天空の乙女達 ―La Sylphide― 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
2機のF-15MJ イーグルはランディングギアを降ろし、アプローチに入る。エアロブレーキを開き、タッチダウン。ウィリー滑走の後に前脚を付けて減速しきる。
エプロンに入り、パーキングブレーキをセットしてキャノピーを開く。そして、2人は降りた。
「やあやあ、お2人さん」
そこへ、補給科のクリーム色――もとい、松平 恋香がやってきた。
「マッちゃん、何か用?」
美紀が親しげに問うと、恋香は含み笑いを見せた。
「いやね、格安のサイドワインダーが手に入ったから、お得意さんに売ろうかなーってね」
「いくら?」
遼子が「またか」という顔をしながら尋ねると、恋香は答えた。
「50発で1000ポイント!」
「1発20ポイントって……半額以下じゃない!?」
「それ、まさかロケットブースターがイカレてないでしょうね?」
あまりの安さに、美紀は驚き、遼子は呆れる。
「馬鹿言わないで! この松平 恋香様が飛ばないミサイルを売った事があるとでも!?」
「でも、不良品のシーカーの所為で目標を追い掛けないサイドワインダーを渡されたぜ」
突然、1人の男子高校生が割り込んできた。遼子は彼の名字を呟く。
「赤峰……」
「赤峰 大希! 何であたしの商談を邪魔する訳!? その程度で恨むなんて器小さ過ぎよ!」
「当然だ。不良品を使わされてみろ、こっちは命懸けで戦ってんだ。航空科全員から袋叩きにされたくなきゃ、ちゃんとした奴を売れ」
そして去っていった。恋香は握り拳の親指を立て、それを地面に向ける。
「ふんだ、文句言うなら買わなきゃいいのに」
「マッちゃん、ちょっと話があるんだけど」
怒り心頭な恋香に、美紀が話し掛けた。
翌日、ホームルームにて――
「全員、揃っているな?」
遼子達の教室に、スーツ姿の女性教師が入ってきた。
生徒達は一斉に起立し、敬礼する。――机に伏せているただ1人を除いて。
「来鳥、起きろ」
女性教師が小突く。そして、長いウェーブがかった黒髪の少女が、頭を上げた。
「眩しい……」
そして、また頭が机に着地した。
朝の教室に、何かをひっぱたく音が響いた。
ここ、青衝学園では――というより、幻夢大陸にある高校は全て単位制を取っている。それも、「ストライクエンゲージに一定数参加する」か、「所定のポイントを払う」かのどちらかが必須条件である。
そして、今日もストライクエンゲージが行われる。
「どうせ、3年の先輩方の弾除けでしょ? 1年はセイバーやスターファイターで基礎教練なのに……」
「勝手に出撃して、追い掛けてきたF-16をF-104で返り討ちにした癖に」
「それは遼子もでしょう? まさかイーグルをキルするとは思わなかったわ」
2人は、駐機場に並んで止まったF-15MJ イーグルのコクピットで話していた。
すると、整備員が準備が整ったのを知らせた。その手には8本の安全ピン。
遼子はキャノピー開閉ボタンを押し、キャノピーを閉める。APU(補助動力装置)起動、電力を溜めて左エンジンのタービンブレードを回す。GE/IHI F100Jターボファンエンジンが唸り始め、エンジン回転計の針が回る。右スロットルレバーを前へ倒し、右エンジンも始動させる。
広域通信システム起動、メインミッションコンピューター・オールグリーン、マスターアームスイッチ・オフ、FCS(射撃統制システム)異常無し、レーダー・チェック、ジャイロコンパス・OK、INS(慣性航法装置)・応急規正、兵装・AIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイル 4発、AIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイル 4発、20mm M61バルカン砲 940発、増槽 3本。
〔フジタワーからアイオロス1、2。Cleared for takeoff!〕
見れば、滑走路から2機のF-15MJ イーグルが編隊離陸していく所だった。片方は炎をイメージした派手な塗装、もう片方は青色の洋上迷彩が施されていた。
〔アイオロス13、16。Cleared for takeoff!〕
2機はアフターバーナーを焚き、トゥブレーキを解除、滑走を始める。
そして、飛び上がった。
次回登場機
F-15MJ イーグル
F-1
F-2A バイパーゼロ
F-4EJ改 ファントムⅡ
EF-2000
F-104S スターファイター
E-2C ホークアイ