粗筋改訂したんですが、最初の構想だともっとこう、巫山戯ていくつもりだったんですよ。草を生やして。
どうして主人公のSAN値をギリギリまで削るチキンレースみたいな方向になってしまったんですかね……
楽しいから良いけど。
主人公ほんとゴメンな!死亡ルートも同化ルートも用意してるけど許してね!(満面の笑み)
日を跨いだ時間経過での改行の量、一寸増やしてみました。
お気に入りもUAも凄い伸びてる…!?5000UA、40お気に入りありがとうございます!
※感想の方、普通に書いてはいけない縛りも、普通に書かなくてはいけない縛りも無いですので、どなたもご自由にお書き下され…
追記:誤字修正しました
もう四番隊に勤めて十年になるか。
仕事滅茶苦茶頑張ったからな、今俺六席なんだよ。
虚の討伐に衛生兵としてついて行って鬼道で援護したりしたのも良かったのかもな。
白打やら歩法やらも含め、戦闘技能は一通り師匠や鉄裁さん、夜一さん──様付けは辞めさせられた──に仕込んで貰ってるから普通に戦闘も行けると思うが、俺はあくまで衛生兵だからな。矢面に立つわけにはいかないんだよ。
──近頃は平和だ。平和なんだが、一寸可笑しな噂が出回っている。
曰く、誰かが着ていたような形のまま服が落ちている。
曰く、それは昨日まで元気にしてた奴の服とよく似ている。
曰く、今日は其奴の姿が見えない。
「なあ、彼奴が何処行ったかあんたは見なかったか?」
「ごめんな、そういう特徴の奴は見てないんだ」
「…そうかい。あぁ、俺のダチはいったい何処に消えちまったって言うんだ、畜生…」
流魂街の古書店に掘り出し物が無いか探しに来た序でに師匠に土産話を持って帰れないか、とそこらの店を覗きながら噂に耳を傾けてたらこれだ。
今の俺は死覇装でなく着流し姿だから、あの男も探し人を尋ねてこれたんだろう。
死神が近くに居ると怖がって喋らなくなる奴も居るからな、情報が欲しいときは流魂街の住民の振りをするに限る。……破晶は偽装鏡面で隠しながら持ってるけど。
ま、無いように見せれるだけだから、目の色を誤魔化すとかは出来ないんだけどな。
直接触れられるのにも弱くて、感触は誤魔化せない。
始解したら機能拡張するかもって破晶は言ってるが、知りたくねぇ……始解なんぞしてたまるかっつーの。
にしても消えた、ねぇ……
一応卯ノ花隊長に報告しとくか。
「境!」
「おかえり青乃。何処にするか決めたか?」
「うん。彼処のお蕎麦屋さんが良いな」
「はいよ」
こいつは青乃。昔にはぐれた俺の双子の兄弟で、最近再会してから現在流魂街に住んでいる此奴と俺は時々会っている。
……と言うことになっている、実体化した破晶だ。
ブルーノの姿ではあるが、あの体格じゃ目立つと言うことで俺と同じ位、十代半ばの少年の姿になっている。
…それでも身長180センチ近いんだよな……俺ももう少しで170に手が届くが、師匠といい此奴といい見上げなきゃいかんから少し首が痛い。
DNAとかは俺と全く一緒なんだが、実体を形作る時に調節してるから外見はある程度好きに出来るらしい。
あ?ブルーノなら「乃」じゃなくて「野」じゃないかって?
それじゃ苗字っぽいだろ。俺の兄弟って事で性は空式だしな。
それに此奴はブルーノそのものじゃないんだから、一緒にしちゃ駄目だろう。
……話が逸れちまったな。さっきのは他の死神に此奴の素性を聞かれた時に答えることになっている設定だが、まだ出番はない。
ああ、設定っつっても流魂街で暮らしてるのは本当だぞ。
俺が出現したところよりは治安がいいけどな。
本体は俺がずっと傍に置いているから、実体化した方──端末みたいなもん──は何処に居ても意思疎通に問題は無い。
元が斬魄刀だから食わなくても大丈夫らしく、霊力の素養が無い振りをして暮らしているらしい。
…一応仕送りしようと思ったんだが、「お金持ってたらちょっかい掛けられちゃうし、別にいいよ」と断られた。
美味いもんとか食わせてやりたいのに一人じゃ食わないんだよな、此奴…
そう言うわけで俺が此奴と出掛ける時は色んな店連れ回させてるんだが、どうやら麺類が好きらしい。
その内電波人形ロリみたいなかぷめん厨になっちまうんじゃねえか?
