合法ショタな先生が遠月学園で教師をしているらしいです。 作:小野芋子
と言うわけで書いた作者の羽休め用小説です。
気楽な気持ちでお読みください
我輩は(大変不本意ながら)ショタである。齢は今年で24になるが中学生に間違われることしかない。
思えば俺がこの体に疑問を感じたのは高校の時くらいだった。
155cmで止まった身長に、いつまで経っても来ない声変わり。父さんが190越えで筋骨隆々の大男であったため、当然俺もそうなれるもんだと憧れを抱いていたらまさかのこれである。
父さんよ、あなたの遺伝子は一体何ミクロン俺の身に流れているのでしょうか?
嘆いても現状は何も変わらない。
母さんの実家が老舗の飲食店だからと中学から遠月学園に通っていたが、結局店を継ぐのは同じく遠月学園に通った弟(180cm)だった。理由は簡単。俺の見た目が幼すぎるから。
厨房に入れば見た目なんてどうでもいいと思うが、曰く周りが集中できないとのこと。
なら何故遠月に入れたし。中学で成長が止まるなんて想像出来無いだろうけどさ。
俺はこれでも天才だ。味覚、嗅覚を色で認識する共感覚というものを持って生まれ、尚且つ食に関する一級のセンスを持ち、嘗ては高校2年にして十傑第一席まで上り詰めた事だってある。
食戟の際に、相手は一席の座を、俺は純潔を賭けるという訳わからん条件で挑んだことは苦い思い出ではあるがそこはそれ、若さ故の過ちというやつだ。
尤も一席になり、それによって得られる権限で食に関する古い文献等を漁ってみたはいいが、高校生活で読み終えることのできる量じゃ無いことをすぐ様悟ったため、興味のある分野だけ調べてすぐ十傑を辞めたけど。
だってデスクワークしんどいし、女子の先輩に猫可愛がりされるの辛いし、総帥からの私的な仕事とかさせられるし、寧ろ十傑に入った事によって逆に料理に割く時間が減ったような気すらするし。
元一席の人に一席の座をかけて再度勝負を挑み、テーマが【ジャガイモを使った料理】で生のジャガイモを皿に乗せて「はい、これで出来上がりです」と言ったのはいい思い出だ。
当然その後だいぶ反感買ったけど。
お陰で現在俺は24という若さで教師をやっている。教える内容は当然料理。遠月学園に舞い降りた天使(超不本意)とは俺のことだ。
恨むぜ堂島シェフ。店を継ぐことが出来ず、尚且つ周囲の反感を買ったお陰で路頭に迷っていたところに声をかけてきてくれた事には素直に礼を言うが、いきなり遠月への永久就職を決定するとは人間のやることじゃねえ。
自分が遠月リゾートの雇われシェフだからって人を巻き込むのは非人道的だと思います。確かに実力がありながらプラプラしてた俺も悪いとは思うけどさ。
さて、そんな俺は現在授業を行なっている。内容は英語だ。
え?料理じゃ無いのかだって?知らん。
本来の教師が風邪で休みとかで何故か白羽の矢が立ったのが俺だったんだ。自習の間生徒がバカしないか見張ってるだけのはずだったのに、流れで授業する羽目になっただけだ。
頭はいい方だし教えるのも慣れてるから問題は無いけど、この幼い外見ゆえかやっぱり生徒に舐められてる気がする。
教室入った時だって何故か台が置いてあったし。
俺そこまで低くないからね?155はあるから。
まあ結局黒板に字を書く時使ってしまったけど。
いや、違うから。見栄はったとかじゃないから。上にスペースがあったから有効利用しようと思っただけだから。そう言えば必死こいて上に手を伸ばしてたら背後で大量のシャッター音が聞こえたけどあれは気の所為だよね。
そんなことを考えながらも授業を続け、ふと時計を見ると授業終了10分前を指していた。
丁度キリもいいところだからこの辺りで終わっておくのが一番だな。
「じゃあ授業はココまでだ。残りの十分は自習にするけど、何か質問あるなら聞くぞ」
常々思うがこの口調は教師的にありなんだろうか?
