お前はとっとと無に帰れ   作:燈祁

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固有名詞出さないって言ってたけど型月も固有名詞出てましたわ、破綻したので吊りですね……
書きやすいのでこれからも色々一寸ずつ出します(開き直り)

なんかあらすじ書いた時の想定よりも主人公草生やさないな?……いつかあらすじ改訂するかもです
ラストまでの流れほぼ決まったけど思ってたより主人公も周りもSAN値削れました



みかづきのはねが欲しい

飯食いに行く前に目の色確認してよかった。

もうね、真っ赤。吃驚するぐらい真っ赤だった。見た瞬間「うおっ」って言っちまったよ。

幸いにして染まったのは左眼だけだったけども。右はまだ真っ黒けっけでーす。

始解した訳じゃねーから軽く済んでんのかね。

 

『やっぱり…ごめん……』

「えっ、あ、破晶か!?」

『うん、吃驚させちゃってごめん』

「おうわ!?ああ、こんな感じなのね……

もー、いいって別に、お前のせいじゃないんだからあんま気にすんなよ」

 

赤い半透明の姿の破晶が鏡見てた俺の真後ろに突然出現、驚いたのも無理ないよな?

どうやら俺以外には見えないんだと。もう一人のボクかよ。

緊急時か、俺が呼ぶまでは静かにしてるって言い忘れたから言いに出て来たらしい。

まあヤバい奴扱いはごめんだしな、それが妥当か。

 

『じゃあ、必要になったら呼んでね』

「おう、またな」

 

手を振りながら破晶が消える。

英霊の使い魔が霊体化する時ってあんな感じなのかね…

 

染まった左眼についてだが、伸ばしてた髪と、ここ暫く切ってなかった前髪で隠すことにした。

眼帯は目立つし、眼鏡の類いもないから色を誤魔化すのも無理。

「気分転換に髪型変えたら始解出来るようになったのでこのまま行きます」で押し通してやらぁ!

 

 

先生方に始解(偽)を見せて、無事飛び級卒業が決まったは良いものの、ギリギリすぎて二番隊も隠密機動も採用枠が余ってなかったらしい。

だったら四番隊の枠を貰おう。

後方支援だから割と戦闘しないだろうし、回道ガッツリ学べれば師匠の研究にも役立てそうだ。

異動願い的な物もあるとは聞いたし、ちょっとの寄り道は許して貰いたい。

 

 

さて、卒業して隊舎に行くまでは家に帰れる。

家事すんのも久し振りだな、一寸楽しみだ。

……他の隊に入ったの報告するのは気が重いが。

 

「ただい……あ?」

 

引き戸が開かない、師匠は外出中か。

鍵は持っているので開けて入る。

 

「たっだーいまーっと」

 

前の休みに来たときとあんま変わってねーな。

まあ俺が居なくても師匠普通に生活してたし、そりゃそうか。

………あっ一寸泣けてきた、俺が来るまで師匠独り暮らししてたから当然だってーのに。

ええい本当に気分転換だ!師匠帰ってくるまでに掃除やら飯の仕込みやら済ませてやる!

 

 

師匠遅すぎない…?もう六時回ったぜ…?

飯は温め直せば良いだけにしてあるけど、食って帰って来ちゃったらどうしよ……ああいや、俺昼食ってないから二人分くらい食えちゃうか。

掃除全力でやり過ぎたわ、くっそ眠い………

 

 

「………?………!……」

 

離せ、嫌だ、痛いのは嫌なんだ

 

「…ン!………け………」

 

あぁ違う、待って、置いていかないでくれ、俺は

 

「境サン!」

「ッ!!……師匠?」

 

うっそ俺寝てたの?

畜生、あんな気分で寝ちまったから久々に記録の夢見ちまった…

あーあ、師匠帰ってくるまでは起きてたかったのに…

 

「随分と魘されてましたよ?」

「うっ……五月蠅くしてすいません、師匠」

「いえ、それは構わないッスけど……もしかしてボクが帰ってくるの待っててくれました?」

「おう……」

 

そーだよ悪いか!結局寝落ちしちまったけどな!あー言われるとすっげー恥ずかしいわこれ!

