天空の乙女達 ―La Sylphide―   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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AGL.05

 離陸したアイオロス隊28機は上空で編隊を組み、他校のテリトリーへ向かう。今回の目標は、参矢学園という学校だ。しかし、彼らアイオロス隊(戦術航空科 2年67組)の任務は「SEAD(防空網制圧)」であり、後からやってくる3年生のチームが爆撃を行う。

〔要は、おいしい所は3年がかっさらっていくって訳ね〕

〔柴門、私語を慎め。第1攻撃隊はARM(対レーダーミサイル)を放って反転、第2攻撃隊は敵SAM(地対空ミサイル)を破壊、爆撃隊はその後から突っ込め。戦闘隊は敵機迎撃に集中。後は銭勘定しながら勝手にやってろ! アタック!〕

 部隊を束ねる、学級委員の赤峰 大希がそう指示し、28機は海面を掠める低空飛行を開始する。

 すると作戦を援護する、管制航空科所属のAEW(早期警戒機)・E-2C ホークアイが警告を発した。

〔オウル07からアイオロス隊、多数の敵機を確認した。方位270、距離120(km)、相対高度2000、上よ〕

〔アイオロス1、了解した。戦闘隊、上昇して迎撃を開始しろ!〕

 直ちに8機の戦闘隊所属のF-15MJ イーグルとF-2A バイパーゼロが増槽を捨てて上昇を開始する。

 遼子と美紀も、操縦桿を引いて上昇する。レーダーコンタクト、AIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルの射程に入った。

〔ECM(電磁妨害)開始! レンジオン(射程内)、アイオロス1、エンゲージ! FOX1!〕

 赤峰のF-15MJ イーグルがAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルを発射、後続の機もAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルを続いて発射する。

 

 敵機――F-104S スターファイターとEF-2000――は黙っていなかった。EF-2000は即座にAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルを放って反撃、そしてチャフを撒きながら増槽を捨てて回避機動に移る。

 

 大量のAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルがすれ違い、続々と命中していく。

 F-104S スターファイターに命中したかと思うと、今度はF-2A バイパーゼロの左主翼が抉り取られる。遼子はミサイルをかわし、機体を上昇させる。EF-2000を捉え、AIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルを発射した。しかし、フレアを撒いてかわされる。EF-2000を追い掛け、遼子のF-15MJ イーグルも降下。しかし、F-15MJ イーグルのRWR(受動警戒装置)が警鐘を鳴らした。コクピット正面パネル右側の電子戦ディスプレイを見れば、後方からF-104S スターファイターにロックオンされていた。

 操縦桿を引き、同時にチャフ散布。F-104S スターファイターが発射したAIM-7 スパロー中距離空対空ミサイルを回避する。

〔アイオロス13、FOX2!〕

 美紀のF-15MJ イーグルからAIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルが発射され、F-104S スターファイターに直撃した。

 遼子は操縦桿を左へ倒し、EF-2000の追跡を再開する。完全に後ろを取り、ヘッドアップディスプレイ越しに捉えた。兵装選択レバーを「SRM」にし、シーカーがFCSによって目標を識別した。

「アイオロス16、FOX2」

 ミサイルレリーズを押し、AIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルを発射した。EF-2000はフレアを撒き、エアロブレーキを開いて急旋回、しかし遼子はそれを狙っていた。一気に機体を近付け、兵装選択を「GUN」にする。

「アイオロス16、FOX3!」

 

 

 

 2機のF-2A バイパーゼロが計8発のAGM-88 ハーム対レーダーミサイルを発射、直後に反転する。その後から、AGM-65 マーベリック対戦車ミサイルやハイドラ 70mmロケット弾ポッドを懸架したF-2A バイパーゼロやF-4EJ改 ファントムⅡ、F-1がやってくる。

 スパダ・アラミス短距離地対空ミサイルを捉え、緑地迷彩柄のF-2A バイパーゼロがAGM-65 マーベリック対戦車ミサイルを発射、さらにSIDAM25対空装甲車へと胴体下の30mm GPU-5/Aガトリング砲ポッドで攻撃を仕掛ける。F-4EJ改 ファントムⅡも、ハイドラ 70mmロケット弾ポッドで攻撃しようとするも、オトマチック対空戦車の76mm対空弾を喰らって木っ端微塵になり、代わりにF-1が20mm M61バルカン砲で破壊する。

 次々と攻撃隊と爆撃隊が犠牲になり、残っている爆撃隊は、F-2A バイパーゼロとF-4EJ改 ファントムⅡが1機ずつだけとなった。

「たった18発の爆弾か」

「ま、やれる事をやるだけでしょ」

 2機は低空侵攻のまま、参矢学園の校舎へ向かう。

「爆撃コンピュータ、オールグリーン。自動モードでアタック、FCSオーバーライド」

「クリア」

 F-4EJ改 ファントムⅡの前席の男子高校生から、FCS操作権が後席の女子高生へ移る。座標入力、爆撃コンピュータが投下点を計算し、前席のヘッドアップディスプレイに表示される。

「来鳥、一斉に投下するぞ」

〔了解〕

 隣の真っ黒なF-2A バイパーゼロから返事が返ってきた。

 ヘッドアップディスプレイに表示された地点に到達し、主翼下の6発のMK82 500ポンド爆弾が自動で切り離された。F-2A バイパーゼロも、12発のMK82 500ポンド爆弾を切り離した。

 




次回登場機

F-15MJ イーグル
C-130H ハーキュリーズ

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