お前はとっとと無に帰れ   作:燈祁

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読んでほら胃ズーン状態になって貰えたら勝ちだと思ってます(サムズアップ)
まだファフナー要素が全然出せてないのは内緒。

6000UA、50お気に入りありがとうございます!
……評価とかも是非よろしくお願いします(小声)

言い忘れてましたが、前話までは「桜/前/線/異/常/ナ/シ」がイメージソングでした。
※※動画の方に当小説の名前を出すのはご遠慮下さい※※



戦力外通告

さて、こう言う時は雑用してる奴等を覗くに限る。

雑談しながら出来る仕事だと、お互い知ってるからって箝口令なんか知るかとばかりに機密喋ったりするからな……ッ!?

 

「居たか?」

「いや。そもそもこんな中心地に居るのか?流魂街の方とか……」

「そっちは何があるか判らんから席官達が担当してるだろ」

「俺達じゃ力不足、か。隊長格相手じゃ誰だってそうだろうに」

 

あーびびった、直ぐ横が集合地点になってたのか。

ふむ、敵対する可能性のある隊長を広範囲で捜索している、と?

……他の所も行ってみるか。

 

 

俺に見えてる景色は記録として破晶にも流れてるので、俺じゃ認識できない細かい所や見逃した所は破晶がジークフリードシステムを利用して俺の視界に拡大表示してくれるから、望遠鏡要らずで便利だぞ。

今はその機能を使って十二番隊の隊舎をのぞいてるんだが、人が多い。

何時もは絶対に寄りつかない他の隊の隊員達だな、あれは。

……ガサ入れしてるのか。

特に隊首室は重点的にってか?明らかに人員が多く割かれてんな。

中心地だと流石に無駄口叩いてる奴は居ない、よなぁ。

うし、丁度いいのが居るし拉致ろう。

 

"偽装鏡面の範囲に彼が入るよう形状を調整"

『了解』

 

背後に降りて、と。

 

「ごめんなさい、一寸一緒に来て下さい」

「ッ!」

 

 

うし、この部屋なら隊首室から遠いし、気付かれにくいだろ……って痛っ、痛い!

おい蹴るな、今離すから蹴らないでくれっての!

 

「けほ……」

「あ、すいません…鼻まで塞いじゃってました?」

「……空式さん…なんでそんな格好でここに居るんですか」

 

廊下を一人で歩いてた阿近さんを抱えて人の居ない部屋に連れ込んだ。

局員の集められてるところを抜け出して、自分が使ってる研究室に向かおうとしてたっぽかったからな。

自分で気付かれないように行動してくれてたんで、攫うのは楽だった。

こらそこ、誘拐犯とか言わない!俺だって好きでショタ誘拐した訳じゃねーよ!

 

「昨日の午後は非番だったので流魂街の方に薬草の群生地を探しに行っていたんですが、今日の午前も非番と言うことで、そのまま夜を明かしてしまったんです。

仕事まで寝ようと思い隊舎に戻る途中で、此処に珍しく人が集まっているのが見えたので情報を貰おうかと思い立ち寄りました」

 

そう、この言い訳の為に着流しに着替えたんだよ。

流石に犯人ではないと思われてる一席官の動向なんて、他の隊には伝わってないだろうしな。

俺を待機扱いにしたのが卯ノ花隊長の独断って可能性も高い。

俺が師匠の弟子だっていうのは態々言って回ったりしてないからな。

四番隊の人間は俺が非番の日に師匠の所に行っているのを知っているが、他は師匠と一緒の時の挨拶でさらっと言う位だ。

俺の軟禁を上が決定するには理由が薄い。

 

「……局長の事ですか」

 

やっぱ何かあったんだな。

 

「ええ。何がどうなっているのか、教えて戴けますか」

 

 

………はああぁぁぁ?師匠がひよ里さん含む隊長副隊長複数名+鬼道衆の№2で人体実験しただぁ?流魂街の事件も師匠がやったってぇ?

んでもって鉄裁さんと四十六室に連れてかれて、夜一さんと合流して現在逃亡中ぅ?

