かけてくるのだ。リブロムを除けば三人ほど、リブロムに馴染みのある人物らの声が。思い浮かべるよりも容易に頭の中に姿が現れる。

 

 一人は「私」に世話になった。と言ってくる白髪の魔法使い。その隣に寄り添うように立つ女魔法使いも「私」に感謝の言葉を送ってくる。

 

 一人はそっぽを向きながら何度も横目で睨むように黒い靄のような魔法使いを見ている。

 

 その三人の中心に居る黒い靄のような魔法使い――姿を変えたリブロムに言いたい事が一つ増えた。

 

――良かったな。

<……もう会えないと結論付けるには、少し早かったらしいな>

――そうか。一旦解けるか?

<わかった>

 

 そう言うと体から無数の紙が勢いよく散らばっていく。

 

「私」の姿は元に戻り、リブロムと別れた。

 

 しかし、解せない。何故こうなったのか。

 

 思考を繰り返す。やはり、答えは出ない。

 それを見かねたように、リブロムが声を掛けてきた。

 

「ユウ。さっき言ってた『加えられたページ』だ。読んでみろ」

 

 ひとりでにリブロムが開く。タイトルには『内なる者達からの声』と書かれている。ページをめくった。

 

――成程。

「ククッ、疑問は解けたか?」

――わかってて見せたのか?

「見せなきゃわかんねえだろ。記憶が共有されてるとはいえ、この状態で知る事が出来るのは俺だけなんだからよ」

 

 それもそうだ。

 

 加えられたというページはタイトルを含め二ページだけ。リブロムの中にいる三人が何かしら言いたい事を文字として伝える、という事らしい。

 

 マーリンから右腕の変化に関する事が書かれていた。恐らくはリブロムという体の中で意識が完全に戻った為、混ざっていた記憶や能力が持ち主の所へ帰ったという考察。

 

 ――振り分けされた、という事だろう。勿論本人の考察の域を出ない為、はっきりとした事はわからない。

 

 しかし、振り分けは完全では無いようだ。

 

 そうであったなら、「私」の右腕にマーリンの腕にあった目がある訳が無い。

 

 能力――いや、刻印と呼ぶべきか。刻印の修正が懸念されるが、そもそも「私」はマーリンのように老いる事は無かった。

 

 「私」を討伐しようとした魔法使い達を生贄にすればするほど体の状態が回復され、代償にした部位が修復した。

 

 付け加えれば、「私」は今に至るまで予知能力を発現していない。老化は予知の代償だったという事だろう。

 

 右腕の事もそれで何となく納得できた。つまり手の甲の目は名残、という事だろう。運良く不老不死の能力が機能してくれていれば寿命の問題も解決し、同時に片目をどうにかできる。

 

 この先寿命で死を迎える事になるかもしれないが、――せめてその前に証を残さなければ。

 

『もう残しているだろう。魔物扱いだけどな』

「違いねえ」

 

 きっとニミュエだろう。リブロムが便乗した。思考を読まれたようだ。いや、リブロムの中にいるからこそ、「私」の記憶を見て思っている事を先読みする、という事は可能な筈だ。

 

――それでは駄目だ。仮に生贄にでもなったら、それでおしまいだ。

『そんな難しく考える事か?』

「こいつの場合、マーリンに捕らえられてた一件からそういう願望が強いんだろうよ」

『……すまなかった』

 

 きっと、そうなのだろう。否定する気は無い。

 あと、マーリン。謝らなくていい。

 

「……まあ、考えるのは後にしようぜ。今は安全確保だ。融合しておくか?」

――しておこう。原住民に恐れられてしまうかもしれないけど。

 

 安全性を考慮するなら、した方が断然良いだろう。

 

「先を見据えるのがちと早過ぎるが……まあいいか」

 

 リブロムが再び散らばり、「私」は姿を変えると適当な場所を求めて歩き出した。

 

 




主人公の設定的なもの
 
名前:ユウ・ラグーン
右腕:魔極(魔の腕Ⅵ)+掌に終局の刻印の目(生贄時、若干体力を回復。代償魔法使用後の場合、人間を生贄にすることで代償も回復)
刻印:討伐の刻印Ⅴ、一閃の刻印Ⅳ、窮追の刻印Ⅳ、痛撃の刻印Ⅲ、耐撃の刻印Ⅲ

代償:視界制限

 実際に使ってるキャラです……供物どうしよ……剣聖と矢尻は決まってんだけど……

 後の設定は……今度でいいや。ではおやすみなさい
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