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もう、あれから何年が過ぎただろう。
私はすっかり大きくなり、弟も大きくなって芸を覚えたい、と言って城下町の方に一人立ちしてしまった。
「姉としては、弟の成長は嬉しくはあるんだけど…やっぱり寂しいなぁ」
日課の素振りと、嘗て数日間だけ見た
稽古と言っても我流。
「…うむむ、難しいよぅ。考えるのは諦めてご飯にしようかな…」
自分で決めた素振りの回数を終え、家の中に戻る。幸い、じいちゃまが残した蓄えがある上に、今は私一人だ。幾ら贅沢に食材を使っても問題は無いのである。
…さて、うどんを作らなければ。生半可なものではあの人を満足させる事は出来ないので、一応色々と拘りはあるのだ。
「まずは生地をこねこねして…」
うどんは麺が大事だ。剣を振るうのに必要な腕力もうどん作りから得たと言っても過言ではない程、私はうどんの麺にはこだわって研究している。
「そしてお出汁!今日は基本の味付けで…!」
うどんにはお出汁も大事だ。と言うか麺もお出汁も何もかも大事だ。私が剣を振るう時の反射神経は最適なタイミングでお出汁を火から上げる動作で身に付いた物と言っても…
「…もしかしてうどんって剣士の友!?」
きっとそうに違いない。田助も好きだったし、あの人も大好きだったもの。
ちゅるちゅると出来上がったうどんを食べると、もちもちとした麺と、疲れを優しく払ってくれるようなお出汁が美味しい!
…あまり私に語彙力は無いようだ。悔しい。
荷物を整えて、家を後にする。幼い頃から、様々な人との思い出が詰まった家だ。離れるのはとても名残惜しい…が、私には夢があるのだ。
誰にも譲れない夢が。
「女の子で、誰に習った訳でもないのにその道を進む。その夢は無謀ですよ?」
とても良くしてくれた、芸者のお玉さんは覚悟を問うように、私にそう言った。
「とても、寂しくなってしまいますが…応援していますね」
最初は好きな人の事を探す為に抜け出して来て、何時の間にか仲良くなったお姫様は悲しそうに、私にそう言った。
分かっている。どれだけ無茶な事を言っているのかは。だけど、それでも
「やってみなくちゃ分からない…だよね!」
ぬいは17歳になりました。そして今日から、旅に出ます。
遥か遠い、貴女に届く為に。
へシアン君の方も続きますよ