別段教師は皆丁寧な言葉遣いで話すとは思ってないが少々乱暴すぎるのでは無いかという不安はある。
まあそれを誰かに言おうものなら「その幼い外見に反して小生意気な口を利くのが堪らないんですよ」などと訳のわからないことを言われるだけだから今更どうこうするつもりは無いけど。
「質問宜しいですか?」
手を挙げたのは2年の司英士。銀髪の美形で、学年、どころか遠月学園全生徒でまず間違いなくトップの実力を誇る天才だ。
性格は気弱だと聞くが、こと料理に関しては絶対の自信を持ち、自分以外が料理に手をつけることを極端に嫌がるとかなんとか。
そういうことから勝手に消極的な人間だと思っていたが、こういう場で手を挙げて質問する気概を持ち合わせているとは少し驚きだ。
「いいぞ、何でも聞いてくれ」
だからこそ、教師としては全力で答えてやらねばなるまい。
「先生が汐見ゼミの汐見潤さんと付き合っていると聞いたのですが本当ですか?」
こいつは何を言っているのだ?
確かに汐見教授とは外見が幼い者同士話は合うが、付き合っていると疑われる程仲良くしているつもりは無い。それにあっちには番犬葉山がいる為無自覚でイチャつくよくあるラノベの主人公みたいな事もない。
「司くん、質問は授業に関することにしてくれ。あとそんな事実はない」
言い終わると何故かざわめき出す周囲を無視して、頭痛を訴える頭を軽く叩く。何故か大量のフラッシュが焚かれたが気がしたが、きっと気の所為だ。まさか教師を目の前にして授業中に携帯をいじるバカはいないだろう。
「じゃあさ、先生って付き合った経験ってある?」
ニッコリと八重歯を覗かせて笑いながら猫のような目をした生徒——小林竜胆はよく通る声で尋ねる。
「言いたいことは色々あるがまず質問があるなら手を挙げろ。そんでもって質問内容は授業に関することにしろ。わかったか小林さん」
そう言うと「私のことは竜胆で良いって言ったじゃん」と何故か全く関係ないところで不貞腐れる彼女だが、ここで少しでもこちらが気を遣うと調子に乗るので無視して不貞腐れたままでいてもらう。
「先生は女性と性行為をしたことがありますか?」
あどけない表情をしながらとんでもない爆弾をぶっ込んで来たのは、茜ヶ久保もも。常に彼女がブッチーと呼ぶ熊のような人形を抱いている幼い外見をした少女だ。まあ今の質問で幼いのはあくまで外見だけだと言うのが分かったけどね。
「茜ヶ久保さん、女性がそんなこと言っちゃいけません。あと、頼むから授業に関する質問をしてくれ」
何でみんなして先生の個人情報聞いてくんの?しかもそのどれもが確実に俺の心を削りに来てるから辛いんだよ。
彼女いない歴=年齢で何が悪い。こっちは高校時代とある女子生徒のせいでありとあらゆる女子との出会いが消滅させられたんだよ!!最後の方なんて声かけただけで逃げられたからな。
やめよう、これ以上考えても虚しいだけだ。
「先生、俺からも質問いいですか?」
手を挙げて発言したのは何故かいつも目を瞑っている斎藤綜明。こちらに質問している今も彼の目は閉じたままだ。おう、目ぇ開けて質問しろやこら。
まあいい、もうすでに時間もあまり残っていないからこれが最後の質問だ。斎藤くんは真面目だと聞くし、変な質問はしないだろうから真面目に答えて今日の授業の締めとしよう。
「構わないぞ」
「では……。先生は男もいけま——」
「先生は体調が悪いのでもう帰ります」
廊下に出たら、恐らくこの学校で一番背の高いであろう女木島冬輔が何も言わずに手拭いを渡してくれた。
ありがとね。べ、別に泣いてないけど。
あれ?今授業中なのに、何で女木島は外にいんの?