……なんてこった、師匠ガッツリ冤罪ぶっかけられてんじゃねーか!(頭抱え)

そもそも師匠がひよ里さんを同意無くどうこうするわけ無いんだよ!俺ですらなにもされなかったんだぞ?

昔、俺で人体実験とかしないのかって聞いたら、「しませんよ」ってはっきり返してきたしな。

当時は拾われて直ぐだったから、何したって誰も気付かなかっただろうに。

……既に逃亡中かぁ、まだ尸魂界に居るなら探せるけど……現世に行くって選択肢もあるんだよな……

いや、兎に角探そう。現世に行ってたならその時はその時だ。

護廷隊に辞表叩き付けて一人で現世に行く事も考えておこう。

 

「…情報提供ありがとうございます、阿近さん」

「半ば脅しみたいなもんだったでしょう…そっちは帯刀してるんですし」

「それはその…すいません」

「此処に来たのは秘密にしておきますか」

「そうして貰えると助かります」

「…今度の差し入れ、俺にも甘味付けて下さい」

「ええ、それ位ならお安いご用です」

 

気ぃ遣わせちまったかな、これは。礼の菓子は高い奴買いに行かねーと。

 

 

元の場所まで一人で戻れるって阿近さんが言うので、俺はまたステルス状態で隊舎の外だ。

 

さて、師匠は何処だろう。

こんだけ人員投入されてて見つかってないって事は霊圧の遮断はしっかりやってるんだろうし、足で探すしかねぇな。

 

……師匠が隠れそうな場所…いや、夜一さんと鉄裁さんが一緒なんだったな。そっち関連の場所も考えるか。

四楓院の屋敷とか?長々とは居られないだろうが、一時的に立て籠もるには有り……いや、人が多すぎる。

あれだけでかい家なら正義感に駆られた使用人とかが居ても可笑しくない。

とっくに外と通じて居場所特定されてるな。

鬼道衆関連……はもっと駄目か。

トップ二人が関係者だ、ピリピリしてて警戒が上がってるだろう。

そんなとこに態々隠れに行くかね…?

 

……そうだ、彼処はどうだ?

前に師匠と夜一さんに連れてかれた「秘密の遊び場」。

誰かにバレたって話は聞いてないし、今捜索してる奴等もまさかあんなところに空洞があるなんて考えない筈。

況してや師匠達は逃亡中、瀞霊廷の中は捜索されにくい。

……うん、好条件だ。

「遊び場」の中を最初に探して、駄目だったら他だな。

 

 

確かこの辺に……あった、「遊び場」の入口。

中は……

 

『境、その入口侵入者感知用っぽい結界張ってあるよ』

「ッ!」

 

ヒェッ、入口に指掛けてたからそれに引っ掛かったのね。偽装鏡面あってほんと良かったわ……

…そんなもんが張ってあるって事は当たりか?

 

"偽装鏡面の範囲を俺と『遊び場』が丸々入るように変更"

『変更したら結界に引っ掛かっちゃうようになるけど…』

"引っ掛かんねー方が可笑しいし、堂々と感知されてやるよ"

『…了解』

 

………入り口を潜っても、結界を通ったってのは一切わからんな。張った人はかなりの使い手と見た。

 

底まで飛び降りながら一通り見廻すと、師匠と鉄裁さん、意識が無いのか重なって倒れてる死神複数が三重の結界に覆われてるのが見えた。

一緒に逃亡したらしい夜一さんの姿は見あたらない。

 

よっしゃ、当たりだ。

さっきの結界もあれも鉄裁さんが張ったのか?

それなら納得のクオリティだわ、専門家みたいなもんだもんな。

師匠が弄ってるのはなんだ?義骸っぽいけど…

まあ、とりあえず声掛けよう。

 

「師匠!鉄裁さん!ご無事ですか!?」

「………空式殿でしたか」

「え、境サン?」

 

うっわ鉄裁さん迎撃態勢整ってる……ガッツリ警戒されてたのか。侵入者が誰かまでは分かってなかったのな。

…いや、俺が師匠の味方かどうかも怪しむような状況って事か?

