夢を見る不死   作:粗製の渡り鳥

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第2話:香霖堂

「ざっとこんなものだ」

 

「……ほう」

 

 香霖堂へと入店後、一通りの見物を終え一息つく。

 

 驚いた。

 安直な感想しか捻り出せなかったが、あまりにも豊富な品揃えには圧倒されざるを得なかった。

 

 これまで、彼の火による影響が色濃い時代の中でしか旅をしていなかった事もあるが、それを考慮しても取り扱う品の幅が想定を超えているように思えた。

 真っ当な魔法(スペル)こそ見当たらなかったものの、その単純な物量には純粋に感動する他ない。

 

 先程始めに目に付き注目した不思議な物体に関しては、店主の商品の紹介を耳に入れながら流し見た程度でしかないため、まだどういった物かはわからない。

 単純にそれらの持つ名と用途を聞いてどういった物か想像付かないというのもあるが……そもそもこれまで手に入れてきた物と明らかに違う。言うなれば趣向品だろうか? 

 

 この店に置いてある多くの物は戦闘に役立つ類いの代物ではない。戦いの場に於いて不要な……手持ちのアイテムで言うと七色石などに近い小道具のようである。

 

 手を出したい欲はあるが今の己には手に余るだろう。第一これらの趣向品以外にも魅力的な品は多い。今品定めすべきは、やはり先日降って湧いたという収集物か。

 

 店内の一角、特に目を引く宝の山に目を向ける。

 

 ごく最近拾い集めたと言っていたそれは、元々店頭に置かれていた物とはだいぶ毛色(けいろ)が異なっていた。

 遠眼鏡を始めとして、他の店売りの品に趣が近い物もある程度混ざっているのだが数が少ない。武具を始めとした戦闘に用いる物が占める割合が多く、どうしようもなく目立つ。そのためか、この一角は異質な雰囲気を放っていた。

 

 まず、武器についてはブロードソードなど、どの年代にも見られた見慣れた物もあれば見慣れぬ武器もある。それだけに留まらず、到底店売りの品に見えない雰囲気を感じさせる物まである。

 また、派生強化が施されているのだろうか? "竜のロングソード"の銘を持つ直剣を始めとした、名称と読み取れる情報に若干の差異が認められる代物まで置かれている。

 次に、防具についても中々質の良い物が揃っているように見える。ドラングレイグで出会った防具屋(マフミュラン)が記憶と人格を犠牲にして得たレパートリーにも匹敵するだろう

 

 なんともありがたいものだ。

 

 今までの常識が崩れ去る程に豊富な品揃え。

 異常だとも感じられるが、己の見聞の狭さがそうさせるのだろうか? 

 

 ロスリックにて大いに世話になった物売りの老婆の品揃えはこれに匹敵するものであったが……それは旅の途中で自身が手にした遺灰を幾度も手渡す事により成されたものだ。始めからここまで多くの品々を取り揃えていた訳ではない。

 

 ましてや立派な一軒家を構え種類を問わず品物を陳列する正統な店など見た事がない。その多大なる物量と蠱惑(こわく)的な珍品とに圧倒される。

 

「凄いな……」

 

 自然と、賞賛の言葉が漏れ出た。

 

 単純にして粗末な言葉であるが構わない。

 言葉など、飾らずとも伝われば良い。

 

「驚いて貰えて何よりだ。流石にこれで全てという訳ではないけど、少々扱いに困る性質の物もあってね……まあ、この辺りでも珍しい物も多い。じっくり見ていってくれ」

 

 そう言って年季の入った椅子に座る男。

 

「あぁ、頼むから勝手な持ち出しはやめてくれよ」

 

 手近な棚から一冊の本を取り出しながら、注告を付け加えるその顔貌(がんぼう)は───何故だろうか、ほんの少し、小さく緩んでいた。

 

 

 

 品物を手に取り、鑑賞し、戻す。そしてまた次の品を手に取る。

 

 普段とは違い、ただ流し見るように、手短に。

 

