獣憑きの少年も異世界にくるそうですよ? restart 作:モグモグラ
ーー問題児たちが黒ウサギの耳を引っ張ったり、モフったりをしておよそ1時間後。
そこには涙目を浮かべる黒ウサギと、溜飲が下がり満足げな問題児たちの姿があった。4人は黒ウサギの前に思い思いに腰を下ろし、「話を聞くだけ聞こう」という程度の態度を見せていた。
黒ウサギは気を取り直すように咳払いをして、両手を大きく広げる。
「それではいいですか、御4人様。定例分で言いますよ? 言いますよ? さあ、言います!
ようこそ、”箱庭の世界”へ! 我々は御4人様に与えられた者達だけが参加できる《ギフトゲーム》への参加資格をプレゼンさせていただこうと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、御4人様は皆、普通の人間ではございません! その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。《ギフトゲーム》はその”恩恵”を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」
両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ。
その後、質問を交えながら、箱庭、そこで行われる《ギフトゲーム》の説明が行われた。
要点をまとめると……
・ギフト保持者は”コミュニティ”と呼ばれ集団に所属する。
・《ギフトゲーム》は”主催者”と呼ばれる修羅神仏などから与えられる。勝利すれば、様々な報酬を得られる。ただし、チップとして金品や土地等……そして人やギフトを賭ける必要がある。
空は頭の中で気にすべき点は他にあるだろうか、と考える。そして問題無いと判断し、小さく頷く。
丁度、黒ウサギの説明も締めに入っていた。
「さて。皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが……よろしいです?」
「待てよ。まだ俺が質問していないだろ」
静聴していた十六夜が腰を上げる。十六夜の顔には今まで刻まれていた軽薄な笑みが無くなっていいたため、黒ウサギは構えるように聞き返す。
「……どういった質問です? ルールですか? ゲームそのものですか?」
「そんなのはどうでもいい、黒ウサギ。俺が聞きたいのは……たった1つ、手紙に書いてあったことだけだ」
十六夜は1度そこで言葉を切ると、空たち3人を見回す。
「この世界は……面白いか?」
何もかも見下すような視線でそう言った。
3人も無言で返事を待つ。
彼らをここに誘った手紙には、
【家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い】と、そう書かれていた。
それに見合う価値があるのかどうか、それが4人にとってはもっとも重要な事だった。
4人の視線が集まる中、黒ウサギは彼らをしっかりと見据える。
「ーーYES。《ギフトゲーム》は人を超えた者達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
十六夜はその答えを聞くと、満足げに笑いを浮かべた。
「クソつまんないとか言われたら、さっさと送り返してもらおうと思ってたが、良かった」
空は小さく呟き、黒ウサギを見やる。
(何か隠してるように思えるが……まあ、後で聞けば良いか)
何だかんだ、退屈から引きずり出してくれた黒ウサギたちに敬意を評すように、空は出そうと思っていた質問を引っ込めた。