天空の乙女達 ―La Sylphide―   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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AGL.15

 F-15MJ イーグルとF-2A バイパーゼロは上昇、雲に飛び込んで隠れる。レーダースコープから敵機が消えるが、E-767改 ジェイワックスからの戦術データリンク リンク16によって戦術情報管理モードのメインディスプレイに位置情報が転送されてくる。

〔暮、行くぞ〕

「おうよ」

 玖人はサイドスティックを握り締める。既にヘッドアップディスプレイはドッグファイトモードになっていた。

〔そういや、ドッグファイトでの成績は、アイオロス隊最下位だっけか?〕

「やめてくれよ。事実だが」

〔ま、これも運だな。せいぜい落とされないように気を付けな〕

「余計なお世話だ!」

 そして、2機は急降下した。

 

 

 

 レーダースコープに映っていた3機が2機に減り、更にその2機もレーダースコープから消える。

「ふっ、何が『1機で3機分の仕事をする』だ。RWRを過信し過ぎだ」

 編隊を組んだラファールC達は一斉に増槽を捨て、散開した。

 

 

 

 2機は雲を抜けて急旋回、戦術データリンクを参考にしてラファールCの編隊の後ろに着いた。

〔オウル01からオロス1、テミス23。敵機が散開した。おまけに、方位260、6時方向にアンノウン。サイズとレーダー出力からAWACSだろう。位置がバレているかもしれない、気を付けろ〕

〔オロス1、コピー。ならコソコソする必要はねぇな。さっきからRWRが『E-3』って点滅しながら五月蝿かったしな〕

 2機はIRSTとJ/AQQ-2前方赤外線捜索ポッドによる受動探査を止め、AN/APG-63V3 AESAレーダーとJ/APG-2 AESAレーダーをオンにする。

 ロックオン、AIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルを発射した。

 

 ラファールC達はチャフを撒き、AIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルをかわす為に回避機動を取る。

「クトーリーダーから全機、鴨が罠に掛かった!」

 合図と共に、一気にラファールC達は旋回した。

 

「暮、こいつはマズいぜ」

〔あん?〕

「これは、罠だ」

 赤峰は、戦術情報管理画面を見ながら言った。そこには、F-15MJ イーグルとF-2A バイパーゼロを取り囲むように包囲を狭めるラファールC達が映っていた。

 

「たった2機、もし仮に1機で3機分の働きをしたとしても20機には敵うまい。奴らを血祭りにしてやれ!」

『ヤー!』

 それドイツ語。

 

「こんなに数が多いと、サッチウィーブは使えやしねぇ。各個撃破していくしかねぇ!」

〔だな! アルテミス23、エンゲージ!〕

「アイオロス1、エンゲージ!」

 2機は散開、ラファールC達を迎え撃つ。

 


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