 一つ一つ丁寧に調べたい気持ちもある。

 だが、少々興奮の度合いが強過ぎたのだろう。はやる気持ちを抑えきれない。

 

 こちらに来てから未だに一度も戦闘が発生していないからだろうか。

 常日頃戦いに身を置いていたせいだろうか。

 身体の内、底の底で燻る物がある。

 

 比較的平穏であったドラングレイグの次にここに至ったならばまた違ったのかもしれない。だが、ロスリックからとなると害意にも敵意にも晒されない時間が長く、どこかこそばゆいような気さえする。

 それにここまで穏やかなのだ。

 もしかすると───

 

 これ以上はやめておこう。

 

 始まったばかりだろうに、期待など抱くべきではない。

 過ぎた先読みなど、無意味でつまらないだけだ。

 

 

 

 今は品定めに専念するとしよう。

 

 武具については現時点では必要としていない。買い占めるのは次の機会にしてもいいだろう。ただ消耗品と指輪については別だ。

 

 特に月の名を冠し生命を癒す効果を持つ薬草と()2()5()()の指輪の内の5つ。どちらもこれまで発見してきたアイテムとは質の異なる代物だと推察出来た。出来れば今回入手しておきたいものだ。

 

 鍵の類いも置いてあれば買い占めてやりたかったのだが……残念ながら店頭にはそれらしき物は見当たらなかった。

 鍵付きの南京錠なら取り揃えてあったが、根無し草の身で錠など何にかけるというのか。ネズミの王と()わしたものに近い誓約があるなら使いようもあるだろう。しかし今の自身にとってはゴミクズに等しい品だ。

 後々手に入れておきたいとは思うが、今まで通りに過ごすならばそれは活用される事の無い死蔵品(単なるコレクション)にしか成り得ないだろう。

 

 一応の目星は付いた。

 現時点で購入出来るかどうかは不明だが、聞いてみなければわからないだろう。

 あとは読書に没頭しつつある店主へ掛け合うだけだ。

 

「店主、買う物が決まった」

「ん?」

「こちらを頼む」

 

 まずは小綺麗に陳列された各種指輪を、次に三日月の名を与えられた草の束を指し示す。

 

「この指輪全種と、三日月草を10本だ」

「それで、一つ聞きたいことがあるのだが」

「ここでは(ソウル)で取引出来るだろうか?」

 

 

 

「……(たましい)?」

 

 若干柔らかく見えた表情は再度硬く強張りだす。

 

「こちらでは取り扱っていないか……」

 

「……すまないが、魂を通貨代わりにする商いはこの辺りじゃ聞いた事がない。他所でも同じだろう。地底でなら話は変わるかもしれないが、あまり期待しない方が良い」

 

「そうか」

 

「……僕は少なくとも純粋な人間ではないが、魂を食い物にするような存在でもない」

「魂を質に入れるとでも言うのなら霧の湖に行く事をお勧めする。あそこには悪魔(あくま)や吸血鬼の住む館がある。君の取引にも応じてくれるだろう」

 

悪魔(デーモン)か」

 

 地図がいるなら言ってくれ、店主はそう切り上げ退出を促す。

 

 結構だと答える傍ら、思い悩む。

 

 困った。

 ソウルが使えないとは……これでは無一文の乞食とそう変わりない。

 

 いや、しかしまだ手は残っている。

 

「では、物々交換はどうだ?」

 

 売って得た資金で買うという選択肢もある。しかし少々面倒だ。故に次に提示するのは物々交換。売り買いの手間など、交換と比べ誤差の範囲だとは自分自身思いはするが……

 それに貨幣を得た場合、反射的に握り潰してしまう危険もある。

 銀の硬貨辺りならおそらく問題はないだろうが、銅貨や金貨は粉砕する機会が多々あったため無意識にやらかす可能性がある。ロスリックで物売りの老婆を相手に売れる物を聞いていた時、久々に銅貨を取り出した瞬間粉々に握り砕いてしまい、何とも言えない表情をされたのは記憶に新しい。

