風笠癒空   作:パピヨン。

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まだです


めりーくりすます!!

世間はクリスマス一色。

街には色とりどりの電飾が施され、場所によってはテレビで話題にもなったり。

通販やショッピングモールはクリスマス商戦が勃発、夜の街には沢山のカップルがうじゃうじゃ湧く。

 

ああ鬱陶しい。実に鬱陶しいです。

 

なのに、なのに……

 

「どうして待ち合わせがここなんですか…」

 

私は今、兄さんと待ち合わせをしています。

しかし、待ち合わせ場所がカップルがたくさんいる駅前と来ました。頭湧いてるんですかあの人。

今日は兄さんとクリスマスの買出しに行くだけなのですが、用事があるようで急遽待ち合わせになったのです。

しかし、わかりやすいからという理由だけでここに設定されては非常に困る……というかこんな人混みでわかるんですかあの人。

 

「お、お待たせ……癒空……」

 

そうこうしているとゼーゼーと息を切らしている兄さんが来ました。

こんな寒い場所でよく1時間もか弱い乙女(?)を待たせましたね。あとでなにか奢ってもらいましょう。

 

「遅いです!寒すぎて凍え死ぬかと思いました!ほら、早く行きますよ。みんな待ってるんですから。」

「わっ待ってよ癒空〜!」

 

 

買出しにやってきたのはどこにでもあるようなショッピングモール。やはりここもクリスマスムードの様で。しかし、ショッピングモールということもあり家族連れの方が多いですね。

 

「さて、兄さん。クリスマスにはロールキャベツと何が食べたいですか?」

「えっむしろなんでロールキャベツ確定なの……?」

「え?だってこの間手紙に書いてたではありませんか。『拝啓 ロールキャベツへ』って。」

「あっあれを見たの?!!」

 

兄さんの顔が真っ赤に染まった。相当恥ずかしいみたいです。

 

「大丈夫ですよ。読んだのはそこだけなので。」

「よ、よりによってそこを読んじゃったの……」

 

まあガッツリ読みましたけどね。

ケーキの材料とロールキャベツの材料、クリスマスといえばこれ!という感じの鶏肉を買い、帰る道中に小さな雑貨屋さんを見つけました。

 

「わあ……かわいい……」

 

小さな丸いガラスが施されたピンを見ていると、兄さんはこういうのが好きなんだーとかなんとか言っていました。なんか恥ずかしいですね。

 

「癒空はクリスマスに何が欲しいの?」

「子供じゃないんですから、欲しいものは自分で買います」

「えー夢がないなー」

「……まあ、あえていうならこういう実用的な、【普通】の女の子っぽいものが欲しいですね。」

「じゃあ、それサンタさんにお願いしちゃおうか!」

「は?」

「うっその一文字は心に突き刺さるのでやめてください…!」

 

藪から棒になにを言い出すかと思えば……馬鹿なんですか……この人……

 

「お願いなんてしませんから!ほら、早く帰りますよ!」

「わー待ってよ癒空!!」

 

──────────────────────

 

クリスマスイブ、紀奈さんと一緒に料理を作り、クリスマスパーティの準備が整いました。

少し大きなケーキに、いつもよりちょっぴり豪華な料理、男子勢が頑張って飾り付けた室内で、小さなパーティ。

とても小さくて、ささやかな幸せ。

クリスマスも存外悪いものではありませんね。

 

さて、みんな各々が用意してきたクリスマスプレゼントを持ち、プレゼント交換です。

私は誰でも使えるようにマフラーを編みました。が、皆さんなんだか若干ゲテモノ臭がするのは気のせいでしょうか。

 

「それじゃ、プレゼント交換スタート!!」

 

紀奈さんの掛け声で音楽が始まりプレゼントを回し出す。そして音楽とともにプレゼントも止まる。

私が当たったのは薄い緑の大きな包み。

中にはクマのぬいぐるみ。

 

「あ、それ俺のやつだ!」

 

桜川さんが用意したものみたいです。

とても可愛いぬいぐるみ、これ兄さんとかに当たってたらどうするつもりだったんでしょうか。

 

私が編んだマフラーは紀奈さんに当たったようです。

桜川さんは化粧品、マスターは絵の具セット、兄さんは何故かフリルいっぱいのワンピース。

……一体誰が入れたんでしょう。

 

パーティも片付けも終わり、みんなが寝静まった時間にドアをノックする音が。

 

「どうぞー」

「あ、よかった。まだ起きてた」

「どうしたんですか。兄さん。」

「これ、僕から癒空に個人的なクリスマスプレゼント。」

「へっ?え、あ、ありがとうございます…」

 

中には買い出しの時に見ていたヘアピンと、小さな飾りのついた紺碧色のリボン。

 

「癒空に似合うかと思って。それじゃあおやすみ。」

「あ、おやすみなさい……」

 

すごく綺麗な色のリボン。頑張って選んでくれたのでしょうか。

私にとってのサンタさんは、兄さんなのかも知れませんね。

 

「ふふっ」

 

明日、早速このリボンをつけてみよう。うまくつけられるかわからないけれど、きっと大丈夫です。

 

あの頃なら、絶対に感じることの出来なかった幸せなのですから。




まだクリスマスじゃないんですけど、時期的にも丁度いいですね。
私は今月の頭に中古の3DSLLを買ってもらったので充分です。
ただ、携帯と一緒にカバンに入れると同じ色なのでわからなくなってしまうのがちょっとw

煌矢くんの誕生日は過ぎましたがおめでとうございました 

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