リメイクの理由は後書きに書いてますので、そちらをご覧頂けると……。
注意:作品は相変わらずのご都合展開になります。そういうのが苦手な方は注意です。
二〇一八年 七月二十九日、夜。
静かな空、静かな海は平和な日常を示しているのだろう。
「明日だね……」
「明日、か」
そう、三年前はそれを示していた。
星は落ちてこない──。
当然だ、落ちてきたら大惨事だ。だけど三年前の明日──二〇一五年 七月三十日、その日はこの兄妹の……いや、人類の絶望の始まりの日になった。
「バーテックス……俺達の、人類の敵が落ちてきた日。そして──」
──俺が、力を受け取った日。
二〇一五年 七月三十日、夜。
〜祈side〜
熊本県熊本城の広場、そこには二人の兄妹がいた。
一人は熱心に練習を取り組む少女、そしてもう一人はそれを見続ける少年だ。
「──ふっ、はぁッ!」
栞那が木でできた薙刀を振るう度に、ヒュンヒュンと風を切る音がする。金色の髪を揺らしながら夜空の下で熱心に取り組むその姿に、俺は見とれていた。
月明かりが照らす中で舞う。それはまるで一国のお姫様がダンスをしているようで──。
「? お兄ちゃんどうかした?」
じっと見ていたせいか、練習の手を止めて不思議そうにこちらに近付いてきてから顔を覗かせてくる。
「いや何でもない。それよりもほら、タオル」
「わぷっ」
誤魔化すかのようにタオルを顔めがけて投げる。咄嗟の事に反応出来なかった栞那は、変な声を上げて顔でタオルを受け止めた。
「もう〜、隠さなくたっていいじゃん〜!」
「別に隠してねぇよ……」
そう言って自然と空に目をやった、暗い空には輝く星が幾つもある。
「また星?」
タオルで汗を拭きながら、俺の横に腰を下ろす。そんな栞那に「ああ」と短く返事をした。
俺は昔から夜空の星を見る事が好きだった。特に理由といった理由は無い、自然とそうなっていたのだ。
広い海を見ると自分の悩みなんて小さい──。なんていう人がいるが、俺はその海が空なだけで空を見ると心が落ち着いてくるから好きなんだろう。と自分では思ってる。
「でも綺麗だよね。星、落ちてこないかな〜、一個でも持ってれば自慢できるのに」
「落ちるわけないだろ、もしもそうなったら大惨事だ」
などと適当な話をしていた時だった。
「「──っ!?」」
地面が強く揺れ始めた。俺は栞那を抱き寄せて、身を固めた。
「今回のは大きいな」
最近何故か頻繁に起きるようになった地震。異常気象とテレビではよく言われているが、一部の間では世界の終わりが近付いているなどとも言われている。
その揺れは数十秒続いて収まった。幸いにも、俺達の周りには落下物はなく──。
「……え? な、なに……あれ」
栞那が震えながら指を指す先にある物、それは白い何かだった。空が暗いぶんそれははっきりと見えていて、数え切れないくらいの物体? が空から降りてきていた。
「星……じゃないよな。まだ、星は空にある──っ!?」
確認する為に俺は空を見上げた。その瞬間、俺は自分の目を疑ってしまった。
空には無数の星──ではなく先程落ちてきた物体で埋め尽くされていたのだ。それはうようよと蠢いて、何かを見つけると街の方へ降り立っていく。
「! お兄ちゃん! 後ろっ!」
「な──、っ!」
栞那の声でいつの間にか後ろにいた物体に気付いて、回避行動を取った。
近くで見て分かったのは、口のような部分がある事。それは人一人を飲み込むには十分だろう。
「(何だよ、こいつら!)」
見るからに化け物としか言いようのない姿だった。その大きな口で、木や石を軽々しく喰いちぎる姿を見ると、さっきのを避けなかったら俺は今頃……。
「そうだ、栞那は!?」
避けた事により距離が空いた栞那の方を見る。
「っ! やあッ!」