 貨幣を得るなら人目に付かない場所で慣らしてからにしたい。

 

 さて、良い返事は貰えるだろうか。

 

「……良いとも。だけどそれ相応の価値がある物をお願いしたい」

 

 承諾は取れた。だが、相応の価値か。

 

 悩ましい。

 薬草はともかく指輪に釣り合う物を出せるだろうか。

 

「先程も言ったように、これらの指輪は全てがマジックアイテム。しかも一部は幻想郷では滅多に見かけないレベルの上等な品だ。そちらもわかってると思うが、値が張るよ」

 

「承知の上だ」

 

 それくらいは理解している。

 商人と客との関係は平等ではない。

 

 こちらの相場は把握していないが、同じ指輪を買う際と売る際には大きな差が出るだろう。もしかすると途方も無い額に値する対価を要求してくるかもしれない。

 だが、こちらから提案しておいて無理だと言うつもりはない。場合によっては底なしの木箱の封を切る事も視野に入れている。

 

 対価として、まず最初に差し出すべきは指輪だろうか。

 大抵の物はそこそこの値が付くはずだ。

 特に似た効果を持つ指輪の価値を知る事が出来れば指標になるかもしれない。

 

 出すならば貴重ではなく、ある程度は価値が見込める物が望ましい。

 手放すにしろ、売りに出すにしろ問題ない類いの指輪を各種1つずつ用意し、同時に出した適当な(ソウルの)器にまとめる。

 次は有り余っている防具一式だろうか? いや、もしかするとここでは防具の派生強化も可能かもしれない。だとすれば次は───「いや、君、少し、少し待ってくれ」

 

「……なんだ」

 

「交換と言ったが……いきなりこんな大量に突き付けられても困る。100以上ある上に全部マジックアイテムじゃないか……」

 

 店主は困惑しているのだろうか? 

 目頭を押さえ溜め息をこぼしている。

 

「だが、これだけでは釣り合うまい」

 

「……君がどれだけの価値を見出したのかは知らないが、僕としては公平性に欠ける取引はしたくない」

 

 公平性を重視する商人など初めて見た……なんとも義理堅い店主だ。

 

 しかし……

 

「指輪の予備はまだ有り余る程ある。こちらとしては全部引き取ってもらっても構わないのだが「40、いや30種でいい。僕としてはそれで十分だ」……わかった」

 

「だが、これだけの数の中から見繕うのは骨が折れる……そこでだ。問題がなければ一旦預けさせてくれ。一晩経ったら残りは返す。こちらの指輪については明日引き渡すことになるけど、いいかい? こっちの三日月草を今渡す分には構わないんだが」

 

「……一晩か。わかった。感謝する」

 

 手間が掛かるなら尚更全部で良いのだが……そう言いたかったが店主が何か言いたげな顔をしていたのでやめた。

 一挙に畳みかけられ了承してしまったが、考えてみれば店主の不安もわからないでもない。あちらとしても粗悪品や偽装品を掴まされる可能性等を考慮しているのだろう。

 己自身は売買で騙された経験は無いが、確か詐欺と言ったか……知識としては持ち得ているため引き下がる。

 

 それにもしかするとこれは予約という奴なのではないだろうか? またしても新たな体験ができた。マスクと接している口元の感覚が変化する。幸先の良さに自然と頬が綻んだのだろう。

 過度に期待も膨らんでしまうが仕方のないことだ。

 

「とりあえず三日月草は渡しておく。あとこの器も持ち帰ってくれ。これ以上は流石に手に余る。他にも何か取引がしたいのなら、話は別だけれど」

 

「いや、今はいい。では、また」

 

「そうか。じゃあ、またのご来店を」

 

 

 

 外に出た。

 

 閉められた戸から発せられた、どこか心地よい響きを耳に受け、店を後にする。

 

 しばらく歩き、堪らず「歓喜」する。

 

