天空の乙女達 ―La Sylphide― 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
「青空迷彩」と呼ばれる、薄い水色の迷彩塗装を施した、青衝学園の早期警戒機・E-2C ホークアイのAN/APS-145 リニアアレイレーダーに反応が出た。
機内の邀撃管制官――早瀬 未玖(はやせ みく)――は、直ちに生徒会室に報告する。
「オウル07からCP、味方ではない複数の航空機を発見した。ポイント、デルタ・オメガ2826、方位210から150へ、速度マッハ0.8、高度220。敵性と思われる」
〔CP、了解。オウル07、CAP(戦闘空中哨戒)機とSC(スクランブル)機を3機ずつ向かわせる。You have control!〕
「I have!」
空中哨戒中だった、2機のF-4EJ改 ファントムⅡと1機のF-1が、E-2C ホークアイからの管制を受け、針路を変えた。3機共、空対空ミサイルと増槽をフル装備している。
〔レダ1、コピー。スクランブルエンゲージをコール〕
〔オウル07、スクランブルエンゲージ発令。オールウェポン・フリー!〕
青衝学園の滑走路から、3機が編隊離陸していく。機種転換訓練のために出撃していくF-4VG改 ファントムⅡ、F-4EJ改二 モダナイズドファントムⅡ、F-15C 2040エンハンスドイーグルだ。
〔トレボーからアルテミス1、5、19。スクランブルエンゲージが発令された。慣れない機体だろうが、方位210へ向かってくれ。オウル07が管制を行っている〕
〔アルテミス1、コピー。皆はん、ターンレフト。性能テストを兼ねた迎撃任務やで!〕
「了解」
〔コピー!〕
E-2C ホークアイの誘導を受け、F-4EJ改 ファントムⅡはルックダウンモードのAN/APG-66J パルスドップラーレーダーで捉えた。
〔相当な数だ、俺らだけじゃめった打ちにされるな〕
〔構うか。キルされる前提なら、少しでもポイントを稼ぐだけよ〕
そして2機のF-4EJ改 ファントムⅡはレーダー波を目標に指向してロックオン、AIM-7 スパロー中距離空対空ミサイルで牽制攻撃を行う。
発射された計2発のAIM-7 スパロー中距離空対空ミサイルは、反射波に沿って舵を切る。
しかし、AIM-7 スパロー中距離空対空ミサイルは別のミサイルとすれ違った。
F-4EJ改 ファントムⅡのパイロットが、何かに気付いた。
〔12時下方からミサ――〕
直後、F-4EJ改 ファントムⅡは炎上、パイロットとWSO(兵器システム士官)のパラシュートが空に浮かぶ。
〔ミサイルだ! ブレイク、ブレイク!〕
生き残ったF-4EJ改 ファントムⅡとF-1は増槽を捨て、フレアとチャフを撒きながらバレルロールを打って回避機動を取り、飛んできたMICA IR中距離空対空ミサイルをかわす。
途中で誘導母機が撃墜されたり、回避機動を取ったため、2発のAIM-7 スパロー中距離空対空ミサイルはただのロケット弾と化した。
そして、2機は多数のラファールCやミラージュF1Eとドッグファイトに突入した。
アルテミス隊の3機が遅れてやってきた。そして、低空を移動する攻撃機を発見した。
〔アルテミス1、スクランブルエンゲージ!〕
マスターアームスイッチを押し、安全装置を解除、AIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルを選択する。
「アルテミス5、FOX1」
F-15C 2040エンハンスドイーグルからAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルが次々と発射され、それぞれが別々のターゲットへ向かっていく。
狙われたラファールBやミラージュⅢEは爆弾や対レーダーミサイル、増槽を捨ててチャフを撒き、回避運動を取る。しかし、ミラージュⅢEや一部のラファールBに命中していく。
「全部は無理だったか……!」
〔遼子はん、仕方ないで。全機、ドッグファイトに移るで!〕
3機は増槽を捨て、5機のラファールBとすれ違い、ドッグファイトに突入する。
F-4EJ改 ファントムⅡが右旋回、ミラージュF1Eを追い掛けて降下する。
ヘッドアップディスプレイ上で、ターゲットボックスにガンレクティカルが重なりそうになるが、あと一歩というところで重ならず、激しい機動を取る。
「頂きぃ」
パイロットの人差し指が、操縦桿のガントリガーに掛かる。
「頂くのはこっちよ」
F-4EJ改 ファントムⅡの後ろを取ったラファールCのパイロットが、サイドスティックのガントリガーに触れる。ヘッドアップディスプレイには非追跡モードのガンファンネル(機銃照準線)が映し出され、F-4EJ改 ファントムⅡと重なる。そして、ラファールCの30mm M791リボルバーカノン砲が火を噴いた。