星崎祈は勇者になる(リメイク版)   作:小鴉丸

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すっごい久々なのに短くてすいません。まだ読んでくれる人がいると嬉しい限りです。


第三話 忠告

~若葉side~

 

 

「遅いっ! 何をしていたんだ!」

 

「何をって……二人で話してただけだが」

 

「まぁまぁ若葉ちゃん、落ち着いてください」

 

寄宿舎の一階、そのとある部屋の前で私はある人物を待ち構えていた。その人物というのはこの身勝手な男──。

 

「夜間の出歩きは基本禁じているだろう! 何かあったらどうするんだ!」

 

「“基本”だろ。それに俺も栞那も何も無かったんだからいいじゃないか。ほら早く通してくれ、栞那が困ってるだろ」

 

星崎祈という身勝手すぎる勇者だ。

 

一体何故このような人間が勇者になったというのだ、考えるだけで頭が痛くなる。他の勇者はもっと真面目に──うん、生活しているというのに。

 

「栞那も!」

 

「は、はいっ!?」

 

「いくら兄とはいえ間違った行動には注意をしていいんだからな? むしろここでは栞那しか注意はできないんだ、だから頼む。お前の兄を……正してやってくれ……!」

 

言った後に星崎の後ろに隠れる栞那を見て強く言いすぎたと反省する。そんな栞那を私には向けた事のない表情で星崎は見る、そして私を見て栞那を守るかのように言い放つ。

 

「おい乃木。栞那が怖がってるだろ、怒鳴るなよ。それに近所迷惑だ」

 

「き、近所迷惑だとぉ?」

 

自分で顔が引きつってるのが分かる。

 

「私は「お前の身の安全を思って」──っ」

 

「だろ?」

 

言葉を重ねられた上に全く同じ事を言われて更に苛立ちは増えていく。感情は出さないようにしているが、ここまでされるとそんな事言ってられない。

 

「星崎ぃ!」

 

「きゃっ……!?」

 

「じゃーなー乃木に上里。また明日~」

 

怒鳴りつけると同時に星崎は栞那の腕を引き私を通り過ぎていく。そのまま部屋に入り鍵をかけられてしまう。

 

「くそっ、何なんだあいつは……!」

 

私は苛立ったまま部屋に戻った。

そして明日、教室で再び説教をする計画を練り始めたのだった。

 

 

 

 

~栞那side~

 

 

「はぁ……お兄ちゃん、若葉さんともうちょっと仲良くできないの?」

 

部屋に戻った私はベットに横になったお兄ちゃんに話しかける。その内容は当然さっきの出来事についてだ。

 

「なんか……苦手なタイプなんだよな、あの生真面目は。少し砕けてくれればいいんだけど」

 

「ゆっくり話すとかできない?」

 

「俺の性格知ってて言ってるだろ。自然と話し方がそうなるんだよ、無理だな」

 

お兄ちゃんの性格。それは面倒臭がりという事、それも極限にだ。

物事は素早く終わらせて自分のしたい事をする。興味のない話は「知らない」「興味ない」の一言で切る。といった感じだ。昔はこの性格のせいでたまに喧嘩とかしてた、と聞いたことがある。

 

「はぁ、若葉さんが苦手としてる千景さんとは仲良いのに」

 

「あいつは一見話しづらいが俺はあの手のタイプが好きだからな。なんて言うか……気が合うからだけど」

 

「むぅ……なんか複雑だよ」

 

千景さん──郡千景さん。

お兄ちゃんの一個上の先輩で趣味はゲーム、その事もあってお兄ちゃんとはよく話している。友奈さんの次にお兄ちゃんは千景さんと仲良いと思う。人を避けてるような千景さんでもお兄ちゃんには友奈さん同様に話しかけていて少しは心を開いてるように見える。

 

そんな思ってるとお兄ちゃんがポツリと私に言葉を飛ばした。

 

「俺は栞那が乃木と仲良いのが不思議でたまらんがな」

 

「……お兄ちゃんが毛嫌いするからでしょ」

 

『──おや、随分つまらない話題で盛り上がってるね二人とも』

 

「ひゃっ」

 

「おわっ、天照か。驚かすなよ……」

 

ふわり、と何処からともなく現れたのは天照さん(お姉ちゃん)だった。そのまま私の後に周りいつものように抱きしめてくれる。

 

『ん~、可愛いなぁ栞那ちゃんは』

 

「わわっ……お姉ちゃんくすぐったいよ」

 

じゃれ合う私達を見たお兄ちゃんはため息をついて携帯を触り始めた。

 

「今日は何をしに来たんだ?」

 

イヤホンを片耳に付けながらお姉ちゃんが来た理由を聞く。こんな時間に来るのは珍しいので私も気になって耳を傾けた。そんな中、お姉ちゃんの口から出た言葉は──。

 

『おっと、そうだった。楽しんでたところ悪いけど忠告だよ。──そろそろ“星が来る”よ』

 

「…………そっか」

 

常に外を監視してるお姉ちゃん。星というのはバーテックスを指していてもしも来たら伝えるという約束をしていたのだが……。

 

「一年ぶりに、アレと……」

 

『でも君達なら大丈夫だと思うよ。あの頃とは違うでしょ、今は力があるんだ』

 

「あぁ、お前の力でバーテックスなんて殺してやる」

 

力のこもった声でお兄ちゃんが言う、それに私も無言で頷く。

 

皆あの頃とは違う。訓練もした、力もある……人類を守る力が。

 

『……ふふっ。それは頼もしい限りだよ。伝えたいのはそれだけだね……それと余計な喧嘩はチームではしない方がいいと思うよ』

 

そう言い残し音もなく消えてしまう。静寂が訪れた部屋で今度はお兄ちゃんが私を抱きしめてくれた。

それはお姉ちゃんよりも少し暖かくて、大きくて。

 

「……お前は俺が守るからな」

 

「うん、ありがと」

 




読んでくれた人ありがとうございます。

それはそうとゆゆゆい1周年ですね。僕にはずっと前からあるように思えますよ。
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