 まさか対価が30ばかりの指輪で済むとは思わなかった。

 客に優しいロスリックでも、売買となると指輪の30や40売った程度ではあの量の指輪は買い取れなかっただろう。

 もしかすると彼の蛇(フラムト)酒呑み(ガヴァラン)以上に渋い値を付けられるかもしれないとも懸念(けねん)していたが、要らぬ心配だったようだ。

 物々交換を申し込んだのが幸と出たのだろうか? 何はともあれ、良い買い物ができて良かった。

 

 また、同時に店主から何気なく発された言葉に内心湧き立つ物を抑えきれない。

 

 先程、一晩と言った。

 

 あの言葉が真実なら、この地……幻想郷だったか。ここではおそらく、最初の火がまともな期間にあったとされる昼と夜の移り変わりが体験できるのだろう。

 時の経過と共に地平線に、あるいは水平線に日が沈み、月が現れ、そして再び日が出てきて月が隠れる。

 そんな()()な変革が空の上で繰り広げられる様を遂にこの目に焼き付けられる日が来るとは……やはり今回は運がいい。

 ロスリックで見たくはなかった光景(火の時代の行き着く果て)を目の当たりにさせられた分のツキがここに来て回ってきたのだろうか? 

 あぁ、この地を一通り歩き尽くしたら1日の移り変わる模様を飽きるまで、いや、感動が落ち着くまで眺め過ごしてみたいものだ。

 

 やはりこの地は素晴らしい。

 ロードランからドラングレイグに飛んだ時と同じ感覚を覚える。

 あの時も困惑と歓喜、興奮の渦に呑まれおかしくなったものだ。

 

 そういえばドラングレイグに移る際、何かを思い出しかけた覚えがある。

 

 おそらくはロードランに訪れるよりも、不死院に収容されるよりも前の記憶。

 

 ()に似た感覚に身を包まれる中、目の前に赤子を抱えた誰かが座っていて、衝動的に手を伸ばしたのだったか。

 

 それは手が届く前に溶けるようにして消えたが、一体なんだったのだろうか。

 

 まあ、そんな昔の記憶など今想っても仕方あるまい。

 とにもかくにも、この抑えきれぬ好奇の熱を発散しなければならない。こんな様ではまず間違いなく無様な死に様を晒すだろうが……仕方あるまい。

 じっとしていて冷める性分でない事など、己自身よく弁えているのだから。







魔法(スペル)

術書やスクロール、物語から得ることができ、不死人は篝火を介して記憶することでそれを扱うことができる。
魔術、奇跡、呪術、闇術に別れ、発動には触媒(杖、タリスマンなど)を要する。
時の流れにより大きく変異していった概念の1つである。


七色石

虹のように綺麗な輝きを放つ、温かな熱を帯びた石ころ。
置くと音と輝きを残す。
放つ輝きは七色の色を持ち、稀に八色目もあるという。
道標として活用できる他、人の身では確実に死に至る高度から落下する際、音に変化が生じる性質を持ち崖際などの探索にも役に立つ。
また、暴力を賜わなければどのような奇行でも見て見ぬふりをしてくれる優しい友人(NPC)たちや、他世界からの訪問者に対しての飾り付けに使うこともできる。
弔いの碑として扱うも良いだろう。
たとえ亡者にその意味が伝わらなくとも。


ブロードソード

斬ることを目的とした、幅広の直剣。
この直剣はこれまでの物(他のブロードソード)と異なり、技量に秀でた者ほど真価を発揮できるようだ。


竜のロングソード

派生強化が施された単なるロングソード。
竜から生み出される武器、ドラゴンウェポンではない。
刀身に炎の力を宿している、
その火は竜を由来とする力なのだろうか。


マフミュラン

優秀な防具屋。
彼自身の防具もまた優秀である。
プレイヤーがソウルを与えすぎると自分を見失う。


物売りの老婆

祭祀場の侍女と呼ばれる不思議な商人。
他者の遺灰から、故人が所持していた物を見出す力を持つ。
遺灰を渡す度に品数が増える。
黒く、しかし暗くない過去の祭祀場で唯一対話ができる人物でもある。
その存在が末期の最初の火の異常性を示しているのかもしれない。
火防女以上に得体の知れぬこの老婆は、しかし夢を追い果てた遺灰に対してのみ(人間性)を剥き出しにする。