☆★☆
午前の授業が(色んな意味で)終わり、午後は特に講義もないためゆったりとした時間を過ごそうかと思っていた矢先
「聞きましたよ。何でも先生の授業は大変分かりやすくて面白かったとか。そこでものは相談なんですが……」
ってな感じで何故か午後も英語を教えることになったでござる。
クソ、ボーナスをチラつかせるなんて、やりおるな遠月学園。
「以上で授業は終わりだ。質問があるやつはいるか?」
なんだかんだ言ってやり終えてしまう自分の才能が恐ろしい。まあ本物の先生ほどの専門的な知識はないから、言葉巧みに理解したように錯覚させる割と詐欺に近いやり方だけどね。
「はーい☆質問いいですか?」
やたらとハイテンションで声をあげるのは一年の久我照紀。その幼い外見に初めこそシンパシーを感じていたが、俺と違い少しずつではあるが成長しているので勝手に裏切られたように感じている。
「どうぞ、久我くん」
「先生は、俺の麻婆豆腐でヒーヒー言うのと、久我ちゃんの久我ちゃん(意味深)でヒーヒー言うのどっちが良い?」
何だろう。最近うちの生徒が間違った道を全力疾走しているような気がする。ここは教師として止めておいた方がいいよな。関わりたく無いけど。
「授業に関係のある質問をしましょうね、久我くん。それと料理は道具じゃありません、相手のことを思って作りましょうね」
うん。俺今超いいこと言った。これは今日イチの名言出ましたね。
「なら、相手のことを思う料理に血液が混入するのもセーフですよね?だって相手のことを思っての行動ですから」
底冷えするような声でそう告げるのは丸メガネにおさげのザ・真面目少女——紀ノ国寧々。
いや、実際には今俺の耳に届いた声も内容も真面目から数千里は離れたものだが、まあ聞き間違いや空耳は誰にでもあることだから、きっと俺もその例に漏れず聞き間違えたのだろう。うん、だけど怖いから聞き返すのも反応するのもやめておこう。
「ほ、他に質問のある人はいるか?」
若干声が裏返った様な気もするが気にしないでおく。ついでに紀ノ国の座っている右斜め前の席も見ない様にする。滅茶苦茶視線を感じるが無視だ。
「せんせー。いいバイトがあるんですけどどうですか?」
カケラも敬意の篭っていない間延びした声を出したのは叡山枝津也。俺の天敵である。
あれは忘れもしない八月の下旬。今と似た様なことを言われ、ちょうど金欠だった俺はまんまとその口車に乗せられた。結果、カレー姉妹の生贄に捧げられてしまったのは苦い思い出だ。
辛うじて男のプライドは守ったが、失ったものの方が大きかったなぁ。
いや、過去にトリップしている場合では無い。そう言うわけだからコイツの誘いは全てノーサンキューだと言う話だ。
「叡山くん。冗談は髪型だけにしてくださいね。他に質問のある生徒はいるか?」
おっと、言葉にトリカブトばりの毒が混じってしまった。これは反省反省。生徒に怒りを向けるなど先生として俺もまだまだ未熟だな。
「質問よろしいですか?」
爽やかに手をあげるのは一色慧。俺に言わせれば一番まともな生徒であるが、どう言う訳か他の十傑一年とは仲がよろしくないらしい。
まあそれは生徒間の問題であるため必要以上に首を突っ込む気は無いが。
「はい、一色くん」
「先生は裸エプロンをどう思いますか?」
ん?まあ高校生だしそう言うことに興味を持つのも分からないことはないけど、今言う事かな?
「あっ勿論する方ですよ?」
勿論って何だっけ?それって常識を言う時に使われる言葉じゃ無かったっけ?ダメだ、感覚が麻痺して来た。
「因みに僕は先生ならいけま——」
「先生ちょっと保健室行って来ます」
もう二度と授業はやらない。そう決意し俺は一人保健室へと足を向けた。
主人公
名前 水無月 かぐや
二つ名 芸術家
由来 『料理は定めた色に向かって進めて行くもの』と言うかぐやの言葉から決められた。どう見えているのか、どうすればその色になるのか等は本人しか知らない。
備考欄 共感覚の持ち主。料理人ではなく審査員の道もあったが、高校時代幸平城一郎の料理を食べてからは、審査員の道を捨て去って、城一郎を超えることを目標に料理を続ける。
極度の負けず嫌い。
注意‼︎ここからはただの作者の愚痴
今執筆中の他の作品が、第三者目線の地の文だったり、シリアスだったり、端的に言って難産過ぎて現実逃避気味に書いた作者の癒しです。
不定期ですけど、矢鱈と投稿が続いたら、ああコイツ停滞してんだなと思って正解です。