天空の乙女達 ―La Sylphide― 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
遼子達が新設された、戦術航空科 2年69組に組み込まれて数日、遼子は愛機・F-15MJ イーグルをプリチェックを行っていた。
「遼子、またここにいましたか」
また声がした。見れば、F-15MJ イーグルの機首の側には、長い白髪の少女――ニーカ=レービナ――が立っていた。
「何か?」
「よくイーグルの所にいるなーって」
「パイロットとして、愛機のコクピットほど落ち着く所は他に無いでしょ? それで、用件は?」
「あぁ、学校案内をしてもらいたいんです」
「……その辺歩いている奴をとっつかまえれば?」
「流石に、よく知らない人には頼めませんよ」
「私だって、『よく知らない他人』なんじゃない?」
「何言っているんですか。貴女と私は、既に『バディ』ですよ? 同じアルテミス隊の、4番と5番を担当する」
「……それもそうね」
遼子は立ち上がり、梯子を降りた。
2人は掩蔽壕の並ぶ機体保管場所から、滑走路へ向かう。滑走路の向こうにある校舎へ行くには、滑走路の下にある地下通路を通る必要がある。
ジェットエンジンの音が聞こえ、見上げれば1機のF-2A バイパーゼロがランディングアプローチに入っていた。F-1を想わせる緑地迷彩が施された機体は、確実に滑走路を捕らえて制動する。
エプロンへタキシング、キャノピーが開くと同時にパイロットが叫んだ。
「松平! 今すぐ燃料とマーベリック、20mmと30mmを積んでくれ!」
それは、アルテミス隊 23番機を務める暮 玖人だった。彼のF-2A バイパーゼロの胴体下には、30mm GPU-5/Aガトリング砲ポッドが、主翼下にはAGM-65 マーベリック対戦車ミサイルの三連装ランチャーが吊されていた。
「はいはい。作業班! 急いであげて!」
地上で待機していた恋香が叫び、整備員達が73式大型トラック(新)(3 1/2tトラック)からAGM-65 マーベリック対戦車ミサイルや20mm焼夷弾、30mm徹甲弾を運び出し、玖人のF-2A バイパーゼロに積み込む。
「だいぶ忙しそうね」
遼子がそう言うと、恋香が反応した。
「そりゃ、黒鷲高等学院の戦車隊が近付いているからね。対地攻撃の絶好のチャンスであり、私にとっても稼ぎ時! これほどまでにWin-Winな事は無いわ!」
恋香が力説し、ニーカがちょっと引く。
するとそこへ、1機の真っ黄色なF-1がランディングアプローチに入ってきた。左エンジンから黒い煙がもくもくと上がり、あちこち被弾している。
タッチダウン、しかし左主脚が折れ、F-1の左主翼が地面に叩き付けられる。壮大な火花が上がり、左主翼が折れた。
ようやくF-1が止まり、待機していた特殊消防車が消火剤をF-1に掛ける。キャノピーが開き、中から黒髪ボブヘアの女子生徒が飛び出した。
「あーもう! 買ったばかりの機体が!」
すっかりスクラップ確定状態になってしまったF-1を見ながら、黒髪ボブヘアが地団駄を踏む。すると、誰かが野次を飛ばした。
「お前がヘタクソなんだよ!」
「誰よ!? ケンカ売ってんの!?」
すっかり冷静さを無くした黒髪ボブヘアに対し、恋香が言う。
「F-1、安くしとくわ」
「不良品売りつけないでよ!? 不良品だったら、補給処を爆撃するから!」
一方で、玖人のF-2A バイパーゼロの準備が整った。
再び滑走路へタキシング、幸いF-1は滑走路の右側でクラッシュしたので、左半分が開いている。水平尾翼、方向舵、フラップ、エルロンの確認を行い、管制塔に離陸する事を告げる。
「アルテミス23、テイクオフ!」
〔こちらフジタワー! ランウェイ18Lは封鎖中だ! クラッシュしてるの、見えてるだろ!?〕
「うっせー! こちとら時間がねぇんだ!」
F-2A バイパーゼロがアフターバーナーを点け、滑走を始める。クラッシュしたF-1の横をすり抜け、F-2A バイパーゼロは飛び上がった。
「ねぇ、遼子。尋ねていいですか?」
「何?」
「ここの人達って、結構無茶するのですか?」
「見ての通りよ」
次回登場機
F-15MJ イーグル
F-2A バイパーゼロ
T-4改 アタックドルフィン
Su-35S フランカーE
F-15K スラムイーグル
F-22A ラプター
MiG-29SMT ファルクラムE
F/A-18C レガシーホーネット
MiG-19P ファーマー
F-5I サーエゲ