…そう、食の好みは割と人格に影響されたんだよ、俺達。
まだ出回ってないから自重してるが、ラーメンが広まったら自作してみようとは思ってる。
料理なら何だって作れるようになっておきたいからな。目指せ赤い弓兵。
お、この蕎麦屋は当たりだな。
麺が切れちまってないし、つゆも美味い。
『ねぇ、さっきの噂、一寸不味いかな』
"そうだな。噂の無いところに引っ越すか?"
…ジークフリードシステムも本物とは少々勝手が違う。
あっちと違って、こっちは逆に劣化版、単に通信用としての機能しか持ってないんだ。
実際は俺の頭の中に音と映像を送り込んでるだけらしいから、破晶は赤い半透明の姿を現さなくても俺にしか分からないように話し掛けたり画像を見せたり出来るけど、俺の方は声に出さなきゃならん。
まあ、再現にも限度ってもんがあったんだろ。
斬魄刀の何処を触ったらどの機能を使うかってのは決めてあるし、誰かに読み取られないよう、モールス信号やら点字を信号化したものやらを切り替えつつ斬魄刀の何処かを指先で叩けば俺の意思は伝えられるから、そこまで問題にはならない。
刃禅しなくても向こうと会話が出来る時点で十分だ。
そもそも思考・感情の共有なんてしてたら悪夢見ちまった時に二人して動けなくなっちまうからな。
彼奴まで精神削られる必要も無いだろ。
…噂の対象になった奴等は大半が身寄りの無い奴だけど、万が一「青乃」がそれに遭っちまったら不味い。
他の住人と違って元が斬魄刀だから、何が起こるか分かんねぇんだよ。
今日はこの後引っ越し作業だな……っていっても彼奴も全然荷物持ってない方だし、どっちかってーと家探しか。
『あ、じゃあボク成吊って所に住んでみたい』
"は?彼処治安悪いとこだろ?なんでだよ"
『ボクなら治安が多少悪くてもなんとかなるし、色んな所を見てみたくって。……駄目、かな』
"いいに決まってんだろ!けど絶対怪我すんなよ、何だったら実体化解けよ!"
『うん。ありがとう、境』
あざとい。青乃の方で首傾て上目遣いしながらとは、恐ろしい子……!
「「ご馳走様でした」」
きっちり手を合わせる。
この店の場所、ちゃんと覚えておこう。
後輩とか連れてくるのにいいかもしれん。
「大将、ご馳走様」
「ご馳走様でしたー」
「まいどー」
店を出て破晶が暮らしている家まで歩く間でも、例の噂が聞こえてくる。
……ほんと、大事にならなきゃいいんだが。
噂を隊長に報告して三日、とうとうあれは事件として扱われた。
六番隊が調査に行くんだと朝方には伝えられていた。
今現在はどこもかしこもピリピリしっぱなしだ、寝なくて済むから助かるっちゃ助かるけど。
…六番隊の霊圧が途絶えたそうだ。
上は追加で他の隊長格を行かせることにしたらしい。
俺達四番隊は、いつ怪我人が来ても対応できるように交代で仮眠を取りつつ夜を明かすんだとさ。
「空式六席、交代ですよ」
「お、もうそんな時間か?じゃあちょっくら寝てくるわ」
…上司、年上と護廷隊の先輩以外にはタメ口だ。
流石に全員に敬語だと、逆に舐められそうだったからな。
なんでさ。
起きて交代して仕事引き継いでたら突然自室待機を命じられた。
は?俺何もミスとかしてないよな?
いや、仮眠でまた記録見ちまったから顔色は悪いかもしんないけどさ、仕事は問題無くこなせるぞ?
くそ、訳わからん。
……え?いや、まさか。心当たりとかねーんだけど……
「破晶、俺の現状をどう思う」
「…この事件に関わりがあると疑われているから情報を遮断されている?」
「やっぱそう思うか」
待機中に何してろとか言われてないからな、絶賛刃禅中だ。
「疑われる原因って何だ?一寸思い付かん」
「噂の報告とか?」
「いや、それは俺の他にも何人か言ってたから俺だけ狙い撃ちなのは可笑しい」
「……犯人、だとは思われて無さそうだよね」
「それなら即拘束だろうからなぁ」
「だよね。四番隊で境だけが関連してる事…………え、ねぇ、それって…!」
「あー……師匠、か」
成る程、師匠が関わっていると俺が知れば、更に何か問題を起こしかねないからこの処置か。
…多分既に軽い監視はされてるんだろうよ。
直接見ずとも、霊圧の感知、なんていう便利なもんがあるからなぁ。
……今こうして俺が考え込んでいる時点で、妥当な対処としか言い様がない。詰めは甘いが。
「破晶、青乃に偽装鏡面フルに掛けて情報収集して来てくれないか」
「…ううん、最初から君が行くべきだ。君が自由に動けるように最初からしておいた方がいい」
「……けどよ、それは……」
監視を誤魔化す方法はある。
あるが、あれは破晶に嫌な思いをさせると思うんだ。
出来ればやらせたくない。
「大丈夫、無傷の綺麗な体だよ?記録を見た身としては、傷付いていなければそれで十分」
「何時間掛かるか分かんねぇぞ、トイレとかどうすんだよ」
「やり方は分かるし、それも記録で散々見たからね。」
「でも、嫌なもんは嫌だろ」
「……ボクは、君に後悔させたくない。こんな能力を持った以上、それがボクの『絶対』なんだ。その為だったらなんだってやる。だからどうか、君の『絶対』の為に、ボクを」
────使って。
ああ、成る程。納得いった。
俺が、此奴の『絶対』だったのか。
…まあ、それもそうだよな。俺の名前を呼んだのが師匠なら、此奴の名前を呼んだのは俺だものな。
うん、なんだって出来ちまうよな、わかるよ。わかるけど、その言い方はいただけない。
「わかった。だが、使うのは無しだ」
「え…」
向かい合ってた破晶に右手を伸ばす。
こう言う時は握手と相場が決まってる。
「俺に協力してくれないか、兄弟」
「……喜んで!」
"どうだ?隊舎の敷地外まで来たけど、結界かなんか通ったか?"