 

「……ありがとうございます。ただいま、境サン」

「お…おかえり、師匠」

 

……まあ師匠嬉しそうだし、いっか。

 

 

飯はやっぱり冷めていたので、火を入れ直す。

師匠はどうやら俺が帰ってくる日を覚えていてくれたらしく、出来るだけ早く仕事を切り上げてきてくれたらしい。

「結局九時頃になっちゃいましたけど」と言っているが、急いでくれたと言うだけで十分である。

飯も食べていなかったようで、作った分をしっかり完食してくれていた。

 

 

「すいません、師匠。俺の卒業が遅かったから、結局二番隊にも隠密機動にも入れなかった…」

 

食後に俺の今後について伝える。

やっぱ申し訳ないなぁ…

 

「良いんすよ、飛び級なんて凄いじゃあないですか」

「……師匠のご期待には添えたのか?」

「そりゃもう」

「なら、良かった」

 

良かった、失望はされてないみたいだ。

 

「異動願い、すぐに出した方が良いか?」

「んー……いや、出すのはまだ暫く必要ないですね」

「なんでだ?」

「一寸色々変えられそうなので」

「…よく分からんけど、師匠がそう言うなら出さないでおく」

「はい、そうして下さい」

 

まぁ師匠がいいってんなら良いけど、やっぱ一緒に働きてーなー。

 

「ところで境サン、どんな始解になったんです?」

「えっ!?ああ、えっと、『隠せ、破晶』」

「ほー、透明化ですか」

「縛道で同じこと出来っから、大した能力じゃねーけどな」

「霊力の消費量は大分変わるでしょう?良い能力だと思いますよ」

 

偽物の能力だからなぁ…褒められても微妙だ。

うぅ、師匠に嘘吐くのはなぁ…

 

「…その髪型は如何したんスか?」

「ああ、気分転換だよ。これで始解出来たから、当分これで行こうかと思って」

「ふーん、顔が見え辛いのは勿体ないですけど、それなら仕方ないッスね」

 

そりゃまぁわざと隠してるからね!

……勿体ないって…まぁこの体の顔面偏差値そこそこ高いからな……うん、恋人とか作る気ねーしどうでも良いや。

あ、そうだ。

 

「師匠疲れたろ?風呂焚いてくるよ」

「境サンの方が疲れてるんじゃないですか?」

「寝過ぎて体力余ってんよ」

 

兎に角風呂入って寝よう、師匠居るからもう記録混じりの悪夢なんて見ないだろうし、な。

 

 

彼女が風呂を沸かしに行った後、お師匠さんが「まだ見てるんですね…」と呟いたのを、刀の中で聞いている。

 

彼女は名前を呼ばれた後から、時々悪夢を見ていた。

記録は切り離されても、「記録を見た記憶」は彼女の物だ。

記録の中の造り主達に彼女の姿を投影した悪夢が、ずっと彼女を苛んでいる。

そんな仕打ちを受ける理由など無いのに。

 

彼は悪夢の内容こそ知らないが、その譫言から、出会う前の事を見ていると推測しているのだろう。

寝るときに手を握ったり、頭を撫でてやったりして、恐怖を和らげてあげようとしていた。

その甲斐あってか、霊術院に行く前には殆ど見なくなっていたのだが。

 

(この人がそんな事しないって、まだ信じ切れないんだね、境)

 




SANチェックは失敗してますが師匠との会話が精神分析なので±0です。
主人公が主人公〔 リリィ〕である間にどれだけ削れますかね(ゲス顔)

帰ってきたら可愛がってる子供が部屋の隅で膝抱えて魘されていた。
SANチェック0/1、成功。

主人公の髪型

【挿絵表示】

双子の紫水晶の記録を見て、これでいっかと思ったが三つ編みにするには長さが足りなかったようだ。
後ろで纏めたところで、前に回した分が短く跳ねてしまっている。
※挿絵一寸手直ししました。某一族みたいな目になってたので……
前のは挿絵一覧の方に置いておきます

記録のせいで人間不信な主人公は、浦原さんを信じて居るのではなく、「この人になら何されても良いか」、と半ば諦めているだけである。
破晶は自分自身みたいな物なので、そもそも信用するしないの問題にならないし、なんなら主人公自身よりも現状を理解しているが、言っちゃうと高確率でSANチェック(1D10/2D10)なのも分かってるので言わない。

今回の記録:虐待の末部屋に閉じ込められて衰弱死
起きたときには覚えていなかったが、彼女を置いていったのは金髪の男であった。
彼女は何をされても良いから置いていかれたくなかったらしい。
笑って殴られた記録も、泣いて蹴られた記録も、謝って首を絞められた記録も混じってたので、上手く表情を作れないまま「すいません」を言ったときは割とビクビクしていた。
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