……なんか結界の中からあの隊首室みたいな嫌な感じがするな……

 

「境サン、今のボク達の状況を知ってて此処に来たんスか?」

「はい、罪に問われて追われているって所までは。

本当のところは流石に知りませんけど、なんにしろ俺は師匠の(がわ)に付きに来たので」

 

そう、俺は別に師匠が本当に犯罪者でも構わない。

師匠に俺の名が縛られた以上は、どうなろうとついて行く所存だ。

…師匠、ちらっとこっち見ただけで手ぇ止めねーな。それだけガチでやってるのか。

 

「…その服装は?隊舎を抜け出してきたんスか?」

「昨日の午後から非番だったので、元々外に居たんです。仕事は正午からなんで、今俺の居場所は誰も気にしてないと思いますよ。」

 

いや、本当は軟禁されてる筈なんだけどね。

 

「師匠、何か俺に手伝えることはありませんか?必要な物を取ってくるんでも、移動する際の囮でも、なんだってやりますよ」

「…本当に何でもッスか?」

「はい」

 

ぶっちゃけ鉄砲玉扱いされても良い、それで師匠の役に立てるなら本望だ。

 

「じゃあ、ボクらに会ったって気付かれないように四番隊に戻って下さい」

「? はい。それで、その後は?」

「何にもしなくて構わないッス」

「何もですか?」

「ええ」

 

俺の手伝いは必要ないって事か?

もしかしてもう冤罪を晴らす準備が出来てるとかそういう…

 

「境サンまで追われる身になる必要は無いッスから」

 

……え、なんだそれ。

その言い方だと、まるで師匠達は追われる身のまま逃走を続ける、みたいな………

 

「……師匠達は…師匠達はどうされるんですか」

「現世に隠れようかと」

「ッ!…俺を…ついて行かせてはくれないんですか……!」

 

置いて行かれたくない。だってそんな、それは「要らない」って事だろ?

師匠に要らないって言われたら、俺は、俺は如何したら良いんだよ!?

 

「境サンは疑われてないんでしょう?別に逃げなくても良いじゃないッスか」

「疑われてるとかは関係ないです!俺はただ師匠について行きたいだけで……!」

 

クソ、何か無いのか?何を言えば良い?

如何したら師匠は俺を連れてってくれる?

 

「……境サンにしては珍しく聞き分けが無いッスね」

「ッ……」

 

…師匠、怒ってる、のか?

……声が出ない。こう言う冷たい声は苦手なんだ。

あ…師匠がこっち来た。

結界越しに、俺と向かい合って立ってる。

 

「空式境サン」

 

え、師匠、なんで名前を改まって呼ぶんだ…?

…怖くて顔を上げられない。

 

「……は、い…」

 

クソ、声が掠れて返事すら上手く出来ん。

…師匠は一体何を考え、て………待て、まさか……

嘘だろ、嫌だ、そんな……!

 

「アナタを破門します。………これで、ついて来る理由は無くなったッスね」

「────」

「ボクは、境サンまで巻き込みたくないんスよ」

 

──師匠は優しい。俺を気遣ってくれているのは最初から分かっていた。

俺はそれを知らない振りをして駄々を捏ねていただけだ。

態々手を止めさせてまで対応させる意味は無かった筈なんだ。

 

…困らせてしまった。邪魔を、してしまった。

これ以上は……駄目だ。

 

「……我が儘を言ってすいませんでした。お気遣い、ありがとうございます。」

 

巻き込みたくない、それが師匠の願いなら、俺の感傷なんかどうでも良い。

何をおいても優先すべきはそっちだろ。

 

「数日前に破門された、ということにしても構いませんか」

「ええ、アナタの都合の良いようにして下さい」

「分かりました」

 

俯いていた顔を上げる。

…笑え、俺の人格は詐欺師(うそつき)だろ。

俺は師匠がいなくても大丈夫なんだって笑え(嘘を吐け)よ。

師匠が心配する必要は無いんだって、笑って(嘘を吐いて)みせろよ。

 