『いや、なにも。結界があってもちゃんとステルス工作はするから、気にしないで進んで』
"了解。そっちはどうだ?"
『副隊長が一度覗きに来た、ボクが偽物か怪しむ素振りは無かったけど、斬魄刀は何処かって聞かれたよ。
斬魄刀は布団の中が気に入ったみたいって言ったら凄い困惑してた』
"それは俺も困惑する。……あれ、もしかしてお前本当に布団好き?今度から部屋に居るときはそっちに置こうか?"
『いや、冗談だよ。……副隊長さん、凄い心配そうな顔してた』
"…早く情報集めねーと不味そうだな……とりあえず各隊舎には入らずに、そこらの死神の会話聴いてくるわ"
『了解、ボクの方でも隊舎内の音出来るだけ拾ってみるね』
脱出には成功した。やり方は割と簡単で、
①戸締まりを確認後、着流しに着替えて破晶を装備し直す。
②青乃の実体化を解いて、破晶に俺の姿でに実体化して貰う。
この時、破晶の方は霊圧の全くない、探査に引っ掛からない状態に調節しておかなければならない。
鏡越しじゃない自分の顔って一寸したホラーだな。
……服は実体に含まれないらしく、裸で出現するので俺の死覇装を着せる。
青乃の方も服が含まれないのは同じらしく、事件と間違われないように畳んでおいたって言ってるが、それって最後……いや、これ以上は止しておこう。
③出来るだけ互いに近付いてから、偽装鏡面を霊圧まで遮断するタイプで俺に張り、同時に破晶の方の霊圧を俺と同じだけ出るようにする。
近付いておかないと、位置が一瞬でずれたことになっちまって怪しまれ易くなる。
同時に作業するが、どっちも破晶が操作するからタイミングの問題は無い。
④人が少なく、ぶつからないルートを通って俺が外に出る。
結界があろうと、偽装鏡面が誤魔化してくれるので障害は無いも同然である。
それ以降は破晶が俺の振りをして、只管部屋で論文の確認をする。
ね?簡単でしょ?
………②が問題だったんだよな。破晶に女装、いや女体化して貰ったやつ。
異性の体の感覚ってさ、結構気持ち悪いんだ。
俺は夢で慣れたが、破晶にまでそれを感じさせるっていうのは嫌だったんだが……
うん、本人はそれでいいって言ってるけど、今度なんかで埋め合わせしよう。
よし、無事外まで行けたみたいだね。
…境ってば、ボクにまで気を遣わなくて良かったのに。
普段からずっと見ているから境の真似をするのは朝飯前ってやつだしね。誰にも気付かれない自信がある。
そもそも異性以前に、ボクは
…ボク達は、誰か一人に自分の名前を縛って貰って漸く存在出来る。
その人の言葉だったら、どんなに嫌なことを命令されたって従うしかないんだ。
境はそれを誰よりも分かっているから、予めボクに拒否権をくれたけど……
お師匠さんは、境に拒否権をくれるだろうか。
主人公が男の人格を被った少女なら、破晶は男の人格を被った無性の生き物、要するに万死に値する絶望マイスターみたいなもの。
主人公が破晶を大事にするのは、自分の片割れ、または同位体である、という以外に、自分がされたくないことをしない、というのを徹底しているのが理由。
主人公も破晶も某札集め人生ブレイカーに登場する百合系はとこに近い考えを持ってて、思い人の幸せが自分の幸せになるタイプ。
「設定」及び主人公はどっちが上かは自分達も知らない、としているが、実際に目を覚ましたのは自分の方が後だから主人公の方が姉だろうと破晶は思っている。