未だに一度も戦闘が発生していない

ダークソウルの物語の始まりに戦闘は付き物である。
作中には避けては通れぬ戦いも多いため、アクションゲームに不慣れな人間のためにも始まりの地には基本的な行動を覚える場(チュートリアルエリア)が用意され、戦闘を行うことになる。
ドラングレイグでは形式が少々異なり、最初のエリアでの戦闘を行わず旅立つことが可能な他、基本を習う前に強力な敵と戦うことも可能だったりする。


全25種の指輪

ロードラン、ドラングレイグ、ロスリックに存在した指輪とは異なる。
効果が類似した物は幾つかあるようだが、どれも成り立ちが異なるようだ。
もし失われた騎士が秘匿者へ協力していたならば、仇の名を冠する指輪も含まれていただろう。


ネズミの王

ネズミや獣人、果ては亡者までもが忠誠を誓う地の下の王。
何もかもを求むるがために、何も得られぬ。その人間のあり方(人間性の性質)を愚かと呼び、哀れむ。
裏切りを許さないと言うものの、背信の(のち)、再誓約しようとも変わらず期待を抱いてくれる他、会話を蔑ろにされようとも気にせず見送る。
ダークソウルシリーズでは珍しく寛大な器の持ち主である。
配下のネズミには毒に加え石化の呪いの力を持ち、ぬくもりの火を宿した者もいる。
不死人でも喰らっていたのか、それらは獣でありながら性質としては亡者(死を宿す者)に近い。
王もまた同様である。
いつか、人間と共に、平和を生きる時を夢見ている。


ネズミの王の誓約

ネズミの王の領地に訪れた他世界の不死をしもべたちが用意したテーマパークへと招待し、共にアトラクションを楽しむというもの。
様々なギミックを事前に用意し作動させておくと、より質の良い歓迎ができるようになる。
人気はない


ゴミクズ

何の価値もないゴミクズ。
常人であれば使い道など見出せぬだろう。
だが、妙な価値観を持つ者の目には、確かに価値ある物として映る。
それは他人が決めるものではない


三日月草

月齢(げつれい)の名を持つ薬草の一種。
HPを少量回復する。
同系統の薬草として半月、後月、満月、新月、暗月の名を冠する物が存在する。


硬貨

ソウルシリーズでは基本的に硬貨その物は通貨として利用できない。
ロードランではそれなりのソウルと両替が可能な硬貨が、ドラングレイグ・ロスリックでは大した値で売却はできないが消費アイテムとして使用できる錆びついた硬貨があった。
錆びついた硬貨は砕くことで一時的に運を高める事ができ、ドロップアイテムを発見しやすくなるといった、ささやかな幸運を手繰り寄せる力を得る事ができた。
後に"発見力"を高め、富をもたらす物へと変化したせいか、"運"の値に影響を受ける武器の力を高める事はない。


発見力

"運"が秘める力の一端。
敵を倒したときに、その死体にアイテムを発見できる力。
錆びついた硬貨を砕くと高まる他、金蛇や貪欲者、亡者の残り香や万物の運命と関わりがあるとされる番竜などの力を宿す装備品を身につける事でも上昇する。
ソウルシリーズでは死んだ者相手であろうと、他者が身につける物は直接、物理的に取ることができない。
故に、発見力に関わる代物は時として重宝される。




能力値の一種。
「ダークソウル3」において運の値は、アイテムの発見力、呪いを主とした耐性に関わる他、出血や毒の力、亡者の派生強化が施された武器や「本当に貴い者の剣」の力を高める効果を持つ。
火の無い灰はこれを力として己が身に定着させることができる。
人は(すべか)らく何かに惹かれ、渇望する。
"運"とは人が求めるものを、あるいは運命を手繰り寄せる力でもあるのだろう。
人の本質的な力であるそれは、人の本質…人間性の力なのだろうか