「喜助さん、今まで面倒を見て頂きありがとうございました。どうか、現世でもお元気で。」

「……境サンも、お元気で」

「はい。…鉄裁さんも」

「…ええ、空式殿も、どうか御達者で」

「はい。……では、失礼します」

 

一礼して、くるりと入ってきた入口の方に向いてから跳躍する。

 

"感知の結界を出たら、偽装鏡面の範囲を俺一人分に戻してくれ"

『……了解』

 

外に出て、四番隊の隊舎に向かう。

一度も、振り返ったりはしなかった。

 

 

隊舎の自室に戻ると、破晶が出迎えてくれた。

んな暗い顔すんなよ。

 

「…おかえり」

「ただいま。早速で悪いが、着替えたいから実体化を解いてくれるか?」

「…うん」

 

破晶の体が光になって空気に解けて行く。

残った服を拾い上げて着流しから着替える。

 

『まだ自室待機は解けてないよ』

"了解、論文はどうだった?"

『…ほぼ問題ないよ。誤字はメモに纏めておいたから、後でそれ見て直してね』

"サンキュ"

 

やること無いのか……今後の事破晶と直に話し合いたいし刃禅しよう。

 

 

「お前も一部始終は見てたよな?」

「…うん」

「何か聞かれたら、数日前夜中に呼び出されて破門された、って話そうと思うんだがどうだ?」

「……境」

「質の悪い冗談だと思った、いや、ショックで受け入れらんなかったから隠してた、の方が…」

「境!」

「うわっ!何だよ?急に大きな声出すなって…」

「…此処はボクしか居ないよ」

「あ?知ってるけどそれがどうしたってんだよ?」

「…泣いても良いんだよ」

「はぁ?…何、言って…」

「此処では、あの人が居なくなっても大丈夫な振りをする必要は無いんだよ、境」

 

………そっか、良いのか。

 

「……破晶、俺笑えてた?」

「…うん、凄く綺麗な笑顔だった」

「喜助さん、安心出来たかな」

「出来たよ、きっと」

「俺の事忘れても大丈夫だって位?」

「…うん」

「そっかぁ」

 

鼻を啜る。良かった、俺ちゃんと笑えてたんだ。

 

「もう師匠って呼べねぇなあ」

「此処の中だけなら良いんじゃない?」

「破門されちまったんだし、やめとく…」

「…そう」

 

破門は多分、犯罪者の弟子って言う肩書きを外してくれる為の物でもあった。

うっかり外でも「師匠」って呼んじまったらその気遣いを無駄にしちまうし、他の呼び方を慣らしていかないと、だよな。

 

「なぁ、破晶」

「…なんだい?」

「喜助さん、さぁ…俺の事、忘れないで居てくれるかなぁっ……」

「…大丈夫だよ、境。忘れるような人じゃないって、君が一番よく知っているでしょ?」

「っうん…そうっ、だよなぁ…!」

 

 

うぅ…これ現実にも反映されてんのかな…

擦ったから目元が腫れてるっぽいんだよ……

 

「すまん破晶、愚痴の相手なんてさせちまって」

「良いんだよ、別に嫌じゃないし。君が弱音を吐ける場所があるかどうかの方が重要だ。

…いつだってなんだって、此処では隠さなくったって良いんだからね?」

「…おう、ありがとな」

 

 

 

こうして俺は現実に戻り、そして、百年が過ぎた。

 




これも言い忘れてましたがっ!!今話からのイメージソングは「四/ツ/谷/さ/ん/に/よ/ろ/し/く」、です!!!
知ってる読者様は前話までとの落差でどうぞ胃を痛めて下され(営業スマイル)
某手描き動画で拝聴した、足/首と言う方の歌ってみたの雰囲気がピッタリ、というかそれを作業用BGMに混ぜていたが為にこの話の方向性が暗い感じになりました。
真綿で首を絞められていく感じが、すごく…いいです…

主人公は頑張りすぎて「一人でもやっていけるだろう」と思われたので置いていかれました。ある意味自業自得。
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