天空の乙女達 ―La Sylphide― 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
太平洋に浮かぶ絶海の大陸、幻夢大陸。70年前の激戦地は、今なお激戦地であった。
「遼子ー! 遼子ったらー!」
茶髪ロングの少女に、彼女と同じブレザーを着た黒髪の少女がやってきた。長い黒髪を後ろで1つにまとめている。
「何?」
「今日もフリーで出てったって!? 『私と一緒に飛ぼう』って約束したじゃない!」
「でも、街へ遊びに行ったじゃない」
「……それは、その、遊びたいから……」
茶髪ロングは溜め息をつく。そして、口を開いた。
「これから2時間のアラート待機なんだけど」
「……遼子ー!」
幻夢大陸で今なお続く戦争、その原因は軍需企業であった。絶海の大陸の利用手段、さらに帰属で手をこまねいていた各国に対し、アメリカのある企業がこう提案した。
「恒久的な戦争を起こし、兵器の実験を行えばいい」
これに、世界中の企業が賛同したのだ。
そして、世界各国から留学してきた高校生によって、戦争が継続されている。
彼女、土岐代 遼子もその内の1人だった。
今、2人はアラート待機を行っている。
リクライニングチェアに座り、夜食を頬張りながら、ひたすら敵機を待つ。
遼子はテレビを見る。そこには、精密誘導爆撃を行う映像が流れていた。
【アメリカ海軍機、中東某国にて空爆作戦】
隣の女子高生――柴門 美紀(しもん みき)――はスマートフォンでネットサーフィンをしていた。土岐代は好物の柿の種(ピーナッツ 0%)を口に放り込み、噛み砕く。
「敵さん来ないねー」
「そんなもんでしょ」
2人は軽く会話した。
学校間の戦争、と聞くと物騒だが、死者はほとんど出ない。使われるのは実演弾と呼ばれる一種の麻酔弾であり、兵器や建物を破壊するが、人体には悪影響は無い。
そして、生徒達はポイントを稼ぐために戦う。撃墜、もしくは撃破を行う、または指定されたミッションを行えばポイントを稼げる。そして、このポイントで弾薬を購入したり、学校の外の市街地(城下町と呼ばれる)で使ったりできる。
エンゲージメント(交戦事項)と呼ばれる戦闘が3つあり、生徒達はこれを行っている。
1つ目は「ストライクエンゲージ」で、学校が定めたミッションを行う。主なものとして、「他校領域への偵察」、「他校領域への侵攻」等。稼ぎは多く、支援も多いが、危険性が高い。
2つ目は「スクランブルエンゲージ」で、侵攻してきた他校勢力を迎撃する。待機を行うだけでもポイントが入るので、「お得」である。
最後が「フリーエンゲージ」、つまり「自由に戦闘せよ」である。
2時間のアラート待機も、あと2分で終わる。が、待機所に警報が響いた。
《スクランブルエンゲージ発令! スクランブルエンゲージ発令! ベクター(方位)290より8機! アラート待機班は緊急発進!》
「来やがったか!」
美紀が叫ぶ。そして2人は待機所を飛び出し、直結したアラートハンガーへ。そこに並んだ2機のF-15MJ イーグルに掛けられた梯子を登り、シートベルトを絞める。整備員が梯子を外し、エンジンを始動させながらキャノピーを閉じる。整備員達がミサイルの装着を確認、安全ピンを外してパイロットに見せる。遼子は確認し、コクピットの兵装管理ディスプレイを見る。主翼下に4発のAIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイル、胴体下に4発のAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルと1本の増槽を装着しているのを確認する。
〔アイオロス13、アイオロス16。離陸許可が下りた。ランウェイ00Lから離陸せよ〕
〔アイオロス13、コピー(了解)〕
「アイオロス16、コピー」
2機のF-15MJ イーグルがアラートハンガーから出る。片方の機体番号は「503」、右垂直尾翼は赤く塗られ、白百合の花が描かれ、左主翼には突撃槍が描かれている。もう片方の機体番号は「382」、そして機体全体が紫色に塗られている。2機とも、機体各所に青い丸が描かれている。
2機は滑走路に並び、エンジンを吹かす。
〔行くよ! アイオロス13、テイクオフ!〕
「アイオロス16、テイクオフ」
2機はフラップを下げ、アフターバーナーを焚いて滑走する。そして、飛び上がった。
次回登場機
F-15MJ イーグル
F-100C スーパーセイバー
F-105D サンダーチーフ