底なしの木箱

底の抜けた不思議な木箱。
貪欲者の烙印とも呼ばれる、古い愚かな神の成れの果て。
いくらでもアイテムを入れることができる。
本来は制限があったようだが、今は変質し、無限の拡張性を持っているようだ。


差し出した指輪

その多くは非常に優れた力を秘めている。
本来なら世界に2つも存在しないはずの物も含まれている。
だが、時と世界を繰り返し巡る者にとってのそれは、大して価値ある物ではないようだ。


ソウルの器

自らの内に宿るソウルを預けることのできる器。
ソウルによる強化がなされていなかった頃の常人の身を基礎とし、能力値の振り直しができる。
不死人と成った当初の値から振り直すため、純粋に魔法に傾倒し打たれ弱く育った魔術師がタフな脳筋戦士に転換することも可能となる。
ドラングレイグの地では火防女らしき老婆の手を借りることで活用できた。
しかし、全てを限界まで極めた者にとっては無用の長物だろう。
火の無い灰もまた、ソウルの器と呼ばれる。


派生強化

武器に属性の付与や性質の変換を行う強化。
特殊な種火と、それを扱える腕を持つ鍛冶屋の手が必要となる。
この強化により性質が大きく変わる武器もあれば救われる武器もある。
救いようのないモノ(産廃)もある。


「歓喜」

ジェスチャーの一種。
「跳ねる歓喜」とも呼ばれ、ほんの少し飛び跳ねながら全身を使い喜びを表現する。
特殊な不死同士の助け合い、または殺し合いの場でよく見られる。


フラムト

世界蛇と呼ばれる竜のなりそこないの一種。
友であった太陽の光の王グウィンの名の下、王の探求者として最初の火の薪を得るため不死を導いてきた他、薪の王に相応しい人間を人工的に作り出す計画にも関わっていたようだ。
安値ではあるものの買い取りを行ってくれるロードラン唯一の協力者であり、アイテムを食べる形でソウルに変換するなど独自のサービスを提供してくれていた。
協力(利用される)関係ならば役に立つ存在なのは確かだ。
しかし、恐ろしい口臭の持ち主であり、彼の企てた非情な計画と全く関係ない所で1人の不死を間接的に殺している。
片割れの闇撫でと呼ばれる世界蛇を嫌う。


ガヴァラン

元々は戦士であったらしい商人。
安値ではあるが買い取りを行ってくれるドラングレイグ唯一の協力者。
ゲルムと呼ばれる流浪の民の出。
言葉が鈍っているのか、四六時中飲んでいる酒らしき飲み物で前後不覚になっているのか、元々言葉が不自由なのか不明だが、片言でしか話せない。


ーーーーー



錆びついた硬貨のもたらすモノ

ある神の姿が刻印された硬貨がもたらすモノ、ドラングレイグでのそれは"運"であった

しかし、ドラングレイグからロスリックへと時代が推移する際、錆びついた硬貨(銅貨・金貨)から読み取れる情報は少しばかり変容した
神への言及がなくなり、もたらす運は発見力へ、幸運は富へと変わったのだ
この差異は、時の移ろいにより錆びついた硬貨がもたらす力の質が変化した事を表しているのか
あるいは元来の解釈に間違いがあり、それが正された事により生じたのか
もしくはそのどちらでもないか

語る者はなく、知る由もない

そもそも、この変化に大した意味合いなど無いのかもしれない

ただ、「ダークソウル3」において錆びついた硬貨がもたらすモノ
それはロスリックで主人公が新たに手にし、自身に定着させソウルの記憶に刻めるようになった力、"運"そのものに影響を与える類いのモノではなかった

きっと人間性に近く、しかし決定的に異なるモノなのだろう

それだけは確かだ

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