そこには薙刀を振るい応戦している栞那の姿があった。だが──。
「あ──」
化け物に持っていた薙刀を壊され、栞那は吹き飛ばされてしまう。
「栞那! くそっ!」
俺は折れた薙刀を拾って栞那の元に近付く。吹き飛ばされた栞那は木にぶつかったせいか、気を失っていてグッタリとしていた。
「(どうする? 攻撃が通じないならなす術が……)」
考えてる間にもこちらに化け物はゆっくりと近付く。それは俺の死を表すかのように。
「(せめて、せめて栞那だけは……! 栞那だけを守る力さえあれば……!)」
無力な自分を攻める。
そうした所で何も起きないのは分かっているのに、でもそうしないと恐怖に押し潰されそうで……。
目の前の迫り来る
俺は目を背けるために目を閉じて、己の死の瞬間を待った。
──はずだった。
『──想像して。自分の思い描く力を』
その声のようなものが聞こえてからの数秒間は、全くと言っていいほど覚えていない。
気づいた時には目の前の化け物は斜めに切り裂かれて、真っ二つになっていた。左右の手には重みがあり、左には鞘、右には月明かりが届かなくても煌めく刀があった。
不思議だ。まるで自分のものであるかのように体に馴染む、刀なんて使ったことのないものが常に使っていたかのように、振るえる。
「(いける! これなら──!)」
俺達を囲うように数匹の白い化け物が来る。だが、自然と俺は落ち着いていた。
「お……にいちゃ……」
後ろの栞那は朦朧とするだろう意識の中で、俺を呼ぶ。それに「大丈夫だ」と返して刀を構える。
「来いよ化け物! 俺が相手してやる!」
「──! ……──!!!!」
威勢よく、自分を震え立たせる為に声を上げる。すると化け物は声や鳴き声とは言い難い音を出し襲いかかってきた。
「は、──ぁっ! っ──! こ、これで全部か……?」
肩からは血が流れていて、腕を伝って地面にポタポタと落ちるのが見えた。この血は化け物に噛み付かれた時に出来た傷だ。一箇所だからよかったものの、何箇所もあったら今頃倒れていると思う。
疲れからかまともに立てない俺は、刀を地面に刺し杖替わりにして周りを見る。そこには数分前のような静かな熊本城に戻っていた。
『よく乗り切ったね。流石、私が選んだ少年だよ』
「……何か分からんが、これはあんたのおかげか?」
あの時聞こえた声と同じ声に刀を見ながら答える。すると目の前に光が集まり──人影が見え始めた。
『初めまして、少年。驚いちゃったかな?』
「いいや。あんな化け物がいたんだ、どんな事が起きても驚かないさ」
その人影は、まるで神社の巫女装束のような物に身を纏い、優しそうな表情で俺に語りかけてきた。
『ふふっ、強いんだね君。うん……やっぱり気に入ったよ』
「? 何が──」
その女性は俺に手を差し伸べて、耳を疑うような事を発したのだった。
『世界の為に力を貸してくれるかな?』
「はぁ?」
それが俺、星崎祈と
読んでくださりありがとうございます。
この作品のリメイクの理由としては、当時のわゆが発表されたのは僕がわすゆ編を書いていた時で、その設定を無理矢理に近い形で組み込んだ事に関係します。
現在ゆゆゆ編を書いていたのですが、やはりというか書きにくい点が発生しましたので、これはリメイクして設定を固めた方がいいのでは? と思いリメイク致しました。
ほしゆを読んでいた方なら分かりますが、この祈の武器の受け取り方が違うのに違和感を覚えた方がいるかもしれません。それは元のほしゆとこのほしゆでは設定を変えているからです。
自分勝手な事が多いのは承知ですが、このほしゆリメイク版をよろしくお願いします。(名前はそのうち変更する予定です)
最後になりますが、次の話も過去編になります。2度目ですが、読んでくださりありがとうございました。